Deprecated: The each() function is deprecated. This message will be suppressed on further calls in /home/zhenxiangba/zhenxiangba.com/public_html/phproxy-improved-master/index.php on line 456
【一二三書房一次通過作品】異世界召喚の代打に、神様転生させてもらった僕が、自重せずにハーレムをつくりながらスローライフを目指す話 - 第九話 反法王国同盟。
[go: Go Back, main page]

表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/814

第九話 反法王国同盟。

遅くなりました。


 夜の帰らずの森。


「ふえ?」


 気が付くと僕は帰らずの森に居た。

 なぜ、ここに居るのか分からない。

 記憶が飛んでいた。

 最後の記憶は……。

 最後にクリスから受けた致命傷を、サキ姉さんに魔術で傷を治してもらった所で途切れてる。

 その後ご飯を食べて……。

 

 あれ?


 ……駄目だ覚えてない。


 空を見てみる。


 ……太陽はまだ昇っていないな……。


 という事は夜か……。


 月の位置を見る。

 まだ深夜では無い。

 

 この場所は……。


 うん。


【ナビ】を使うまでも無い。


 ククル村の近くだと分かる。

 目の前に作ったばかりの簡易の柵が有るからだ。

 

 僕は襲撃を受けた後、防壁の必要性を痛感した。


 後は物見櫓も。


 見張りを立てる物見櫓は兎も角。

 防壁は急務だった。

 

 それまでのククル村の住人の認識では城壁は不要のものだった


 それまでは帰らずの森の存在自体がその役割を果たしていたからだ。

 この森の冒険者ギルドの公式難易度はSランク。

 Dランクから始まりC、B、A、S、EXの順となる。


 踏破の難易度は上から二番目。


 ダンジョンで言えば超高難度に相当する。

 此れは超一流と言われた冒険者が挑んでも全滅を覚悟しなければならない。

 この森はそんな高レベルだ。

 それを後で聞いた。


 ……なんでそんな所に村があるんだよ。


 うん。


 そう言いたい。

 というか、そんな所で僕一人でサバイバルしたんだ……。

 泣いてもいいですか?(泣く)

 話しが逸れた。

 

 防壁は魔術で作れば比較的短期間でも作れる。


 とはいえ村人全員を総動員して一ヶ月掛かる計算。

 それだけ村全体を覆うには広大という事である。

 これだけ広いと魔術封じを掛けるのには時間が掛かるって事。

 しかし強力な術者達が無理をすれば一週間程度で出来る。


 だがそれは論外。


 強者が魔力枯渇した状態で村が襲われたら意味が無い。

 特にここでは、魔物と日常的に遭遇する。

 もっとも大抵は各家庭のおかずになるが……。

 

 そこで僕が急造案を考えました。


 まず等間隔に木の杭を突き刺す。

 それに棘を付けた針金を張り巡らしました。

 針金には魔術を封じる鉛を鍍金にして使用。

 それを村の周りに二周。

 因みに村の出入り口には仕掛けていません。

 後はゆっくり防壁を作るだけです。


 ……話しが逸れました。


 ジヨブを確認する。


 僕のジョブは思った通り暗殺者のまま。

 【猫目】を使い辺りを再度見回す。

 

 ……見慣れた地形だな。


 この景色は村から南だろうかな?

 辺りを見回して歩こう。


 ……と考えた時の事だ。


 ズルリと、足元を何かに捕られ滑る。

 

「いたたっ……なんだこれ?」

 

 尻餅を付き手にした物を眼前に掲げた。

 僕の使用してるサバイバルナイフだ。


 ……但し血まみれの。


「ひっ!」


 視線が低くなったので自分の足元を見る羽目になった。

 

 そこは地獄が存在していた。

 

 コボルト、ゴブリン、オーク、レッサードラゴン、ハーピー。

 それら魔物の屍が積み重なり山となっていた。


 死屍累々。


 そんな言葉が浮かぶ。

 そしてそれを成し遂げたのは誰か?

 状況からみて僕だと分かる。

 

 何故か?


