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【悲報】「やめてくれ、強いのは俺じゃなくて剣なんだ……!」 ~魔剣に身体を奪われた俺。正気のフリして『悪を赦さぬ断罪者』を名乗ったら、SSSSSSランク犯罪者や魔物の始末を任されまくってしまう……!~ - 4:覚醒、『黒妖殲刃ムラマサ』
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4:覚醒、『黒妖殲刃ムラマサ』

初バトル回なので初投稿です



「た、頼むから止まってくれぇぇぇえ……!」

 


 ――のちに骸骨筋肉野郎とバトルになることも知らず、俺は村までの道を走らされていた。


 

「ぜぇ、はぁ……っ!」


 もう完全に息が切れていた。

 数分と走ってないにもかかわらず、足がパンパンに腫れて痛い。

 

 されど疾走は止まらない。

 俺がどんなに喚こうが、肉体は超高速の『武人』の走りで進み続ける。

 その手に凶器を――黒き刃を握り締めながら。


「ォっ、お前のせいかっ!? お前のせいなのかこれぇ!?」


 刃に向かって問いただす。

 俺の身体がおかしくなったのはコイツを拾ってからだ。コイツ以外に原因は思いつかない。


「人を操るとか普通じゃねえ……! お前、魔導兵装ってやつだろ!? 俺の身体で何する気だよっ、なぁ!?」


 必死に叫ぶが、返答はない。


 口がないから当たり前か……。だけど勝手に動く俺の足取りには、明確な意思が感じられた。

 その証拠に、俺の身体は最短距離で村まで到着。

 全速力で中に飛び込むと、何やらあわただしい様子の村人たちに向かって、刃が向けられた――!


(なっ、お前まさか、人を斬る気かよぉ!?)


 愕然とする俺の心に、何者かの意思が伝わってくる。


 

 ――ハラ ガ ヘッタ。キ リ タイ。魂ヲ 食イタイ――!

 


 っ、間違いない。

 これは右手に握られた刃の意思だ!


(っていやいやいやいやバカバカバカバカっ! え、お前魂を食べる魔剣だったの!? ガチ悪質じゃんこっわ!)


 今確信した。この漆黒の刃、魔導兵装の中でもめちゃくちゃ危険なタイプのやつだッ! 持ち主を呪っておかしくさせるクソソードだっ!


 ――食ウッ! 魂、喰 ラ ウ――!


(もっといいもん食べろアホ!)


 叱責するも、刃は唸ることを止めない。

 身を屈めて突きの姿勢を取り、村人たちに差し迫る!


 ああ、も、も、もしこのまま人を斬っちゃったら……こんな装備に呪われてるって知れ渡ったら……!

 

 

(処刑エンド、一択だぁぁあああっ!?)


 

 それだけは絶対に嫌だッ!

 俺は平凡に生きたいんだっ、いや出来ればちょっとお金持ちになってそこそこ美人な彼女をゲットして魔物のいない土地に住んで、のんびり平和に暮らしたいんだ!

 処刑なんてまっぴら御免じゃぁ!

 ゆえに、


「――させるかッ!」

 

 俺は力の限り、殺人を行おうとしている身体を止めようとした!

 村中に響くほどの叫び声が出る。それくらいマジで必死だった。


 だが奮闘も虚しく終わる。

 操られた肉体は止まらず踏み込み、村人たちを……!


(やめろぉおおおっ!?)


 彼らを殺す、直前で。

 

  

 ――ア。アッチ ガ モット 美味ソウ ダ――!

 

(えっ?)

 

 

 走る軌道が、わずかに逸れた。

 それによって村人たちをギリギリスルー。

 そして、

 


「グガぁッっ!?」


(ふぇぇ?)



 ……俺の身体は、村の中央にいた筋肉骸骨男に突きをかました……!


 って、結局ひとを襲ってるしー!?

 あ、でもこのひと上手く大剣で受けてくれたか……っていやいやコイツ、俺の村を襲った黒魔導士じゃん!?

 ここで何してんのっ、ええぇ!?



