JR・東京メトロ市ケ谷駅から徒歩3分。駅前の喧噪がうそのような静けさの中、学校法人駿河台学園の運営する駿台予備学校が校舎を構える。東京都心をはじめ全国各地に展開する「駿台」の中で、ここ市谷校舎は医学部・医学科の受験対策に特化した医学部専門校舎だ。医学部を目指す高校生、既卒生ら約1400人が在籍しており、合格に向けて勉強に取り組んでいる。
一人ひとりに寄り添った個別最適学習システム
なぜ、多くの医学部受験生が駿台を選ぶのか。市谷校舎の校舎責任者を務める重藤賢次さんにお話を伺った。
校舎責任者 重藤賢次さん
「最も受験生に評価されているのは、医学部指導に定評のある講師の授業や、提供される医学部情報の多さに加え、一人ひとりの学力やペースに応じた最適な学習を提供している点だと自負しています。集団を相手にする大手予備校では、一人ひとりの状況を細かく見られないのではと思われがちですが、そのような心配はありません。駿台のICTツールを活用した学習システムは、誰も取りこぼすことなく受験生一人ひとりに寄り添います」
デジタルネイティブの受験生にとってICTツールは学習の強い味方だ。例えば駿台が独自開発した「S-LME」(スルメ)という教材がある。問題が解けなくても、すぐに答えが表示されないのが特徴だ。少しずつヒントを提示することで学生の思考力を養いつつ、理解度を測れるという。
「いまの入試に必要なのは暗記力よりも考える力。それは単純に演習をこなしているだけではなかなか身に付きません。このようなツールを活用することで、受験に必要な力を伸ばしてほしいと考えています」
また、いつでも勉強に関する質問ができる「manabo」も好評だ。質問したい内容を入力すれば、校舎外からもスマホやPCを通じて音声やチャットで指導を受けられる。対応するのはAIではなく、人間の講師だ。
ライバルではあるけれど、刺激を受けられる仲間たち
「駿台では指導やデータ分析にICTを活用していますが、やはり人と人が向き合うことが大切なんですね。進路や勉強法など受験生が抱えるさまざまな悩みには、職員だけでなく、駿台のOBOGである現役医学部生もクラスリーダーとなって寄り添っています。受験生にとって、医学部生は自分と同じ夢をかなえた身近な先輩。そうした存在が、受験に対するモチベーションを高めてくれるようです」
講師、職員、OBOGに加え、忘れてならない存在がある。同じ校舎で共に学ぶ仲間たちだ。
「学校によっては、クラス内で医師を目指すのは数人ということも珍しくありません。しかし市谷校舎に来れば、全員が医学部受験生です。同じ志望の仲間がこれだけ集まる場所はない。ライバルではあるけれど、お互いに刺激を受けながら勉強できる環境が受験生にとって大きな励みとなるのです」
日本医科大学で学ぶ駿台のOB学生も「市谷校舎で友人と高め合うことができました」と、受験生時代を振り返る。現在はクラスリーダーとして、受験生をサポートする側だ。こうした人のつながりこそが、駿台の最大の強みなのかもしれない。