 刺し傷が僕のナイフと分かったからだ。


「此れを僕が?」


 ガチガチと震える。

 力なく座り込んで夜空を見たとき。




 ”絶望が存在した”




「「「「グオアアアアアアアアアッ!」」」」




 ドラゴン。

 

 それもエルダードラゴン。

 

 それが四体。


 魔物の頂点の一角。

 飽くなき闘争本能の持ち主。

 空翔る暴君。

 悪魔族を除けば最悪最強の生物。

 

 それが四体も居る。

 

 体色は赤色。

 

 ドラゴンは魔物の中では最強の一角と言われる種だ。

 強固な鱗に頑丈な四肢。

 その牙と爪は鎧や剣の素材になる程優れてる。

 それだけではない。


 最大の特徴はブレス。


 ドラゴン最強の攻撃手段。

 殆どの奴は此れで消滅する。

 そしてエルダードラゴン級ともなれば、一国の軍隊に匹敵すると言われる。

 それ程の強さを持ってるのだ。

 それがドラゴンと呼ばれる種族だ。

 

 ゲーム上の話だがドラゴンの話をしょう。


 その強さは三つの条件で変わる。



 最初に生きてきた時間。


 次に体色。


 最後に取り込んだ魔力。


 これで強さが劇的に変わる。



 ドラゴンパピー。

 これは上位ジョブ一人でも倒せる。

 

 レッサードラゴン。

 此処まではいい。

 熟練したパーティーなら倒せるから。

 

 問題は成体になったドラゴンだ。

 こいつはヤバイ。

 その強さはピンからキリ。

 此処までが普通の冒険者が倒せるレベル。

 あくまでもギリギリ。

 そうギリギリだ。


 五百年を生きるエルダー。


 千年以上を生きるエンシェント。


 ここまでくると常人では倒せない。

 当然、僕程度が敵うわけがない……。




 恐怖がこみ上げてくる。




 そんな奴が四匹。

 しかもエルダー。

 僕は何度もゲーム上で殺されてるので覚えてる。

  

 こいつらは普通の奴では殺せない。


 普通の奴では。 

 

 大事な事なので三回言いました。


「お肉ゲットッ!」

 

 シスター……涎を拭こうか。

 というか……うん。

 なんで二十メートル上空のドラゴンにジャンプして鍬を叩き込んでるの?


「グルル?」

「素材確保だがな」


 クリス……目を輝かせない。

 あなたもジャンプで届いてるのね。


「グガッ」

「魔石も欲しいの」


 サラ落ち着こうね。

 というかなんで木の枝を投げてドラゴンを叩き落してんの?


「ゴゴッ!」

「腐っ……ショタ用スクール水着の元なの【氷結】起動」


 サキ姉さん、その発言は怖いんだけど。


「ギャン! ギャンッ!」


 ドラゴンが悲鳴を上げた。


 ……ここに普通でない人外が居ます。


 シスター、クリス、サラ、サキが嬉々としてドラゴンを蹂躙する。

 

「グゴゴゴッ!」

「お肉~~♪」

「グガッガアガッ!!」


 シスターの声にドラゴンが驚く。

 エルダーであるはずのドラゴン達が戸惑い混乱し絶望する。

 エルダードラゴンがだ。


「ギガガアガアッ!」

「魔石。逃げるななの」


 中には悲鳴を上げ逃げ惑う個体も居る。


「ギャインギヤインッ!」


 あっ……尻尾を丸めてる。


「「「「ク~ン」」」」

「うん? 降参がな」


 四匹のドラゴンがお腹を見せて降伏をしてる。


 ……ドラゴンのプライドはどうした。


 うん。(遠い目)

 

 なんだろう。

 どちらが捕食者か分からん。

 

 ふっ……。(現実逃避中)


 普通の奴は逃げるよな。


 普通の奴は……。


 このメンバーは普通では無かった。(呆然)


 エルダードラゴン。

 普通で無ければ倒せたんだ。(更に現実逃避中)


 そう普通の奴でなければ……。(乾いた笑み)


 ふう。


 激しくデジャヴを感じるんだが。

 気のせいか?


 というか僕は襲撃者から村を守るために体を張ったのだが……。


 必要あっただろうか?


