終
ルイが去った後の会場は静かで、喋ってはいけないような雰囲気だった。
その静けさを破ったのは、ローズマリーだった。
「皆様、お騒がせ致しまして大変申し訳ありません。」
ローズマリーが深く頭を下げると、レオナルドも同じ様に頭を下げた。
ローズマリーとレオナルドが頭を上げると、沈黙は続いていたが、空気が柔らかくなったのを肌で感じとれていた。
ローズマリーとレオナルドは向き合った。
「レオナルド様、先程のお返事ですが……。」
ローズマリーが返事をしようとすると、レオナルドは慌てた。
「ちょっと待って!まだ心の準備が……!」
レオナルドは少しパニックになっていて慌てていた。
ローズマリーはその素直な反応がとても好ましく感じ、クスリと笑った。
「…貴方の素直なところに大変好感が持てます。王子としてはまだまだな所があります。ですが、半年前と比べると歴然です。どのようなご令嬢でも今の貴方でしたら対処できるでしょう。」
ローズマリーがにこやかに笑ったが、レオナルドは顔と肩を落とした。
ローズマリーの発言を聞いて、隣に立つのは自分じゃなくていいと聞こえたからだ。
「ですが…」
ローズマリーが言葉を続けたのでレオナルドはローズマリーに顔を向けた。
「レオナルド様、貴方のことをもっと知りたいですわ。ですから、国民の皆様と貴方が許してくれるのなら、貴方の手を取りますわ。」
ローズマリーがはにかむように微笑むと、レオナルドの顔は一転して喜びに満ち溢れ、そのままローズマリーに抱きついた。
「ローズマリー!大好きだ!」
そのままローズマリーを横抱きにして、いわゆる、お姫様抱っこをした。
「レオナルド様、さすがにこれは…」
ローズマリーでも恥ずかしいみたいで、珍しく顔が紅くなっていた。
「ローズマリーでも恥ずかしいことってあるんだな!」
二人のラブラブっぷりに会場にいる者たちは、目を丸くして固まっていたが、
国王陛下は嬉しそうに拍手をして、王妃様は泣いていた。
「…そろそろ、おろしてくださいませんか?」
ローズマリーが恥ずかしさに耐えきれず言うと、レオナルドはイタズラっこのような表情をした。
「こんなに可愛いローズマリーを堪能できるんだから、まだ下ろさないよ?俺の奥さん。」
意地悪そうに笑うレオナルドに、ローズマリーも意地悪そうに笑った。
「あら?私はまだ結婚するとは言ってませんわよ?」
ローズマリーのその一言にレオナルドは止まった。
「え?」
「婚約者になって欲しいと言われたので、承諾の証として手を取りましたが、まだ結婚するとは言ってませんわ。」
会場にいた者たちは全員ざわつき、レオナルドはローズマリーをお姫様抱っこしたまま停止したままだ…。
「あら?私と結婚がしたいのですか?」
レオナルドは勢いよく頷いた。
ローズマリーはくすりと笑った。
「ただし、条件がありますわ?」
ローズマリーは少しだけ意地悪そうに微笑んだ。