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JP2005296821A - 気体分離複合膜 - Google Patents
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JP2005296821A - 気体分離複合膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】 気体分離層の浮き上がり、破れの発生を抑制しながら低コストで製造することが可能で、且つ、気体透過性に優れる気体分離複合膜を得ること。
【解決手段】 支持体上に気体分離層を備える気体分離複合膜であって、支持体10は、未延伸のエチレン系高分子の多孔質体からなり、気体分離層20は、ゴム状態又は溶融状態である相と、ガラス状態又は結晶状態である相とに相分離した高分子の薄膜からなる、気体分離複合膜100。
【選択図】 図1

Description

本発明は、気体分離複合膜、及び気体分離複合膜が備える支持体に用いるための多孔質体の製造方法に関するものである。
気体分離膜は、酸素、窒素及び二酸化炭素などのガスを空気から分離する、若しくはこれら気体の濃度を高める(濃縮する)目的、または、燃焼系、反応系などから混入した一酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物等の毒性の強いガスを除去する目的等に使用される。特に、燃焼機器、空調機器、医療機器、健康機器等の分野においては、空気中の酸素の濃縮が注目され、酸素富化を目的とする気体分離膜(以下、「酸素富化膜」という。)の開発がこれまでにも行われてきた。
例えば、酸素富化膜に用いる材料として知られているシロキサン系ポリマーは、酸素と窒素との分離係数(PO2/PN2)が1.5〜2.5[−]、酸素の透過係数が1×10−8〜1×10−9[cm3(STP)・cm/cm2・sec・cmHg](例えば、特許文献1参照。)であり、このシロキサン系ポリマーからなる膜厚100nm程度の薄膜に空気を透過させることで、酸素富化された空気が得られる。
上記のような薄膜は、単独では取り扱いが困難であるので、通常、これが気体分離膜として支持体上に積層された気体分離複合膜が、酸素富化等の目的のために使用される。
薄膜を積層する支持体としては、通気性のある多孔質体が用いられる場合が多い。気体分離複合膜に用いる多孔質体としては、例えば、ポリイミドからなる多孔質体(例えば、特許文献2参照。)や、フッ素樹脂からなる多孔質体(例えば、特許文献3参照。)等が知られているが、これらの多孔質体は機械強度等の点で優れるものの高価であるために、より安価な材料であるエチレン系系高分子からなる多孔質体が、汎用的に用いられる。
エチレン系高分子からなる多孔質体を得る方法としては、シリカ等の粒子を混合したエチレン系高分子を延伸することにより、粒子界面を開口させて得る延伸法(例えば、特許文献4参照。)や、エチレン系高分子に液剤を混合して所定の形状としたものから、液剤を抽出して得る抽出法(例えば、特許文献5参照。)、およびエチレン系高分子の微粉末を焼結して得る焼結法(例えば、特許文献6参照。)等が知られている。これらの中でも、延伸法による多孔質体がもっとも安価であり、電子機器や建材など様々な用途に使用されている。
特開昭56−26504号公報 特開2001−145826号公報 特開平3−179038号公報 特開平3−80923号公報 特開平4−170446号公報 特開2002−265657号公報
気体分離複合膜を得る方法としては、高分子の有機溶剤溶液を、表面張力を利用して水面に展開することにより高分子の薄膜を形成させ、この薄膜を支持体で掬いとり、水分を除去する方法(以下、「水面展開法」という。)が、好適に用いられる。水面展開法によれば、膜厚100nm以下の薄膜からなる気体分離層を効率的に形成させることができる。
しかし、延伸法によって得られたエチレン系高分子の多孔質体を支持体とした場合、水面展開法等のような、材料と水との接触を伴う製造法で得られた気体分離複合膜においては、支持体上に積層された気体分離層が支持体から浮き上がったり、気体分離層の破れが生じたりしやすいという問題があった。
このような浮き上がりや破れが生じると、気体分離複合膜の機能を果たすことが困難であり、特に、水面展開法等を採用する場合、気体分離複合膜を効率的に得るためには、浮き上がりや破れの発生を抑制することが強く求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、気体分離層の浮き上がり、破れの発生を抑制しながら低コストで製造することが可能で、且つ、気体透過性に優れる気体分離複合膜を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の気体分離複合膜は、支持体上に気体分離層を備える気体分離複合膜であって、上記支持体は、未延伸のエチレン系高分子の多孔質体からなり、上記気体分離層は、ゴム状態又は溶融状態である相と、ガラス状態又は結晶状態である相とに相分離している高分子の薄膜からなることを特徴とするものである。
このような支持体と気体分離層とを組み合わせた構成とすることにより、気体分離層の浮き上がり、破れの発生を抑制しながら低コストで製造することが可能で、且つ、気体透過性に優れる気体分離複合膜が得られる。
水面展開法を採用する場合、支持体における吸水及び脱水を伴うため、この吸水及び脱水の過程における寸法安定性に優れる多孔質体を支持体として用いることが、得られる気体分離複合膜における浮き上がりや破れの発生を抑制するために有効と考えられる。
そして、未延伸のエチレン系高分子の多孔質体は、延伸法によって得られたエチレン系高分子の多孔質体と比較して、吸水及び脱水の過程における寸法安定性が優れることを、本発明者らは見出した。これは、延伸されたエチレン系高分子の多孔質体においては、延伸の際に印加された歪みが残存しており、吸水により多孔質体の開気孔を満たした水分が除去されたときの浸透圧からの開放を機に、上記歪みが解消されるように多孔質体の収縮が起こるのに対して、未延伸のエチレン系高分子からなる多孔質体においては、上記のような歪みが残存していないためであると推察される。
しかし、上記のような寸法安定性に優れた支持体を用いたとしても、支持体と気体分離層との密着性が不足すると、浮き上がりが発生しやすくなる場合があり、この密着性を高めることも重要であることが明らかとなった。
この知見を基に、さらに検討を重ねた結果、上記支持体に、特定の高分子、すなわち、ゴム状態又は溶融状態である相と、ガラス状態または結晶状態である相とに相分離した高分子を気体分離層として組み合わせることによって、気体分離層の強度や耐熱性を保持しながら、支持体と気体分離層との密着性が高められ、浮き上がりの防止等についての充分な効果が得られることを見出し、上記本発明の完成に至った。
