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Haphazard Fantasy ~エイルの不思議な冒険~ - 少女の夢 ~幻のように~
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Haphazard Fantasy ~エイルの不思議な冒険~  作者: 加藤大樹
第二章

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少女の夢 ~幻のように~

「ん……」

 エルエッタが最初に見たのは、親友の腕に抱かれる自分の姿だった。つまり、彼女を見守るシャミィの瞳に映った己の姿を見ていたのだ。

 どうやら、ふたりで愛し合っている間に、先にエルエッタの体力が底をついてしまったようだ。途中で、少女は眠りに落ちてしまっていた。

 触れ合う肌のあたたかさを通じて、つい先ほどまで共有していた熱っぽい思い出が脳裏によぎり、エルエッタは顔を赤くした。


 エルエッタが起きたことを知ると、シャミィは彼女に声をかけた。

「やあ、我が友よ」

「ええ……」

 気恥ずかしさからエルエッタはシャミィの視線から顔を外すと、彼女の胸元に顔を寄せて、頬をこすりつけながら心地よさに目を細めた。

 猫のように甘える少女の髪の毛をシャミィは指で絡めて弄び、少しの間それを楽しむと、親友の身体を優しく起こした。


「ずっとこうしていたいのだが……そろそろ時間切れみたいだ。見てくれ」

 と親友に言われて、エルエッタは顔を上げて、あたりの様子をうかがった。


 どくん。どくん。

 魔女の世界の大気がうねりをあげて大きな振動を繰り返している。まるで、世界そのものが心臓になって脈を打っているかのようだ。空間の至るところで亀裂が走り、それは浸食を続けている。

 この世界の終わりが近い。


 エルエッタがこの現象を不気味に思っていると、同様に感じたのか、シャミィが小声で呟いた。

「……妙だな」

 それは裸の寒さからか、それとも本能が告げる警告からか。エルエッタは小さく身震いした。


 違和感の原因に思い至らなかったシャミィは、努めて明るくエルエッタに声をかける。

「ギベリィが私たちを追い出したがっているようだ! そろそろ到着する頃合いなんだろう!」

 服を着よう、とシャミィは提案をした。


 ふたりは立ち上がると、体を軽くほぐした。そして、少女たちの全身から色の付いた炎が発すると、それは激しく燃え盛り、彼女たちを呑み込んだ。


 炎が消えると、そこには元の服を着たふたりが立っていた。


 少女たちが衣類を身に着けた直後に、世界の崩壊は決定的になった。耳を塞ぐ手を突き抜けるほどの大音量の鼓動が鳴り響き、亀裂は蜘蛛の巣のように張り巡らされていく。

 やがて、硝子を床に叩きつけたような音がすると、魔女の世界は完全に崩れ去ってしまった。


 あとに残ったものはなにもない。全てが霧散してしまった。


「……ここは……?」


 夕暮れだ。外の世界は、すでに雨が止んでいた。まだ土の香りが強く残っている。そして、静かだ。鳥のさえずりも虫の声も全く聞こえない。いつの間にか、林を、森を抜けていたらしい。


 少女たちは平地にいた。郊外よりもずっと外側だ。人の住むような建物も見当たらない。遠くに森と山が見えるばかりだ。


 私たちは、幻でも見せられていたのだろうか――。


 そんなことはないとわかっているが、エルエッタは、なにもかもが消えてしまったことに、言い表しがたい寂しさと悲しさを感じた。


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― 新着の感想 ―
色々あったが、シャミィとエルエッタの旅はここからまた過酷な物になっていくのじゃろうか?絆を深めたふたりの旅はどこへ向かうのじゃろうか?とても気になるのじゃ!面白いのじゃ!
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