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JP2005172769A - 電気化学測定用電極 - Google Patents
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JP2005172769A - 電気化学測定用電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】微量な物質を高感度で検出することができる電気化学測定用電極を提供すること。
【解決手段】
電気化学測定用電極10を、カーボンナノチューブ12及び特定の化学反応を起こす触媒14が封入された絶縁体16で構成させ、触媒14を露出させると共に、カーボンナノチューブ12の一部を露出させて通電部22を構成させる。及び/又は、触媒14を露出させると共に、露出した触媒14にカーボンナノチューブ12の一部を電気的に接続させて通電部22を構成させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、特定の物質を検出するセンサーなどに利用される電気化学測定用電極に関する。
従来、カーボンナノチューブが半導体特性を示すことから、カーボンナノチューブを電子デバイスとして利用する試みが為されている。
カーボンナノチューブを電子素子として用いることの利点は、非常に伝導度が高いという点にある。また、直径も1nmから20nm程度なので、微細な回路の素子や電極として利用するのも好適である。
一方、近年、医療分野への応用といった観点から、微量の生体物質を検出するバイオセンサーの研究・開発が盛んに行われている。検出の方法として実用化されているものには大きく分けて以下の3つのものがある。
(1)電気化学法
(2)酵素法
(3)呈色法
この中で電気化学法は最も一般的な検出方法である。物質にはそれぞれ固有の酸化還元電位があり、ある特定の電位をかけると物質から電子を引き抜いたり(酸化)、電子を注入したりする(還元)ことができる。従って、酸化還元反応に伴う電子のやり取りをサイクリックボルタンメトリーなどで測定し、ある電位での電流値から目的物質の量を測定することができる。
電気化学法では検出感度を向上させるために、微小電極が用いられている。微小電極とは、一般に用いられる電気化学測定用電極のサイズが数mmから数cmであるのに対して、μmレベルまたはそれ以下のサイズの電極をいう(例えば、非特許文献1参照)。このような、微小電極を用いた特徴としては、以下の(1)〜(4)が挙げられる。
(1)ノイズである充電電流の寄与を小さくできる。
(2)電位を高速で掃印できる。
(3)物質の拡散の影響を小さくできる。
(4)高感度で測定できる。
このため、電気化学法で微量サンプルの検出を行うときには微小電極を用いるのが主流となりつつあるが、昨今の技術要求から更なる高感度化が望まれている。
一方、酵素法は、表面に酵素を固定した電極を用いて目的物質を電気化学的に検出する方法である。酵素は目的物質と特異的に反応するため、混合物の中から目的物質を選択的に比較的高感度で検出できるという特徴がある。現在までに、グルコースセンサー(糖尿病検査)、尿酸センサー(痛風検査)、尿素センサー(腎機能検査)などが医療分野での実用化に至っている。しかしながら、酵素は不安定であるため、酵素の活性を保つために特殊な環境で保存しなければならず、取扱が難しいという問題がある。
また、呈色法とは、目的物質と反応すると着色する試薬を用いて紫外可視吸収スペクトルを測定し、その吸光度を求めることで生体物質を検出する方法である。しかしながら、吸光度測定における検出感度は光路長に比例するため、感度を上げるためには多くのサンプル溶液が必要となる。従って、微量サンプルの検出には適用できないという問題がある。
このような検出の方法を利用したセンサーとして具体的には、イオン感応性の電界効果型トランジスタを用いて特定の物質を検出するセンサー(例えば、特許文献1参照)、表面にフェロセンを固定した電極を用いて過酸化水素を検出するセンサー(例えば、非特許文献3参照)、カーボンナノチューブを電極として用い、外部からの刺激に対してカーボンナノチューブの電気特性が変化することを利用して、特定の物質を検出するセンサー(例えば、特許文献2参照)が提案されているが、上記観点からは未だ十分なセンサーとは言えず、改善が望まれているのが現状である。
特開平03−272449号公報 特開2003−227808号公報 S.Pons and M.Fleishmann, Analytical Chemistry, 1987年、59巻p.1391A C.Padeste et.al,"Ferrocene−avidinconjugates for bioelectrochemical applications", Biosensors&Bioelectronics誌,2000年,15巻,p.431−438