上記のような高分子は、ゴム状態又は溶融状態である相が変形しやすい性質を有することから、高分子全体としては伸びやすいものとなる。したがって、気体分離層が、形状追従性に優れるものとなり、支持体と気体分離層との間に空気が抱き込まれて気体分離層が浮いた箇所が生じたとしても、支持体表面形状に沿うように気体分離層が徐々に変形することによって、最終的な浮き上がりが抑えられる。
支持体を構成するエチレン系高分子は、一般に他の高分子との化学的な親和性には乏しいとされるが、上記のような特定の高分子の薄膜との組み合わせにおいては、良好な密着性が得られる。
また、気体分離層は、下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン骨格と、下記一般式(2)で表されるイミド骨格と、を含有する高分子の薄膜であってもよい。
Figure 2005296821
Figure 2005296821
[式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に1価の脂肪族基又は1価の芳香族基、Xは4価の芳香族基、Y、Z及びZはそれぞれ独立に2価の脂肪族基又は2価の芳香族基、rは正の整数、をそれぞれ示す。]
このような、オルガノポリシロキサン骨格及びイミド骨格を含有する高分子(以下、「ポリイミドシロキサン」という。)を含む薄膜は、オルガノポリシロキサン骨格を含有することによって形状追従性に優れ、エチレン系高分子からなる多孔質体との密着性が改善される。したがって、上記のような寸法安定性に優れる支持体との組み合わせによって、浮き上がり、破れの発生が抑制され、また、特に酸素富化に好適な気体分離層が得られる。
上記ポリイミドシロキサンは、その構造においてオルガノポリシロキサン骨格からなる直鎖状の分子鎖が螺旋状に巻いた状態となっており、この螺旋が気体を透過させる経路として機能するために、気体の透過性が高いと考えられる。さらに、オルガノポリシロキサン骨格は、酸素原子を豊富に含み、酸素ガスの溶解度が高いために、酸素を優先的に透過すると考えられる。
ポリイミドシロキサンは、上記のオルガノポリシロキサン骨格を、ポリイミドシロキサンの質量基準で35質量%以上含有することが好ましい。オルガノポリシロキサン骨格の含有量を35質量%以上とすることで、薄膜がより伸びやすいものとなり、また、得られる気体分離複合膜の気体透過性がより高まる。
なお、上記のようなポリイミドシロキサンは、通常、オルガノポリシロキサン骨格を主成分とする相(以下、「シロキサン相」という。)と、イミド骨格を主成分とする相(以下、「イミド相」という。)とにミクロ相分離しており、室温において、シロキサン相はゴム状態又は溶融状態、イミド相はガラス状態となる。イミド相を有することによって、ポリイミドシロキサン全体としての耐熱性や機械強度が保たれる。
上記高分子は、支持体との密着性をより高めるために、伸びが80%以上の高分子であることが好ましい。
また、高分子の薄膜は、上記高分子を水面上に展開して得られる薄膜であることが、気体分離層の膜厚を薄くすることが容易であり、気体透過性に優れる気体分離複合膜が効率的に得られるため、好ましい。
未延伸のエチレン系高分子の多孔質体は、20℃の水に10秒間浸漬され、さらに23±2℃で1時間放置されたときの収縮率が0〜10%であることが好ましい。収縮率を上記のような範囲とすることにより、浮き上がりや破れの抑制効果がより得られやすくなる。
また、この多孔質体は、孔壁に凝集性微粒子が付着した開気孔が形成されたものであることが、寸法安定性が特に優れる点や、下記のような本発明の多孔質体の製造方法を採用することによって効率的に得ることができる点で、好ましい。
本発明はまた、気体分離複合膜の支持体に用いるための多孔質体の製造方法であって、凝集性微粒子と、液剤と、未延伸のエチレン系高分子とを混合した混合物から液剤を除去することを特徴とする。この製造方法によって得られる多孔質体は寸法安定性に優れ、例えば上記本発明の気体分離複合膜の支持体として好適に用いることができる。
本発明によれば、気体分離層の浮き上がり、破れの発生を抑制しながら低コストで製造することが可能で、且つ、気体透過性に優れる気体分離複合膜が得られる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(気体分離複合膜)
図1は、本発明の一実施形態に係る気体分離複合膜を模式的に示す断面図である。図1に示す気体分離複合膜100は、シート状の支持体10と、支持体10上に設けられた気体分離層20とを備えている。
支持体10は、未延伸のエチレン系高分子を含む多孔質体からなる。エチレン系高分子は疎水性高分子であることから、気体分離層20を形成させる方法として、水面展開法等を採用するのに適している。また、フッ素樹脂やポリイミド樹脂等の他の疎水性高分子と比較して安価であるという利点も有する。
エチレン系高分子は、主としてポリエチレン骨格からなる重合体であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−不飽和エステル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体等が挙げられる。
これらのなかでも、結晶化度が高く、安価で、後述する方法(抽出法)で多孔質体を得るのに適している等の点で、ポリエチレンが好ましい。さらに、ポリエチレンは、結晶化度が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。結晶化度が高いと、抽出法で用いる液剤を取り込み難い点や、耐熱性の点等で有利である。
また、ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(密度:0.95〜0.98g/cm)が、短鎖の分岐が少なく、結晶化度が高い等の点で好ましい。さらに、高密度ポリエチレンのなかでも、分子量が100万以上である、いわゆる超高分子量ポリエチレンが、破断強度などの機械物性が高い点や、その融点である135℃以上においても流動して変形することがなく、耐熱性に優れている点等でより好ましい。
未延伸のエチレン系高分子は、その製造される工程において延伸の操作を受けていないエチレン系高分子であり、この未延伸のエチレン系高分子を含む多孔質体からなる支持体は、水分の吸着及び脱水の過程における寸法安定性に優れる。通常、延伸法によるエチレン系高分子は、その機械強度を向上させること等を目的として、延伸倍率2倍程度以上で延伸されて製造されるが、本発明では、そのような延伸をされていないエチレン系高分子を用いる。
