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服は汚れたままフラフラとルイはゆっくりとローズマリーに近づいてきた。
周りの貴族は、ルイに道を開けるかのように、ルイから距離をとっていた。
「ローズマリー、とても綺麗になったね。」
微笑みながらそう言い、近づいてくるルイがどことなく怖い。
いや、なぜ、ここにいるのかも分からない。
ローズマリーの気持ちを察したのか、レオナルドかローズマリーの前に立ち、ルイからはローズマリーを見えないようにした。
「そこで、止まれ。これ以上、近づくな。」
レオナルドはルイに牽制をした。
ルイの足は止まり、ルイの周りには騎士が集まっていた。
「ひどいなぁ、殿下。僕はお祝いの言葉を言いに来ただけだよ?」
ルイの微笑みは崩れない。
「貴方は幽閉されていた筈…。」
「あぁ、長年鉄格子を揺らしていたら、取れたみたい。外に出れるようになったよ。それに、衛兵達もほとんど来ないし、僕には2日に一度しか食事も運ばれないから、あまり気付かれない。簡単なことだったよ。まぁ、食事を置くだけで中の様子なんて確認しないから、まだ気付かれてないんじゃないかな?」
ルイはクスクスと笑っていた。
会場中はザワザワと騒ぎ出し、レオナルドはローズマリーを抱き締め、自分の身体でルイにローズマリーを見せないようにした。
「ルイ・ブルース。君は幽閉されている地下牢から出たということは、それ相応の処罰が下る。何故出てきた。」
国王はゆっくりと話た。
「陛下、お久しぶりですね。何故出てきた…衛兵達が言ってたんですよ、ローズマリーが殿下の婚約者だと…。僕の元婚約者ですから、お祝いの言葉をかけなければと…。」
クスクスと笑うルイにレオナルドはローズマリーを更にぎゅっと抱き締める。
ローズマリーはレオナルドに耳打ちをすると、レオナルドは驚いた顔をした。
「ルイ、私の為に地下牢から出てきたのでしょう?」
ローズマリーはレオナルドの腕の中から離れ、ルイにゆっくりと近付いた。
「ローズマリー、更に美しくなったね。ドレスもとても似合ってる。」
「ありがとう。お祝いの言葉だけではないでしょう?幽閉されているのに、わざわざ脱獄したのだから。」
ローズマリーはルイにニコリと微笑んだ。
「あぁ、殿下を見に来たんだ。パレードに出る時も見ていたよ。」
ローズマリーはゆっくりとルイに近付いた。
するとルイはローズマリーを自分に引き寄せ力強く抱きしめた。
ルイはチラリとレオナルドの方を見ると、今にも殴ってきそうな顔をしていた。
「ルイ、満足したかしら?」
「あぁ、満足したよ。」
ルイはローズマリーを優しく離した。
「ローズマリー、君の後ろにいる殿下なら、君を必ず幸せにしてくれるよ。自分の気持ちに正直になったほうがいいよ。」
ルイはそう言うと騎士に抑えられ、ローズマリーはまたレオナルドの腕の中に収まった。
ルイは抵抗することもなく騎士に自由を奪われ連れられていった。
その姿をローズマリーは瞬きもせず、見つめていた。