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「従兄弟…。」
通りで見たことあるような顔だなと、いやそれよりももっと重大な…
「皇位継承権…、ローズマリーが皇女?!」
レオナルドは驚きながら聞いた。
「私は放棄していますわ。」
「お父さまは許してないわ!」
ジョシュアはローズマリーにずっと抱きついているリリエを無理矢理引き剥がした。
「リリエ、みっともないから。」
無理矢理引き剥がされたリリエはまた頬を膨らませている。
コロコロ変わる表情にレオナルドの顔が緩んだ。
「リリエ様、滞在中のお部屋を案内させていただきますね。」
とニコリとレオナルドが笑うと、リリエの顔が段々と赤くなり、リリエは自分の両手で顔を隠した。
「レオナルド様!よく見ると、金髪碧眼だったのですね!」
「は?」
よく見なくても金髪碧眼はわかるのだが…。
ローズマリーとレオナルドは頭に?がたくさん浮かんでいたが、ジョシュアだけはリリエの言いたいことが分かったらしく…
「最近はまってる小説のヒーローが、金髪碧眼の設定で、そのヒーローがリリエの今の理想の男性なんだ。」
と淡々と言われた。
ようは、小説の中のヒーローが現実にいて、ときめいてるんだ。とジョシュアは二人に説明していた。
「ぇっと…」
レオナルドがリリエに何か話そうとしたら、
「レオナルド様は、お付き合いなさってる方とか、婚約者さまはいらっしゃるのですか?!」
リリエの顔は真っ赤だった。
ローズマリーと婚約をしているし、好意を持たれても期待に応えれないため、はっきりと言おうとした。
「あ…いま「せんわよ。」
が、レオナルドの言葉にローズマリーが被せてきた。
レオナルドは何を言ってるんだとばかりにローズマリーを見るが、ローズマリーは知らんぷりをしている。
「お姉さま、本当ですか?!」
きゃーと嬉しそうにリリエは小躍りをしていた。
ローズマリーはリリエの問には答えずに、ジョシュアとリリエの部屋を案内し始めた。
レオナルドはただ悲しかったが、今は客人の相手の最中なのでローズマリーに代わり先頭を歩いた。
ジョシュアの荷物はさほどないみたいだが、リリエの荷物が多くて時間がかかっているみたいだ。
先に3人は、応接室にいき、ティータイムをしていた。
「姉様、嘘は良くないよ?」
ジョシュアは、にこりと笑っていたが後ろに黒いオーラが見えた。
「ジョシュアは知っていたの?」
リリエが知らないから知らないと思っていた。
「父に聞かされたからね。で、その嘘のせいでレオナルド様とリリエが可哀想なんだけど?」
レオナルドは心ここにあらずなようで、ずっとぼーっとしていた。
「嘘ではないわ。公式には発表はしていわ。それに、建国記念の日に破棄しますから。」
ジョシュアはそれも気に入らなかった。
「ただの屁理屈じゃないの?」
ジョシュアに言われて、たしかにそうかもしれないと、ローズマリーは思ったが、もう自分の中では決めたことだと…。
「もう決めたことよ。」
「レオナルド様とリリエが本当に可哀想だな。」
先程からずっとぼーっとしているレオナルドが気の毒に思えた。
「レオナルド様!お待たせいたしましたわ!」
とリリエはレオナルドの隣に座り、勢い良く抱きついた。
抱きつかれたことにより正気に戻ったのか、背筋を正し、王子様スマイルまで見せた。
「リリエ様、親睦のために一緒にお茶をどうぞ。」
とリリエには自らお茶を淹れ手渡した。
「美味しいですわ!レオナルド様はお茶も淹れることができるのですね!」
レオナルドの王子様スマイルは揺らぐことはなかった。
ローズマリーは、使用人が淹れたお茶を一口飲んだ。
その紅茶はいつもより苦い気がした…。