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Haphazard Fantasy ~エイルの不思議な冒険~ - 父親の行方
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Haphazard Fantasy ~エイルの不思議な冒険~  作者: 加藤大樹
第三章

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父親の行方

 エイルは父親の痕跡を探すために狩場へ向かっている。運がよかったのか、彼が道中で黒騎士に出くわすことはなかった。

 それでも、いつ黒騎士が木陰から、わっ! と飛び出してくるかと思うと、少年は気が気ではなかった。

 エイルは剣の握りに触れて、わずかに震えながら道を進む。


 そして、少年は鹿を仕留めた場所にたどり着いた。


 解体は全て父親が済ませてくれたに違いない。乾いた血だまりが地面に広がっている。鹿の死骸は見当たらない。近くになにかを掘って埋めた跡があることから、死骸はそこに埋まっている……のだろう。


 ふと、妙な考えが少年の頭に浮かんだ。もし……もし、そこに埋まっているのが父親だったら、どうしよう……。

 エイルは慌てて頭を振った。


 そんなはずがない! あの人は、父さんは強いんだ! そんなわけ――。

 ――そこで、ふたり分の焼死体がエイルの脳裏をよぎった。


 エイルは生唾を呑み込んだ。

 まさか。


 エイルは掘り起こし跡のそばにしゃがむと、手を使って土を掘りだし始めた。大した抵抗もなく、土は掘り返されていく。


 こつん。


 何度か土をかき分けていると、ふいに指先に触れるものがあった。それは、体のようで――。

 心臓の鼓動がうるさいくらいに鳴っている。それでも、少年は掘ることをやめられなかった。


 少年は両手で土をかき分けると、埋まっているものを確かめた。すると――。


 ああ!


 なんと、蹄がついた脚が一本、姿をあらわしたではないか!


(な、なんだ……)


 エイルの心配は杞憂に終わった。父親は黒騎士に殺されて、死体を土に埋められてなどいなかったのだ。

 では、父親はどこへ――?


(……よし!)


 エイルは掘り起こしたばかりの土を摘まむと、自身の舌の上に乗せた。そして、それを咀嚼した。砂利の触感の不愉快さに眉をひそめるも、少年は我慢をして、土を飲み込んでしまった。


(これで……)


 エイルには父親にない才能がある。それは、過去の情報の看視。少年は、世界に刻まれた過去の記憶を垣間見ることができるのだ。


 エイルが目を見開いた。


「見えた!」


 表情が読み取れないほどの曖昧なぼんやりとした輪郭だけの存在――だが、確かに父親の姿をしたそれが、エイルの視界だけに存在している。


「――!」


 父親と誰かが言い争いをしているようだ。相手は鎧を着こんだ人物……父親と同じ騎士だろうか?


 騎士らしき影は父親の肩をつかんで、責め立てるように詰め寄っている。彼は、始めは相手に同意し、うなずいて、話を聞くそぶりを見せていたが、やがて相手を突き飛ばすと、なにかを言い返した。すると、相手は剣を抜いて、切っ先を父親に向けた。相手が最後の通告をしたようだ。父親は首を横に振り、剣を抜くと、彼らは戦い始めた――。


 そこで、過去の記憶は途切れている。


「父さんは……誰と話していたの? どうして、戦ったの? なにがあったの?」


 少年の問いに答える者はいない。

 エイルは疑問符だらけの頭で周囲を見回した。なにか、他に手がかりは――。


 ……あった!


 木の根元に包みがある。おそらくは鹿肉を入れたものだろう。それは放置されていたことで、虫が集っていた。エイルは余計なものを追い払うと、中身を確認した。


 予想通り、鹿肉だ。まだ新しい。

 きっと、父親は戦いで家に戻ることができなかったのだ。


 エイルは剣を使って生肉の塊を裂くと、それを口に含んだ。


 新たな過去の記憶が浮かび上がる――。


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