したがって本発明の目的は、微量な物質を高感度で検出することができる電気化学測定用電極を提供することにある。
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち、
第1の本発明の電気化学測定用電極は、カーボンナノチューブと、特定の化学反応を起こす触媒と、前記カーボンナノチューブ及び前記触媒を封入する絶縁体と、を含んで構成され、
前記触媒の一部が前記絶縁体表面に露出すると共に、前記カーボンナノチューブの一部が前記絶縁体表面に露出した通電部を有することを特徴としている。
第2の本発明の電気化学測定用電極は、カーボンナノチューブと、特定の化学反応を起こす触媒と、前記カーボンナノチューブ及び前記触媒を封入する絶縁体と、を含んで構成され、
前記触媒の一部が前記絶縁体表面に露出すると共に、前記露出した触媒に前記カーボンナノチューブの一部が電気的に接続された通電部を有することを特徴としている。
第1及び2の本発明の電気化学測定用電極において、前記カーボンナノチューブは互いに電気的に接続された複数のカーボンナノチューブから構成され、前記絶縁体を介して前記複数のカーボンナノチューブの一部が前記絶縁体表面に複数箇所で露出して通電部を構成することがよい。また、前記複数のカーボンナノチューブは化学結合により互いが電気的に接続されたネットワーク構造を形成していることがよい。
第1及び2の本発明の電気化学測定用電極において、前記触媒は、金属、金属酸化物、タンパク質、及びこれらを担持した炭素片よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることがよい。また、前記金属は、白金、銀、金、鉄、銅、シリコンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることがよい。また、前記金属酸化物は、白金黒、酵素、酸化鉄、酸化コバルト、酸化チタン、酸化すず、酸化インジウム、窒化ガリウム、酸化シリコン、シリコン、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化ハフニウム、酸化タングステンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることがよい。また、前記タンパク質は、酵素から選択される少なくとも1種であることがよい。
第1及び2の本発明の電気化学測定用電極において、前記絶縁体の体積抵抗値は、1×105Ωcm〜1×1010Ωcmの範囲内であることがよい。また、前記絶縁体の材料は、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンよりなる群から選択されることがよい。
本発明の電気化学測定用電極によれば、微量な物質を高感度で検出することができる、といった効果を奏する。
以下、本発明について、図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には全図面通して同じ符合を付与して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電気化学測定用電極を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は断面図を示す。
本実施形態の電気化学測定用電極10は、複数のカーボンナノチューブ12と特定の化学反応を起こす触媒14とが封入された絶縁体16で構成されており、これが電流抽出用導体18を有する基板20に設けられている。複数のカーボンナノチューブ12は、互いが電気的に接続された状態で絶縁体16に封入されている。なお、基板20は必ずしも必要ではなく、例えばフィルム状の電流抽出用導体に電極として絶縁体16が設けられた形態でもよい。
そして、触媒14が絶縁体16表面に露出すると共に、絶縁体16を介して複数のカーボンナノチューブ12の一部が絶縁体16表面に露出して通電部22を構成している。即ち、複数のカーボンナノチューブ12は互いに電気的に絶縁された状態で複数箇所露出している。このため、触媒14は電極部(化学反応部)、カーボンナノチューブ12は導線、絶縁体16は絶縁被膜の役割を担っている。また、電流抽出用導体18は、複数のカーボンナノチューブ12の一部と電気的に接続されて設けられている。
通電部22では、図2に示すように絶縁体16表面に露出した触媒14にカーボンナノチューブ12の一部が電気的に接続された第1の態様と、図3に示すように触媒14及びカーボンナノチューブ12がそれぞれ独立して絶縁体16表面に露出した第2の態様と、の両方の態様が混在している。通電部22を上記両方の態様で構成した例を示すが、いずれかの態様のみで構成してもよい。