一般に、エチレン系高分子のような結晶性の高分子からなる材料においては、溶融状態から冷却される際に、ラメラ晶といわれる結晶が生じる。材料が延伸されたときには、延伸される方向に沿って分子鎖が配向されるのに伴って、このラメラ晶が消失していく傾向にあるため、エチレン系高分子が未延伸であることは、このラメラ晶の大部分が残存していることから確認できる場合がある。
なお、支持体10としての多孔質体は、未延伸のエチレン系高分子のみで構成されることが好ましいが、必要に応じて、可塑剤等の他の成分をさらに含んでいてもよい。
支持体10として用いる多孔質体は、20℃の水に10秒間浸漬され、さらに23±2℃で1時間放置されたときの収縮率が0〜10%であることが好ましく、0〜1%であることがより好ましい。ここで、この収縮率は、縦50〜150mm、横50〜150mm、厚さ0.05〜1.00mmのシート状の多孔質体を、上記の条件で処理したときに、その処理前後における縦又は横の長さの変化率(処理後/処理前)として定義される値とする。未延伸のエチレン系高分子を用いて、後述する方法によって得られる多孔質体の場合、通常、その収縮率は上記範囲内のものとなる。
また、支持体10は、孔壁に凝集性微粒子が付着した開気孔が形成された多孔質体からなることが、寸法安定性が特に優れる点等から、好ましい。
支持体10の形状は、気体分離複合膜100においてはシート状であるが、この変形態様として、チューブ状、粒状、バルク状等であってもよい。ただ、空気を透過及び分離する際の簡便性を考慮すると、シート状であることが好ましい。支持体10がシート状である場合、その厚さは、20〜300μmあることが好ましく、50〜100μmであることがより好ましい。支持体10の厚さが20μm未満であると機械的強度が低下して取扱性が悪化する傾向があり、また、300μmを超えると空気の透過の際に抵抗が大きくなる傾向にある。
支持体10に用いる多孔質体においては、外気と通じている開気孔が形成されていることが好ましく、その平均孔径は、気体分離層20の厚さに対して3倍以下であることが好ましい。平均孔径がこれよりも大きい場合、気体分離複合膜100の使用時に気体分離層20が破れてしまいやすくなる傾向にある。本発明においては、気体分離層20の厚さが10〜1000nmであることが好ましいが、これに組み合わせる多孔質体における平均孔径は30〜3000nmであることが好ましく、30〜100nmであることがより好ましい。
多孔質体の空隙率は、30体積%未満であると空気の透過の際に抵抗が大きくなる傾向にあり、80体積%を超えると機械的強度が低下して取扱性が悪化する傾向にあるため、30〜80体積%であることが好ましく、40〜60体積%であることがより好ましい。
以上述べたような多孔質体からなる支持体10は、例えば、後述するように、凝集性微粒子を用いた抽出法によって、好適に得ることができる。
気体分離層20は、ゴム状態又は溶融状態である相(以下、「ソフト相」という。)と、ガラス状態又は結晶状態である相(以下、「ハード相」という。)とに相分離した高分子、又は、上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン骨格と、上記一般式(2)で表されるイミド骨格とを含有する高分子(ポリイミドシロキサン)の薄膜からなる。ソフト相においてはゴム状態の領域と溶融状態の領域が混在してもよいし、ハード相においてはガラス状態の領域と結晶状態の領域とが混在してもよい。
上記の、ソフト相及びハード相に相分離している高分子においては、通常、これら二つの相からなるミクロ相分離構造が形成されている。ソフト相は、常温よりも低温の領域にてガラス転移現象を示し、常温では、ゴム状態または溶融状態となる相である。一方、ハード相は常温以下ではガラス転移せず、常温を超えた、より高温でガラス転移または溶融する相である。ソフト相を構成する成分とハード相を構成する成分とは、耐熱性の点等から、少なくとも一部が共有結合で結合されていることが好ましい。そのような高分子としては、例えば、主としてソフト相を構成する骨格(ソフトセグメント)と、主としてハード相を構成する骨格(ハードセグメント)とを含有する共重合体が好適である。
高分子がこのようなソフト相及びハード相に相分離していることは、例えば、動的粘弾性測定を行ったときに、常温以下のガラス転移点(第一の転移点)と、高温でのガラス転移点または溶融点(第二の転移点)とが観測されることで確認できる。
この第一の転移点は通常20℃以下であり、−20℃以下であることがより好ましい。一方、第二の転移点は通常100℃以上であり、130℃以上であることがより好ましい。なお、これら転移点は、測定周波数1Hz、昇温速度10℃/分の動的粘弾性測定で測定される値とする。
気体分離層20の一部が、支持体10から剥がれて浮き上がってしまう現象(浮き上がり)の発生を抑制する効果は、一つには、上記のような高分子の薄膜が、伸びやすい性質を有していることに起因していると考えられる。
支持体10上に気体分離層20を形成させたとき、支持体を構成するエチレン系高分子11と気体分離層20との間に抱き込まれた空気によって、例えば、図2に示すように空隙30が形成され、その部分の気体分離層20が浮き上がった状態となることがある。このような状態となった場合でも、気体分離層20が伸びやすい性質を有していれば、経時的に空隙30近傍の気体分離層20がエチレン系高分子11表面の凹凸に沿うように変形して、数10秒〜数分のうちには空隙30が消失し、結果的に浮き上がりもなくなると考えられる。
浮き上がり抑制の効果をより高めるために、気体分離層20としての薄膜を構成する高分子は、その伸びが80%以上であることが好ましく、500%以上であることがより好ましい。ただし、この伸びは、薄膜を構成する高分子からなる試験片について、JIS K7311に規定される方法におって引張試験を行って得られる値とする。本発明者らの検討の結果、このパラメータを指標とすることが、エチレン系高分子11で構成される支持体10と、気体分離層20との密着性の指標として有効であることが明かとなった。
伸びが80%未満であると、図2に示すように空隙30が形成された状態が長期的に維持される傾向にある。この場合、気体分離複合膜100に僅かな外力が加わったときでも、空隙30を形成している部分の気体分離層が裂けてしまう場合がある。一方、伸びが500%を超える高分子の場合は、空隙30が形成されたとしても、極めて短時間で消失する。
また、伸びが80%以上の薄膜の場合、空隙30が形成された部分に、圧縮エアーを吹き付けると、空隙30中の空気が支持体10の開気孔を通じて抜けるので、空隙30が消失するまでの時間を短縮することもできる。この方法は、伸びが80%以上の薄膜の場合はほぼ問題なく行うことができるが、薄膜の伸びが80%未満である場合にこの方法を採用すると、薄膜が空気圧で破れやすくなる傾向にある。
