第93撃:穿たれし魔核
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ダスクハウンドは低く唸り声をあげながら、一真を威嚇した。
「■■■……」
一真は油断なく構えを取り、静かに告げる。
「では行くぞ――封神拳・仙斬閃!」
手刀に仙気を纏わせ、刃と化した一撃を閃かせる。
次の瞬間、ダスクハウンドの左前足が宙を舞った。
「■■■■――!!」
耳を裂く悲鳴。だが獣はなおも執念深く牙を剥き、一真へ噛みついてくる。
一真は一歩退きながらその咬撃をいなし、力を逸らした。左前足を失ったダスクハウンドは崩れ落ちかけるが、獰猛な意志で体勢を立て直す。そして尻尾で薙ぎ払った。
「封神拳・神甲天衣!」
薄く蒼い仙気を全身に纏い、一真は鉄壁の防御を築く。
巨尾が彼を叩きつけるが、微動だにしない。
逆にその尻尾を両手で掴み取り、巨体を振り回す。
「ぬおおッ!」
回転とともに宙へと放り投げられるダスクハウンド。一真も即座に跳躍し、並跳する。
「封神拳・裂空脚!」
空中で放たれた仙気の蹴撃が衝撃波を伴い、ダスクハウンドを大地へと叩き落とす。轟音と土煙が辺りに立ち込めた。
だが、土煙の中から影が飛び出す。ダスクハウンドが、なおも噛みついてきた。
「■■■◼️■!!」
常ならば鋼鉄すら砕く咬撃。しかし神甲天衣に包まれた一真の肉体は傷一つ負わない。
師・姫咲から叩き込まれた防御法が、確かな堅牢さを示していた。
一真は視線を足元へ向ける。切断したはずの左前足は、すでに再生している。そこからは黒い瘴気が滲み出ていた。
(……昨日、黒霧に覆われたゴブリンと同じ気配……。いや、それ以上だ。地球の悪神の眷属に通じる瘴気――やはり偶然じゃない)
一真は噛みついている獣を蹴り飛ばした。
「封神拳・裂空脚!」
仙気を込めた蹴りで無理やり引き剥がす。
そして静かに右手に仙気を集中させた。
「次は、先程よりも強くいくぞ……封神拳・仙気流光!」
練り上げられた蒼い光弾がダスクハウンドを呑み込み、爆発が巻き起こる。
爆風が後方の晶たちへも届き、紫音が思わず叫ぶ。
「なんだよこれ! これが人間の戦いか!? スキルもないってのに、本当にこんな技が……!」
「で、でも……流石にこれなら……」柚葉も必死に言葉をつなぐ。
だが、期待は裏切られた。
土煙の中から現れたのは、なおも歩み寄るダスクハウンドの姿だった。体中はボロボロ、それでもみるみる回復していく。
「……うそ……」晶が絶望の声を漏らす。
ダスクハウンドの肉体から、黒い瘴気が溢れていた。
一真はその様を冷静に見つめる。
(あの程度では止まらんか……ん?)
焼け焦げた皮膚の下、赤黒い宝石のようなものが一瞬、覗いた。
そこから濃厚な瘴気が噴き出している。しかし直後、肉が盛り上がり、宝石は隠されてしまう。
(……あそこが核、か。なんとも分かりやすくて助かるな)
一真とダスクハウンドが歩み寄り、間合いが重なる。
薄く笑みを浮かべ、一真は告げた。
「いい加減、腹も減ってきた。これで終わりにさせてもらうぞ」
「■■■■■――!!」
獣が咆哮しながら右前足を一真に向けて振り下ろす。。一真も同時に技を放った。
「封神拳・仙斬閃!」
閃光の刃が振るわれ、ダスクハウンドの前足を切り飛ばし、それだけでは止まらずに胸をも切り裂く。だが黒い霧が傷口を覆い、再生が始まる。
その瞬間、一真の瞳が鋭く光った。
「封神拳・穿魂貫手!!」
仙気を纏った左手が槍のように突き出され、盛り上がる肉を突き破り、赤黒い宝石を貫いた。
砕け散る音。次の瞬間、ダスクハウンドが絶叫する。
「■■■ォォォォォッ!!」
黒い瘴気が爆ぜ、四散して消え失せる。
回復力を失った巨体は地へ崩れ落ち、二度と動かなかった。
一真は息を吐き、後方を確認する。晶たち三人とルナリスに被害はない。
「……ふぅ、少々厄介な敵だった」
心中で一真は思考を巡らせる。
(この瘴気……やはり地球の悪神の眷属と同じ。地球とエルフェリアの繋がりは勇者召喚だけじゃない。俺が召喚に巻き込まれたのも……偶然じゃなさそうだな)
不穏な予感を抱きつつ、一真は静かに拳を下ろした。
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