大切な思い出と職人の手
ノエル視点
私は夢をみていた、私の目の前ではおじいちゃんと幼い私がなにかを話している
『おじいちゃん、私大きくなったらおじいちゃんの跡を継ぐよ!』
『ハッハッハッそうかそうか、ノエルは俺の跡を継ぐか。それならしっかりと教えてやらないとな』ナデナデ
おじいちゃんが私の頭を撫でてくれている、私は大きくてゴツゴツとしていたけど暖かいおじいちゃんの手が大好きだった。
『うん!ねぇねぇ、まずはなにをすればいいの?』
『そうだな、まずはハンマーとかを持てるように強い体をつくらなきゃな』
『強い体だね、どうすれば強くなるの?』
『まずはニンジンを食べれるようにならなきゃな』
『う、ニンジンかぁ…』
『どうする?やっぱり諦めるか』ニヤニヤ
『や、やるよ!私ニンジン食べるもん!』
『そうか、ノエルは偉いなぁ。お前ならきっと俺よりも凄い鍛治師になれるぞ』ナデナデ
『ホントに?』
『あぁ、俺が保証する』
『私頑張るよ!』
『その意気だ、しっかり教えてやるからな』
『うん!』
場面が変わり、今度は少し成長した私とおじいちゃんが現れる
『え?私がおじいちゃんの本当の孫じゃない?』
『そうだ、今まで黙っていてすまなかった』
『……』
『俺はお前が可愛くて仕方なかった、もしお前が真実を知ってしまうと俺を軽蔑するんじゃないかと思うと怖くなってしまった。だが、いつまでも黙ってる訳にもいかないと思った。だけどこれだけは信じて欲しい…俺はお前をほんとの孫と思って…『関係ないよ!』…!』
『血の繋がりなんて関係ない!私にとってのおじいちゃんはおじいちゃんだけだよ!おじいちゃんは私を育ててくれた、鍛治を教えてくれた…感謝しても軽蔑なんてしない!』
『ノエル…』
『だからそんなこと言わないで!どんなことがあっても私はおじいちゃんの孫だよ!』
夢の私はそう言っておじいちゃんに抱きついて泣いていた。
そんな私をおじいちゃんは優しく抱き締めて『ありがとう、ノエル…ありがとう』と言っていた。
さらに場面が変わり、今度はおじいちゃんと今の私とそう変わらない姿の私が現れる。
『ノエル…お前には俺の全てを教えた。もう教える事はない』
『そんなことないよおじいちゃん』
『お前は俺が見込んだ通りいい鍛治師になった。教えることもなくなり俺ももう悔いはない』
『そんな弱気にならないでよ!おじいちゃんにはまだ教えて貰いたいことが…』
『そんなことはないお前には全て教えた…いや、まだ教えてないことがあったな』
『なに?おじいちゃん?』
おじいちゃんは夢の私の手を握ると口を開いた。
『いいかいノエル…お前の手は「職人の手」だ。なにかを造り、産み出し、命を与えるものだ』
『命を与えるもの…』
『そうだ、だからこの手でなにかを壊したり奪ったりしてはいけないよ…約束してくれ』
『うん…わかったよおじいちゃん』
夢の私がそう言うとおじいちゃんはニッコリと笑った。
『ありがとうなノエル…俺はお前のような孫を持って…お前の祖父になれて幸せだった……』
『おじいちゃん?おじいちゃんー!』
おじいちゃんはその日に死んだ…でも、おじいちゃんの顔はとても優しく笑っていた。
私はそこで目を覚ました。
「夢?」
「起きたの?ノエル」
私が声のする方に顔を向けるとベッドの横の椅子に座っていたペンドラが声をかけてくる。
「ペンドラ、私どのくらい寝てたの?」
「二時間位かな、ゼルやランドは今ギルドの方に行ってるわ」
「そう、迷惑かけちゃったねごめんね」
「気にしないで、あんなことがあったのよ迷惑なんて思わないわ」
「うん…」
そんな話をしてるとドアをノックする音がした。
「ペンドラ、聞こえるか?」
「ガイル?どうかしたの?」
「話したいことがある、中に入っても大丈夫か?」
「えぇ、開いてるわ」
ペンドラがそう返事をするとガイルが部屋に入ってきた。
「すまないな、急ぎの用事で…ノエル起きたのか?」
ガイルが私が起きてるのに気付いて声をかけてくる。
「うん、迷惑かけたね大丈夫よ」
「迷惑とは思っちゃいないさ」
「ありがと」
「それで、話ってなに?」
ペンドラがガイルにそう問いかけたらガイルは「あぁ、さっきギルド職員のマーリィに聞いたんだが…」と話し出した。
「あのバカ息子!どこまでノエルを傷付けたら気がすむの!ぶった切ってやる!!」
話を聞いたペンドラが激昂している。勿論私だって物凄く腹が立っていた。
「それで、ゼルとリンとランドはどうしたの?」
ペンドラの質問にガイルは一瞬ビクッとなった。
「どうしたのガイル?」
不思議に思った私がそう聞くとガイルは…
「い、いや…さっきのランドの雰囲気を思い出してな…」
「どういうことよ?」
重ねて質問するペンドラにガイルが告げる。
「えっと、とりあえずゼルとリンは多分途中で俺達と合流するだろう、そしてランドは…」
「ランドは?」
「めちゃくちゃブチギレて領主の館に殴り込みに行った」
「は?」×2
私とペンドラの声が重なる。
「だから、マーリィの話を聞いたランドがキレて殴り込みに行ったんだよ」
「な、何してるの、ゼルやあなたは止めなかったの?」
「いや、それがな…なんと言うか」
「なによ、はっきり言いなさいよ?」
「怖くて動けなかった」
「はい?」
「ランドの出した殺気が凄まじくて俺もゼルもリンも動けなかったんだ」
「は?ランドが怒ったのなんてダンジョンの一階で見たじゃない、確かにあの時もかなりの殺気が出てたけどその時はなんともなかったでしょ?」
「お前、あの時ランドが言った言葉を覚えてるか?」
「なによ?」
「ダンジョン一階の時はランドは「少しムカついた」と言ったんだ。つまりまだそんなにキレてなかったんだよ」
「つまり…」
「そうだ!今回は本気でキレたみたいで殺気があの時のなんて比較にならなかったんだ。あのランドと戦うくらいならグレートドラゴンの群れと闘れと言われた方がマシだ。ゼルやリンに聞いてみろ同じ答えをすると思うぞ」
ガイルの雰囲気からして誇大に言ってる訳でもないんだろう…ペンドラとノエルは冷や汗が出た。
「と、とにかくゼル達と合流しましょう。起きてすぐだけどノエルも来てくれる?」
「わ、わかったわ」
「よし、それじゃあいくぞ」
こうしてペンドラとガイルと三人で館に向かった私は途中でゼルとリンとも合流し領主の館に到着した。
そこで私が見たのは「ドラゴンが襲ってきた」と言われても納得してしまうように正門の扉が粉々になって玄関が半壊してる領主の館だった。