気体分離層20の厚さは10〜1000nmであることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。厚さが1000nmを超えると気体透過性が充分でなくなる傾向にあり、10nm未満ではその取り扱い性が低下する傾向にある。なお、気体分離層20の厚さは、例えば、気体分離層20の一部を支持体10上から除去し、気体分離層20が残っている場所と除去された場所との段差を、AFM等で測定することによって定量できる。
上記の高分子において、ソフト相を主として構成する骨格(ソフトセグメント)としては、エチレン−ブチレン共重合体、エチレン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル系重合体、オルガノポリシロキサンなどからなる骨格が挙げられる。これらのなかでも、気体透過性の点から、オルガノポリシロキサン骨格が好ましい。
ハード相を主として構成する骨格(ハードセグメント)としては、ポリエチレンなどの結晶性の重合体、又は、ポリイミド、ポリカーボネートなどの非晶質の剛直な骨格が挙げられる。これらのなかでも、耐熱性等の点から、ポリイミドが好ましい。
ポリイミドシロキサンにおいては、通常、主としてオルガノポリシロキサン骨格からなるソフト相と、主としてイミド骨格からなるハード相とからなる、ミクロ相分離構造が形成されている。気体分離層20は、気体透過性、酸素富化、耐熱性、機械強度等の点から、このポリイミドシロキサンを含む薄膜からなることが特に好ましい。
ポリイミドシロキサンとしては、すでに上に挙げた、下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン骨格と、下記一般式(2)で表されるイミド骨格とを含有するものが好適である。なお、オルガノポリシロキサン骨格とイミド骨格とは、互いにブロック状に結合していても良く、ランダムに結合していても良い。
Figure 2005296821
Figure 2005296821
上記のポリイミドシロキサンにおいて、ソフトセグメントであるオルガノポリシロキサン骨格の含有量は、ポリイミドシロキサン全体を基準として、35質量%以上であることが好ましく、35〜97質量%であることがより好ましく、40〜97質量%であることがさらに好ましい。オルガノポリシロキサンの含有量が大きいと、ポリイミドシロキサンの機械特性はエラストマー的な傾向が強くなり、柔軟性と伸縮性に富むものとなる。この含有量を35質量%以上とすることで、気体分離層20が特に伸びやすくなり、35質量%未満の場合と比較して、支持体10との密着性がより良好になる。また、この含有量が97質量%を超えると耐熱性や機械強度が低下する傾向にある。
このポリイミドシロキサンは、例えば、下記一般式(3)で表される骨格からなる繰り返し単位(上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン骨格を含んでいる)と、上記一般式(2)で表されるイミド骨格からなる繰り返し単位とを有するものであってもよい。
Figure 2005296821
また、ポリイミドシロキサンは、下記一般式(4)で表される繰り返し単位を有するものであってもよい。なお、式(4)のnは正の整数を示す。
Figure 2005296821
上記一般式(1)〜(4)におけるR、R、R及びRは、それぞれ独立に1価の脂肪族基又は1価の芳香族基を示し、これらはフッ素原子で置換されていてもよい。1価の脂肪族基としては、1価の飽和炭化水素基又は1価の不飽和炭化水素基が挙げられる。1価の飽和炭化水素基としては炭素数1〜22のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が例示できる。1価の不飽和炭化水素基としては炭素数2〜22のアルケニル基が挙げられ、例えば、ビニル基、プロペニル基が例示できる。1価の芳香族基としては、炭素数6〜24のアリール基、アラルキル基等が例示できる。R、R、R及びRとしては、特に、メチル基又はフェニル基が好ましい。また、rは正の整数を示し、10〜10,000の整数であることが好ましい。
また、上記一般式(1)〜(4)におけるXは、4価の芳香族基を示し、下記一般式(5a)〜(5k)、(5m)、(5n)、(5p)及び(5q)でそれぞれ表される4価の芳香族基であることが好ましい。
Figure 2005296821
Figure 2005296821
Figure 2005296821
Figure 2005296821
Figure 2005296821
Figure 2005296821
Figure 2005296821
Figure 2005296821
上記式(5a)〜(5k)、(5m)、(5n)、(5p)及び(5q)において、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はフェニル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、トリフルオロメチル基又はフェニル基を示す。sは正の整数を示し、好ましくは1〜20の整数である。また、R及びR10は、それぞれ独立にトリフルオロメチル基又はフェニル基を示し、Aは、エチレン基又は下記一般式(6a)〜(6c)で表される2価の芳香族基を示す。
Figure 2005296821
また、上記一般式(1)〜(4)において、Z及びZは、それぞれ独立に2価の脂肪族基又は2価の芳香族基を示し、これらの基はフッ素原子で置換されていてもよい。2価の脂肪族基としては、2価の飽和炭化水素基又は2価の不飽和炭化水素基が挙げられる。2価の飽和炭化水素基としては炭素数1〜22のアルキレン基が挙げられ、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が例示できる。2価の不飽和炭化水素基としては、炭素数2〜22の不飽和炭素水素基が挙げられ、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、末端に不飽和二重結合を有するアルキレン基が例示できる。2価の芳香族基としては炭素数6〜24のフェニレン基、アルキル基で置換されたフェニレン基、アラルキレン基等が例示できる。Z及びZとしては、特に、プロピレン基、フェニレン基、アラルキレン基が好ましい。
また、上記一般式(1)〜(4)おけるYは、2価の脂肪族基又は2価の芳香族基を示し、下記一般式(7)又は下記一般式(8)で表される2価の芳香族基であることが好ましい。式(8)において、tは正の整数を示し、1〜22の整数であることが好ましい。
Figure 2005296821
Figure 2005296821
