Deprecated: The each() function is deprecated. This message will be suppressed on further calls in /home/zhenxiangba/zhenxiangba.com/public_html/phproxy-improved-master/index.php on line 456
ルミナリーファンタジーの迷宮 - 第三章3   『命のねじ』
[go: Go Back, main page]

表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルミナリーファンタジーの迷宮  作者: 蒼城双葉
第三章 ドラゴン討伐編
76/187

第三章3   『命のねじ』

《マグナマキナ(じよう)》前。

一度、(もん)をくぐり()けたことがあったからか、門番(もんばん)は俺たちに質問することもなく、さらりと(にゅう)(じょう)できた。

 城内に入り、ここでも、《ソロモンの宝玉(ほうぎょく)》入手前後でなにか変わったことはないか探してみたけど、特になにもなかった。

「おそらく、この(まち)については、王様に《(いのち)のねじ》を(とど)けるかどうかってことでしか変化は起こらなそうだね」

 (なぎ)の言葉にうなずく。

「だろうね。あとは(おう)()だけだ」

「王様のからくりロボット、よみがえるといいわね」

 逸美(いつみ)ちゃんがつぶやくと、(すず)ちゃんが明るく言う。

「きっとよみがえりますよ」

「そうさ。行こうぜ」

 そして、凪を先頭に俺たち王の間にやってきた。


 王の間。

 俺たちを待ちわびていたように、王様が(まね)き入れてくれた。

「おお! そなたたち、(もど)ってきてくださったか。それで、どうでしたか?」

 凪が答える。

「ちゃんとゲットしてきたぜ」

「それはまことですか!」

 王様が嬉々(きき)とした声を上げる。

「はい、《(いのち)のねじ》」

 アイテム(らん)から取り出した《(いのち)のねじ》を、凪が差し出した。

 ありがたそうに王様がそれを受け取る。

「これが、あの《(いのち)のねじ》か。美しい黄金色(こがねいろ)(かがや)きは、話に聞いていた通りだ」

(いのち)のねじ》に見とれる王様だったが、(われ)に返って、俺たちに言う。

「さっそく(ため)してみます」

「王様」

 と、兵士(へいし)がとあるからくりロボットを持ってきた。

 からくりロボットは、俺より少し()が低い人型(ひとがた)だった。顔の(つく)りや(はだ)の色は人間らしくない、いかにもロボットのシルバーのメタリックフォルム。

 さっそく、王様はからくりロボットの背中(せなか)に《(いのち)のねじ》を差し込み、ぐるぐるとねじを回した。

 すると。

 ギギィー

 目を()け、からくりロボットが動き出した。

「これは、王様!」

「そうだ。ワタシだ。本当に、よみがえったのか!」

「なんの話ですか?」

「おまえはずっと(ねむ)っていたのだ」

(ねむ)っていたのですか?」

 自分がずっと(ねむ)りについていたことを知らないからくりロボットに、王様は丁寧(ていねい)に説明をしてやった。

 そのあと、王様は俺たちに頭を下げた。

「見ての通り、わしの友人のからくりロボットは、よみがえりました。これもあなた方のおかげです。ありがとうございました」

「いいえ」

「よかったですね」

 俺と逸美ちゃんが言って、鈴ちゃんも笑顔でうなずく。

 凪は飄々(ひようひよう)としたもので、からくりロボットと(あそ)びながら王様に言う。

(かれ)がよみがえって、(よろこ)ばしいね。からくりとはいえ、ロボットとはいえ、まぎれもない命だからさ」

「ええ。本当に。かけがえのない命です」

 (ほが)らかな表情をみせる王様。

 王妃(おうひ)様も俺たちにお(れい)()べた。

「あなた方のご活躍(かつやく)のおかげです。わたくしからもお(れい)を言わせていただきます。ありがとうございました」

褒美(ほうび)と言っては差し出がましいですが、わしからのせめての気持ちを受け取ってください」

「もちろん」

 凪はからくりロボットからくるりと身をひるがえして、期待の眼差(まなざ)しを向けた。まったく(げん)(きん)なやつだ。

 王様は、兵士(へいし)からなにか(ふくろ)を受け取った。

 受け取った(ふくろ)を、凪に手渡(てわた)した。

「《機運(きうん)のからくり時計(どけい)》です」

 もらった(ふくろ)()けて、時計を取り出す。

 見たところ普通(ふつう)の懐中時計で、手のひらサイズ。綺麗(きれい)な銀色を基調(きちよう)とした、青い秒針(びようしん)の時計だ。

「王家に伝わる(たから)のひとつ、オートマタの傑作(けつさく)と言われています。この《機運(きうん)のからくり時計(どけい)》はゼンマイ仕掛(じか)けで動きます」

 王妃様から説明を受けるが、凪は小首をかしげる。

「つまり、ゼンマイを回さないと動かないのかい?」

「はい。あなたがこれを手にしたこの瞬間(しゅんかん)から、使用できるのはあと3回だけです」

 俺は聞いた。

「使うとどんな効果があるんですか?」

「ゼンマイを回した時間だけ時を(もど)します。ただし、あなた方がその時計を初めて手にしたこの時間より前には(もど)れません」

「どれどれ」

 と、凪がからくり時計の(りゅう)()についたゼンマイを回すと、ドラムロール(がた)()(こく)(にゅう)(りょく)ダイヤルがポップアップ表示された。

「これで好きな時間を入力するわけだ」

 この王様は、AIの中でも知能(ちのう)が高いのか、自然に会話をするように解説(かいせつ)(くわ)える。

「その通りです。入力した時刻は()(ぞん)されますので、使用する前にあらかじめ登録しておくとよいでしょう。あとは、(りゅう)()をカチカチッと二回()せば、指定した時間に(もど)ることができますよ」

