何気ない家庭のやりとりの中に、気恥ずかしさや思いやりが丁寧に織り込まれた物語でした。完璧じゃないてるてる坊主に託された願いが、言葉にしづらいパパの優しさそのもののように感じられます。子どもの率直さと、大人の不器用さがすれ違いながらも自然に重なっていく終盤は、ささやかな幸せの形をそっと教えてくれるようで、読後にあたたかな笑みが残る一篇でした。
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