あまり信じたくないことだが、 itojunさんが亡くなられたのだそうだ。
itojunさんと言えば、IPv6実装の大家というイメージがあるが、 彼の業績はそれ以外にもたくさんある。
Ruby関連で言えば、 RubyのソケットライブラリのIPv6対応も 基本的には彼のコードだ。
あまり人には知られていないと思うが、 私にとって忘れられないのは Rubyの一般公開の一年前、1994年12月にアルファリリースと称して メンバを募って限定公開した時に、 メール以外のネット接続が自由にならなかった私のために メーリングリストとftpサーバーを提供していただいたことだ。
おかげで当時はまだまだ独り善がりの言語だったRubyが いろいろな人の意見をいただいて、この期間中にずいぶん改善された。
Rubyもまたitojunさんがいなければ存在できなかったソフトウェアのひとつである。
itojunさんには感謝している。 彼のために祈ることにしよう。
酒匂さんから「失われた2006年2月分の日記はwww.archive.orgにあるよ」という情報を URL付きでいただいたので、それを元に復旧させる。
自分でarchive.orgを探した時には見つけられなかったのに。 探し方が悪かったに違いない。
で、手作業で復旧したのがかっこ悪い。 ホントはHTML to RDコンバータかなんかを作っちゃうのがかっこいいんだけどね。
情報提供してくださった方々に感謝する。
どうなんだろうなあ。 「著作権」って言葉が乱用されるのはいつものことだが、 これはその中でもひどい方だと思う。
百歩とか千歩とか譲って岡田氏になんらかの権利があるとしても それは著作権ではないよね。だってアイディアには著作権はないし、 それを言うならレコーディングダイエットそのものが彼のオリジナルとは言いがたい。
「レコーディングダイエット」の商標とってるのかどうか調べていないけど、 それもちょっと怪しい感じ。
あとは宣伝文句に名前が使われてたということで「氏名表示権」とか 「パブリシティ権」とかかなあ。あまり定着している権利ではないみたいだけど。
いずれにしても権利を振り回していいことはなにもないと思うんだけど。
オブジェクトを渡すというのは前から考えていたのだが、 evalできる表現にしてUNIX pipeでつなげるというのは ちょっと「コロンブスの卵」。
私自身はRuby自身でパイプをつなげるというイメージだったのだけど、 コマンド(プロセス)間をパイプでつなげるというのは シェルの得意技なんだから、それを活用する方が自然だよね。 脱帽。
Rubyのモジュールを足したり掛けたりするライブラリ、RubyTraits。
RubyTraitsはRubyのモジュールをTraitsのように振る舞うことができるようにするライブラリ。 +演算子によるモジュールの合成や、モジュールから特定のメソッドを取り除くことが 簡単にできる。
Ruby2.0に向けて、モジュールの働きを見直そうと考えているので、 このような試みとその与える影響については注意深く観察していきたい。
LispとEmacsの開発についての(Stallmanの)歴史。
なかなか直接昔話を聞く機会はないので、 このような一次資料は大変貴重である。 まだざっとしか読んでいないので、あとで一生懸命読むことにしたい。
プログラミング言語分類論。
プログラミング言語は大きく分けると3つに分割されるように思われる。
この場合の「緩い制御」とは、GCなどによっていちいち細かい制御をする必要がないと言うこと。 理論的には「強い制御」と「動的な型」という組み合わせもありえるが、 この二つはやや矛盾しそうなので除いている。
さて、このように分類すると各領域で成功できる言語はいくつかに限られるのではないだろうか。 ある言語が、同じ領域ですでに成功している言語を押しのけるのは難しい。
最近流行(?)の関数型言語であるが、 結局(2)の分野に分類されるので(筆者の意見では)成功しないかもしれない。
また、こういう観点から見るとGoogleがその使用する言語を C++, Java, Pythonに限定していることは、各領域から一つずつということで、 実は非常に合理的であることがわかる、という話。
昨日の中京大学の講演で「Love/Hate Ratio」について語ったら、 改めて計算してくれた人がいる。
で、その結果は以下のような感じ。
