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浜辺の粘菌 Slime on the beach - Explore the East End
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浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
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Explore the East End

 朝早く、朝飯を済ませ、探検の支度をする。

 馬車に、背負い籠や毛皮、沢水を入れた壺、大鍋など、山繭の採取と野営に必要なものを積み、馬に繋ぐ。

 馬には名前を付けた。見も蓋もないが、栗毛の方をブラウン、芦毛の方をグレイと呼ぶことにした。まんま見た目の色から付けた名前だ。

 ブラウンが雄で、グレイが牝だ。このことに、何か、「彼ら」の作為を感じる。


 ロムとレムは、今回はお留守番だ。そろそろ、種撒きの時期なので、種籾をしっかり守って貰わなければならない。

 餌は自分達で、家の近辺にいるネズミや鳥などを捉えることができる。


 ヘルガ達に竹の水筒を渡し、沢水を汲ませる。東端で綺麗な真水が見つからない場合は、野営せずに引き返す予定だ。

 アーデルに御者を任せ、出発する。

 浜辺の砂浜を移動していくためあまりスピードは出せない。しかし、そのためか、揺れが少なく、乗り心地は比較的快適だった。

 昼前に浜辺の東端に到着した。まず、水を捜す。

 湿地に流れ込んでいる細い沢を見つけた。水は飲んでも問題なさそうだ。取り敢えず、水は確保できた。

 ブラウンとグレイを沢の側の草地に繋ぐ。


 石を集めて、釜戸を作る。鍋に水を入れ、釜戸に火を入れる。インガ達と一緒に海に入りハマグリを採る。採ったハマグリを鍋に入れ、ハマグリ汁にする。

 一人に付き4個のハマグリが入った汁を碗に盛る。みんな食べざかりだ。あっという間に平らげてしまう。

 自分はハーゲンに乳を飲まなせながら食べたので、少し遅く食べ終えた。


 食事の後、山に入る。

 馬の番として、アーデル、ヘルガ、そして、フレイヤを残す。

 フレイヤが不満そうな顔をすると、ヒルダがフレイヤを睨みつけながら何か言った。すると、フレイヤはシュンとなって俯いた。


 ヒルダ達に浜辺で拾った適当な長さの流木を渡す。

 木からぶら下がっている山繭を示し、実際に採って見せて、採り方を教える。

 やはり、全く手を付けていない山なので、山繭がいっぱいある。

 みんながはぐれないように、あまり広がらずに山の中を探索していく。

 いま採取している山繭は、既に羽化したもので、薄汚れている。

 みんなは山繭の使い道がピンとこないようだ。


 インガとエンマが先行して、前方の安全を確認し、ヒルダとグエンが後方の安全を確認するような体勢で、山の中をさらに進む。

 みんな無言だ。ここは慣れていない山の中だ。どんな危険があるかわからない。ゆっくり、あまり音を立てずに移動する。

 山繭を見つけると、エンマとグエンが棒を使って採取する。インガ達と自分が辺りを警戒する。


 自分が背負っている籠の4分の1ほど繭が貯まった。

 前を歩いているインガが立ち止まった。弩を構えながら、左手でハンドサインを使って前方になにかいることを知らせた。

 自分は背負い籠を静かに下ろし、弓を構える。インガ達も、弩に矢を番え、何時でも射れる状態にして構える。

 静かにインガの側に行く。インガは、前方のやや左側を指差す。

 イノシシだ。あまり大きくはないが、それでも体長は1メートルを超えるだろう。

 自分達は風下の方にいるので、まだこちらに気づいてはいないようだ。

 距離は15メートル程か。

 みんなに狩りの経験を積ませる良い機会だ。

 インガ達に、イノシシを狙って矢を放つように、ハンドサインで指示する。

 自分は、みんなが仕留めそこなった時に備え、矢を番える。

 みんな一斉に矢を放つ。いや、グエンが少し遅れた。

 イノシシに3本の矢が刺さった。エンマの矢が反れたのだ。たぶん、一瞬気後れして、方向が振れたのだろう。

 2本が腹に、残りの1本が尻に刺さっている。

 イノシシは、少し、走りかけて倒れた。

 インガ達が歓声を上げながらイノシシに駆け寄った。

 まず矢を回収した。腹の2本は、インガとヒルダの矢で、尻の1本はグエンの矢だ。

 エンマがしょんぼりしている。エンマの矢はイノシシから離れた所に刺さっていた。


 かなり大きな獲物が捕れたので、山繭の採取は中止して野営地に戻る。

 自分が、イノシシを背負い、背負い籠はエンマに持たせた。

 インガとヒルダは上機嫌で、グエンはちょっと悔しそうだ。

 エンマはずっと落ち込んでいる。

 みんな初めての狩りでちょっと心が上ずっている。こういう時こそ慎重にならなければいけない。

 "Be careful!”

 みんなハッとした表情を見せた。

 慎重に、しかし、急いで野営地に戻る。

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