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彼女に少し嫌われたい ~俺を魔王と呼ぶ美少女と運命の出会いをしたけど、忠誠度が高すぎるので少し下げて普通の恋人を目指したい~ - 67 楽しい湖水浴
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67 楽しい湖水浴

 目の前でおもむろに服を脱ぎはじめる潮浬。俺は慌てて、全力で後ろを向く。


「し、潮浬。問題なくなったら呼んでね」


「はい……問題ありませんよ」


 ――ずいぶん早いな。最初から下に水着を着ていたのかな?


 そう思いながら視線を戻すと。そこには下着姿で、今にもブラを外そうとしている潮浬の姿があった……。


「ちょ、全然問題なくないじゃない!」


「わたしは陛下になら裸を見られても問題ありませんが?」


「いや、そういう問題じゃな……あれ、そういう問題か?」


 とにかくまた後ろを向きながら考え込んでいると、荷物を持った千聡とリーゼが追いついてきた。


 千聡は潮浬の様子を一目見てだろう。眉根を寄せて持って来た荷物からビーチパラソルを開き、潮浬に向かう。


「魔王様。もう問題ありませんよ」


 その声に振り向くと、千聡と潮浬は視界をさえぎるように開かれたビーチパラソルの向こう側にいて、影しか見えない。


「ちょっと、なにが問題ないのよ! それじゃわたしの裸が問題あったみたいじゃない!」


「問題あったからこうして対処しているのでしょうが」


「なんでよ! いつ陛下に見られてもいいように、わたしが体の手入れにどれだけ気を使っていると……」


 なにやら潮浬がお怒りの声が聞こえてくるし。パラソル越しの影の他に足元では素足や脱いだ服の一部なんかも見えたりして、これはこれで大丈夫とは言いがたい気もするが……ギリギリ許容範囲だろうか?



 しばらくして潮浬の着替えは終わったらしく、ビーチパラソルが本来の傘のように持ち上げられ。二人が姿を現した……。


 ――おお。


 潮浬は布面積の少ない青い水着を着ていて。身長こそ小さいけど、まるでモデルのように美しい体をしている……いやまぁ、現役アイドルなんだから当然かもしれないけどさ。


 思わず見惚みとれてしまっていると、潮浬が嬉しそうに笑顔を浮かべながら言葉を発する。


「お気に召していただけたようで光栄の至りです。よろしければ触ったり、もっと先の事までやったりなさいますか?」


 ……うん、ある意味安定の潮浬だ。

 と言うか水竜さんの体の上なのに、一体なにをする気なのだろうか?


 とりあえず愛想笑いと、『水着似合ってるよ』と褒めてお茶を濁している間に。リーゼが寝転がれるサイズの大きなビーチチェアを持ってきて設置してくれる。


 勧められるままにそこに寝転がると、千聡がパラソルを差してとなりに立つ……。

 なんかこれ、昔の偉い人の絵で見た事あるな。日傘担当みたいな人がいて、大きな傘を持ってついてくるの……。


「千聡、それずっと持ってるつもり?」


「はい。さすがに下に突き立てる訳にはいきませんので」


 そりゃそうだ、下は水竜さんの背中だもんね。


 でもだからと言って、ずっと千聡にパラソルを持ち続けてもらうのはさすがに申し訳なさ過ぎる。


「千聡。日傘は大丈夫だから、自由にしてくれていていいよ」


「はい……」


 千聡はなにやら悲しそうな表情を浮かべて返事をすると、パラソルを畳んでとなりに置く……なんだろう、日傘担当やりたかったのだろうか?


 と、水竜さんの尻尾しっぽの方から着物姿の美しい女の人が現れて言葉を発する。


「よろしければ、私が日陰を作りましょうか?」


 そう言って女の人が右手を上げると、周りを囲んでいるきりの一部が雲のようになって、ピンポイントでビーチチェアの所だけを日陰にしてくれた。


 人間離れした事をやってのけたのは、水竜さんの娘の多津姫たつきさんだ。


 昨日は暗くておぼろげにしか姿が見えなかったけど、改めて見るといかにも清楚な大和撫子やまとなでしこと言った感じで、目を見張るような美人である。


 多津姫さんはそのまま俺のとなりに。右に千聡、左にリーゼがいる状態の、リーゼの向こうに立つ。


 ……なんだろう。もしかしてこのまま俺の護衛モードに移行するつもりなのだろうか?


