苦界院永久と走る世界で一番長い夜

夜の高校を逃げ惑う主人公、永久。
窓も玄関の扉も閉まり、脱出は不可能。
背後には、不気味な化け物。

なんとか化け物を撒こうと飛び込んだ図書室で出会ったのは、切崎贄子と名乗る謎の少女。
彼女は、ここから出してくれるという。
贄子は鉛筆を武器に化け物と戦い、永久を守ってくれますが——。

徐々に現れる違和感、浮かび上がる可能性。
どうか最後までお読みいただきたい、そんな一作です！

目覚めれば、冬の夜の工業高校に囚われていた。迫る異形の怪物、開かない出口――
そして現れたのは、顔半分が焼け爛れた少女、切崎贄子。「絶世の美少女」を自称する彼女の助けを借りながら脱出を目指すが、季節のズレ、開かない扉、繰り返される違和感が次第に真実を暗示し始める。
パンドラの箱、夏と冬の境界、工場裏のドラム缶——
散りばめられた伏線が収束する先に待つのは、10年分の絶望と、たった一つの優しい嘘。
ホラーの恐怖と切なさが絶妙に交差する一編。美醜が共存する贄子の不思議な魅力と、ラストに明かされる真相が胸に突き刺さります。

夜の校舎へと閉じ込められた苦界院永久さん。

悪夢としかいえないその中で化け物に度々襲われてしまう中、彼女の前に姿を現したのは…とてつもない存在感を放つ、切崎贄子さんだった！？

見慣れない制服を着る彼女は、もしや幽霊？でもとてつもなく強い贄子さんと永久さんはやがて謎の工場へと辿り着く。

この夜を駆け抜けた先に待つのは、数多の闇の底に残った希望の光…なのかもしれません。

ぜひ、ご一読ください！

夜の工業高校に閉じ込められた主人公が、怪物に追われながら出口を探して奔走する──
そんな王道の導入ながら、この作品は“夜の校舎”という空気の重たさを丁寧に描き、恐怖と不穏さが最初から最後までMAXで張りつめてきます。

そしてそこに現れるのが、絶世の美少女を自称しながらも異形を抱えた切崎贄子。

彼女は主人公の味方のようですが、その助け方があまりにも常識外で、安心できない独特の怖さがあります。
“頼れるのに怖い”という矛盾が、この物語の魅力を一段と際立たせています。

怪物から逃げるスリルに加え、世界そのものが狂っていくような違和感がじわじわと積み重なり、読者も主人公と一緒に「この夜は本当に…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（237文字）