第1の態様では、触媒14による化学反応に伴う電子の動きを、触媒14に直接接続されたカーボンナノチューブ12により検出する。一方、第2の態様では、触媒14による化学反応に伴う電子の動きを、触媒14近傍に露出したカーボンナノチューブ12により検出する。
このため、いずれの態様でも、通電部22における複数箇所で、触媒14による化学反応に伴う電子の動きをカーボンナノチューブ12が並列的に検出し、電流が絶縁体16中で互いに電気的に接続されたカーボンナノチューブ12を通じて、電流抽出用導体18に電流が抽出されることとなる。
なお、複数のカーボンナノチューブ12は互いが電気的に接続された状態で絶縁体16に封入されているので、通電部22において検出した電流は損失がほとんどない状態で電流抽出用導体18に抽出される。
また、電気化学測定用電極の形状は、直方体状、円柱状など、任意の形状とすることができる。
このように、本実施形態の電気化学測定用電極では、電極部として機能する触媒14で生じた化学反応を、極めて伝導効率の良い状態のカーボンナノチューブ12により検出するため、触媒14と特定の化学反応を生じる微量な物質を高感度で検出することができる。さらに、触媒14、カーボンナノチューブ12、絶縁体16で構成しているので、大気中でも安定に取り扱うことも可能となる。
電極部として機能する触媒14で生じた化学反応を、複数箇所で並列的にカーボンナノチューブ12が検出するため、検出感度を向上することができる。
また、一般的に、電気化学法での物質検出は、電極サイズが小さくなるほど高感度になるという特徴があるため、電極部として機能する触媒14の大きさを小さくすることで、検出感度を上げることができる。
なお、本実施形態では、複数のカーボンナノチューブを用いて並列的な電気的接続を施した形態を説明したが、一本のカーボンナノチューブを用いて電極を構成した形態でもよい。1本のカーボンナノチューブ12の一部のみが絶縁体16表面に露出することで実質的な電極部分(通電部)が微小になり、例えばセンサとして用いた場合には高感度なセンサ電極となる。
以下、各材料について詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
−カーボンナノチューブ−
カーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブでも、二層以上の多層カーボンナノチューブでも構わない。いずれのカーボンナノチューブを用いるか、あるいは双方を混合するかは、適宜、選択すればよい。また、単層カーボンナノチューブの変種であるカーボンナノホーン(一方の端部から他方の端部まで連続的に拡径しているホーン型のもの)、カーボンナノコイル(全体としてスパイラル状をしているコイル型のもの)、カーボンナノビーズ(中心にチューブを有し、これがアモルファスカーボン等からなる球状のビーズを貫通した形状のもの)、カップスタック型ナノチューブ、カーボンナノホーンやアモルファスカーボンで外周を覆われたカーボンナノチューブ等、厳密にチューブ形状をしていないものも、カーボンナノチューブとして用いることができる。
さらに、カーボンナノチューブ中に金属等が内包されている金属内包ナノチューブ、フラーレン又は金属内包フラーレンがカーボンナノチューブ中に内包されるピーポッドナノチューブ等、何らかの物質をカーボンナノチューブ中に内包したカーボンナノチューブも、カーボンナノチューブとして用いることができる。
以上のように、本発明においては、一般的なカーボンナノチューブのほか、その変種や、種々の修飾が為されたカーボンナノチューブ等、いずれの形態のカーボンナノチューブでも、その反応性から見て問題なく使用することができる。したがって、本発明における「カーボンナノチューブ」には、これらのものが全て、その概念に含まれる。
カーボンナノチューブは相互に接触させることで、互いに電気的接続をした場合は、電極の折り曲げなどにより接触状態が変化し、機械的強度や電気的強度が変動し、十分な性能を発揮できないことがある、また、電気伝導度を高めるためにはカーボンナノチューブの充填量(封入量)を増加させなければならないが、そうすると絶縁体の量が減少し電極自体の機械的強度が低下してしまうことがある。
このため、カーボンナノチューブは、化学結合により互いが電気的に接続されたネットワーク構造を形成していることが、カーボンナノチューブ自体の電気伝導性や機械的強度、及び電極強度を向上させる観点から好適である。具体的には、官能基が結合した複数のカーボンナノチューブの官能基間を化学結合させて相互に網目構造を構成する架橋カーボンナノチューブ構造体が挙げられる。
架橋カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブの官能基間を化学結合させた架橋部位を有することになるが、この架橋部位としては、架橋剤により複数の官能基間を架橋した第1の構造、複数の官能基同士を化学結合により形成された第2の構造が好適に挙げられる。