| 言語 | 1a | 1b | 2a | 2b | 3a | 3b | 4a | 4b | Love/Hate Ratio | 
| Ruby | 10800 | 11700 | 914 | 9850 | 3140 | 3970 | 150 | 173 | 7.189 | 
| Lisp | 758 | 528 | 7010 | 5650 | 2620 | 8 | 216 | 149 | 4.536 | 
| Python | 9420 | 9860 | 9340 | 11600 | 6820 | 5430 | 316 | 388 | 4.356 | 
| Smalltalk | 191 | 200 | 2060 | 3020 | 8 | 6 | 116 | 647 | 3.806 | 
| Perl | 14500 | 705 | 15600 | 916 | 7060 | 4930 | 801 | 1410 | 2.859 | 
| JavaScript | 949 | 1170 | 5410 | 4280 | 1890 | 1480 | 1300 | 941 | 1.773 | 
| Java | 813 | 23000 | 955 | 20800 | 13900 | 506 | 800 | 13600 | 1.605 | 
| C | 6520 | 6550 | 795 | 651 | 14900 | 12500 | 2450 | 1850 | 0.766 | 
| PHP | 852 | 759 | 668 | 652 | 4260 | 5170 | 1110 | 1180 | 0.324 | 
ただし、
1a. 「”i love x” programming」1b. 「”i love x” language」
2a. 「”i like x” programming」2b.「”i like x” language」
3a. 「”i don’t like x” programming」3b.「”i don’t like x” language」
4a. 「”i hate x” programming」4b.「”i hate x” language」
として、likeはloveの半分とカウントしたもの。
以前の結果ほど 極端ではないが、それでもRubyが首位のようだ。
愛されてるねえ。
楽天タワーでカフェテリアが無料、とか言う話。
Matz氏の意見も反映されているんだろうか.
そんなことはない。
私の肩書きは楽天技術研究所のフェローであって、 技術研究所の研究を(一生懸命)お手伝いはしているが、 楽天全般にアドバイスをするような立場ではない。
三木谷さんにもまだ会ったことはないし。会う約束はあるけど。
「技術の楽天」を構築するお手伝いをするつもりはあるが、 経営方針とかとは関係ない、本当に技術に関する話だけ。
ひがさんって前にも似たようなことを書いてたよね、確か。 日本にこだわりがあるんだなあ。
私は自分が住む場所としての日本とか、特にその田舎とかにはこだわりがあるけど、 逆に自分のソフトウェアが使われる場所に国境を導入するのは馬鹿馬鹿しいと思っている。 その辺は認識が真逆だね。
で、海外での人気がなければ、今のRubyはなかったと思うし、 今のRubyがなければ、私の今の(比較的幸せな)生活も危うかっただろうから、 それを「舶来信仰」なんてくだらないものにこだわって 海外進出に消極的なのはよくわからないな。
「舶来信仰」というのがあるらしいことは否定しないし、 それがくだらないものだとも思うけど、 その「くだらないもの」に「ぶちこわす」ってこだわりも また形を替えた「舶来信仰」なんじゃないかなあ。
むしろ逆に利用してやることで 「くだらないもの」に縛られてる人たちをあざ笑ってやるってのが私の意識なんだけど。
ちゅーか、そんなことにこだわってないで そうそうに海外進出を考えたら? (余計なお世話)
商用ソフトウェアはともかく(そこは、MIJSの人たちが苦労してるけど) オープンソースソフトウェアにとっては、 海外進出って言ってもそんなに難しいことじゃないんだから。
私でさえできたんだし。
_ ひがやすを blog:[etc]Seasarの海外進出計画 「舶来信仰」というのがあるらしいことは否定しないし、 それが..
_ ただただし [過去日記の復活中は、feedの生成を止めておいたらさらに良かったですね:-)]