第二十三話 五日目。 帝都前。
間違えて完結にしました。
すみません。
帝都。
七人の強者が統治する帝都。
剣王。
拳王。
術王。
槍王。
天王。
射王。
守王。
王都の魔王にあやかり自らを王と名乗る七人の強者。
総合でレベル八十以上の人外の王が統治する国。
それが帝都だ。
此処はその中で剣王が治める地グルス。
カラルさんが婿入りした国である。
キキ達から送られた手紙は此処から送られた。
国土の大きさは東京都が四つ程入る広さがある。
うん?
何で国土の広さを東京都で例えたかって?
【世界の英知】に描いてあった帝都の地図の比較対象が東京都だったからです。
あの駄目神なにを考えてるのかな……。
「ふう……」
溜息が出る。
人口は三十万。
ククル村近郊の国としては最大だ。
だが実は帝都は昨今、帝政ではなく共和制に近い政治形態をとっている。
具体的には、平時では連合国家のような治世を行っているのが前提。
それが非常時に入ると、上記の七人の王、もしくはその代理人が独立国として、各自政策を決定しているのだ。
首都は存在せず国同士の政策を議論する場は各国の制で提供する事になっている。
国同士の優劣を無くす措置である。
かなり不完全で不安定な国家体制と言える。
これは一つの国として纏まったのが百年前と歴史が浅い所為だ。
元々この地域は群雄割拠で戦乱が絶えなかった。
大小様々な国が建国されては暫くするとすぐに滅亡する。
というサイクルが長く続き、結果七つの国が残った。
七つの国が纏まった切っ掛けは法王国の存在だ。
それが百年前の事だ。
当時何が原因か分からないが悪魔族がこの場所に顕現し始めた。
そして虐殺は突然始まった。
悪魔族の力は圧倒的だった。
当時この地には高レベルのジョブの所有者が居るにも関わらずだ。
それも当然だ。
悪魔族には通常の手段では傷を付ける事が出来ない。
高い魔術無効化能力と、鋼をも弾く硬い外皮を持っていたからだ。
しかも中位レベルの魔術まで使いこなすのだから、たちが悪い。
此れに対抗するためには法王国が製法を秘匿していた、魔術金属による物理攻撃がもっとも有効だった。
だが当時それ程数が揃わなかった為戦いは悲惨を極めた。
事態を重く見た法王国は帝都もろとも悪魔族を殲滅するための化け物を召喚した。
その化け物は敵味関係なく命を蹂躙した。
人も亜人も悪魔族も平等に。
化け物はありとあらゆる攻撃を退け虐殺を繰り返した。
その結果悪魔族自体は撃退できた。
だが化け物は残った。
化け物は暴走し、当時この地域に住んでいた住人は、その数を五分の一にまで減らす事となった。
天は裂け、大地は砕け、屍の山を作り上げた。
そして人々がその制御出来ない化け物に心底絶望した頃に魔王と四天王が現れた。
シスターとサラ達四天王だ。
化け物と魔王達は激突した。
戦いは七日七晩続いた。
その戦いは膠着状態になっても決着は付かなかった。
化け物の膨大な魔力による被害を最小限に食い止めようと魔王達が戦っていたからだ。
長い膠着状態が続いた。
だがある事態から戦は大きく動いた。
四天王の一人が化け物の膨大な魔力をダンジョンが大きく減退させる事を発見したからだ。
それを利用する事を思いつかなければ魔王達は全滅していただろう。
ダンジョンの内部もしくは周辺では魔力はダンジョンコアに吸収される。
それだけでなくダンジョンの壁には鉛が多く含まれてる。
なのでその二つの要素が魔力を大きく減退させていたのだ。
それがダンジョンと呼ばれる物の正体だ。
その性質を利用した策は成功し、化け物を封印することに成功した。
そうして封印された化け物を監視する為に、魔王と四天王はその地に住まうようになった。
その配慮と優しさに深く感謝した人々は、彼女達を慕いその場所に移住したのだった。
此れが『ククル村の始まり』である。
まあ四天王はサラを残して四年前に全滅したが。
そして残された帝都の民達は争いを止める事になった。
万が一、ククル村に危機が訪れた時、シスター達に恩を返す為に身軽な独立国として事に当たる事になったからだ。
その国の名が帝都だ。
此れが帝都の歴史の始まりである。
「とまあ、こんな感じがな」
「ふ~~んがな」
僕はクリスに帝都の成り立ちを説明をしていた。
魔術師のジョブをレベル十三にした僕。
クリスと共に帝都のグルス家の領地近くに【転移】していた。
【マーカー】は帝都から許可を貰った場所に設置してます。
そこに向けて僕は【転移】しました。
「というか、良くそんな帝都の建国の成り立ちを知ってるなカイル? 俺は知らんかったがな」
「……知ってて下さい。クリスの故郷でしょう……サキ姉さんに教えてもらいました」
少し小休憩とばかりに僕達は遠くの温泉から湧き出す湯気を見ながら雑談をしていた。
辺りの川からも湯気が出てる。
その川を覗き込むと魚などの生物がいない事が分かる。
「ここら辺の川は適度な温度だから風呂としても入れるぞ」
「昔ここで入浴していたんですか?」
「おおがな。昔な。剣鬼のジョブを習得した後で修行の後にな」
「……」
無防備すぎるだろうクリス。
頭が痛くなった。
「そう言えば長旅で入浴してないから今から入るか?」
「止めときましょう。後で皆と一緒に入りましょう」
今にも服を脱ぎそうなクリスを止める僕。
現在此処には僕とクリスしかいません。
それは何故か?