第1の構造は、官能基の架橋反応後に残存する残基同士を、架橋剤の架橋反応後に残存する残基である連結基で連結した架橋構造となる。
架橋剤は、その特性として架橋剤同士が重合反応をするような性質(自己重合性)を有すると、当該架橋剤自身が2つ以上連結した重合体を連結基として構造体が含む状態となってしまう場合があり、架橋カーボンナノチューブ構造体中に占める実質的なカーボンナノチューブの密度が低くなるため、電極としては、電気伝導性や機械的強度が十分に得られない場合がある。
一方、架橋剤が非自己重合性であれば、カーボンナノチューブ相互の間隔を、使用した架橋剤の残基のサイズに制御することができるため、所望のカーボンナノチューブのネットワーク構造を高い再現性で得られるようになる。さらに架橋剤の残基のサイズを小さくすれば、電気的にも物理的にも極めて近接した状態に、カーボンナノチューブ相互の間隔を構成することができ、また、構造体中のカーボンナノチューブを密に構造化できる。
したがって、架橋剤が非自己重合性であれば、架橋カーボンナノチューブ構造体を、カーボンナノチューブ自身が有する電気特性ないし機械的特性を極めて高い次元で発揮することができるものとすることができる。なお、本発明において「自己重合性」とは、架橋剤同士が、水分等他の成分の存在の下、あるいは他の成分の存在なしに、相互に重合反応を生じ得る性質をいい、「非自己重合性」とは、そのような性質を有しないことを言う。
ここで、架橋剤として非自己重合性のものを選択すれば、カーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位が、主として同一の架橋構造となる。また、連結基としては、炭化水素を骨格とするものが好ましく、その炭素数としては2〜10個とすることが好ましい。この炭素数を少なくすることで、架橋部位の長さが短くなり、カーボンナノチューブ相互の間隙をカーボンナノチューブ自体の長さと比較して十分に近接させることができ、実質的にカーボンナノチューブのみから構成される網目構造の架橋カーボンナノチューブ構造体を得ることができる。
第1の構造において、官能基としては、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することが好ましく、その場合、架橋剤として、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得るものを選択する。
また、好ましい架橋剤としては、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミドおよびポリイソシアネートを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤を選択することが好ましく、その場合、前記官能基として、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得るものを選択する。
上記好ましい官能基として例示された群、および、上記好ましい架橋剤として例示された群より、それぞれ少なくとも1つの官能基および架橋剤を、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することが好ましい。
第1の構造において、官能基としては、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を特に好適なものとして挙げることができる。カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入することは、比較的容易であり、しかも得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)は、反応性に富むため、その後エステル化して官能基を−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)とすることは比較的容易である。この官能基は架橋反応しやすく、塗布膜形成に適している。
また、当該官能基に対応する前記架橋剤として、ポリオールを挙げることができる。ポリオールは、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)との反応により硬化し、容易に強固な架橋体を形成する。ポリオールの中でも、グリセリンやエチレングリコールは、上記官能基との反応性が良好であることは勿論、それ自体生分解性が高く、環境に対する負荷が小さい。
第1の構造において、架橋部位は、官能基が−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)であり、架橋剤としてエチレングリコールを用いた場合、−COO(CH22OCO−となり、前記架橋剤としてグリセリンを用いた場合、OH基2つが架橋に寄与すれば−COOCH2CHOHCH2OCO−あるいは−COOCH2CH(OCO−)CH2OHとなり、OH基3つが架橋に寄与すれば−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−となる。架橋部位の化学構造は上記4つからなる群より選ばれるいずれかの化学構造であっても構わない。
