閑話 癒やしタイム
昼下がりのやわらかな光が、食堂の奥に敷かれた絨毯の上に差し込んでいた。
そのふかふかの絨毯の上で、ルカはアルトのモフモフのお腹に小さな頭をのせ、すうすうと寝息を立てている。
アルトはというと、大きな体を丸めて、まるで毛布のようにルカを包み込むようにしてじっとしていた。
「ふふ、動けなくなっちゃったわね……アルト」
思わず笑って、私は少し離れたソファに腰を下ろす。
窓の外からは、小鳥のさえずりが風にのって運ばれてきた。
昼時の混雑が過ぎて、食堂の中には、静かな安らぎだけが残っている。
聞こえるのはルカの寝息と、時おりアルトの尻尾が「トン」と床を打つ音だけ。
ルカの小さな手が、寝ぼけたようにアルトのお腹の毛をぎゅっと握った。アルトは、少し痛そうにしながらも動かずに、じっと耐えていた。ただ静かに、優しく守ろうとしているのが、伝わってくる。
「……ありがとう、アルト。あなたは、本当に大事な家族だわ」
ふと気づくと、目の奥がじんわり熱くなっていた。
レオン団長が言っていたっけ。歳を重ねると、涙もろくなるものだって。
特別じゃない、ただの当たり前の午後。
けれどその穏やかさが、こんなにも尊い。
「ルカ、生まれてきてくれて、ありがとう……」
母親になったご褒美は、こうしてわが子の天使のような寝顔を、いつまでも見ていられること。
私は、いつの間にかルカと一緒に眠ってしまったアルトに、そっと目を向けた。優しい、優しい時間。
こんな時間が、ずっと続けばいいのに――そう思ってしまうほど、幸せだった。
※ルカがさらわれて、心がささくれだった方に、癒しタイムです。ルカは無事ですので、心穏やかにお待ちください。ほんと、申し訳ない。「え? そっちなの?」と思う展開が待っておりますので、続きをお楽しみに。