理由は二つ。
一つ目。奴等の残党から村を守る為。
二つ目。村人からゴロツキ達を守る為。
一つ目の理由は一応の可能性だ。
二つ目の理由は村人のゴロツキ達への報復を考えての事。
一つ目は兎も角、二つ目は心情的には理解出来る。
だがそれでは困る。
第一ゴロツキ達は生き証人だし。
というかゴロツキ達は帝都の牢獄に入れられてた筈。
暫くは出てこれないはずだったんだが……。
う~ん。
どうやって出てきたのやら。
……全て終ったら鉱山奴隷にして村の財政の足しにしよう。
以上の事を村人達に説明しながら、ゴロツキ達の股間のモノを全員踏み潰していたのだが……。
何故か村人達は顔を青くしていた。
なんで?
まあいいが。
それはそうと……。
「ねえ。クリス?」
「なんだがな? カイル」
「何で僕について来たの?」
僕の言葉にクリスは顔を引きつらせる。
「何でって……お前は一人でここに何しに来たんだがな?」
「キキとキルに会いに来た」
「方法は?」
「ふえ?」
僕はその言葉に顔を背ける。
「ほ・う・ほ・う・は?」
青筋を立てるクリス。
「気合と根性?」
目を逸らしながら冷や汗を出しつつ答える僕。
「何で目を逸らすがな?」
「気のせい」
「侵入する気だな」
「……」
「沈黙は肯定と受け取るがな」
僕は静かに土下座をした。
それからクリスの御説教が始まったのは言うまでもない。
◇
三十分後。
「う~足が痺れた」
僕は痺れる足でプルプルしながらも立ち上がった。
「はあ~~がな」
そんな僕を見て溜息を付くクリス。
「どうしたの?」
「いや千年に一度の天才がこんな問題児とは頭が痛いがな……」
「天才? 誰が?」
「カイルががな」
「なに言ってるの? 僕なんか皆に比べたら馬鹿だし弱いじゃない?」
「……本気で言ってるがな?」
「もちろん魔術や知識面ではサキ姉さんに敵わないし戦闘能力なんか村で下から数えた方が早いし」
「本気で言ってるがな?」
「そうだよ。大体なんで【ククル村の神童】なんて呼ばれてるのか分からないし」
そんな僕の言葉に溜息を付くクリス。
はて?
「まあいい。いくぞ」
「うん」
クリスは足が痺れて動きが悪い僕に手を差し伸べる。
「えへ」
こんなやさしい所があるからクリスは好き。
クリスに微笑む僕。
「カイルは本当に変わってるな」
僕の笑顔を見て苦虫を噛んだ様な顔をするクリス。
「なんで?」
「普通は俺に此処まで躾とは言え折檻されたら嫌いになるだろうがな?」
「ふえ? ならないよ」
「何でまたがな……」
「だってクリス僕の為を思って嫌われるのを覚悟して僕を躾してるんでしょう? だから」
クリスの疑問に答える僕。
クリスは僕の言葉を聴くと顔を真っ赤にする。
「ふんっ! いくがな」
「うん。それにね」
「なんだがな」
「他の皆がクリスの代わりで躾をしたら僕は死んでると思うし」
「……」
クリスは顔を背ける。
うん。
クリス。貴方もそう思うのね。
実際に本気で死ぬと思うし。
かなり大雑把だしね皆。
特にシスター。
あの人の折檻を受けたら間違いなく死ぬな僕。
「だからね感謝してるんだよ」
「だったら少しは自重しろがなっ!」
「だが断るっ!」
「なんでがなああああああああっ!」
再び説教が始まったのは言うまでもない。
ふう。
評価をお願いします。