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マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる - 狂双剣のジャビイ
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マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる  作者: のんびり生きていきたいおっさん


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狂双剣のジャビイ

ゼル達は半壊した入口から館に入ると奥へと進んでいく。


所々で壁に刺さっていたり上の照明にぶら下がっていたりするボンズの手下が視界に入るがとりあえず死んではいないようだ。


「にしても、ランドのやつ暴れてるな」


ゼルの言葉にみんなが頷く。


「手当たり次第って感じね…」


「ガイル、あなたこんな風に壁壊せる?」


「無茶言うな、拳が壊れちまう」


「ランドさん…」


ドガァ!


その時、奥の部屋の扉が乱暴に開いたかと思うとゼル達の横を一人の男が飛んで行って奥の壁に激突して落ちた。


「あそこか?」


ゼル達は男が飛んできた部屋に急いで入る。


その部屋ではランドが自分を囲むボンズの手下を殴り、掴み、蹴り飛ばしたりして蹴散らしていた。その奥にはボンズとフードを被った男の姿が確認できる。


「ランド!」


ゼルがそう声を出すとランドは掴んでいた男を横凪ぎに振り回して道を開けるとゼルのところに来た。


「ゼル、来たのか?それにみんなも」


「遅れてすまないな、ここからは俺達もやらせてもらうぜ。ガイルとリンはノエルを守ってくれ」


「よくもノエルの店を燃やしたわね!」


「結界を張るぞ、リンとノエルは俺の後ろに!」


「同じように燃やしてやる!」


「よくもおじいちゃんのお店を!」


そう言ってゼル達も武器を抜いてまわりの手下を攻撃する。


それを見たボンズは苛つきを隠すことなく喚き散らす。


「き、貴様ら!なにをしてるのかわかってるのか?ボクは領主の息子なんだぞ!?お前たち庶民とは違うんだ!お前たちなんか「黙れ!」…!」


ボンズの言葉をランドが大声で遮り怒鳴る。


「お前の身分なぞしらん、どんな理由があろうと人の大切なものを己の欲望のために奪う奴は俺は赦さない!」


ランドが言い終える頃にはゼル達によって残りの手下が倒されていた。残るはボンズとその横のフードの男だけである。


「バカ息子が、お前の横暴な行為もこれまでだ!」


「絶対赦さないから!」


「最早貴様には悔い改めろという言葉も勿体無い」


「燃やされるのと凍らされるのと電撃とどれがお好み?」


ゼル達もそう言ってボンズを睨み付ける。


「ひっ…お、おいお前何とかしろ!万一の時はお前が片付けると言ってただろうが?」


ボンズはフードの男にそう言葉を投げる。


「やってもいいが、三倍の報酬を貰うぞ?」


「な、三倍だと!?」


「俺はお前から聞いた情報で策を練った、まぁあの男は想定外だったがな。あの男とAランクを相手取るとしたらそれくらい貰わないとな…嫌なら構わん、俺だけ逃げるだけだ。その後にせいぜい許しを乞うことだな」


「わ、わかった払う!払うから助けてくれ!」


「交渉成立だ!」


そのやり取りを聞いていたペンドラが声を荒げて

「あなた一人で私達を相手にするって言うの?嘗められたものね、ノエルの借りを返してやるわ!」と斬りかかる。


その言葉に「さて…」と男が返事したかと思うと…


「嘗めてるのはどっちかな?」


男の姿が一瞬消えたかと思うとペンドラの目の前に現れ短剣を振り抜いた。


「な?」


「早い?」


「ペンドラ!?」


「くっ!」


ペンドラは咄嗟に剣で短剣を防ぐ。


「ほぉ、流石はAランク。なかなかいい反応だ」


男はすぐさまペンドラと距離をとり今度は両手にそれぞれ短剣を持って構える。


「双剣使いか?」


ゼルの言葉に男が答える。


「これが俺の戦闘スタイルでな、一本とはいえこのジャビイの剣を防いだ奴は久しぶりだぞ。光栄に思いな」


「ジャビイだと?お前まさか狂双剣のジャビイか!?」


男の名を聞いたガイルが反応し、それを見た男がニヤリと笑う。


「ほぉ、俺を知ってるのかい?」


「知ってるの?ガイル」


リンの質問にガイルは「あぁ…」と答えると話し出した。


「俺がまだ教会にいたときの話だ、とある村で高ランクの冒険者パーティーが依頼で山賊の討伐に来て山賊のアジトを壊滅させた。だけどそのアジトではボスを仕留めきれず逃がしてしまったんだ、冒険者達はSランクの剣士をリーダーとして他のメンバーもAランクの凄腕のパーティーだった。すぐにボスを追いかけて近くの崖まで追い詰めた。だが…」


「だが?」


「冒険者パーティーがいつまでも戻ってこないから騎士団が捜索に向かうと…そこには惨殺されたパーティー達の亡骸があった。Sランクの剣士とAランクで組まれたパーティーが全滅したんだ、ボスの姿はどこにもなかった。騎士団はこれ以上の追跡は危険と判断して捜索を打ち切った、その山賊のボスの名前がジャビイと言って双剣使いだと聞いたことがある」


「それマジなの?」


「その惨殺されたパーティーを弔ったのは俺の先輩の僧侶だったんだ」


「あぁ、あの村で俺を追ってきたパーティーか…確かに剣士の奴はなかなかの腕をしてたな。まぁ俺の方が強かったんだが」


ジャビイはそう言って笑う。それを見ていたボンズは勝ち誇ったような笑いをあげる。


「ハハハ、いいぞ!それほどの奴だったとはな、コイツらを片付けてしまえ!報酬は約束してやる!」


「そう言うわけだ、悪いが死んで貰うぞ。まずはそこの女からだ!」


ジャビイはそう言ったかと思うとペンドラに襲い掛かる。


「くっ、なんて早さなの!」


ペンドラも懸命に応戦するが分が悪い、ゼルも弓を構えるが早すぎて狙いが絞れない。


そしてついにペンドラの剣がジャビイに弾き飛ばされた。


「しまっ…!」


「終わりだ…」


ジャビイの短剣がペンドラに迫る。


「ペンドラ!」


「ペンドラ!」


それを見たゼルとノエルが悲鳴をあげたとき…


ギィン!


金属同士がぶつかる音が響き渡る。


「…お前とは後でじっくり()りたかったんだがな?」


「お前に合わせてやる義理はないんでな…」


ジャビイとペンドラの間にランドが割って入りジャビイの短剣を止めていた。


「ランド!」


「交代だペンドラ、親友への仕返しをしたい気持ちはわかるがお前になにかあるとノエルも悲しむ。ここは任せろ」


そう言ってランドはジャビイを弾き飛ばした。


飛ばされながらも空中で体をひねり着地したジャビイが笑みを浮かべる。


「いいね、順番は変わったがお前さんから始末してやるよ。せいぜい俺を楽しませな」


「あいにく男と楽しむ趣味はないんだ。バカ息子をぶん殴るためにも倒させてもらうぞ」


「いつまでその軽口がつづくかなぁ~!」


こうして最狂の山賊と最強のCランク冒険者の戦いが始まった。

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