一方、第2の構造は、複数のカーボンナノチューブの官能基同士を化学結合により形成されている構造であるが、この化学結合を生ずる反応は脱水縮合、置換反応、付加反応および酸化反応のいずれかであることが好ましい。
第2の構造を有する架橋カーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブに結合された同官能基同士を化学結合により架橋部位を形成して網目状の構造体を形成しているため、結合させる官能基によってカーボンナノチューブ間を結合させる架橋部位のサイズが一定となる。カーボンナノチューブは極めて安定な化学構造であるため、修飾させようとした官能基以外の官能基等が結合する可能性は低く、この官能基同士を化学結合させた場合は、設計した構造の架橋部位とすることができ、架橋カーボンナノチューブ構造体を均質なものとすることができる。
第2の構造は官能基同士の化学結合であることから、官能基間を架橋剤を用いて架橋した場合に比べて、カーボンナノチューブ間の架橋部位の長さを短くできるので、架橋カーボンナノチューブ構造体が密となり、カーボンナノチューブ特有の効果を奏しやすくなる。
第2の構造において、官能基同士の化学結合としては、縮合反応では、−COOCO−、−O−、−NHCO−、−COO−および−NCH−から選ばれる一つ、置換反応では−NH−、−S−および−O−から選ばれる少なくとも一つ、付加反応では−NHCOO−、酸化反応では、−S−S−であることが好ましい。
また、反応前にカーボンナノチューブに結合させる官能基としては、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−X、−COX(Xはハロゲン原子)、−SH、−CHO、−OSO2CH3、−OSO2(C64)CH3−NH2および−NCOを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することが好ましい。
これらの中でも、官能基としては、−COOHを特に好適なものとして挙げることができる。カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入することは、比較的容易である。しかも得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)は、反応性に富み、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等の脱水縮合剤を利用することで、容易に縮合反応をおこし、塗布膜形成に適する。
このように、第1の構造、及び第2の構造のいずれの架橋部位を有する架橋カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブが複数の架橋部位を介して網目構造の状態となっているので、単なるカーボンナノチューブ同士が偶発的に接触しているだけで、実質的に孤立した状態とは異なり、カーボンナノチューブの優れた特性を安定的に活用することができる。
−触媒−
触媒は、例えば、微粒子或いは小片からなることが好適である。上述のように、電極部として機能する触媒を小さくすると検出感度を向上させることができるため、触媒の大きさは平均粒径で1nm〜100μmであることが好ましく、より好ましくは1nm〜10μmであり、さらに好ましくは1nm〜1μmである。
触媒としては、例えば、金属、金属酸化物、タンパク質、及びこれらを担持した炭素片などが挙げられる。金属としては、例えば、白金、銀、金、鉄、銅、シリコンなどが挙げられる。金属酸化物としては、例えば、白金黒、酵素、酸化鉄、酸化コバルト、酸化チタン、酸化すず、酸化インジウム、窒化ガリウム、酸化シリコン、シリコン、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化ハフニウム、酸化タングステンなどが挙げられる。タンパク質としては、酵素などが挙げられる。これらは、1種或いは2種以上で用いることもできるが、検出したい物質に応じて、その物質と化学反応が生じるものを適宜選択する。
−絶縁体−
絶縁体の材料としては、非導電性の材料であれば特に問題なく使用することができ、有機材料でも無機材料でも構わない。ここで非導電性とは、完全な絶縁材料であることは要求されず、一般に半導電性材料とされる程度の導電性であっても構わない。この絶縁体としての体積抵抗値は1×105Ωcm〜1×1010Ωcmの範囲内であることが好適である。
絶縁体の材料としては、成形性、加工性、精密性等の観点から、樹脂材料であることが好ましい。樹脂材料を用いれば、射出成形や塗布・乾燥による層形成等、従来公知の方法により容易かつ高精度に非導電性基材を形成することができる。
