48.まさか、こんなことがありえるなんて!
「現実? またまたぁ……」
目をごしごしこする。
ナイちゃんは笑っているままだ。
そうそう、いつもみたいに嬉しそうに……。
「……マジで?」
「そうなのよ、そうなのよ! 旅人さんの言うとおり、全部うまくいったの!」
キャーッ! と、はしゃいで部屋を飛び回るナイちゃん。
「そっか。じゃあ、ちゃんとナイちゃんにも効果が出たんだね。俺の《全自動支援》」
「すごいのよ、すごいのよ。本当にできるなんて思わなかった! まさか、こんなことがありえるなんて!」
「別に不思議なことはないよ。《全自動弱体化》が通じるなら《全自動支援》が通じない理由はないもん」
作戦は、こうだ。
まずナイちゃんに俺の仲間になってもらう。
すると《全自動支援》の効果を受けたナイちゃんがパワーアップする。
パワーアップしたナイちゃんにすごい頑張ってもらって、なんやかんやで全自動だったスキルを手動で操れるようになってもらい、なんかこう、いろいろどうにか解決する。
うーん、後半はナイちゃんに完全に投げっぱなしだ。
「でも、俺はどうして寝てたのかな?」
「ごめんなさい、ごめんなさい。あまりにも一気に力が強くなり過ぎたみたいで、すぐに制御もできなかったから……旅人さんを夢も見られない深い眠りに落としてしまったようなの」
「ああ、仲間は《全自動弱体化》の対象にはならないからねぇ……でも、どうやって現実でナイちゃんの姿を取れてるの?」
「そう、そう。わたしもとても驚いているわ! わたしね、屋敷の姿からあなたが思い描いてくれた姿に変身できるようになったみたいなの!」
「そりゃすごいな」
さすがは唯一種。
パワーアップの度合いが尋常じゃない。
「それだけじゃないわ! 見せる夢を自在に操れるようにもなったの! 夢であることを忘れないようにもできるし、相手が望んでいないことでも見せられるし。だから……勇者のアレスっていう子には悪夢を見てもらったの。そしたら簡単に目覚めたわ!」
「本当に? それは思わぬ副産物だったなぁ」
あまりにも都合が良すぎる気もするけど、俺の冒険はいつもそんな感じだし。
なんにせよナイちゃんが死なずに済んでよかった。
「あれ。ここが現実だとしたら……俺はどうして王城に?」
「それはね、それはね。わたし以外のお仲間さんから聞いたほうがわかりやすいと思うわ。あ、ちょうど誰か来た! じゃ、わたしはこのあたりを見て回っているから、まだゆっくりしていてね!」
「えっ、あっ、ナイちゃん!?」
ナイちゃんが消えてしまった。
「大丈夫かな。唯一種モンスターに自由を与えたとかって、よく考えたらまずいんじゃ? いや、きっと大丈夫だよね。ナイちゃんも反省してたし……」
きっと、なんの理由もなく誰かを夢に落とすことはもうないだろう。
などと考えていると、コンコンと部屋の扉がノックされた。
ナイちゃんの言うとおりに誰か来たんだな。
「どうぞ」
「ええ、入るのだわ……って!?」
バターン! と凄い勢いで扉が開けられた。
びっくりして見ると、そこにはエチカが目を見開いたまま立っていた。
「起きてる! スラッドー!」
そしてエチカ、俺のベッドにダイヴ。
あっ、大きなおっぱいがダイレクトに頭に!
「むぐぐぐぐ!」
「もう起きないかと思ったのだわーっ!」
エチカがこれでもかというほど胸を押し付けてくる。
俺の息子がぎゅいーんと反応した。
かつて経験したことのない衝動が津波のように押し寄せてきて、あっという間に思考を飲み込んでしまう。
エチカさん……耳にキスされたわけじゃないですが、まぐわいの合意が取れたとみなしてよごさんすか?
よござんすね!?
「ぷっは! エチカー! 俺はもうー!」
「すぐにみんなを呼んでくるから、そこにいてね!」
しかし解放されたと思った瞬間、エチカがすごい速さで部屋を出ていった。
まるで風のようだ。
《全自動支援》の効果がしっかり出ている。
抱きつこうとしたのに完全回避されてしまった。
いや、今はそんなことはどうでもいい!
「そんな馬鹿な……ついこの間、風俗に行ったばかりなのに、どうして……」
布団越しに自分の股間を見て、わなわなと震える。
俺の息子は今や完全に臨戦態勢となっていたのだ。
「えっ、待って? こんな布団の上からでもはっきり主張してる状態で、今からここに来るの? みんなが? エチカ、シーチャ、ディシアにレメリ。美少女ばかり四人?」
冗談じゃない!
今すぐ厠へダッシュ!
そして超高速で右手の。
いや、両手の力を借りなくてはー!
次話であきらかになることではありますが、感想欄でも気になる方が多いみたいなので。
スラッドがあやうくエチカを押し倒しそうになったりするぐらい性欲が溜まっているのはきちんとした事情があります。
無意味に下ネタに振ったりしているわけではありません。