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第一王女を探さないで〜隠された愛と男装王女の誓い〜 - 第一王女は今日も正体を隠す
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第一王女を探さないで〜隠された愛と男装王女の誓い〜  作者: 国士無双
第2章:王子様、ぼくを探さないで

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第一王女は今日も正体を隠す

「サラ……オレの学ラン、どう?」


 教室に着いて、開口一番、ニコくんの口から予想外の言葉が飛び出した。

 白いワイシャツの上に、いつの間にか、新品の学ランを着込んでいて――。


(あれ、どうしたんだろう。ロッカーから取り出したのかな? もしかして……)


 首のところに値札がついてないか、心配で確認してほしいのかも。


 ニコくんは背が高く、大柄だ。

 そのため、ぼくはつま先立ちになって、背中を覗き込む。


「ちょっと確認させてね!」

 

 首回りを丁寧にチェックしてみたけれど、服には特に何もついていなかった。


(オッケー、大丈……)


 本当はすぐに「大丈夫!」って言ってあげたかった。

 でも、学ランの襟首の隙間から、ほんの一瞬、心当たりがあるアザ――“王族の証”がぼくの目に映った。


(あぁ……そうだった。忘れてしまいがちだけど、一般科とはいえ、ニコくんは王子様なんだ……)


 そんなの、いつもわかってたはずなのに。

 現実を目の当たりにして、ぼくは呆然と立ち尽くしてしまった。


(大親友とは言え、絶対に、第一王女だとバレないように気をつけないと……)


「サラ、どうした?」

「あっ! ニコくん、大丈夫だよ! 特に変なところは――」

「似合ってるか?」

「へぇっ?!」


 意表を突かれたぼくは、目が点になる。


「さっき、第2王子のこと、素敵って言ってただろ。オレは……?」


(ニコくん……「似合ってる」って言ってほしいのかな?)


「似合ってるよ?」

「他には?」

「えっ……!」


(ま、まだ足りないの!? ど、どうしよう……! 多分、今のコーディネートの感想がほしいんだよね?)


 今日のニコくんはワイシャツだけど、パーカーを着ている日もある。

 何を着ても自然体で、ちゃんとオシャレ。つい見惚れちゃうくらい。


 一方のぼくは、一番小さいサイズの学ランなのに、いまだにブカブカだ。

 前なんて、怖くて絶対に開けられない。首元まできっちり閉めて、正体を隠すのに必死。正直、ぼくの“嘘”が白日の下に晒されたらと想像するだけで、息苦しい……。


 実際、同じ制服を着てるのに、ニコくんはぼくと違って、堂々としている。


(あっ、つい自分の世界に入ってしまった。答えないと!)

 

「スタイルがいいから、うらやましい。かっこいいよ!」


(これで……どうかな?)


 ぼくの答えに、ニコくんは得意げに笑ってくれたけど、ちょっと物足りなさそう。

 

「じゃあ、サラ。さっきの先輩とオレ、どっちがかっこいいと思う?」

「二人とも、かっこいいよ?」

「そうか……前から思ってたけど、君、第2王子にすごく好かれているよな。本当に、ただの先輩後輩なのか?」

「そうだけど……。ダン先輩は、剣術部の部長で、ぼくは同じ部員だよ?」

「ふーん。そうは言っても、同じ部活なんだろう。もしかして、本当の君を知ってたりする?」


 “本当の君”――ぼくの“性別”のことだ。


(ダン先輩は、ぼくのことを“男”だと思っている。だから、大丈夫……)


「ううん、知らないよ! それに、ダン先輩は……好きな人がいるんだよ?」

「好きな人……? 誰だ?」

「えっ……」


 ニコくんが、こんなにたくさん質問してくるなんて……珍しい。焦る。

 それでも、“第一王女”だと言ったら、自分の正体をバラすようなものだ。


(そうだ、違う表現で言えば……)


「だって、ダン先輩は王子様だから……同じ王族のお嬢様と結婚したいんじゃない? ニコくんも、そう思うでしょう?」

「いや……オレは王族であることを重視していない。自分が、直感で好きだと思った女性と付き合いたいから」


 “結婚”じゃなくて、“付き合いたい”。

 その言い方が、なんだかニコくんらしい。


 ぼくも、同じ意見だ。


「だよね! 普通は恋愛をしてから、結婚する流れが王道だと思ってた!」

「“普通は”って言ったな……。何か、例外を知っているのか?」


 ギクゥ――!


 ニコくんの目つきが鋭くなった。


 だけど、言えない。

 

(ダン先輩は、『第一王女を見つけたら結婚する!』の一点張りだし、あの第5王子に至っては、『お前を娶る』と上から目線なプロポーズ……)


 やばい、どっちも王子様の話だ……。

 ここは絶対に、誤魔化さないと。


「わ、わからないよ! むしろ、この前、ニコくんがぼくのことを『少女漫画の知識は豊富なのに、君自身はねんねなんだな……』って言ってたじゃないか!」


 あえて、ニコくんの真似をし、横を向いて、知らんぷりしてみる。

 そしたら、ほっぺを、両手でむにーっと引っ張られた!


「いひゃいよー!」


 うまく話せない。

 

「フッ、わかった。じゃあ……話を変えようか。第一王女について、何か知ってることはあるか?」


 手を離してくれたと思ったら、今度は、いきなり第一王女の話。


(無理ムリムリむりむりむり……! な、なんで急にその話?!)


「えっ、えっと! 第一位の王族の女性!」


 動揺しながらも、なんとか答える。

 

「それは……誰でもわかるだろ? どこにいるか、知ってるか?」


(ここにいますけど……!?)


 口が裂けても言えない。いや、口以外が裂けようが、誰にも言えない秘密だ。

 とにかく、今は適当にやり過ごすしかない。


「わからないかも……。それより、ニコくん。第一王女様のことが気になるの?」


 思い切って、率直に聞いてみた。

 

(だって、ニコくんは“直感で好きだと思った女性と付き合いたい”って言ってたのに……なんで気にしてるんだろう?)


「一応、王子だからな……まぁ、ちょっと面倒なことがあって。君に話すようなことじゃない」


 ニコくんの顔が曇った。何か言えない事情があるのだろう。

 きっと、王族のゴタゴタに、ぼくを巻き込みたくないってことなんだと思う。


(優しいよね、ニコくん……。ぼくだって、第一王女であることを隠してるんだ。そっとしておこう)


「大変なんだね。無理に話さなくていいよ。安心して?」

「どうも。それより、今日も無理するなよ?」

「ありがとう、ニコくん!」


(嬉しい。体調のことを、気にしてくれるなんて……)


 しかも、ニコくんだけじゃない。ルルも、「絶対に無理しないで?」って言ってくれた。


 大親友のニコくんと、頼れる従魔のルル。ふたりがそばにいてくれて、本当に良かった。


(そうだよね。生理中だし、無理しないで、楽しく過ごせたら、それでいいよね!)


 ぼくは、ふたりのおかげで、気持ちを上手く切り替えていた。


 このまま、穏やかに、今日一日を終えられたら――。


 なのに、放課後。

 “ある王子様”が、ぼくのクラスまで直接やって来るなんて、思ってもみないことだった。

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