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メディアと犯罪の関係について
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憲法の伝統に照らす限り、明確な反証がないままに言論の内容を政府が規制する事は、言論の自由な交換を促すというより、抑圧する可能性が高い。民主主義社会で、言論の自由によって得られる利益は、検閲によって達成される未だ証明されていない理論上の利益を上回る

 

通信品位法に対する米国連邦最高裁違憲判決:多数意見

"As a matter of constitutional tradition, in the absence of evidence to the contrary, we presume that governmental regulation of the content of speech is more likely to interfere with the free exchange of ideas than to encourage it. The interest in encouraging freedom of expression in a democratic society outweighs any theoretical but unproven benefit of censorship." -- Justice John Paul Stevens, writing for the majority [June, 1997 ]

 

 

 


 

 

メディアと犯罪の因果関係

Media and Violent Crime

 


筆者の立場

●メディアが暴力を生み出す事がある

●メディアを規制しても暴力が減るとは限らない

●メディアが存在しなかった時代の暴力のほうが残虐

●世界は「無菌室」ではない

●「はがゆさ」に耐えるのは、近代国家の住人としての使命


 

 

1993/02イギリス・リバプールで、10才の少年2人が2才の少年に激しい暴行を加えた上、線路の上に死体を置き去りにした事件(バルガー事件)では、映画「チャイルドプレイ」と犯行の因果関係が議論となった。事件を担当した判事は、「説明の一部にはなる」と指摘したものの、メディア規制一般には触れなかった。

 

アメリカでは通信品位法(CDA)が96/2月に制定され、下品(indecent)な画像や映像をネット上で未成年者に見せた業者を25万ドルまでの罰金か5年以下の禁固にすることになった。CDAは、上下両院を通過、クリントン大統領も署名し施行されたが、業者や市民団体が提訴、激しい論戦となった。結局、「下品」という言葉の定義が抽象的であり、明らかな萎縮効果(obvious chilling effect)があるとし、連邦最高裁は全会一致で「違憲」と判断、同法は葬られた。

元FBIのJ・ダグラスは、「空想を伴わない暴力は存在しない」と述べ、暴力的な殺人犯の動機を助長・形成するのが暴力的ポルノであることを指摘、法的な規制の必要性を提唱した。36人の女性を強姦して殺害したテッド・バンディは精神科医との面談でこう言っている。

俺みたいなことをやりそうなヤツはたくさん知ってるよ。そういうヤツは必ずポルノ狂だね

". . . I've met a lot of men who were motivated to commit violence just like me. And without exception, every one of them was deeply involved in pornography . . . "

 

また、ポルノが犯行に影響を与えたかという質問にはこう答えている。

単に読んだり見たりっていうのを超える地点があるんだ。ほんとに”やっちまおう”って思う地点がね。 

" . . . You reach that jumping off point where you begin to wonder if maybe actually doing it will give you that which is beyond just reading about it or looking at it . . . "
  

バンディに関して言えば、彼の暴力的強姦殺人にポルノが大きい影響を与えたことは疑いの余地はない。


しかし、ポルノがなかったらバンディは犯行を思いとどまったのか、という疑問が残る。

イスラム諸国、中国、韓国、シンガポールなどではポルノの規制は、想像を絶するほど厳しい(中国には死刑もある)。しかし、メディアの規制がゆるいフランス・スウェーデンなど西欧諸国とシンガポール・韓国などの厳しい国での殺人発生率はほぼ同じであり、殺人の発生率とメディア規制の程度には明らかに因果関係がない(犯罪の国際比較)。

つまり、メディア規制で暴力的殺人が減るとは限らない。

 

魔女狩りが跋扈していた時代、ジル・ド・レが少年の腹を裂いて自慰行為に耽っていた時代、ジャック・ザ・リッパーが売春婦の子宮を持ち去った時代に、今のようなポルノは存在しえなかった。

世界は「無菌室」ではなく、無菌室だったこともなく、これからも無菌室にはならないだろう。ことの是非はともかく、暴力と犯罪、戦争と虐殺が世界の自然な姿であることは冷厳な事実で、その点を直視しない限り、物事の本質は見えない。政治家の票稼ぎやピューリタニズムの原理主義解釈で、誤った結論を導いてはならないだろう。

確かに、ハリウッド映画をはじめとするメディア全般の中には、芸術性や社会的意義が全くない暴力・性描写が氾濫しており、それを快く思わない人は多いだろうし、私もその一人だ。私がルイ14世だったら、通信品位法の違反者は迷うことなく全員死刑にするだろう。

ただ、現代の民主主義社会において「バトルロワイヤル」が救いようのない駄作であると批判はできても、一般的・網羅的に公開を禁止することは不可能だ。

米国連邦最高裁長官レンクィストは「民主主義とは常に歯がゆいものだ」と言ったが、「歯がゆさ」に耐えるのは近代国家の住人としての使命でもある。(蛇足だが、レンクィストは「歯がゆさ」に耐え切れず保守的な判決を連発したことで有名)

アメリカでは近代的法秩序を無視するような「中世的」な現象がよく起き、正義感が歪んだ法制度を創出する。それはアメリカの特徴でもあるのだが、通信品位法での判決は納得できるものだった。

冒頭にも挙げたが通信品位法違憲判決の一部を引用して終わることにする。

 

民主主義社会で、言論の自由によって得られる利益は、検閲によって達成される未だ証明されていない理論上の利益を上回る

 

 

 

 

 

 

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