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彼女に少し嫌われたい ~俺を魔王と呼ぶ美少女と運命の出会いをしたけど、忠誠度が高すぎるので少し下げて普通の恋人を目指したい~ - 81 因縁(いんねん)の刃(やいば)
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81 因縁(いんねん)の刃(やいば)

 天川さんが取り出した矢を見た瞬間。俺の背筋に強い寒気さむけが走り、千聡達が一斉に立ち上がる。


「な、なに? どうしたの?」


 ――面食らった様子の天川さんの声が、千聡を少し冷静にさせたのだろう。今にも飛びかかろうとしていたリーゼを手で制し、冷静さを装った。でもちょっと上ずった声で言葉を発する。


「すみません、お手洗いをお借りできますか?」


「え、うん。そこ出て左の突き当たりだよ」


「ありがとうございます」


 千聡の視線が(ついてきて下さい)と言っているのを感じ、俺も立ち上がって同行する。潮浬とリーゼも後を付いてきた。


「あ、みんなで行くなら表の参拝者用の方が数多いよ。外に出た所に案内板があるから」


「はい」


 千聡は返事もそこそこに、部屋を出た所から急に速足になる。

 そんなに急いでトイレに行きたい……訳じゃないよな。



 千聡は表に出ると、トイレではなくおやしろの裏手へと足を進め。物陰に身を寄せた。


「――魔王様、大丈夫でしたか!?」


 この質問が来るって事は、あのゾクリとくる寒気を感じたのは俺だけではないのだろう。


「うん。なんか強めの寒気がしたけど、別に問題はないよ」


「それはなによりです。この場は私とリーゼに任せて、魔王様は一旦拠点にお戻りください。潮浬、魔王様の護衛は任せましたよ」


「了解」


「リーゼ、我々はもう一度あの場に戻ります。覚悟はいいですか?」


「はい!」


「よろしい。では……『ちょ、ちょっと待って!』


 なにやら流れるように話が決まっていくが、さすがに天川さんを放置して帰るのは失礼だろう。俺のためにおふだを100枚手書きしてくれたのに。


 俺は三人の視線を浴びながら、根本的な疑問を口にする。


「そもそもあの矢ってなんだったの? みんなも寒気感じたんだよね?」


 俺の問いに、千聡が表情をけわしくして答えてくれる。


「あれは聖剣です。私は寒気どころか、息もできなくなるような圧力を感じました」


 その言葉に、潮浬とリーゼも無言でうなずく。

 聖剣……なんか有紗さん絡みの話で聞いた記憶があるな。


「……あれ、ちょっと待って。天川さんが持ってたのって矢だったよね? 聖剣って言うくらいだから剣じゃないの?」


「はい、元は一本の剣でした。ですが魔王様と勇者との戦いにおいて、魔王様が御身おんみの右腕と引き換えに、聖剣を砕いたのです。あの矢の先端についていたやじり。青白い光を放っていたあれは、間違いなく聖剣の破片です」


「破片……」


 言われてみれば、矢の先端にちょっといびつな三角形をした金属片が付いていた気がする。


 それにしても破片であの威圧感とは、本体に立ち向かった魔王様って凄いんだな。


 前世の自分だという存在を尊敬していると、千聡が緊張に満ちた声を発する。


「魔王様。私が見た所、破片となっても聖剣の力は失われていませんでした。あれは危険です、どうか一旦拠点にお戻りくださいませ」


「そんなに危ないの?」


「はい。魔族に産まれた者ならば、赤子であっても本能で危険を察知するほどに恐ろしい物です。魔族に対して絶大な威力を発揮し。触れただけで肉を焼かれ、聖剣でつけられた傷は決してえる事がない。我々魔族にとってはまさに厄災と呼ぶべき代物です」


 ……なるほど。さっきの寒気は、俺の体が本能で危険を察知したという事か……あれ、ちょっと待てよ?


「ねぇ、天川さんって少しだけだけど魔族なんだよね? だったらどうしてあの矢平気だったの?」


「おそらくは、感覚の誤認によるものだと思われます。弱い痛みをかゆみだと感じるように、弱い恐怖を神々しさだと。神聖さだと誤認しているのでしょう」


「それって、天川さんに危険はないの?」


「聖剣の破片を長く体に当てていれば火傷やけどをしたようになるでしょうし。誤って体に傷をつけたら通常に倍する痛みを感じ、治りは遅いでしょうね」


 ……矢の先に取り付けられている現状を考えればあまり起きなさそうな事ではあるが、それでも危険には違いない。


「千聡、俺も一緒に天川さんの所に戻るよ。天川さんを説得して、あの矢を手放してもらおう」


「元より所有権を得るつもりではいましたが、魔王様自ら身を運ばれるのは危険が……」


「危ないのは千聡達だって同じでしょ? それに多分だけど、天川さんは俺達の敵じゃないよ」


「――なるほど、魔王様のおっしゃる通りです。言われてみれば、あのむすめからはあれが聖剣の破片だと知っている様子は感じ取れませんでした。私とした事が、突然の事に動揺して判断力を欠いていたようで、おのが未熟さを恥じ入るばかりです……」


「う、うん……それでなんだけど、いっその事天川さんに事情を全部話すのはどうかな? 多分分かってくれると思うんだけど」


「承知いたしました。魔王様の御意のままに致しましょう」


「うん。じゃあ戻ろっか」


「はい」



 そうして、俺達は天川さんの元へと戻る事になった……分かってくれるよね?




 現時点での世界統一進行度……0.24%

・日本の魔族勢力を全て配下に

・魔族の小勢力三つ

・イリスルビーレ公爵を正式に配下に


 千聡の主人公に対する忠誠度……100%↑ カンスト『さすが魔王様。私などよりもずっと冷静で、物事の本質がよく見えておられる。まだまだ私など、魔王様の足元にも及ばない存在だ……』忠誠度上昇

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