気体分離層20に用いるポリイミドシロキサンは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜50,000であることがより好ましい。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位及び上記一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドシロキサンは、下記一般式(9)で表される、末端にアミノ基を有するオルガノポリシロキサン(以下、「シロキサンジアミン」という)、及び、下記一般式(10)で表されるシロキサンを含まないジアミンからなるジアミン混合物と、多塩基酸の二無水物とを脱水縮合反応させて得ることができる。この脱水縮合反応は、従来公知の方法を採用して行うことができる。なお、以下の説明における化学式中の符号は、上記化学式における内容と同様の構造を示す。
Figure 2005296821
Figure 2005296821
多塩基酸の二酸無水物としては、下記一般式(11)で表されるテトラカルボン酸の二無水物が好適に使用される。
Figure 2005296821
上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンの市販品として入手できるものとしては、X−22−9409、X−22−1660B、X−22−161AS、X−22−161A、X−22−161B(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記一般式(10)で表されるジアミンとしては、芳香族ジアミンが好適に使用される。芳香族ジアミンとしては、例えば、下記式(12)又は下記一般式(13)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005296821
Figure 2005296821
上記一般式(13)で表される芳香族ジアミンとしては、4,4´−ジアミノフェノキシメタン、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェノキシ)デカン、1,11−ビス(4−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,12−ビス(4−アミノフェノキシ)ドデカン、1,13−ビス(4−アミノフェノキシ)トリデカン、1,14−ビス(4−アミノフェノキシ)テトラデカン、1,15−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタデカン、1,16−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキサデカン、1,17−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタデカン、1,18−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタデカン、1,19−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナデカン、1,20−ビス(4−アミノフェノキシ)イコサン等が挙げられる。これらは、単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記一般式(11)で表されるテトラカルボン酸の二酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、メチルピロメリット酸二無水物、トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、フェニルピロメリット酸二無水物、ジフェニルピロメリット酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2´−ジフェニル−3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2´−ジトリフルオロメチル−3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルヘキサフルオロイソプロピリデンテトラカルボン酸二無水物、1,1´−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルイソプロピリデンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ベンゾスルフィドテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ベンゾスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルアミンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルアミドテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフロロプロパン二無水物、4,4´−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4´−オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フォスフィンオキサイド二無水物等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記一般式(4)で表される繰り返し単位を有するポリイミドシロキサンは、末端に酸無水物基を有するポリイミドに、上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンを反応させて得ることができる。
なお、気体分離層20としての薄膜は、上述したようなポリイミドシロキサン等の高分子のみで構成されていることが好ましいが、必要に応じて、可塑剤、無機粒子などの他の成分をさらに含んでもよい。
(気体分離複合膜の製造方法)
以上説明したような気体分離複合膜100を得るための好適な製造方法について、支持体10として用いる多孔質体の製造方法、支持体10の上に気体分離層20を形成させる方法の順に、以下に詳細に説明する。
支持体10として用いる多孔質体は、凝集性微粒子と、液剤と、未延伸のエチレン系高分子とを混合した混合物から液剤を除去する方法によって、好適に得ることができる。凝集性微粒子を用いることにより、液剤を除去する際の多孔質体全体の体積変化を小さくすることができ、得られる多孔質体の寸法安定性が特に優れたものとなる。
この方法では、まず、凝集性微粒子と、液剤と、未延伸のエチレン系高分子とを混合した混合物を得る。このとき、凝集性微粒子に液剤を付着させた、図4に示すような付着体を別途調製し、この付着体とエチレン系高分子とを混合してもよいし、凝集性微粒子、液剤及びエチレン系高分子を同時に混練機に投入する等して混合してもよい。
