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【アース・スター金賞】 貴婦人たちの噂話は今日も楽しい  - 28)
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28)

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

 遺体の中から発見された紙片に古代文字が書かれていたという事実が明るみとなり、今まで自宅待機を命じられていたマリアーナたち学芸員は王宮への出仕を命じられることになったのだが、

「紙片に書かれた古代文字は盗まれた古文書とは関係ないことが判明した」

 と、直属の上司であるライアン・マットソンが猫背を更に丸めるようにしながら言い出した。


「神殿の下から発見された古文書については新聞でも報道されたことにより、各国が古の文化について並々ならぬ興味を持っている中、我が国は部外者の侵入を許すことになったわけだ。誠に遺憾なことである」


 背が高く痩せ型のライアンは、落ちそうになる眼鏡を指先で押し上げながら言い出した。

「おそらく侵入者は古文書を盗み出すだけでなく、我々の貴重な資料を書き写すようなことも行ったのに違いない。君たちには、侵入者がどの部分の古文書を写し取って行ったのかを早急に突き止めて欲しいのだ」


「「「「え?」」」」


 古文書を解読するチームは六名、その六名全員に遺体から発見された紙片に書かれていた文字『私 お前 花 橋 喜び 出会い 七色 幸せ こら のら のら のら』に該当する部分を見た覚えがないかどうかを確認したものの、全員が全く知らない文章であると言っている。


 今は北に住み暮らす部族は遥か昔、ラハティ王国の中心地と言える広大な地域を治めていた。この部族を北に追いやって今の王国を建国したのが南から移動をしてきたラハティ人であり、部族が信奉する巨岩信仰の土台を破壊して自分たちの城砦を作るのに利用したというのは有名な話である。


 ラハティ人は部族を追い払っただけでなく、神聖なる祭壇の上に自分たちが信じる女神アヘトラーゼの神殿をぶち建てた。非常に罰当たりなことをしているラハティ人なのだが、この祭壇の上に建てた神殿の地下から古文書が多数発見されたことにより、世間からの注目を浴びることになったのだ。


 神殿の地下からは石板に古代文字を刻んだものから、羊皮紙に古代文字を書きつけたものまで複数発見されることになったのだが、

「もしかしたら、ラハティ王国の先住民族は、遥か昔に大陸を統一したグアラテム王の子孫なのかもしれない」

 と、帝国の学者が言い出したことから、周辺諸国の興味が一気に上昇することになったのだ。


 今から約二千八百年ほど昔のこと、大陸の中央にグアラテムという名の王子が生まれ落ちた。小国の王子でしかなかったグアラテムは天から武力と知恵を授けられた者であり、彼は生きている間に大陸統一を果たすことになったのだ。


 結局、大陸を統一出来たのはグアラテム王の時代だけで、その子孫の時代になるとあっという間に権力争いが巻き起こり、国は散り散りに分かれることになるのだった。グアラテム王の子孫は後に北へと逃れることになったのだが、その逃亡先が、現在ラハティ王国がある北の地だったのではないかと言われている。

「グアラテム王の子孫の筆跡が残っているかもしれないし!我々が知らなかった物語が発見されるかもしれないぞ!」

 ということで、イブリナ帝国の皇帝も調査の結果を心待ちにしているような状態なのだ。


 ちなみに大陸を統一した者は後にも先にもグアラテム王ただ一人であるため、非常にロマン溢れる話であるというわけだ。


 そんな訳で古代文字に精通した六人が集められて、解読が進められていたのだが、その中にある貴重な資料が盗まれた。このことが帝国に知られたら皇帝に激怒されるかもしれないということで慌てて調査が進められることになったのだが、そんな中、ターレス川に浮かんだ遺体から古代文字が記された紙片が発見されることになったのだ。


 責任者のライアン・マットソンが激痩せするのも理解できるし、元々猫背だった彼の背中が更に丸くなっていることも理解できるのだが、

「「「「この中から『私 お前 花 橋 喜び 出会い 七色 幸せ こら のら のら のら』に関連する文章を見つけろってことですか?」

 流石は巨石を信奉する部族である、見つけ出した石板の数はゆうに四百を超えると言われている。


 六名は確かに古文書の解析を続けていたのだが、その数だって全体から見たらほんの一部に過ぎないのは間違いない。そして自分たちが今まで手掛けた資料の中には『私 お前 花 橋 喜び 出会い 七色 幸せ こら のら のら のら』に共通するような部分はなかったのだから、侵入者は六名が手掛けていない部分を写し取るようなことをしたのかもしれない。


 それをこの山のような石板と千切れかけた羊皮紙の中から見つけるなんてことは・・最初の方でこそ簡単に出来るだろうと思ってはいたのだ。侵入者が手にするのは手前にある石板であろうし、足の踏み場もないような奥まで危険を犯してまで行くとも思えなかったから。だからこそ入り口の近くにある石板から確認を行なっていくことになったのだが『私 お前 花 橋 喜び 出会い 七色 幸せ こら のら のら のら』に関連する文章を見つけることは出来なかった。


 それでは奥の方にある石板に目を付けたのか?