「ぐぅぅぅううッ!? て、てめぇはっ……!?」


「なっ……おぬしは、クロウくん!?」


 

 どうにか突きを防いだ男と共に、村長さんたちがこちらを見てきた。

 彼らの身体は血で真っ赤だ。さらに足元には、村人らしき死体までもが横たわっていた。


(これは……)


 すぐさま状況を理解する。

 どうやらこの村も、例の黒魔導士に襲われている真っ最中だったらしい。

 村人たちが騒いでいたのもそういうことだったか。


(んで、どういうわけかゴミソードは標的を変え、あの骸骨筋肉野郎を攻撃。殺されそうだった村長たちを救ったわけだな)


 なんという偶然だろうか……。

 だがこの状況、上手く使えそうだ。


(黒魔導士に一発かましちまうなんて最悪だ……正直怖くて泣きそうだ。でも、やっちゃったもんは仕方ない)


 呪いの装備に操られていることを悟らせないため、あの野郎の存在を利用してやるッ!

 俺は怒ってますオーラを溢れさせ、できるだけカッコいい声を出すことを意識し――っ!

 

 

「――悪しき者よ。我が故郷を奪った罪、裁かせてもらうぞ!」

  

 

 キリッとした表情で、骸骨筋肉野郎を睨みつけた――!

 

 これぞクロウくんの天才的発想、“『悪を赦さぬ断罪者』を気取って自主的に斬りかかろうとしているように見せる作戦”だ。

 本当は絶賛操られ中なんだけどな! 自分の意思で動くのは首から上くらいだし! あと怒りよりも逃げたいって気分だしッ! ふぇえ!

 

「ッ、デカい口を叩くんじゃねぇぞクソガキッ!

 つーかテメェ思い出したぜ。あの村を襲った時、チビどもを助けやがったヤツだな!? ガキのウメェ血を吸い損ねたじゃねーか!」


 ひえっ、骸骨筋肉さんメチャ睨んできた!? 筋肉がさらに膨らんだっ!

 しかもっ、


「オォイッゴブリンどもッ! あの野郎だぞォ、オレ様たちの餌を減らしたのは! オメェらも許せねぇーよなァー!?」


『ガァァァアアァッ!』


 咆哮を上げる魔の軍勢。

 狡猾なる捕食者・ゴブリンの群れが、男の周囲に駆け付けた。

 俺のケツを傷物にしたのもアイツらだ。怖いよぉ。


「ケッ、ガキがイキがりやがって。テメェーの自信の源は、その刃だな?」


 そこで、男はカスソードを見てきた。

 いや自信の源っていうか諸悪の根源なんだが?

 

「ククク……どこで見つけたかしらねーが、その魔導兵装っぽい武器を手にして調子こいてんだろ」


 あ、こいてないですね~。むしろさっさと手放したいと思ってます。


 ちなみにいま身体がおとなしくしてるのは、別にこの鬼畜ソードが空気読んでるからじゃありません。

 溜め行動です。先ほどの突きで殺せなかったためコイツ準備中なんですよー。


 実はさっきからギュゥゥゥゥゥゥゥゥウウッ!!! と後ろ足で地面を踏み締めており、あまりの強さに俺の骨をミシミシさせてます。

 一瞬で踏み込んで相手を殺す気みたいですねー。お前から殺すぞ。


「けど残念だなぁクソガキ~? 魔導兵装には強弱ってもんがあるんだよ。たとえば、オレ様のダインスレイフくらいつえぇモンになると……!」


 掲げられる真紅の大剣。その刀身からは、血を思わせる赤き燐光が零れ出していた。

 

「ゲヒャヒャヒャッ! こんな風に魔力の光が溢れちまうんだよッ!

 それに比べて、テメェの刃は光もしねぇ。とんだ雑魚武装があったもんだなぁオイ!」

 

 高笑いを上げる黒魔導士。

 どうやらヤツの言葉は事実らしく、物知りだというこの村の村長が俯いていた。


(そうか。この武器は雑魚なのか。その上、持ち主に呪いまでかけると)


 本当に最悪の武装を拾っちまったもんだな。

 ……だけど、


「黙れ、下郎」


「アァッ!?」


 どこまでも強気に言い放つ。

 ここでヤツに謝ったところで、どうせ許してくれないだろうからな。

 ――それに、右手の刃はやる気全開だ。もはや殺し合いは避けられない。


「テッ、テメェクソガキがァッ!? もういいっ、やっちまえゴブリンどもォ!」


『ガァァァァアッ!』


 ついに黒魔導士はブチ切れた。

 ヤツの命令に応え、緑の危険生物どもが押し寄せてきた。

 まるで獲物に群がる蟻のようだ。


(正直言ってめちゃくちゃ怖い。……だけど)


 俺が呪われている事実を隠すためには……何より、この状況を切り抜けるためには、やるしかない。

 断罪者となって、戦うしかない――!


