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冷たい仮面を被り、悪役令嬢と呼ばれた私が国王陛下になぜか気に入られました - 6 ユリウス・ヴェルネール
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6 ユリウス・ヴェルネール

 貴族街にある、人気の小さな喫茶店。婚約破棄から数日後リサと会う約束をしていた。


「ユリウス様!」

「やあ、リサもう着いていたのか?」

「はい。ユリウス様に早く会いたかったから」

「可愛いことを言うね。そういう素直なところが好きなんだ」


 気持ちを素直にぶつけてきてくれるかわいさがリサにはある。

 クラリスは皮肉しか言えない女だったから一緒にいて疲れた。


「遅くなってすまなかった。仕事が溜まっていて、提出期限があってね」

「ううん。大丈夫、こうやってユリウス様が私に会いにきてくれたんだから」


 クラリスと別れて以来仕事が増えていた。

 王宮の書類、執事から回ってくる書類。任される仕事が増えてきたのだろう。

 有能だと王宮で評価されているのだろう。

 このまま順調に仕事をし、権力を手にしこれまで我慢させてきた分、リサを幸せにしてやろう。


 この店は貴族街の外れにあり小さくとも店主の淹れる茶が美味しい。

 今は貴族街の外れでしか会うことがままならいが、婚約破棄が無事受理されたのだから貴族街の中心の有名喫茶店に今度連れて行こう。そうなるとドレスや靴、小物なども必要になる。

 リサはそのままで可愛いが、私の隣で並ぶのなら今のままでは不十分だ。


「待たせたのは今日だけではないな」

「……本当に、破棄できたんですか。夢みたい……」

「これで君との未来の話ができる。あの女さえいなければこんな面倒は避けられたのに」


 勝手に婚約破棄したことで両親からの支援は減り、今では好きにしろと連絡が途絶えた。


「でもクラリス様、かわいそうじゃないですか? 世間の目が冷たくて」

「ははっ。君は本当に優しいね。でも覚えておくといい。あの女は人の気持ちなど気にしない、冷酷な女だ。私が誰かを救いたい気持ちも理解できない。最後まで冷めた目で見ていたよ」

「……それって私のこと?」


 そっとリサの手を取った。苦労している手だ。一方、クラリスの手は苦労を知らない手入れされた白い手だった。


「そうだ。君を庇っただけなのに彼女は私を責めた。まるで私が罪でも犯したかのように。でも君を救ったこと、一点の後悔もない」

「ユリウス様は、本当に立派な方です。お育ちも違うのに。私みたいな者の面倒を見てくださって。私、ユリウス様に絶対恥をかかせません。クラリス様より立派なレディーになってみせます」

「ありがとう。でも君は気にしなくていいんだ。もうあの女が口を出す立場じゃない。彼女は器が小さい令嬢だった。といえば誰も疑わないさ」


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