混合においては、凝集性微粒子1及び液剤2を均一に分散させるために、押出し機、ニーダーなどの混練装置により、エチレン系高分子の融点よりも高い温度で混練することが好ましい。通常、混練の履歴によって粒子の凝集状態は随時変化するが、トルク出力と混錬時間との積や、混練における樹脂温度を制御することで、再現性よく混錬を行うことができる。
また、混合物が含有する液剤の量によって、得られる多孔質体の空隙率を制御することができる。得られる多孔質体の空隙率を好ましい範囲とするために、液剤の量は混合物全体を基準として30〜80体積%であることが好ましく、40〜60体積%であることがより好ましい。
混練された混合物を、一旦、ペレット状、ベール状、ベルト状等に加工し、その後、押出し機、カレンダー、ロール、ベルト等によってシート状等に成形して、多孔質体の前駆体とすることが好ましい。押出し機を用いた場合には、混練及び成形を一括に行うことができる。なお、混錬に用いる装置等は、上記以外のものであってもよい。
図5は、混錬及び成形を経た後の、上記混合物からなるシート状の前駆体10aを模式的に示す断面図である。前駆体10aにおいては、凝集性微粒子1の凝集体に液剤2が取り込まれて形成された領域が、エチレン系高分子11中に分散している。混錬の際にエチレン系高分子が溶融している段階では、液剤2がエチレン系高分子にも取り込まれるが、成形後、混合物が冷却され、エチレン系高分子の結晶(ラメラ晶)が成長するのに伴って、液剤2がエチレン系高分子から吐き出され、再び凝集性微粒子1の凝集体に取り込まれて、図5に示す前駆体10aのような状態となる。
図4は、混合のとき用いる付着体を模式的に示した断面図である。図4に示す付着体5においては、凝集性微粒子1の一次粒子の集合体(以下、「凝集体」という。)の隙間に染み込むようにして、液剤2が付着している。凝集性微粒子1は凝集体を形成しているために、液剤2を付着させることで図2に示すような付着体5を容易に得ることができる。付着体5は、例えば、凝集性微粒子1と液剤2とを混合したものを、加圧ニーダー等を用いて混錬することで得られる。
凝集性微粒子1としては、ケッチェンブラック、シリカ、合成湿式炭酸カルシウム、アクリル架橋粒子などが挙げられるが、凝集性が高く、エチレン系高分子との混合物においても液剤を保持しやすい性質を有する点で、シリカが好ましい。このシリカとは、酸化ケイ素(珪酸)を指し、石英などの天然の無水珪酸を粉砕して得られるものや、湿式シリカや霧煙質シリカなどの合成シリカ等がある。これらのなかでも、凝集性の点で、凝集性微粒子1は合成シリカであることが好ましい。
凝集性微粒子の凝集力については、その油等の吸収量によって定量できることが一般に知られており、例えば、ASTM D2414−93においては、DBP(ジブチルフタレート)の吸収量(DBP吸油量)によって、微粒子の凝集性を定量する方法が規定されている。凝集性微粒子1については、上記のDBP吸油量が、50[cm/100g]以上であることが好ましく、200〜400[cm/100g]であることがより好ましい。DBP吸油量が50[cm/100g]未満であると液剤の保持力が不足する傾向にある。
また、凝集性微粒子1の一次粒子径は、1.0μm以下であることが望ましく、0.05μm以下であることがより好ましい。一次粒子径が1.0μmを超えると凝集力が低下する傾向にある。凝集性微粒子1からなる凝集体を粒子とみなしたときのその粒径は、100μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。この粒径が100μmを超えると、得られる多孔質体に形成される細孔の孔径が大きくなり、気体分離層20の破れを招きやすくなる傾向にある。
付着体5における、凝集性微粒子1の含有量は、その種類に応じて適宜決定すればよいが、例えば、凝集性微粒子1のDBP吸油量が200〜400[cm/100g]である場合には、液剤2に対する重量比で1/5〜1/2であることが好ましい。
液剤2としては、凝集性微粒子1の凝集体が効率的に吸収できる液体を用いることが好ましい。具体的には、パラフィン系オイル、フタル酸エステル等が好適である。
パラフィン系オイルとしては、前駆体10aからの除去の効率を高めるために、分子量が500以下であるものが好ましく10〜100であるものがより好ましい。また、その粘度は1000mPa・s以下であることが好ましく、10〜100mPa・sであることがより好ましい。
フタル酸エステルは、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソノリルフタレート(DINP)などの、フタル酸とアルコールとのジエステルである。このアルコールはその炭素数が3〜12の炭素数であることが好ましく、7〜10の炭素数であることがより好ましい。炭素数が3以下であると沸点が低く、混合や成形時における揮発により失われてしまいやすい傾向にあり、炭素数が18を超えると常温で流動性を失って、凝集性微粒子1に付着させるのが困難となってしまう傾向にある。
次に、前駆体10aから、液剤2を除去することにより細孔が形成され、図6に示されるような、多孔質体からなるシート状の支持体10が得られる。図6は、孔壁に凝集性微粒子1が付着した開気孔が形成されている支持体10を、模式的に示した断面図である。
液剤2の除去は、抽出溶媒によって液剤2を抽出することによって、好適に行うことができる。抽出は、例えば、前駆体10aを、トルエン、ヘキサン、キシレン、各種アルコール類、ゴム揮発油、熱水、沸騰水などの抽出溶媒に浸漬して行う。抽出を行う条件は、用いる抽出溶媒等に応じて適宜決定すればよい。浸漬後、多孔質体に付着している抽出溶媒を除去(乾燥)して、支持体10を得る。この乾燥は、自然乾燥でもよいし、加熱や送風による強制乾燥でもよい。
以上のようにして得られる支持体10の上に、気体分離層20を積層することにより、気体分離複合膜100が得られる。気体分離層20の薄膜を形成させる方法としては、高分子を水面上に展開させる、水面展開法が好適である。
この水面展開法では、高分子を溶剤に溶解させた高分子溶液を水面に滴下して、水面においてこの高分子を溶液として展開させることにより、薄膜を形成させる。滴下された高分子溶液は、表面張力によってただちに水面上に展開し、展開とほぼ同時に溶剤が蒸発して、高分子の薄膜が形成される。続いて、形成された薄膜を、水没させておいた支持体10で掬い取ってその表面に接触させると、薄膜が支持体10に張り付いて両者が一体化される。さらに、支持体10及び薄膜(気体分離層20)に付着した水分を除去することによって、気体分離複合膜100を得ることができる。
