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夫がよそで『家族ごっこ』していたので、別れようと思います! - 11 デイミアン視点 
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夫がよそで『家族ごっこ』していたので、別れようと思います!  作者: 青空一夏
第二部

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11 デイミアン視点 

デイミアン視点


 玉座からの厳かな声が、広場に響いた。


「証人、名と所属を述べよ」


 その瞬間、私の心臓は激しく鼓動した。

 緊張で手のひらが汗ばみ、喉が渇く。

 それでも、真実を告げる決意は揺るがなかった。


「はっ、私はデイミアン・バレリオと申します。神殿に仕える神官であり、バレリオ伯爵家の次男でございます」

 私の声は、広場に集まった人々の間に静かに広がった。

「この場に立つことは、私にとって大きな決断でした。しかし、神殿の正義と、神獣アルト様の尊厳を守るため、真実を述べることを誓います」

 私は、手に持った証拠を高く掲げた。紙の端が風に揺れ、広場の空気が一変する。


 そのとき、怒声が場を切り裂いた。

「おい、待て! なにを言い出すつもりだ? おまえは私の配下にあることを忘れていないか? お前の上司はこの私なのだぞ!」

 叫んだのは、コルネリオ大神官だった。顔を紅潮させ、椅子から半ば身を乗り出すようにして私を睨みつける。


 その姿に、数人の神官がざわつき、緊張が広場を走る。

 だが私は、脅すような声をあげるコルネリオ大神官を真っ直ぐ見返す。

「確かに上司はコルネリオ大神官様ですが、私の主は神であり、あなたではありません」


「いいか、よく考えろ。お前のその一言が、神殿全体を揺るがすことになるんだぞ。その口を開く前に思い出せ、お前の未来がどうなるかを」

 

 未来……そんなことを気にしていたら、ここには立てない。

 もし恐れて沈黙することを選べば、神殿の闇はこれからも永遠に消えないままだ。

 だが、私は信じている。レオン王都騎士団長は真っ直ぐなお方であり、何より国王陛下は賢王と名高いお方だ。

 この場には、正義の目が確かにある。必ずや真実は伝わる――そう信じたい。

 だから、私は証言の続きを口にした。


「こちらは、コルネリオ大神官が神獣アルト様を拘束するために購入した、魔力を遮断する特殊な鋼で作られた檻、封印符、そして頑丈な鎖の裏帳簿の写しです」

 私は証拠を掲げ、堂々と広場に示した。

「表帳簿には“装飾具”と記されていますが、商品番号は一致しており、明らかに記録の偽装が行われています。すり替えによって用途をごまかしているのです」


 広場がざわつき始めた。

 神獣様を檻に入れるなど――それは神をも冒涜する大罪。人々は顔を見合わせ、誰もが動揺を隠せない。


「檻は魔力を完全に遮断する構造で作られており、太く頑丈な鎖も、その部屋の隅に置かれていました。私だけではありません。他の神官たちも見ています」


 壇上のコルネリオ大神官の表情が強張り、目が泳ぐ。

 いつもの威圧的な態度とは違う、明らかな動揺。その様子に、周囲の空気がさらに緊迫した。


「……おまえ、いい加減なことを言うな! 国王陛下、この者は嘘をついております。まさか、この私が神獣様を閉じ込めるなど……あり得ません。こんな書類などいくらでも偽造できる! 貴様、私になんの恨みがあって……お前など破門だ。神をも恐れぬ痴れ者が!」


 私は大神官が恐ろしくはあったが、それでも目を逸らさなかった。真実はひとつしかないのだから。


「悪魔はコルネリオ大神官です! 『アルト様がおられれば、神殿の力も増すし――お前たちの給金だって上がるというものだ。私の影響力も……ふふ、国王に並ぶほどになるかもしれんな』と仰いましたよね? 他の神官たちも、その場で確かに聞いていました!」


「ほぉ? だったら、ここにいる神官たちよ。手を挙げよ。私が本当にそんな発言をしたのか? そのような檻など実際目撃したのか?」

 コルネリオ大神官は威圧感たっぷりに、神官たちに目を向けた。

 その視線の圧に押され、皆、顔を青ざめさせ、ただ黙って下を向いてしまう。


 ――ばかな。私の証言は無駄になるのか? このまま、闇に葬られてしまうのか――?


 すると、重く張り詰めた空気を切り裂くように、レオン王都騎士団長の力強い声が響いた。


「しっかりしろ! 今こそ真実を証言すべきだ。この国には、公正な判断をしてくださる国王陛下がいらっしゃる! 今、証言しなければ――その者たちは、陛下から裁かれることになるぞ!」


 続いて、国王陛下が玉座から揺るぎない声で宣言した。

「ここで誠のことを話さぬ者は、このコルネリオ大神官と同罪と見做す! 神の御前において、偽りは許されぬぞ!」


 場が凍りつくような静けさに包まれる中、空気が震えた。


(あぁ、これでこそ、賢王。そして王都を守る軍神、レオン王都騎士団長殿だ!)


 そして――


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