 見える範囲では子供や老人。

 それに主婦もゴブリンを楽しそうに退治してるんだが……。


 あの子は確か五歳位だったような……。


 老人は杖でコボルトを撲殺してる。


 中年の主婦は包丁でオークを三枚卸にしていた。


 怖いぞ。


「腐っ……起きた? カイル」

「サキ姉さん? これは一体……」


 サキ姉さん達が僕に気付いて歩いてくる。

 

 ……後ろでドラゴンを調教しているのなんか見えないもん。(現実逃避)


 ……見るものか。(願望)


 あっ……飛んで逃げた。


「カイルは初めて見るがな?謝肉祭」

「謝肉祭?」


 クリス。

 ……頼みますから顔の返り血を拭ってください。

 僕は魔術で水を出し洗顔させる。


「ええ。収穫祭が秋にあったでしょう、あれの魔物退治版よっ!」


 うん。

 

 シスター。鍬を投げてオークを撲殺するのはやめて。

 ブーメランの様にこっちに来てるんだけど……。


 おおっとっ!


 鍬に当たる所だった。

 

 それに、それ意味が違うっ!

 突っ込みたいが抑えた。

 他に聞きたいことがあったからだ。


「なんでこんな事をしてるの?」

「まあ間引きね。腐っ」

「間引き?」

「腐む? 増えすぎると周辺に散らばり、村に害を成すから適度に狩ってるの」

「……あのさあ? 気のせいかもしれないけど子供も混ざってるんだけど……」

「腐ん? 本人が戦いたいと言ったからかな?」


 サキ姉さんの言葉に頭を抱える。

 頭痛がしてきた。


「まって……つい先日強襲された時は戦えない奴が村の中で避難してたんだよね?」


 頭に手を当てる僕。

 

「そうね」

「あの子も入ってたの?」

「まあなの。他は老人や主婦を合わせたら退避していたのは十人位なの」


 サラ……。

 答えてくれるのはいいですが木の枝が光ってるよ。


 ゴオンッ!


 高速で飛んできたハーピーを木の枝を投げ撃墜するサラ。


 槍はどうした……。


 木の枝がメインウェポンになってない?


 ふうっ……。


 ……もういいです。(現実逃避)


「な・ん・で・子供を戦わせてるのっ! 僕があの時、無理した意味が無いじゃない!」

「そこ」

「ふえ?」

「あの子ね。自分より幼いカイルが村を守るために死に掛けたのを気にしてね……」


 シスターが憂いを帯びた顔をする。


 ですが良いですが?。


 足でゴブリン達の息の根を止めるのは辞めてもらえませんか。

 凄く怖いですから。

 どこの殺人鬼ですか。

 返り血が怖いんですけど……。


「ひょっとして他の人達も?」

「ええ……とりあえず基礎から教えたかったけど時間が無いし……」

「時間?」

「恐らく法王国の奴らが又攻めて来るだろう? 今度は……」

「……」

「今度は全員が一丸となって抵抗できるようにしないと」

「それはそうと攻めてきた法王国の捕虜は?」

「腐腐っ、あそこ」

「だがな」

「あそこなの」

「あそこね」


 四人が指指す方を見る。


 丁度ククル村の住人達の真ん中で座ってる?

 武装こそしてないが腰を抜かしてへたり込んでいた。


「死にたくねええええええっ!」

「何なんだよこいつ等っ! この村の住人は化け物しか居ないのかっ!」

「教皇様恨むぜっ! いやああああああっ!」


 なぜだろう。


 凄く哀れに見えた。


 他の者は気絶したり震えて泡を吹いていた。

 中には僕をいたぶった連中もいた。

 敵なのに激しく同情する。


 うん。


「流石よ腐っ……我々を油断させようとしてるんだから」


 ……本気で言ってるよサキ姉さん。


 いや、サキ姉さんはククル村の住人の中では抜群に頭が良い。

 分かってるんだろう実は。


 うん。


 だから正確に敵の実力が分かるんだろう。


 ……多分。


 そうであってくれ……。(願望)


「あの~~法王国ではあの人達はどれ位の強さなんですか?」

「腐っ……本人達の話ではトップクラスだと……嘘ね」

「嘘?」

「ええ、油断を誘う為に嘘を言ってるのよ」

「えっと――……何を根拠に?」

「あそこに居る子供と戦わせたらあっさり負けたの」

「……」


 え~~。

 ククル村の住人はこれだから……。

 

 過大評価だったのか?


 でも……あの弓兵の女の子は、コイツ等は精鋭とか言ってなかったか?

