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藤本タツキ 17-26:異例のアニメ化の裏側 8作品を一挙に 通底するテーマとは? 大山良プロデューサーインタビュー - MANTANWEB(まんたんウェブ)
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藤本タツキ 17-26:異例のアニメ化の裏側 8作品を一挙に 通底するテーマとは? 大山良プロデューサーインタビュー

藤本タツキさんの短編8作品を一挙にアニメ化する「藤本タツキ 17-26」の「妹の姉」の一場面(c)藤本タツキ/集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会
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藤本タツキさんの短編8作品を一挙にアニメ化する「藤本タツキ 17-26」の「妹の姉」の一場面(c)藤本タツキ/集英社・「藤本タツキ 17-26」製作委員会

 「チェンソーマン」「ルックバック」などで知られるマンガ家の藤本タツキさんの短編8作品を一挙にアニメ化した「藤本タツキ 17-26」。11月8日にPrime Videoで世界独占配信され、10月17日から新宿バルト9(東京都新宿区)など全国9館で、2週間限定で上映されている。原作は、藤本さんが17歳から26歳の間に描いた読み切りを収録した「藤本タツキ短編集 17-21」「藤本タツキ短編集 22-26」の全8作品。7人の監督、6つのスタジオが全8作品をアニメ化するという前代未聞のプロジェクトだ。アニメを手掛けるエイベックス・アニメーションレーベルズの大山良プロデューサーに企画の狙いを聞いた。

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 ◇バラバラのようで一貫している

 大山さんは、藤本さんのマンガが原作で、「第48回日本アカデミー賞」の最優秀アニメーション作品賞に選ばれたことも話題になった劇場版アニメ「ルックバック」も手掛けた。「藤本タツキ短編集 17-21」「藤本タツキ短編集 22-26」の作品をいくつかピックアップするのではなく、全てアニメ化するという思い切った企画だ。

 「8作品は、藤本先生の17~26歳の軌跡であり、原点でもあります。8作品をまとめて見せることで、藤本先生の幅広さ、引き出しの多さを感じてもらうことが企画の肝になると思っていました。ただ、成立させるには、工夫しないと難しいと考えていました」

 アニメ「ブルーロック」の渡邉徹明さん、映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の武内宣之さん、アニメ「魔法使いの嫁 SEASON2」の寺澤和晃さんら7人の監督、ZEXCS、ラパントラック、GRAPH77、100studio、スタジオカフカ、P.A.WORKSといった6つのスタジオが全8作品をアニメ化した。

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 「全8作をすべて一つのスタジオ、監督でアニメ化するか、一作品毎に違うチームで作るかという二択でしたが、企画のコアなところを考えると、藤本タツキの高い作家性とアニメのクリエーターの個性を掛け算していくのが一番だと考えていました。それぞれ違う座組でやると大変ではあるのですが、その方が面白くなる。全体の統一感を持たせるより、それぞれの個性をハックし、アニメ化で幅広さを増幅した方が面白くなるはずです。一方で、幅広い表現の中に、通底するものが見えてくるとも考えていました」

 8作品は、SF、ラブコメ、アクション、ヒューマンドラマ……とバラバラではあるが、“一貫した何か”も感じる。

 「言語化するのが難しいのですが……。一つは、無邪気さの中の邪悪さです。子供のような無邪気さがあって、それ故の残酷さもある。作品の中で、その二面性が絶妙なバランスで描かれていることが魅力だと思っています。もう一つは、姉妹や恋人など身近な関係から、宇宙人や人魚、ヴァンパイアと殺し屋など極端な立場まで、さまざまな状況に置かれている主人公たちが、とても不器用ながら懸命にコミュニケーションを取ろうと葛藤する姿が描かれているところは、全作品に通底していると思っています」

 ◇まとめてしまわない方がいい

 8作品は、それぞれのクリエーターが個性を発揮しながら“藤本タツキワールド”をアニメ化した。スタッフをどのように決めたのかも気になるところだ。

 「意中のスタジオに話をして、この監督だったら、これが面白くなるといったアイデアをもらいながら1年以上掛けてパートナーを決めていきました。今のアニメーションのスタジオは、4、5年先まで作品が決まっていますが、10~20分の短編ということもあり、取り組みやすかったことも大きかったと思います。シリーズだと中々スケジュール的に難しいところを、制作期間に関しても幅を持たせ、いまく取り組んでいただくことができたんです」

 それぞれの作品が尖ってはいるが、統一感もある。

 「各監督には『いまくまとめるより、思い切って演出してください』とお伝えしていました。振り幅があればあるほど、今回の企画の核であるバリエーションの豊かさに繋がると考えていました。藤本先生自身、『昔の作品がアニメ化になるのは恥ずかしい』とおっしゃいつつ、『自由に思う存分やってください、と監督にお伝えください』とも言っていただいたので、背中を押してもらえました。すごくやりやすかったです」

 ◇配信と劇場公開の理由

 テレビ放送ではなく、あえて配信と劇場公開にした。

 「元々原作のボリュームも作品毎に全然違っていたので、統一の尺に合わせるのは難しいと思っていました。であれば尺の部分も、自由に作ってもらう方が良いと考えました。藤本作品は世界中で大人気ですので、一斉に見てもらえる環境がベストと思いました。『ルックバック』でもPrime Videoでの全世界配信がとてもうまくいったので、今回もタッグを組ませていただきました。また映画館で見たいというファンにお応えするために、劇場上映も行っています。」

 「藤本タツキ 17-26」という異例の企画は、藤本さんの“幅”を鮮やかに映し出した。一方で、通底するテーマも見事に表現した。

 「チェンソーマン」の劇場版アニメ「チェンソーマン レゼ篇」が9月19日に公開され、大ヒットしている。「チェンソーマン」と「藤本タツキ 17-26」は座組も違い、同時多発的に一人のマンガ家の作品がアニメ化されるというのは、極めて異例だ。藤本さんという類いまれな才能は今まさに、世界中で注目されている。


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