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「イザベラ・ノワールを北の塔へ無期限の幽閉と処す!以上!」
裁判は思いの他、順調に進んだ。
本当にイザベラはめっきりと大人しくなっていて、裁判官に聞かれたことをゆっくりと話したりしていた。
彼女なかで何が起こったかはわからない。
北の塔に移す前に、最後に特別にローズマリーとレオナルドだけに面会を許された。
「随分と大人しいですのね。あの威勢の良さはどこへいってしまったのかしら?反省したのかしら?」
北の塔に行く馬車の近くに両脇に騎士団を連れたイザベラとローズマリーとレオナルドがいた。
「ははっ。反省?私は何も悪くないのに、反省?ばっかじゃないの?!大人しくしていれば、減刑されると思ったけど…幽閉よ幽閉!一生外に出ることは出来ないし、死ぬまで幽閉なのよ!暴れればよかったわ!暴れても暴れなくても幽閉なら暴れて、あんたを滅茶苦茶にしてやればよかったわ!」
ローズマリーは悪態をつくイザベラを冷やかな瞳で見つめていた。
「あら?何を勘違いしていらっしゃるのかしら?レオナルド様の婚約者である私を手にかけたのですから、本当でしたら死罪ですわ?減刑されて幽閉なのがお分かりかしら?」
イザベラは小さく、え?と呟いた。
「あら?この国の法律を知らないのかしら?王族、王族が認めた正式な婚約者を殺意を持って傷つけた場合、死罪が相当だと。授業で習わなかったかしら?」
ローズマリーは口角をあげてニヤリとした。
「未成年であることと、レオナルド様がこうなってしまったのは自分のせいだと仰っていただけたから、幽閉ですんだのよ?貴女は恵まれているのよ。感謝しなさい。」
ローズマリーは蔑むような瞳でイザベラを見た。
イザベラは取り乱していた。
「…死罪?」
イザベラはこの言葉をぶつぶつと呟いていた。
レオナルドはイザベラにかける言葉が見つからない。だが、ローズマリーはイザベラに話しかけている。
「北の塔には何名か幽閉処分になった貴族嫌いな方がいらっしゃいますわ。1度でも貴族になった貴女とその方々と仲良くできるといいですわね?」
イザベラは小さな声で、助けて。とローズマリーに言ったが、ローズマリーは容赦がなかった。
イザベラの頬をぐいっと掴んだ。
「今更反省しても遅いわ。」
そのまま突き放し、騎士達に連れて行きなさいと指示をした。
無理矢理馬車に乗せられる形となり、抵抗をしているイザベラをレオナルドはなんとも言えない表情で見ていた。
「仕方ないじゃない!私の家は貧乏だったもん!お金があれば幸せも買える!ただ、幸せになりたかっただけ!幸せにならなくちゃいけないもの!贅沢だって幸せの証!私は間違ってない!もう、苦労したくないものっっっ!!」
泣き叫ぶイザベラの声が辺りに響いた。
「お金があるからといって幸せとは限らないわ。」
イザベラの泣き叫ぶ声がピタリと止んだ。
「貴女はお金がなくても、幸せだったはずよ。こうなってしまったのも、欲に囚われすぎたから。お金がすべてではないことに気付けていたのなら、貴女はまた違っていたと思うわ。」
「あんたは、お金があるからそう言えるのよっ!」
「お金があっても、本当に欲しいものは手に入らないのよ。」
ローズマリーは馬車に無理矢理詰め込まれたイザベラの背中を悲しそうに見つめていた。
レオナルドは悲しそうな瞳をしたローズマリーの横顔を見つめていた。