 いや……実際、Sランク級の帰らず森を通って来てたしな……。

 う~~ん。


「他にも戦ったことが無い、老人とかとも勝負させたんだけど負けたの」


 あれ?


 では……僕の覚悟は一体……。

 きっ……気にしないでおこう。(冷や汗)


「何か言ってなかった?」

「そういえば……悪夢だっ! 俺は本国でも五本の指に入るんだぞっ! と……言ってたね」


 僕は目を逸らす。


 やっぱりそうか……。


 どんだけ化け物じみてんだ此処の住人は……。


 特に孤児院のメンバー。


 しかもたちの悪い勘違いしてるし。

 でも……万が一という事もあるし……。

 分からん。


「そう言えば聖騎士のおばさんは」

「腐っ? 監禁してるがな。大事な人質だし」

「ふうん……妥当だね。他に奴らが引き連れてきた違法奴隷達は?」

「隷属の首輪は外したが、怯えて村の倉庫で生活してるよ」

「腐っ……まああんな目にあったんだ仕方ないわ」


 ……いや多分、原因はククル村の住人だと思う。


 突っ込みてえええええっ!


「とは言え厳しいね。現状は」

「そう? 何回か襲撃を受けてもこの村はびくともしないと思うけど……本隊が来ない限り。腐っ」


 僕の言葉に首を傾げるサキ姉さん。


「まあね。何度やってもこの村が楽に勝つだろうね……だからこそ不味いけど」

「腐っ?」


楽に勝てる。それこそが不味いんだ.

ギリギリ勝てるなら仕方なく違法奴隷を処分できる.


 この村で一番のネックは食糧だからね。


僕が法王国の指揮官なら、違法奴隷達を死兵として送り込み、此方に捉えさせ、食い扶持を増やさせる。

この村は自給自足できるといっても限度がある。いずれ持たずに潰れる。

そうなると帰らず森の魔物を食糧にするしかない。


 だけどそうなるとマズイ。


 ククル村にとって魔物は天然の防壁も兼ねてる。

 それを失うのはねえ……。

 後は野菜の問題もある。

 とは言え今のうちに何とかしないと不味いね。


 しかしもうそれぐらいの事は、向こうも考えてるだろうし……。

 いかん。思考が殺伐となってる。

 暗殺者のジョブのレベルが高い所為かな?

 ふと自分のレベルを見た。


 唖然とした。


 暗殺者レベル十五。


 あれ?


 なんでこんなに増えてるの?

 しかもそれに比例して気功師、盗賊、薬師、幻術師のレベルが上がってんだが……。

 思考がこのレベルの上がった暗殺者ジョブに引きずられてるからなのか?

 思考がここまで殺伐としてるのは。


「どうしたの?」

「いえ、持ってるジョブのレベルが異常に上がってるんですが……」

「ああそれ? カイルが寝てる時に四人で貴方をパワーレベリングしたから」

「はい?」


 シスターの言葉に唖然とする僕。


 えっと……確かあれだよね。


 ゲームでは低レベルのキャラを短期間で強くする方法。

 高レベルのキャラで経験値の多い敵を倒し、その恩恵を仲間の低レベルキャラに与える。


 あれか?


 あっ! でも眼が覚めたときは周りに誰も居なかったけど……。


 ああ……そうか僧侶のジョブの第五級魔術【護身】か……。


 掛けられた対象者が一定時間、悪意を持つ者を自動撃退するあれか……。

 ……ひょっとしてあの魔物の山はそれ?


 ええええええええっ!


 てっきり精神に変調を起し虐殺したのかと……。

 怖がって損した。


「そ……そう有難う」

「どういたしまして」

「気にしないでいいの」

「気にするながな」

「ショタを助けるのは私の趣味…腐」

「あ……うん」

 