絶縁体の材料として使用可能な具体的な材料としては、非導電性能のみならず、外気遮断機能あるいは機械的保護機能の観点から、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化チタン、酸化ニオブ、ニオブ酸リチウム、チタン酸ストロンチウム、ダイヤモンド等の無機材料や、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、アミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアセタール、シリコーン樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、ポリエーテルケトン、ポリケトン等の各種樹脂材料やその他の有機材料を挙げることができる。
これらの中でも、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンを好適に用いることができる。
また、絶縁体はカーボンナノチューブと化学的に結合させてもよい。極めて伝導効率のよいカーボンナノチューブが絶縁体に化学的に結合した状態で封入された場合、カーボンナノチューブと絶縁体との密着度が高くなり、カーボンナノチューブが絶縁体内で変動しにくくなる。このため微量な物質を検出することができ、しかも液体を測定する際には電位窓が広くなる。
(本発明の電気化学測定用電極の製造方法)
本発明の電気化学測定用電極は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、絶縁体材料を溶剤に溶解して溶液を調整する。この溶液にカーボンナノチューブ及び触媒を分散させる。このようにして調整した混合液を基板上に電流抽出用導体を覆って塗布し、溶剤を蒸発させることで電極を得る。このようにすることで、通電部として絶縁体表面に触媒及びカーボンナノチューブが露出した電極を作製することができる。
なお、溶液中で比重の重い触媒が沈殿し、結果的に電極の下部に触媒が凝集する場合がある。この場合、基板上に塗布して電極を形成した後、基板から電極を剥がし、下面側(基板との当接面)を通電部として利用するとよい。
また、カーボンナノチューブ分散液を調整し、基板上に電流抽出用導体を覆って塗布する。そして、絶縁体材料及び触媒が分散された分散液を、カーボンナノチューブを覆うように塗布して溶剤を蒸発させた後、得られた構造体の一端を切断することで、切断面に触媒及びカーボンナノチューブを露出する。このようにすることで、切断面を通電部とした電極が作製される。
一方、カーボンナノチューブと触媒との電気的接続を図るためには、例えば二つの方法が挙げられる。第一の方法は、カーボンナノチューブ分散液に触媒を混合し、乳鉢もしくはボールミル等でよく混合してから塗布し電極を作製する方法である。第二の方法は以下のとおりである。まず始めに絶縁体材料を含む溶液にカーボンナノチューブを分散させ、電流抽出用導体を覆って塗布した後、溶剤を蒸発させる。次に、得られた構造体の一端を切断し、カーボンナノチューブを露出する。このようにして作製した電極表面に電解メッキなどで触媒をメッキすれば、露出したカーボンナノチューブの表面に触媒を確実に接続することができる。
また、上記のような方法で作製した電極中のカーボンナノチューブは絶縁性体中で単に接触しているだけであり、折り曲げ等により接触状態が変化し、機械的強度や電気的特性が変動し、十分性能を発揮できない。また、電気伝導度を高めるためにはカーボンナノチューブの充填量を増加させなければならないが、そうするとバインダーである絶縁性物質量が減少し、電極自体の機械的強度が低下してしまう。
このため、上述した架橋カーボンナノチューブ構造体を用いることが好適である。例えば、カーボンナノチューブ構造体に、絶縁体材料及び触媒を含む溶液を含浸させることで、化学結合により互いが電気的に接続されたネットワーク構造(網目構造)を構成するカーボンナノチューブを含む電極を作製することができる。
また、得られた電極は、目的に応じたパターンにパターニングすることもできる。この段階においては既に電極構造自体が安定化しており、この状態でパターニングをするため、パターニング工程においてカーボンナノチューブが飛散してしまうといった不具合が生じる懸念が無く目的に応じたパターンにパターニングすることが可能となる。
このパターニング工程としては、以下A及びBの2つの態様を挙げることができる。
A:前記基体表面における目的に応じたパターン以外の領域の電極に、ドライエッチングを行うことで、当該領域の電極を除去し、電極を目的に応じたパターンにパターニングする工程である態様。
