22話 悪しき姫様の悪ふざけ
「ノエル、本当に大丈夫なの?」
「心配して下さるのは嬉しいですがもう大丈夫です。傷に触れないよう工夫はしていますから」
「あんまり無理しないでね。ノエルに何かあったらウチがディゼ様に怒られちゃう」
「ははは……」
冗談抜きで怒りそうだからディゼ様は恐ろしい。
怪我人とはいえ、いつまでもベッドでゴロゴロするなんて私は耐えられない。
だから少し無理を言って復帰を早めて貰った。
勿論、またベッドに戻らないよう慎重に働いているけど。
「皆、聞いてくれ」
仕事中の職員達を呼び止めてディゼ様が話し始める。
「急で申し訳ないが、この後ウェルキス家の令嬢と会談をする事になった。相手は侯爵家の人間だから相応の態度で迎えてくれ」
「「「は、はい!!」」」
ウェルキス家の令嬢?
気が引き締まる空間の中で私はとある人物が頭に浮かんだ。
「まさかラブメア様?」
「だね。彼女はディゼ様を随分気に入っているみたいだから」
「マゼン含めて浮気相手が多数いるのに……吐き気がします」
マゼンとはもう会わなくていいと思っていた。
けど今度は浮気相手のラブメア様が来てしまう。
直接お話ししたことは少ないけどできれば会いたくない。
というか二度と関わりたくない。
「ま、来るまで時間はあるからさ。いつも通り作業を続けよう!!」
それでも仕事はいつも通り進んだ。
薬草の栽培や新しいポーションの開発など、刺激的で新鮮な仕事は私のモチベーションをグンと引き上げてくれる。
「ラブメア様がこっちに来るみたい」
「えっ」
そうして何時間か経った時。
気分が一気に落ちてしまった。
「よく来られるのですか?」
「逆だね。研究所はつまんないって本人が言ってたのに……気まぐれお嬢様は困るねぇ」
興味が無いのに来る?
多分、ディゼ様が好きでディゼ様が好む場所を見てみたいと駄々をこね始めたのだろう。
「着替え……は間に合わないから迎え入れる準備!! 慌ただしくなるよ~」
穏便に済ませたかったのに。
再び慌ただしくなる研究所の中で私達はラブメア様を迎え入れる準備をした。
そして数十分後。
彼女が姿を現す。
「相変わらず、泥と草だらけの施設ですわね」
「その泥と草が領民達を救う。これは価値のある汚れだよ」
「ふーん……」
嫌味な言葉を吐き続ける女性。
研究所には似合わない煌びやかなドレスとメイクを身につけた派手な存在が、我が物顔で足を踏み入れる。
(見た目は綺麗ね……)
ラブメア・ウェルキス。
間近で見るのは始めてだけど、やっぱり綺麗。
多くの男性が寄り付くだけはありますね。
「ディゼ様お気に入りの場所だからもう一度見たくなったけど、やっぱりアタシにはわかりませんわ。さて、別の場所に……あら?」
「え?」
チラ見しただけで飽きてしまうラブメア様。
そんな彼女が私と目が合った瞬間、ニヤリとした顔で歩み寄ってきた。
「誰かと思えば傷アリではありませんの。こんな所で何をしているのですか?」
あぁ、こんな所でも。
私の災難は一生終わらないらしい。
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