 どうしょう……。


 文句が言えない。

 よかれと思われてんだよな。

 四人とも実際ドヤ顔だし。


 まあいい。


「それはそうと帝都と王都に救援要請は無理かな?」

「実は既に出したんだけど動かないみたい……」


 シスターは頬に手を当てる。


「でしょうね。向こうの内部には法王国の協力者もいるし」

「腐っ? どおいう事」


 僕は四人に法王国の精鋭達に聞いた事を話す。


「腐む……そうなると難しいわね」

「握りつぶされてるわね」

「トップに直接話せばどうかしら?」

「無理ね。あいつらはそこまでお人よしではないわ……何らかのメリットを出さないと……腐」


 利益ね~~。

 ならあれがあるか。


「手段を選ばなければ一つあるよ。皆さん手伝ってっ!」

「いいけど何するの?」

「腐む」

「ううんがな」

「ふうなの」


 僕は四人に頼む。


「内緒です」


 知ったら怒るだろうし。

 こうして僕たちは動き出した。



 ◇



 数日後の早朝。

 ククル村の広場。




「法王国を名乗る盗賊団の皆さーん! お元気ですかっ!」


 僕は徹夜続きのハイテンションでその場に居る者達に話しかける。

 あっ……仮面は被ってます。

 恨みは買いたくないですし。


「ほほっ。君、もう少し言い方というものが……」


 僕の横に居るククル村の村長が渋い顔をする。

 

 広場の中央には鎖で縛られた法王国の兵士達。

 彼らには心に思ったことを素直に話す薬を投与してる。


「人間の屑には、此れぐらいがちょうどいいかと思います」


 法王国の兵士の周りは元違法奴隷とククル村の住人が囲んでいる。

 僕の後ろには孤児院のメンバーが居る。

 その前には遠距離通信機が置いてある。


 その数八個。


 以前作った物だ。

 中には通信だけではなく音声を記録する蓄音機も備えていた。

 初めて見る人は、メガホンと金属性の小さな箱を繋げた物にしか見えないだろう。

 此れ、実は使用するには魔石を結構使うんだよね……。

 対になる物は既に八箇所運んでます。

 作ってくれたサラ姉さんに感謝です。


「ふざけんなっ!」

「我々は法王国の正規兵だっ!」

「誘拐した人を勝手に奴隷にしたんだし違法奴隷ですよね。しかもククル村に攻め込んできたんです。盗賊でなくて何なんですか?」


 挑発する様にため息しながら僕は首を振る。



「亜人など我ら法王国の住人にとって虫けらも同然だ。奴隷にして何処が悪い」


 その言葉に元違法奴隷とククル村の住人が殺気立つ。


「その言葉は法王国の総意と受け取っても?」

「多かれ少なかれ皆そう思ってる」

「ククル村を襲ったのもそんな理由で?」

「違うな。我々は村を襲いそれで外貨を稼いでいた」

「王都や帝都に保護されている村々も?」

「そうだっ! だからどうしたっ!」


 僕の言葉に馬鹿にしたように喋る法王国の兵士。 

 馬鹿だなこいつら…。


「ふざけるなっ! 妻と娘を返せっ!」

「夫を返してっ!」

「パパ! ママっ!」

「子供達を! 孫を返せっ!」


 その言葉を切っ掛けに元違法奴隷達とククル村の住人から罵声が飛び交う。

 今にも取っ組み合いが始まりそうだ。


 だけどそうはならないだろう。


 まあ法王国の兵士の場合は、国が後ろ盾となってるから強気になってるだけだし。

 元違法奴隷もそこまで分かってるから手を出せないのだろう。

 まあシスター達が睨みを効かせてるってのもあるが。


「はい静粛に」


 僕が言っても場は静かにならない。

 なのでシスターにサラやサキ、クリスに威圧してもらう。

 


