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カクテル風味のポーションを 〜魔道具『リュック』を背負って行商していた100年後、もう神戦争を起こさせない方法を考えました〜 - 66、王都リンゴーシュ 〜リュックの隠し事?
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66、王都リンゴーシュ 〜リュックの隠し事?

 僕は今、王都の賑やかな大通りを歩いている。


 なぜか、アマゾネスの王女デイジーさんに手を繋がれ、しかも彼女によって、なぜか僕の前髪は、青いリボンを結ばれているんだ。


 僕達の前を、ミューさんとレンフォードさんが先導するように歩いている。しかもレンフォードさんは、警備隊の特殊な制服に着替えているみたいだ。


 そして、僕達の少し後ろから、クライン様とジャックさんがついてくる。わざと、要人警護体制のように見せているらしい。



「あの、デイジーさん、僕はなぜ、頭にリボンをつけられているんですか」


「ライトさんは、見た目がどっちかわからないから、わかるようにしたのよ。リボンが嫌なら、ワンピースを着る?」


(はい?)


「僕は、男ですよ?」


「あたしは、あたしより小さな女の子が転ばないように、手を繋いで歩いてあげているのよっ」


(背は、ほとんど変わらないじゃないか)


 どうやら僕は、女装をさせられているみたいだ。彼女は、女尊男卑のアマゾネスの王女だから、男と手を繋ぐことには抵抗があるのかな。


 でも、それなら、なぜ僕と手を繋ぐんだろう? 


 僕がリュックくんの主人のライトだとわかってからは、少し彼女の雰囲気が変わった。僕を卑下する言葉は使わなくなったんだ。でも、上から目線の態度は変わらないけど。




「デイジー様ぁ、もうすぐ夜ですから、買い物をしたら、宿に泊まりましょうよ〜。マリー様のところに遊びに行くのは、明日にする方がいいですぅ」


 彼女の世話係のミューさんが、振り返ってそう叫んだ。レンフォードさんと目が合った。うん? 何?


(これも、作戦なのかな)


「ミューが疲れただけじゃないの?」


「私は元気ですよぉ。でも、今から地底に行くと、着いた頃には、デイジー様のおねむ時間になってしまいますよ〜」



 僕達が大通りを歩いているのは、デイジー王女が、城から外出していることを見せるためなんだ。


 クライン様は、王都に隠れている神々を地底に誘い込みたいみたいなんだ。さすがに王都では、派手なことはできない。だから、狙われているデイジーさんをおとりにして、地底へと連れて行きたいらしい。


(でも、王都は広いんだよね)


 デイジー王女が、地底へ行くことが知れ渡るまでの時間を、宿をとることで作り出そうとしているのかな。


「まぁ、そうね。地底で泊まるのは、ちょっと抵抗があるわね」


 デイジーさんは、ミューさんの言葉にイラつく様子もない。おねむ時間と言われても、怒らないんだ。


(もうすぐ7歳の子供だとは思えない)


 大通り沿いの店で、目を輝かせながら、いろいろなお菓子を選ぶ彼女は、見た目通りの子供に見えるんだけどな。


 ドラゴン族の魔王マリーさんへのお土産を買い終えると、僕達は、宿へと向かった。




 僕達は、レンフォードさんに案内される形で、とても立派な宿に入っていった。入り口の扉を開けてくれるドアボーイのような人までいる。


(めちゃくちゃ高級な宿じゃん)


 レンフォードさんが、カウンターで手続きをしてくれている。彼が警備隊の特殊な制服を着ているからか、宿の従業員も、僕達が子供でも、とても丁寧に接してくれる。


「安全のために、同室にさせていただきました。ご無礼をお許しください」


 レンフォードさんが、そう言って、デイジー王女と僕に、丁寧に頭を下げた。


(ちょっと待って。僕まで、そんな扱い?)


「構わないわ」


 デイジーさんは、ツンとすましている。僕がオロオロしているためか、レンフォードさんは笑いをこらえるのに必死みたいだ。



 そして、案内されたのは、部屋の中にたくさんの部屋がある広すぎる部屋だった。


「わっ、めちゃくちゃ広い」


 僕が思わずそう呟くと、案内してくれた従業員さんは、ホッとしたような笑みを浮かべている。


「お嬢様、ありがとうございます」


(えっ……)