 ちなみに石板の数はゆうに四百は超えると言われているような状態なのだ。


「無理よ・・私には無理よ・・絶対に見つけられる自信がないわ・・」

 徹夜も三日目ともなると意識が朦朧として目が霞む。このままではいけないとマリアーナが王宮の一階、外れにある食堂に移動をしてスープを注文していると、

「マリアーナ!久しぶり!元気・・じゃなさそうね!何かあったのかな?」

 マリアーナと同じく学芸員として王宮で働いているロニアが声を掛けてきたのだった。


 マリアーナは古文書を研究する学芸員であり、ロニアは絵画の保存と修復を担当する学芸員である。今、帝国では芸術・学術の革新運動が起こっているような状態であり、帝国から遠く離れたラハティ王国では、帝国が発信する流行に乗り遅れないようにしようと必死になっているようなところがあるため、王家が絵画を購入する量も、それを管理する量も年々増えているような状態なのだ。


「全く眠れていない、徹夜の作業が続いているの」

「もしかして徹夜で古文書を解読しているの?」

「そうなのよ」

「何故?」


 学芸員に徹夜をさせるほど解読を急がせるものなどないはずなのだが。疑問が顔に浮かむロニアを見つめたマリアーナは、小さな笑みを浮かべた。


「現代語に訳すと『私 お前 花 橋 喜び 出会い 七色 幸せ こら のら のら のら』という文字が入った文章がないものか、早急に古文書を調べるように命令されることになったのよ」

「いわゆる皇帝案件ってやつね?イブリナ帝国の無茶振りがラハティ王国にまで降りかかってきたというわけでしょう?」


 イブリナ帝国の皇帝が大陸を唯一統一したグアラテム王の大ファンだというのは有名な話であり、以前にも皇帝が手に入れた古代遺物に書かれていた古代文字の鑑定をラハティ王国が請け負うようなことがあったのだ。

 ロニアはマリアーナの話から皇帝から回されてきた仕事だと判断したようで、同情まじりの眼差しをマリアーナに向けた。


「以前もイブリナ帝国の皇帝陛下は、グアラテム王の時代の遺物を手に入れたということで上機嫌だったというのに、それが偽物だったということで大騒ぎをしていたじゃない?」


 大陸を統一したのはグアラテム王ただ一人だということもあって、グアラテム王に縁があるものは高額が付く。そのため、偽物がたくさん出回っているような状態なのだ。もちろん帝国にも古代遺物の研究者や学者が山ほどいるので、偽物は排除されることにはなるのだが、たまに精緻な偽物が皇帝の手元にまで運ばれることがあるのだ。


「それだけ徹夜をして必死に調べたのに、実は偽物でした〜なんてことにはならないと良いけれど」

「偽物・・そうよね・・偽物って可能性もあるのよね・・」


 古文書を取り扱うマリアーナの部署から古文書は確かに盗み出されたのだ。保存状態が良かった比較的時代も新しい羊皮紙に古代文字が書かれたものが三枚盗まれたのは間違いないし、その後、ターレス川に浮かんだ遺体から古代文字が書かれた紙片も取り出されたのだ。そのため、古文書を盗んだのは隣国オムクスの間諜ではないかと判断されることになったのだ。


 幸いにも盗まれた三枚の羊皮紙の内容は写しをとっていた関係で、盗まれた羊皮紙の中に『私 お前 花 橋 喜び 出会い 七色 幸せ こら のら のら のら』という文字が記されていないことは確認されている。


 だからこそ、侵入を果たしたオムクスの間諜は石板の写しをとって行ったのではないかと考えていたのだが・・


「そもそも、遺体から取り出された古代文字は四歳児が書いたと言っても良いような、稚拙な文字を並べたものだったのよ」

 マリアーナは遺体から取り出してホカホカ状態の血塗れの紙片を実際に見ていた。もしかしたら古文書の内容がどの部分で一致しているのかを調べるよりも、あの紙片が一体何を示しているのかということから考えなければならないのかもしれない。



こちらの作品、アース・スター大賞 金賞 御礼企画として番外編の連載を開始しております。殺人事件も頻発するサスペンスとなりますので、最後までお付き合い頂ければ幸いです!

モチベーションの維持にも繋がります。

もし宜しければ

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令和7年11/4 (火)より『貴婦人たちの噂話は今日も楽しい②』がアース・スター様より出版します!!

全文丸ごと書き直し、新ヒロインカタジーナの祖国での虐められ物語が追加!

奇天烈なパウラ夫人とユリアナコンビも健在!!!!

敵国オムクスの陰謀に振り回されるニクラスは妻の愛を手に入れることが出来るのか?

もちろんカステヘルミとオリヴェルのその後のドタバタも描かれます

『貴婦人たちの噂話は今日も楽しい②』 11/4 に発売しますのでお手に取って頂けたら幸いですm(_ _)m
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