「そこの馬鹿兵士達、いい加減に静かにしろ」


 子供に馬鹿にされたのが頭にきたのか赤面する法王国の兵士。


「このクソガキ~~」

「しかし貴方達も派手にやってますね。王都と帝都が怖くないんですか?」

「はんっ! あんな腰抜け連中が治めてる国など怖くもなんとも無いね」


 その言葉に僕は背後の通信機八台に振り返る。

 既にサキ姉さんは僕達が話し始めたタイミングで電源を入れてくれていた。

 サラ、シスター、クリスは何時でも暴徒と成ったら取り押さえられるように準備してくれてる。


「だそうですよ。王都の魔王様、帝都の七人の統治者の方々」

『『『『『『『『……』』』』』』』』


 声を出してないが怒りに震えてるような雰囲気を感じた。


「なに言ってんだ! クソガキ」

「さっさと離せっ!」

「そうよ、そうよ」


 法王国の兵士達は拘束されてもその横暴さを改めない。


『すまないが先程の話は本当なのかね』

「さて僕は何とも……法王国の兵士さん」

「ああん? なに言ってんだあっ! 嘘でも真でも手前らは手が出せないだろうがっ!」

「そうよ、そうよ」


 うん。


 アホだこいつら。


 王都と帝都に喧嘩売りやがった。

 そうなるように仕向けたんだけど……。

 まさかこうも上手くいくとは……。

 まあ、法王国のトップが他の国を侮ってるとは言わない。

 だが、その側近と末端がこの考えでは駄目だろう。


『カイルと言ったな。要請に従い私は魔王として法王国に宣戦布告する』

『我々帝都もだ。アガス家の名の元に誓って異議なし』

『グルス家も異議なし』

『ガルン家も異議なし』

『ギギ家も異議なし』

『ダラエ家も異議なし』

『ダリル家も異議なし』

『ハイダ家も異議なし』


『『『『『『『『ここで反法王国同盟を結ぶ事を我等は誓う』』』』』』』』

「有難うございます」

 

 この場にいる大半は、今この瞬間、なにが起こったか分からなかった。


 予め聞いていた孤児院のメンバー以外の者はその異常な状況に息を呑む。


 そして理解させられた。


 そうして僕は右手を手に当てうやうやしく頭を下げる。


「さて数日もすれば法王国は壊滅的な打撃を受けます」

「だからどうしたんだよ……」

「そ……そうよ」


 なにか致命的な間違いをしたと感じたんだろう。


 元気が無い。


 法王国の兵士達よ……もう遅い。


「分かりませんか? もう貴方達は用無しですので全員鉱山奴隷行きです」


 僕はククル村の者と元違法奴隷達に頼み法王国の兵士を連れて行ってもらう。


「なっ! 貴様らなんの権利があってっ!」

「いやあああああっ!」

「やめろおおおおっ!」



 数十分後。



 広場には僕と孤児院のメンバーそれに村長だけが残っていた。


「ほほっカイル君。村を救ってくれて有難う」

「いえ当然の事をしたまでです。それより村長に断りも無くこんな事してすみません」

「いやいいよ、結果的にこの村が助かったんだし」


 六十代半ば、白髪の村長は微笑を浮かべた。


「腐っ……男前よカイル」

「そうなの。駄目駄目シスターより頼りになったの」

「サラちゃん酷いっ!」

「凄いがな」

「やだな~~」

 

 四人が僕を笑顔で褒め称える。


『浮かれてる所を悪いんだが……』

「ふえ?」

「腐っ」

「なんなの?」

「あら?」

「何がかな?」

「ほほっ?」

 

 遠方の魔王の言葉にその場に居る全員が聞き返す。


『これで手土産の対価に約束した義理は果たした。さて我らに対しての報酬ををいただこうか?』

『魔王に同じく』

『右に同じく』

『右に同じく』

『右に同じく』

『右に同じく』

『右に同じく』

『右に同じく』


 魔王達の言葉に硬直する皆。


「「「「手土産って直接お会いしたの?」」」」

「「……」」

 

 僕とサキ姉さん以外の全員の目が点になる。

 僕とサキ姉さんは目を逸らす。

 サキ姉さんには【転移】で送ってもらったからな~~。


「カイル? 説明してくれないかな?」

「いやあ……誰が法王国の息の掛かった奴か分からなかったから……」

「手短に」

「トップの奥さん、もしくは旦那さんに《夜のお楽しみセット》を手土産に直談判しました」


 扇情的な下着。

 精力増強剤。

 媚薬。

 SMセット。

 

 以上の四点セットです。

 直ぐに硬直の解けた三人が此方をみる。


「「「な・に・を・考えてるの」」」」

 

 サキ姉さんを除く三人が鬼のように僕を睨み付ける。

 

 特にクリスの顔が怖くて自然に土下座の体勢になりました。


 村長に助けてもらおう。

 あれ……村長居ない?

 村長逃げたああああっ!