上記高分子溶液に用いる溶媒は、気体分離層20を構成する高分子の溶解性が良好なものから選択されることが好ましい。例えば、高分子がポリイミドシロキサンである場合には、トルエン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン等の有機溶剤が好ましい。この溶液の高分子の濃度は、高分子溶液全体を基準として5〜30質量%であることが好ましい。
高分子溶液を水面に滴下するには、ディスペンサー、注射器、スポイトなどを好適に用いることができる。あるいは、高分子溶液の供給装置を水中に設置して、溶液の浮力により水面に浮上させて展開させてもよい。
支持体10が長尺のシートである場合、支持体10を、繰り入れ装置によって送り出して一旦水中に通し、水面に形成された薄膜を掬い取らせつつ、巻き取り装置で順次巻き取っていくといった、連続プロセスを採用することもできる。このような連続プロセスを採用する場合、支持体の送り速度に合わせて溶液の供給量を調節するのがよい。また、支持体10への薄膜の積層を複数回繰り返して、気体分離層20の厚さを調節することもできる。
以下に本発明の内容を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<多孔質体Aの作製>
パラフィンオイル(ルーカント360、商品名、三井化学株式会社製)100重量部と、平均粒径が16nmの一次粒子が凝集してなる平均粒径9μmの湿式シリカ粒子(ニップシールLP、商品名、日本シリカ工業株式会社製)50重量部とを混合したものを、室温にて加圧ニーダーで混錬し、凝集性微粒子であるシリカ粒子の凝集体に、液剤であるパラフィンオイルが付着した付着体を得た。
次に、約160℃に温度調節した二本ロールを用いて、分子量が300万程度である高密度超高分子量ポリエチレン(ハイゼックスミリオン220、商品名、分子量約300万、三井石油化学工業株式会社製)100重量部と、上記で得た付着体300重量部とを混合し、これを混錬して、白色の混合物からなり、厚さが約0.2mmのシート状の前駆体を得た。この前駆体においては、超高分子量ポリエチレン100重量部、パラフィンオイル200重量部、シリカ粒子100重量部の割合でこれらが混合されており、前駆体全体の体積に対して約44.5体積%をパラフィンオイルが占めていた。
続いて、鏡面加工された1対のステンレス板で、15×15cmにカットした上記の前駆体を挟み、これを180℃に温度調節された一対のプレス盤で100kgf/cmの圧力で3分間プレスした。そして、加圧状態を維持しながら、プレス盤中に冷却水を5分間流すことにより、プレス盤の温度を60℃まで冷却した後、前駆体を取り出した。さらに、この前駆体を、室温にてバット中のトルエンに3時間浸漬した後、取り出してから一昼夜室温にて放置し、さらにドライヤーで温風をあてて、白色不透明の多孔質体Aを得た。この多孔質体Aを100×100mmにカットして、その厚さと重量を測定したところ、厚さは195μm、重量は、1.0271gであった。したがって、下記式(1)より、この多孔質体Aの空隙率φは41%と算出された。ただし、多孔質体Aの真比重は、1.285g/cmであった。
φ={M/(C・V)}・100 ・・・(1)
(式中、Mは支持体の質量[g]、Cは支持体の真比重[g/cm]、Vは支持体の体積[cm]をそれぞれ示す。)
電子顕微鏡で多孔質体Aの表裏それぞれの表面を観察したところ、何れの面においても、30〜60nmの孔が無数に形成されているのが確認された。また、あらかじめ寸法を測定したシート状の多孔質体Aを、20℃の水に10秒間浸漬し、さらに、1時間23℃にて放置したときの収縮率は0.5%であった。このことから、上記のようにシリカ粒子を用いた抽出法により得た多孔質体Aは、吸水及び脱水の過程における収縮が小さく、水面展開法による薄膜の積層に適していることがわかった。
(比較例1)
<多孔質体Bの作製>
約160℃に温度調節した加圧ニーダーにて、分子量が約10万の高密度ポリエチレン(ハイゼックス5500S、商品名、三井石油化学工業(株)社製)100重量部と、湿式シリカ粒子 (ニップシールLP、商品名、日本シリカ工業(株)社製)20重量部とを混合したものを混錬し、混合物を獲た。得られた混合物を、150℃に温度調節した二本ロールで押しつぶして、厚さが約0.2mmの白色シート状の前駆体を得た。
この前駆体を、120℃に温度調節した熱ドラムに抱かせて加熱してから、延伸ロールで長尺方向およびその垂直方向にそれぞれ2.15倍および1.85倍に延伸した。延伸後、脱落したシリカを払いのけて、白色不透明の多孔質体Bを得た。多孔質体Bを100×100mmにカットして、その厚さと重量を測定したところ、厚さは103μm、重量は、0.303gであった。したがって、上記式(1)より、多孔質体Bの空隙率φは28%であると算出された。ただし、多孔質体Bの真比重は、1.050g/cmであった。
多孔質体Bをの表裏の表面を電子顕微鏡で観察したところ、10〜50nmの孔が無数に形成されていることが確認された。また、実施例1と同様にして測定された多孔質体Bの収縮率は、48%であった。
(実施例2)
<気体分離複合膜の作成>
下記一般式(14)で表される構造(式中、p及びqはそれぞれ独立に正の整数を示す。)を有し、50質量%のオルガノポリシロキサン骨格を含有するポリイミドシロキサン(信越化学工業(株)製、SMP4001)を厚さ2mmのシート状に成形したものについて引張試験を行い、その破断強度及び伸びを測定したところ、SMP4001の破断強度は9.87MPa、伸びは578%であった。なお、引張試験は、JIS K7311の試験方法に従い、2号ダンベル片で、引張り試験機(東洋精機(株)製、テンシロン)を用いて行った。
Figure 2005296821
このポリイミドシロキサンを、トルエンとN−メチルピドリドンとの混合溶媒に溶解して、固形分10質量%の高分子溶液を調製した。この高分子溶液を、水5Lが入った30×30×20cmの大きさのバット内の水面上に、ビュレットにより0.01mL滴下したところ、直径が約20cmのきれいな同心円状に高分子の薄膜が展開された。展開された薄膜の厚さは約30nmと計算される。展開してから数秒後、実施例1で得られた多孔質体Aを、15×15cmの大きさのシート状に切り出して得た支持体を水中に落としこみ、薄膜を掬い取るように静かに引き上げた。引き上げた直後には、支持体の端部において僅かに空気層を抱いた浮き部分があり、この部分は虹色の彩光を放っていたが、数秒後にはこの浮き部分が消失して全面が白色になった。そして、室温にて放置して、支持体及び薄膜(気体分離層)に付着した水分を除去し、気体分離複合膜を得た。
得られた気体分離複合膜の気体分離層を下にして、水面に浮かべたところ、支持体に水が浸入した様子が確認されなかったことから、気体分離層に破れなどの欠点が無いことが確認された。また、水分の除去の際に、気体分離層に圧縮エアーを拭きつけたときにも、気体分離層が支持体からはがれる様子はなかった。