目的に応じたパターンにパターニングする操作としては、前記パターニング工程がさらに、目的に応じたパターンの領域の電極の上に、マスク層(好ましくは、フォトレジスト等の樹脂層もしくは金属マスク)を設けるマスク形成工程と、基板の電極及びマスク層が積層された面に、ドライエッチングを行う(好ましくは、酸素分子のラジカルを照射。当該酸素分子のラジカルは、酸素分子に紫外線を照射することにより、酸素ラジカルを発生させ、これを利用することができる。)ことで、前記領域以外の領域で表出している電極を除去する除去工程と、の2つの工程に分かれている態様が挙げられる。この場合、除去工程に引き続いてさらに、マスク層形成工程で設けられたマスク層が前記フォトレジスト等の樹脂層である場合には、樹脂層を剥離する樹脂層剥離工程を含むことで、パターニングされた電極を表出させることができる。
また、この態様においては、目的に応じたパターンにパターニングする操作としては、目的に応じたパターン以外の領域の電極に、ガス分子のイオンをイオンビームにより選択的に照射することで、当該領域の電極を除去し、電極を目的に応じたパターンにパターニングする態様が挙げられる。
B:カーボンナノチューブをグリセリン等に分散させ、硫酸等の脱水触媒を添加した液(以下カーボンナノチューブ分散液)、もしくは、前記ゲル状のポリマー(組成物)にカーボンナノチューブを分散させ硫酸等の脱水触媒を添加したゲル(以下カーボンナノチューブ分散ゲル)を作製し、目的に応じたパターンに印刷する印刷工程と、カーボンナノチューブ分散液、もしくはカーボンナノチューブ分散ゲルを熱硬化させる熱硬化工程と、を含む工程である態様。
なお、パターニングするには、A,Bいずれの態様でもかまわない。
以上、本発明の電気化学測定用電極は、好適な形態を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、本発明の構成を具備する限り、従来公知のいかなる構成をも転用及び/又は付加することができる。
以下、本発明について実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
カルボン酸修飾カーボンナノチューブを、以下のように合成した。多層カーボンナノチューブ(MWCNT)粉末(純度90%、平均直径30nm、平均長さ3μm;サイエンスラボラトリー製)30mgを濃硝酸(60質量%水溶液、関東化学製)20mlに加え、120℃の条件で還流を20時間行い、カーボンナノチューブカルボン酸を合成した。溶液の温度を室温に戻したのち、5000rpmの条件で15分間の遠心分離を行い、上澄み液と沈殿物とを分離した。回収した沈殿物を純水10mlに分散させて、再び5000rpmの条件で15分間の遠心分離を行い、上澄み液と沈殿物とを分離した(以上で、洗浄操作1回)。この洗浄操作をさらに5回繰り返し、最後に沈殿物を回収することでカルボン酸修飾カーボンナノチューブを得た。
上記で得られたカルボン酸修飾ナノチューブ0.02gを、グリセリン(関東化学製)1ml、測定用触媒としての白金黒(平均粒径10μm、和光純薬製)0.2g、濃硫酸(98質量%水溶液、関東化学製)10μlと混合した。この混合液1mlをアルミホイル上に滴下し、190℃で15分間加熱した。硬化したことを確認した後、さらに280℃で30分間加熱した。このようにしてカーボンナノチューブと白金黒が分散された電極を得た。この電極には、カーボンナノチューブ及び白金黒の一部が露出して通電部を構成している。また、カーボンナノチューブの一部が電流抽出用導体としてのアルミホイルと接触している。なお、グリセリン単独で得られたポリエーテルケトンの体積抵抗値は、1×108Ωcmであった。
作製した電極を図4に示す構成の検出装置に配置し、過酸化水素の検出を行った。作製した電極をはさみで任意の形に切り取り、作用電極と対電極として配置した。また、参照電極としてAg/AgCl電極を配置した。電解液は塩化カリウム(和光純薬製)の0.1M水溶液を使用した。これらの電極を用いて0pM、1pM(=10-12M)、10pM、100pMの濃度に調整した過酸化水素のサイクリックボルタンメトリーを測定した。測定結果を図5に示す。
図5からわかるように、−1.8V付近に過酸化水素の還元ピークを観測することができた。ここで還元ピークの電流値を過酸化水素濃度に対してプロットすることで図6を得た。このように、1pMの濃度の過酸化水素を検出できることが分かった。さらに、+3.2V〜−3.2Vの範囲で電位を掃印しても溶媒の電気分解が起こらず、少なくとも6.4V以上の広い電位窓を有していることが分かった。
ここで、図4に示す検出装置は、ポテンシオスタット30と、ポテンシオスタット30に連結された対電極32、作用電極34及び参照電極36からなる。但し、作用電極34は電流計38を介してポテンシオスタット30に連結され、作用電極10と参照電極36とは電圧計40を介して連結されている。図中、42は過酸化水素の電解質水溶液を示し、44は容器を示す。
[実施例2]