 どちくしょう。


『すみません。誤解を与える言い方をしましたね。姉上』

「姉上?」

「エリスちゃん言ったらだめええええっ!」


 魔王様の発言に絶叫するシスター。


『すみません皆さん。そこに居るリリスは私の姉で先代の魔王なんです』

「うううっ……エリス言ったら駄目と言ったのに……」

『却下です。姉上』

「今はあなたが?」


 魔王の発言に僕は疑問で返す。


『はい……十年前に法王国と和平条約を結ぶ前まではですが……』

『やつらは条約を結びに来た、わずかな手勢を率いた先代どのを亡き者にしようとしたのだ』

『我らはその事を聞きつけ救助に駆けつけたんだが遅かった』

『あの時ほど不甲斐ない我が身をどれ程呪ったこと事か……』


 魔王、アガス、グルス、ガルンの順で話してくれた。


「本当なの。そして私は先代四天王の生き残りなの」

「そうですか……」


 それをサラが肩を竦めながら補足してくれる。


『それで先代は教皇の性根を見抜けなかった事を悔い、地位を今代に譲られたのだ』

『当時の我らに力があれば……否、今は違う。カイル殿のお陰でその機会を得られた。礼を言おう』

『約束通り、通信用マジックアイテムと量産型魔術剣の設計図の暗号の解き方を教えてくだされ』


 ギギ、ダラエ、ダリルの順で此方に話す。


「良いですけど……あの暗号は簡単にしてたんですけど分からなかったんですか?」

『うむ。文官に武官、名の有る学者を騒動員したが遂に分からなかった』


 僕の言葉に魔王は誇らしげに答えてくれる。

 誇らしげに言うべきとこかな~~そこ。

 それと脳筋なのは一族全てなのかなあ?


「カイル暗号てっ?」

「この間遊びで教えたタヌキの暗号です」

「狸の絵が描いてあるあれ? 文章からタの字を抜けば良いという?」

「そうです」


 シスターの言葉に頷く僕。

 この世界では狸は普通にいる。

 食用として食べられるが、かなり臭いので食べにくい。


『『『『『『『『おお、そうかっ!』』』』』』』』

 

 一斉に家臣を呼びつけ暗号の解読に励む。


 ……駄目だこの人達。


 王都と帝都には脳筋しか居らんのか。

 何時か王都と帝都滅びるぞ。



 ◇



 暫くして。

 

『ふむ、大変に良い品を貰った……時にカイル君』

「はあ」

『君はまだ四歳と聞いたが婚約者は居るかね』

「まあ」

『ふふっそうか……なら私の姉を側室にしないかね』


 機嫌の良い魔王の話に適当に話を合わせる僕。


「ちょっとっ!」

『いいではないですか。現役の時もだけど、どうせ今も喪女なんでしょ』

「カイルは私が元王族とか、魔王とか知らないのよっ!」

「知らないと思ってるのは姉上だけですよ、というか先程言ってたし」

「そうだったっ!」

『馬鹿ですね脳筋姉上』

「妹がいじめるううううううっ!」


 シスター、妹である魔王に弄られる。


『どうだね。年増だが良い女だぞ』

「誰が年増ですかっ!」

『姉上』

「だあああっ! あなたも独身でしょうっ!」

『既に昨年結婚しました』

「いつのまにっ!」

『いい加減に姉上も結婚してください。父上も母上も心配してましたよ?』

「大丈夫です。将来の僕のお嫁さんの一人です」

「カイルッ!」


 魔王更にシスターを弄る。

 シスターは恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にする。

 僕はシスターを放置して話す。


『おや? ハーレムか。流石は姉上が選んだ男です』

「カイルはまだ子供っ!」

「そうですか。姉上は稚児趣味ですか」

「妹がいじわるうううううっ!」


 魔王は姉であるシスターに止めを刺す。

 あっ……シスター逃げた。

 シスター涙ぐらい拭いて下さい。


『おや。魔王殿ずるいですな……なら私の娘のサキもどうですかな』

「いただきます」

「ちょおおおおおがなっ!」


 帝都のアガスの提案に即答する僕。

 サキ姉さんではなくクリスが突っ込む。


『留学生として出しました、が少しやっかいな性癖を持ってるので嫌かもしれませんが……即決っ!』

「お嫁さんなら大歓迎です」

『ま……まあ貰ってくれるなら此方としても嬉しいのですが……』

「腐腐……もう既に嫁の一人になってるの」

『そ……そうかサキ良かったな』


 アガスの当主は僕の即答に驚く。

 なんか疲れてません?

 サキ姉さんなんで誇らしげなんですか?