 僕は、あいまいな笑みを浮かべておいた。前髪の青いリボンで、僕は、完全に女の子に見えるらしい。


 いや、デイジー王女が僕と手を繋いでいるためかもしれないな。宿では、彼女の顔は、知られているようだ。もしかすると、アマゾネスの王族の常宿なのかもしれない。



 従業員が出て行くと、クライン様は、部屋に何かの術を使った。たぶん、結界とかバリアだろうな。


「ライトは、宿の人にも女の子だと思われているね」


 クライン様は、僕をからかうようにニヤニヤしている。


「デイジーさんが、リボンをつけるからですよ」


「でも、そのおかげで、俺達の素性はバレてないよ。俺とジャックさんは、護衛の冒険者だとでも思われているみたいだ」


 クライン様は、なんだか楽しそうなんだよね。


「レンさんが警備隊の制服を着ているのも、大きいっすよ。王族や国賓の特別警護のときの制服っす。だから、誰も俺達の素性を尋ねられないっす」


 ジャックさんも、楽しそうなんだよね。


「特別な制服なんですね」


「この国の警護の人は、いつもこの服じゃない」


 僕の言葉を否定するかのように、デイジーさんが言い放つ。この子、ほんと、上から目線なんだよな。ちょっと女神様に似ている……いや、リュックくんに似ているのか。


「アマゾネス国の王女様の護衛なら、この服になりますね。ふふっ、ライトも王女様に見えるのかもね」


 レンフォードさんも、楽しそうなんだよね。


「なんだか、すごい安心ですぅ。ミューも、のんびりできますぅ」


「ミューは、いつものんびりしてるじゃない」


「ええ〜っ? 私は、いつも、ヒヤヒヤしていますよぉ」


 ミューさんは、白魔導士なのだそうだ。アマゾネスの生まれだけど、妖精族の血が入っているから純粋な人間ではないらしい。


 ちょっと落ち着きのない賑やかな人なんだ。でも、とても、面倒見のいい人みたいだな。デイジー王女とは、真逆の印象を受けた。失礼かもしれないけど、なんだか可愛らしいんだよね。



「ライト、夕食は、宿のレストランで食べることにしてあるから、よろしくね」


 レンフォードさんが突然、謎なことを言う。


「よろしくって、何ですか? あっ、デイジーさんのお世話?」


「ちょっと! あたしの世話なんていらないわっ。ライトさんの方がチビなんだから、逆でしょ」


(いやいや、背は変わらないから)


「デイジーちゃん、俺達は、同じテーブルにはつけないっす。だから、ミューさんとライトさんしか、すぐに対処できないっすよ」


「だーかーらー、あたしは、ひとりで異国の食事もできるわよ。変な道具の使い方もわかるんだからっ」


 ジャックさんに言われると、彼女は怒るんだな。だけど、意味を取り違えている。ジャックさんが心配しているのは、作法のことではないはずだ。


(こういうところは、子供だね)



 みんなが、僕を女装させている理由が、わかってきた。デイジーさんを狙う奴らは、どこにいるかわからない。咄嗟のときに、ミューさんだけでは、厳しいんだ。


 だから、常に手を繋がされているのか。これも、たぶん、誰かがデイジーさんを上手く言いくるめたんだろう。


 女尊男卑の国の王女を守るのは、別の苦労もあるんだよな。男には難しいことなんだ。




「ライト、夕食までまだ時間があるから、ちょっと眠っておく方がいいよ」


「えっ? 眠くないです」


「眠ると、魔力値の回復が早いんだよ」


 クライン様にそう言われ、夕食までの時間、僕は少し仮眠を取ることになった。


 そっか、魔力切れを起こしたときは、いったん全回復しないと、魔道具は主人の魔力を吸収しないんだっけ。


 僕は、ふわふわなベッドに入ると、すぐに眠くなってきた。クライン様の優しい声が聞こえた気がする。彼の術なのかもしれない。



 ◇◇◇



『ライト、悪いな。オレの娘の世話をさせて』


(うん? リュックくん?)


 あれ、今って、何してるんだっけ?


『クラインの魔法で深い眠りに入ってるぜ。おかげで、オレにもガンガン魔力が流れてくる。魔力回復の術みてーだな』


(そ、そうなんだ。夢の中なの?)


『あぁ、夢というか、身体は眠っているが頭は起きてるんじゃねぇか? 悪魔族の使う変な術だから、よく知らねーけど』


(ふぅん、そっか。リュックくん、大丈夫だった? 鎧が消えたときは、ビックリしたよ)


『かなりギリギリだったな。あのクリスタルの中は、キツかったぜ。オレの魔力タンクが、ほぼ空になっちまった』


(そっか、気づかなくてゴメン)


『ふっ、オレも余裕ぶっこいてたからな。だが、これでオレの魔力タンクも増えたから、結果は良かったんじゃねーか』


(それならいいけど)


『それから、デイジーのこと、おまえにキチンと話してなくて悪かったよ。女の子だとは言えなかったんだ』


(うん? どういうこと?)


『あー、いや、まぁ、またそのうち話す。ローズの記憶のカケラはあるだろーからな』


(ローズ? あ、アマゾネスの女王様?)


『あぁ、オレ……』


 うん? なんか、リュックくんの様子が違う。チャラチャラしてない。何?


『いや、また、話す』


 リュックくんの声は、聞こえなくなった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 親のリュッ君…レアだ…|д゜)ジー
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