 千聡はともかく、リーゼは湖水浴を楽しみにしている様子だったのに……。


 そんな心配をしていると、多津姫さんの登場に反応したように。潮浬が俺の前にやってきて小瓶を取り出す。


「陛下、日焼け止めを塗っていただけませんか?」


 ……お約束と言えばお約束な。それでいて大変対処に困るお願いだ。


 俺が返答に詰まっている一瞬の間に、千聡がお怒りの声を上げる。


「貴女、魔王様にそのような雑用をさせる気ですか!」


「雑用じゃないわよ! 肌の触れ合いを堪能する水辺の定番行事でしょうが!」


「どこの定番行事ですか! オイルを塗るなら私がやってあげます、そこに横になりなさい!」


「あなたにやってもらってなにが楽しいのよ、馬鹿じゃないの!?」


「馬鹿は貴女でしょうが! 魔王様に雑用をやらせるなどと恐れ多い事、見逃せるはずがないでしょう!」


「だから! 雑用じゃなくて水辺の……」


 なにやらまた苛烈かれつな言い争いがはじまるが、たしかに雑用ではない気がする。


 むしろ潮浬に日焼け止めを塗れる権利とか、オークションにかけたらとんでもない金額になりそうだ。


「ええと……そうだ。せっかく湖に来たんだし、みんなで泳ごうよ」


 千聡と潮浬の言い争いを鎮めつつ、リーゼ達にも自由に遊んでもらえる一石二鳥の画期的アイディアだ。


「はい陛下、一緒に泳ぎましょう!」


 そして、真っ先に潮浬が食いついてきた。


 なんか今日はいつもに増してぐいぐい来るな。泳ぐの好きなのだろうか?


 ちなみに俺は、泳げない訳ではないが得意でもない。

 水竜さんはわりと沖に出たので、周りは結構深いのではないだろうか? なにしろここは、日本一深い湖らしい。


 ちょっとおびえていると、潮浬が嬉しそうに俺の手を取る。


「まずは着替えましょう。リーゼちゃん、水着出してあげて」


「はい!」


 元気のいい返事をして、リーゼが持って来た荷物から10枚くらいの男用水着を取り出す。

 ……これはもしかして、あらかじめこの状況が想定されていたのではないだろうか?


 俺は半ば潮浬の勢いに押し切られるように。用意された中から一番無難そうなハーフパンツタイプの水着を選ぶ。


『陛下。お着替えお手伝いいたしましょう』という潮浬の申し出を丁寧にお断りし。多津姫さんにもう一つ小さな霧の筒みたいな物を作ってもらって、その中で着替えをする。


 一瞬とはいえ、屋外で全裸になるのはなんか変な感じだ。


 着替えを終えて霧の筒から出てくると、千聡とリーゼも水着に着替え終わっていた。手際いいな……そして、直視するのが恥ずかしいくらいに美しい……。


 多津姫さんが着物姿のままなのは、水着姿なんて恥ずかしいという奥ゆかしさなのか……と思ったが、よく考えたら泳ぐなら竜の姿に戻ればいいからだよね。



 水竜の存在を当然のものとして受け入れつつある自分にちょっと驚きつつ。俺はとりあえず腰まで水に浸かってみようと、湖へと足を進めるのだった……。




 現時点での世界統一進行度……0.24%

・日本の魔族勢力を全て配下に

・魔族の小勢力三つ

・イリスルビーレ公爵を正式に配下に


 千聡の主人公に対する忠誠度……100%→

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― 新着の感想 ―
[一言] なるほど、田沢湖に行くとそんなのがいるんですね。近付かないようにしなきゃ(現実と混同) 改めて考えると、そんじょそこらの海より深い湖だってのはその通りですね。すごいなあw
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