『二人共ずるいですな……では私も』

「いただきます」

「だああああがなあああああっ!」


 即答する僕に絶叫するクリス。


『第一王女なのだが、一族では異端でね。 魔力を使えず他の兄弟に疎まれてたんだよ』

「人の話を聞くがなあああっ!」

『だから幼少時に留学してきて、剣と気を使うことを勧めてくれたサキ殿を慕っててねえ』


 あっ……人の話を聞いてないわ。

 クリスの親父さん。

 と……僕は思った。

 しかも長い。


『だから貰ってくれると嬉しいんだが』

「喜んで」

『そうか有難ううううううううううっ! 幸せにしてやってくれっ!』

「泣くながな親父っ!」

『おおおおおおおおん』


 お父さんは泣き出した……。

 うん。

 いい人だな。


『待つの~~キキとキルもお嫁さんになるのっ!』

『そうそう』

「はい? なんで君らそちらにいるの?」

『ごめんなの~~あの人が代官でお父さんが本物のグルス家の当主なの。まあ王様は別だけど』

『なのなの』

『お嬢様っ!勝手な事をされたら困りますっ! 裕福な商人に降嫁して資金援助してもらう予定なのにっ!』

『あ~~そのなんだ。二人の好きにさせてやれ』

『何言ってるのですかっ!』

『向こうに借金があるんだよ』

『我が領内は火の車なのです! 遠征する費用ですら工面できるかどうかっ!』

「え~~と。最悪でも名前を貸してもらえれば」

『なんですか子供が偉そうにっ! 今回の遠征は勝手に決定されたことなんですよっ!』

 

 物凄くブツブツ言われる。

 うわ~~上がチャランポランだと大変だな。


『まあまて。実は向こうは……』 

『なんですっ……ふん? え……あのククル村を発展させたククル商会の会長?』


 あ……冗談で商会を作ると言ったら馴染みの商人さんが真に受けたっけ……。

 それで会長になったな。


『失礼しました。是非とも御二人をお嫁にして下さい』


 変わり身はやっ!


『それでつきましては……』

「資金援助と領の特産品になる物を考えましょう」

『おおっ!』


 僕の返事に気を良くする。


『『『『ものは相談だが我々も』』』』


 残り五人もなんやかんやで娘の婿になってくれと言われました。

 中には生まれたばかりの孫もと言われたりした。

 流石に早いと思い婚約だけにしました。

 取りあえず縁が欲しいみたいだし。


 政略結婚ですね。


 嫁が増えるから良いけど……。

 しかしサキやクリス、シスターが王族もしくは元魔王とは…。

 案外近い程、分からないものです。

 うん?


「カ~~イ~~ル~~」


 ぞおっ! と寒気がした。

 僕はいやな予感がして振り返る。

 

 そこには鬼が居た。


「ひっ! サラとサキ姉さん助けて……居ないっ!」


 忽然と姿を消すサラとサキ姉さん

 逃げたっ!


「なに考えてんだっ! 沢山嫁を貰ってっ!」

「いやっ! だってっ! くれると言うし……」

「問答無用っ! 自重しろおおおおおおおおっ!」

「いだだだだだっっ! でも我が人生、一片の悔い無しっ!」

「だったら人生終らせたるがなっ!」

「やだああっ! いだだだっだだだだっ!」」


 憤怒の顔を浮かべたクリスに側頭部を拳でグリグリされました。

 一時間ほど。

 死ぬかと思いました。


 えっ? 


 法王国ですか?


 ククル村を加えた同盟軍にズダボロにされましたが。

 特に四頭のエルダードラゴンに乗った奴らに徹底的にやられたとか。

 仮面を被ったククル村の七人の集団にだそうですよ。

 

 わ~怖いな。(棒読み)


 




評価とポイントをお願いします。

前回思ったより総合が少なかったです。

感想とポイントをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >ククル村を加えた同盟軍にズダボロにされましたが。特に四頭のエルダードラゴンに乗った奴らに徹底的にやられたとか。仮面を被ったククル村の七人の集団にだそうですよ。 [一言] 帝都編のかな…
[気になる点] >『カイルと言ったな。要請に従い私は魔王として法王国に宣戦布告する』 『我々帝都もだ。アガス家の名の元に誓って異議なし』 『グルス家も異議なし』 『ガルン家も異議なし』 『ギギ家も異議…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