 

「悪よ、滅びろ」

 

 

 そして――言葉と共に、俺は刃への抵抗を諦めた。

 

 それどころか、“せいぜい上手く使いやがれ”と魔剣に訴える。

 平和な未来を掴むために、黒死の刃に全部を委ねる――ッ!

  

 その瞬間、俺の『魂』に声が響き……!

 


 ――傀儡 ヨ――


 ――魂 二 刻 メ――


 ――我 ガ 名 ハ――!

 

  

「――『黒妖殲刃ムラマサ』――!」


 

 かくして次瞬、俺の動きは人間を超えた――!

 地面が爆ぜるほどの勢いで駆け出し、一瞬でゴブリンの群れへと接近。


「死ね」


 雷速一閃。音を置き去りにするほどの速さで、何体もの敵を両断した。


『ゴガァッ!?』


 残るゴブリンどもが固まる。

 仲間がやられたショックか、あるいは命惜しさに止まったのかは知らないが、今の俺にはあまりにも大きな隙だ。

 さらに二閃、四閃、六閃、八閃。前へ前へと走りながら腕が縦横無尽に動き、ゴブリンの群れを血肉に変える。

 数秒の内に百体近くの命を散らし、黒魔導士に接近していく。


「なっ、なんだテメェはっ!? 来るんじゃねえっ!」


 男は紅き刃を振るった。するとその刀身から『血の斬撃』が放たれ、俺に向かって飛翔してくる。


「死ねッ、死ねッ、死ねっ、死ねぇっ!」


 幾度も刃が振り回され、無数の斬撃が襲いかかってきた。

 まるで血の壁が迫ってくるようだ。正直言って超怖い。


 でもだからこそ、()()()()()()()()()()()()()()()

 心の中で泣き叫びながら、全力で脱力を意識する。


 すると、さらに肉体に力が籠った――!


 俺の身体は紅刃の雨さえもことごとく斬り捌いていき、ついに黒魔導士の眼前に躍り出る。


「なっ、なぁあぁぁあっ……!?」


 見開かれる男の両目。そこに、刃を構えた俺が映る。


 ――なるほど。今の俺はまさに修羅だな。


 はたから見たらこう映るのかと一瞬思った。


 だが実際には俺に戦う気なんてまったくない。そして、だからこそ今の俺は強い。

 肉体の自由を完全に放棄したことで、魔導兵装『黒妖殲刃ムラマサ』の支配力は極限まで高まった。

 一流の武人めいた動きはさらに精度を増し、ついには特殊能力など一切なく、黒魔導士を追い詰めたのだった。

 

 ――俺の筋肉をボロボロにしまくってなッ! 死ね!

 

「ゅっ、許しっ、許してッ!」


 決着の刹那、男はいよいよ命乞いを始めた。

 この村や俺の故郷を襲った時の悪意溢れる態度はどこへやら。黒魔導士は涙を流し、必死に言葉を喚き散らす。


「いいっ、今までの悪事は嫌々やってたんだッ! オレ様は魔導兵装に操られてたんだっ! ほら、ヒトを呪っておかしくしちまうヤツがあるって聞いたことないか!? それだよそれっ、身体が勝手に動いちゃって~ッ!」


 あーうん、悪いな。

 お前にどんな事情があろうが無駄なんだ。


 だって俺、呪われてるから。


「諦めて死ね」


「ひぃいいッ!?」


 そして、一閃。

 黒き刃は男の首をね飛ばし、全てに決着をつけるのだった――!


 


クロウ「俺、戦闘中は全力でボーッとするから――!」

魔剣「・・・」


戦略決定クソ


『面白い』『更新早くしろ』『止まるんじゃねぇぞ』『死んでもエタるな』『こんな展開が見たい!!!』『この設定なんなんだよ!』『こんな武器出せ!』『更新止めるな!』

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※あと黒妖殲刃は「こくようせんじん」と読みます

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― 新着の感想 ―
[一言] まあ妖刀ムラマサは本来世直しの刀だしな?
[良い点] 物語がさくさく進んでて読みやすいです。 敵も良い感じに小物感が出て良いですねww [気になる点]   俺は平凡に生きたいんだっ、いや出来ればちょっとお金持ちになってそこそこ美人な彼女をゲ…
[良い点] very good です
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