龍木が流木になるまでの月日が鮮やかに描かれた作品。生と死を巡る普遍的なテーマの美しさと、人間の複雑な感情の織り交ぜ方が美しかったです。
読んだものにしかわからないでしょう。この不思議と満たされた感覚は。短編とは思えない深く広い世界が、巧みで洗練された語の連なりから感じられます。ここに生きる人、そして彼女を通じて見える人々の生にこれほどまで静かに思いを寄せることができるとは。不思議な木を前に、見上げて耳を澄ます。五感を研ぎ澄まされ、身を浸す。これこそ真の読書体験では。
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