上記気体分離複合膜を、直径60mmの円状にカットして、ガス透過試験(23±2℃、1atm減圧)を行ったところ、酸素の透過係数は9.11×10−8[cm3(STP)・cm/cm2・sec・cmHg]、窒素の透過係数は4.25×10−8[cm3(STP)・cm/cm2・sec・cmHg]であり、気体透過性に優れたものであった。また、酸素と窒素との分離係数PO2/PN2は2.14[−]であり、酸素富化性能についても優れていた。
(実施例3)
<気体分離複合膜の作製>
上記一般式(14)で表される構造を有し、オルガノポリシロキサン骨格の含有量が40質量%であるポリイミドシロキサン(信越化学工業(株)社製、SMP5010)について、実施例2と同様して引張試験を行ったところ、その破断強度は15.43MPa、伸びは88%であった。
ポリイミドシロキサンをSMP5010に代えた他は、実施例2と同様にして、気体分離複合膜を作製した。水面から支持体を引き上げた際に、支持体の端部において気体分離層がめくれて支持体上に支持されていない部分が若干認められた。これを室温にて放置したところ、めくれあがっていない部分は徐々に白色に変化してゆき、45分後には、めくれあがった部分およびその周囲を除いた部分はほぼ全面が白色になり、気体分離層は支持体に密着した。
得られた気体分離複合膜を、実施例2と同様にして水面に浮かべたところ、支持体に水が浸入した様子が確認されなかったことから、気体分離層に破れなどの欠点が無いことが確認された。また、水分の除去の際に、気体分離層に圧縮エアーを拭きつけたときには、気体分離層は、めくれあがった部分の一部がちぎれて吹き飛んだが、大部分は支持体からはがれる様子はなかった。
この気体分離複合膜について、実施例2と同様にしてガス透過試験を行ったところ、酸素の透過係数は8.67×10−10[cm3(STP)・cm/cm2・sec・cmHg]、窒素の透過係数は2.03×10−10[cm3(STP)・cm/cm2・sec・cmHg]であり、気体透過性に優れたものであった。また、酸素と窒素との分離係数PO2/PN2は4.27[−]であり、酸素富化性能についても優れていた。
(実施例4)
<気体分離複合膜の作製>
オルガノポリシロキサン骨格の含有量が30質量%であるポリイミドシロキサン(信越化学工業(株)社製、SMP3001)について、実施例2と同様して引張試験を行ったところ、その破断強度は51.21MPa、伸びは76%であった。
ポリイミドシロキサンをSMP3001に代えた他は、実施例2と同様にして、気体分離複合膜を作製した。水面から引き上げた際に、支持体の端部において気体分離層がめくれて支持体上に支持されていない部分が認められた。この気体分離複合膜においては、気体分離層は支持体に全体としてはほぼ密着していたものの、室温で1時間放置された後、めくれあがった部分のほかにも、気体分離層が浮き上がった箇所が、実施例3の気体分離複合膜と比較するとやや多く認められた。
(比較例2)
多孔質体Aを、比較例2で得た多孔質体Bに代えた他は、実施例2と同様にして、気体分離複合膜を作製した。しかし、支持体に含まれた水分を除去したところ、全体が激しく歪んでいた。この気体分離複合膜を水面に浮かべたところ、水面に接した部分の全面にわたって、支持体に水が浸入した様子が確認された。したがって、この気体分離複合膜は、気体分離の機能が得られるものではなかった。
図1は、本発明の一実施形態に係る気体分離複合膜を模式的に示す断面図である。 図2は、気体分離複合膜の一部において、空隙が形成された状態を模式的に示す断面図である。 図3は、気体分離複合膜の一部において、図2に示す空隙が消失した後の状態を模式的に示す断面図である。 図4は、凝集性微粒子に液剤が付着した付着体を模式的に示す断面図である。 図5は、多孔質体の前駆体を模式的に示す断面図である。 図6は、多孔質体からなる支持体を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1…凝集性微粒子、2…液剤、5…付着体、10…支持体、10a…前駆体、11…エチレン系高分子、20…気体分離層、30…空隙、100…気体分離複合膜。

Claims (8)

  1. 支持体上に気体分離層を備える気体分離複合膜であって、
    前記支持体は、未延伸のエチレン系高分子の多孔質体からなり、
    前記気体分離層は、ゴム状態又は溶融状態である相と、ガラス状態又は結晶状態である相とに相分離した高分子の薄膜からなる、気体分離複合膜。
  2. 支持体上に気体分離層を備える気体分離複合膜であって、
    前記支持体は、未延伸のエチレン系高分子の多孔質体からなり、
    前記気体分離層は、
    下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン骨格と、
    下記一般式(2)で表されるイミド骨格と、を含有する高分子の薄膜からなる、気体分離複合膜。
    Figure 2005296821
    Figure 2005296821
    [式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に1価の脂肪族基又は1価の芳香族基、Xは4価の芳香族基、Y、Z及びZはそれぞれ独立に2価の脂肪族基又は2価の芳香族基、rは正の整数、をそれぞれ示す。]
  3. 前記高分子が、前記オルガノポリシロキサン骨格を、前記高分子の質量基準で35質量%以上含有する、請求項2に記載の気体分離複合膜。
  4. 前記高分子は、伸びが80%以上の高分子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の気体分離複合膜。
  5. 前記薄膜は、前記高分子を水面に展開させて得られる薄膜である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の気体分離複合膜。
  6. 前記多孔質体は、20℃の水に10秒間浸漬され、さらに23±2℃で1時間放置されたときの収縮率が0〜10%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の気体分離複合膜。
  7. 前記多孔質体は、孔壁に凝集性微粒子が付着した開気孔が形成された多孔質体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の気体分離複合膜。
  8. 気体分離複合膜の支持体に用いるための多孔質体の製造方法であって、
    凝集性微粒子と、液剤と、未延伸のエチレン系高分子とを混合した混合物から前記液剤を除去する、多孔質体の製造方法。
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