 凪は納得(なっとく)を示す。

「へえ。なるほど、それほどの代物(しろもの)か。ゲームじゃたまにあるんだよね、時間を(もど)すアイテムって。戦闘中(せんとうちゅう)に使うと、戦闘(せんとう)が開始された時間まで(もど)す、とかさ」

「効果は戦闘(せんとう)の時だけに(かぎ)りませんよ。(もど)れる時間は最大であなたがその時計を手にした瞬間(しゆんかん)まで」

 王様に続けて、王妃様が()(そく)する。

(もど)る時間の重複(ちようふく)もできます。今日が八月三日ですが、八月六日に使用して四日に(もど)り、そのあと五日になったら今度はさらに()んで三日に(もど)ってくる、ということが可能です。ただし――その(さい)、使用回数は六日に使った分も引かれて、残り使用回数はあと一回になります」

 俺は(あご)に手をやって、

(よう)は、《機運(きうん)のからくり時計(どけい)》を使用する前の時間に(もど)ったからといっても、使った分はちゃんと差し引かれるってことですね」

「ええ。その通りです」

 鈴ちゃんは手を組んで、

「それってすごいアイテムじゃないですか。大事に使いましょうね」

「ふふ。そうよね。大事に使わないと」

 逸美ちゃんもにこやかにそう言う中、俺は凪の手を()さえる。

「おまえ、いま使おうとしなかったか?」

「まずは(ため)してみようかと」

絶対(ぜったい)ダメ!」

 と、俺と鈴ちゃんが声をそろえて注意した。

 凪はふっと笑った。

冗談(じょうだん)だよ。こんな貴重(きちょう)なアイテム、使わないでクリアするつもりで使わないとね」

「どっちみち使うのかよ」

「もったいないだろ?」

「ま、まあ……」

 ということで、俺たちは王様と王妃様とからくりロボットに挨拶(あいさつ)して、王の間を出ることにした。

「またいらしてください」

「お待ちしております」

 二人に凪が「さようならー」と手を振って、俺たちは《マグナマキナ(じょう)》からも出た。


 城下町(じょうかまち)にて。

 俺はぽつりとつぶやく。

「でも、現実の時間とリンクしてるのに、ゲーム内の時間だけが(もど)ったら、どう整合性(せいごうせい)を取るんだろう」

「《機運(きうん)のからくり時計(どけい)》の話かい?」

「ああ」

 やれやれと凪は(かた)をすくめて、

「ゲームなんだからどうとでもなるよ。おそらく、(もど)りたい時間にいた場所まで移動し、使ったアイテムやゴールドを使わなかったことにするとか、ぼくらパーティーにとってのリセットでしかないって」

「そんなところが妥当(だとう)ですよね。(ほか)のプレイヤーさんもいますし」

 鈴ちゃんも(むずか)しい顔でうなずく。

「説明文にも書いてあるぜ。ほら」

 確かに、凪が見せてくれた説明文にも『振り出しに(もど)す時計。好きな時間まで(もど)せる。3回まで使用可能。効果は使用者のパーティーメンバー全員に適用(てきよう)される。また、使用者のパーティーとの(かか)わりを持ったすべての(もの)(もの)から、()(じつ)(かん)(けい)をなかったことにする』と書かれている。

 俺は(なつ)(とく)する。

「なるほど。メカニズムとして、時間そのものは(もど)せないけど、(かか)わった人たちにとっては、俺たちが《機運(きうん)のからくり時計(どけい)》でさかのぼった時間の(ぶん)()()(ごと)がなかったことになるんだね」

 凪が()(そく)(くわ)えた。

(かか)わりを持ったすべての(もの)(もの)、という表現から、やはりモンスターやボスにも効果はあると考えられる。ついでに、(もの)(ぶっ)(しつ)、すなわち(こわ)れた(ぶつ)(しつ)も元の(じよう)(たい)(もど)るってことだろうさ」

(こわ)れた(ぶつ)(しつ)といいますと?」

 鈴ちゃんに聞かれて、凪は(ひと)()(ゆび)を立てて()(たい)(れい)()げる。

「たとえば、ぼくらがバトルやらなにかの(ひよう)()でお(しろ)(かべ)()(かい)したとするだろ? しかし、《機運(きうん)のからくり時計(どけい)》で時間を(もど)せば、(かか)わった(もの)であるお(しろ)(かべ)も元の()(かい)される前の(じょう)(たい)(もど)るって(すん)(ぽう)さ」

「そういうことですか!」

 ポンと鈴ちゃんが手を打った。

「いろんな使い道が考えられるアイテムよね。でも、とにかく。まずは《機運(きうん)のからくり時計(どけい)》を使わないでクリアできるように、普通(ふつう)にゲームを楽しもう?」

 逸美ちゃんに(やさ)しい笑顔でそう言われて、俺は笑顔を返す。

「そうだね」

「さあ、そうと決まったら酒場(さかば)情報収集じょうほうしゅうしゅうして、またアナンさんのところへ占いに行こうぜ。次の行き先を教えてもらうんだ」

 凪が声をかけ、俺たちはまず、酒場(さかば)に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