Explore the East End
朝早く、朝飯を済ませ、探検の支度をする。
馬車に、背負い籠や毛皮、沢水を入れた壺、大鍋など、山繭の採取と野営に必要なものを積み、馬に繋ぐ。
馬には名前を付けた。見も蓋もないが、栗毛の方をブラウン、芦毛の方をグレイと呼ぶことにした。まんま見た目の色から付けた名前だ。
ブラウンが雄で、グレイが牝だ。このことに、何か、「彼ら」の作為を感じる。
ロムとレムは、今回はお留守番だ。そろそろ、種撒きの時期なので、種籾をしっかり守って貰わなければならない。
餌は自分達で、家の近辺にいるネズミや鳥などを捉えることができる。
ヘルガ達に竹の水筒を渡し、沢水を汲ませる。東端で綺麗な真水が見つからない場合は、野営せずに引き返す予定だ。
アーデルに御者を任せ、出発する。
浜辺の砂浜を移動していくためあまりスピードは出せない。しかし、そのためか、揺れが少なく、乗り心地は比較的快適だった。
昼前に浜辺の東端に到着した。まず、水を捜す。
湿地に流れ込んでいる細い沢を見つけた。水は飲んでも問題なさそうだ。取り敢えず、水は確保できた。
ブラウンとグレイを沢の側の草地に繋ぐ。
石を集めて、釜戸を作る。鍋に水を入れ、釜戸に火を入れる。インガ達と一緒に海に入りハマグリを採る。採ったハマグリを鍋に入れ、ハマグリ汁にする。
一人に付き4個のハマグリが入った汁を碗に盛る。みんな食べざかりだ。あっという間に平らげてしまう。
自分はハーゲンに乳を飲まなせながら食べたので、少し遅く食べ終えた。
食事の後、山に入る。
馬の番として、アーデル、ヘルガ、そして、フレイヤを残す。
フレイヤが不満そうな顔をすると、ヒルダがフレイヤを睨みつけながら何か言った。すると、フレイヤはシュンとなって俯いた。
ヒルダ達に浜辺で拾った適当な長さの流木を渡す。
木からぶら下がっている山繭を示し、実際に採って見せて、採り方を教える。
やはり、全く手を付けていない山なので、山繭がいっぱいある。
みんながはぐれないように、あまり広がらずに山の中を探索していく。
いま採取している山繭は、既に羽化したもので、薄汚れている。
みんなは山繭の使い道がピンとこないようだ。
インガとエンマが先行して、前方の安全を確認し、ヒルダとグエンが後方の安全を確認するような体勢で、山の中をさらに進む。
みんな無言だ。ここは慣れていない山の中だ。どんな危険があるかわからない。ゆっくり、あまり音を立てずに移動する。
山繭を見つけると、エンマとグエンが棒を使って採取する。インガ達と自分が辺りを警戒する。
自分が背負っている籠の4分の1ほど繭が貯まった。
前を歩いているインガが立ち止まった。弩を構えながら、左手でハンドサインを使って前方になにかいることを知らせた。
自分は背負い籠を静かに下ろし、弓を構える。インガ達も、弩に矢を番え、何時でも射れる状態にして構える。
静かにインガの側に行く。インガは、前方のやや左側を指差す。
イノシシだ。あまり大きくはないが、それでも体長は1メートルを超えるだろう。
自分達は風下の方にいるので、まだこちらに気づいてはいないようだ。
距離は15メートル程か。
みんなに狩りの経験を積ませる良い機会だ。
インガ達に、イノシシを狙って矢を放つように、ハンドサインで指示する。
自分は、みんなが仕留めそこなった時に備え、矢を番える。
みんな一斉に矢を放つ。いや、グエンが少し遅れた。
イノシシに3本の矢が刺さった。エンマの矢が反れたのだ。たぶん、一瞬気後れして、方向が振れたのだろう。
2本が腹に、残りの1本が尻に刺さっている。
イノシシは、少し、走りかけて倒れた。
インガ達が歓声を上げながらイノシシに駆け寄った。
まず矢を回収した。腹の2本は、インガとヒルダの矢で、尻の1本はグエンの矢だ。
エンマがしょんぼりしている。エンマの矢はイノシシから離れた所に刺さっていた。
かなり大きな獲物が捕れたので、山繭の採取は中止して野営地に戻る。
自分が、イノシシを背負い、背負い籠はエンマに持たせた。
インガとヒルダは上機嫌で、グエンはちょっと悔しそうだ。
エンマはずっと落ち込んでいる。
みんな初めての狩りでちょっと心が上ずっている。こういう時こそ慎重にならなければいけない。
"Be careful!”
みんなハッとした表情を見せた。
慎重に、しかし、急いで野営地に戻る。