四章三話光の剣士②【挿絵付き】
◇◇◇◇◇
リーンの周囲に膨大な魔力が渦巻く。
およそ人間では…
(いや、この世界の存在全てか?)
纏える筈も無い程の魔力量だった。
その魔力の濁流が
巨大な水晶柱を覆う。
魔力の変化と共に、
鍾乳石の巨大な柱に
貼り付けの状態にあった
水晶の結界が…
消滅した!!
水晶が霧散し…
覆われていた、"ラスボス"の姿が
現になる。
本当に封印は解除されて
しまったのだ
鍾乳石の柱から、
ゆっくり上体を起こし
"奴は"歩み出す…
ブレーブダンジョンの"ラスボス"
それは…
巨大な鬼神でも無ければ、
禍々しい邪悪な悪魔でも無かった…
軽鎧を身に纏う長身…
美しい装飾の長剣を腰に差し、
その端正な顔立ちは、
芸術家が渾身の気迫を込めて
彫り上げた彫刻のようだ。
そして…
白金の髪は長く伸び、煌めき、
風を受けて揺れ踊っていた。
都の中でさえ、このように美しく
洗練された美丈夫はいないだろう。
まるで…
まるで遠い古の、
お伽話にでてくる
美しい勇者のような姿だ!
魔王に立ち向かった、
六人の英雄達…
その英雄勇者が一人、光の剣士!!
目の前にいる"ラスボス"は、まさに
お伽話から抜け出てきたような
勇者、その者のイメージで…
「久しぶりだな、僕よ!」
そんな、人外のような相手に向かって
親しみさえ滲ませて、イルが呟く。
僕…だと?
『何を言っているんだ?
あの冒険者?』
宮廷魔術士は、イルが恐怖のあまり、
気が触れたのだと思った。
その白金の髪以外は…
ほぼ真逆の容姿であろうに。
そんな、四頭身のずんぐりした冒険者が
ペンダントを掲げる。
刹那、呼応するかのように、
"ラスボス"も冒険者目掛けて
走り寄る。
まさに光速が如き速さだ!
白金の髪が光のように流れ、
いつの間にか抜剣していた剣を
冒険者へ振り下ろす!
『終わったか…』
眩い光が溢れ、視界は明瞭ではないものの
宮廷魔術士は、冒険者の死を確信した。
しかし…
光から浮かび上がる光景に
宮廷魔術士は驚愕するのだった。
『"ラスボス"がニ人に⁉︎』
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(光の剣士③へ続く)