実施例1と同様な方法で、0fM、1fM(=10-15M)、10fM、100fMの濃度に調整した過酸化水素のサイクリックボルタンメトリーを測定した。各濃度における過酸化水素の還元ピークにおける電流値を濃度に対してプロットした結果を図7に示す。この結果から、1fMまでの過酸化水素を検出できることが分かった。
[比較例1]
電気化学測定で一般的に使われている白金電極(表面積10mm×30mm、厚さ100μ程度:検体が触れるのは表面積部分)を作用電極と対電極として配置し、過酸化水素の検出を行った。その際、作用電極のみ電解鍍金で表面全体を白金黒で覆って使用した。また、参照電極としてAg/AgCl電極を配置した。電解液は塩化カリウム(和光純薬製)の0.1M水溶液を使用した。この電極では1μMの濃度までは測定ができたが、それ以下の濃度では過酸化水素を検出することができなかった。
本発明の実施形態に係る電気化学測定用電極を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は断面図を示す。 本発明の実施形態に係る電気化学測定用電極の通電部を示す概略部分断面図である。 本発明の実施形態に係る電気化学測定用電極の通電部を示す概略部分断面図である。 実施例で用いる検出装置を示す概略構成図である。 実施例1で得られた各濃度の過酸化水素のサイクリックボルタモグラムである。 実施例1で得られた還元ピークの電流値と過酸化水素濃度の関係図である。 実施例2で得られた還元ピークの電流値と過酸化水素濃度の関係図である。
符号の説明
10 電気化学測定用電極
12 カーボンナノチューブ
14 測定用触媒
16 絶縁体
18 電流抽出用導体
20 基板
22 通電部

Claims (10)

  1. カーボンナノチューブと、特定の化学反応を起こす触媒と、前記カーボンナノチューブ及び前記触媒を封入する絶縁体と、を含んで構成され、
    前記触媒の一部が前記絶縁体表面に露出すると共に、前記カーボンナノチューブの一部が前記絶縁体表面に露出した通電部を有することを特徴とする電気化学測定用電極。
  2. カーボンナノチューブと、特定の化学反応を起こす触媒と、前記カーボンナノチューブ及び前記触媒を封入する絶縁体と、を含んで構成され、
    前記触媒の一部が前記絶縁体表面に露出すると共に、前記露出した触媒に前記カーボンナノチューブの一部が電気的に接続された通電部を有することを特徴とする電気化学測定用電極。
  3. 前記カーボンナノチューブは互いに電気的に接続された複数のカーボンナノチューブから構成され、前記通電部は前記絶縁体表面に前記絶縁体を介して複数箇所で露出した前記複数のカーボンナノチューブの一部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気化学測定用電極。
  4. 前記カーボンナノチューブは複数のカーボンナノチューブから構成され、前記複数のカーボンナノチューブは化学結合により互いが電気的に接続されたネットワーク構造を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気化学測定用電極。
  5. 前記触媒は、金属、金属酸化物、タンパク質、及びこれらを担持した炭素片よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気化学測定用電極。
  6. 前記金属は、白金、銀、金、鉄、銅、シリコンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載の電機化学測定用電極。
  7. 前記金属酸化物は、白金黒、酵素、酸化鉄、酸化コバルト、酸化チタン、酸化すず、酸化インジウム、窒化ガリウム、酸化シリコン、シリコン、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化ハフニウム、酸化タングステンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載の電気化学測定用電極。
  8. 前記タンパク質は、酵素から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載の電気化学測定用電極。
  9. 前記絶縁体の体積抵抗値は、1×105Ωcm〜1×1010Ωcmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気化学測定用電極。
  10. 前記絶縁体の材料は、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンよりなる群から選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気化学測定用電極。
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