JP2011104786A - ライニング材 - Google Patents
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Abstract
【課題】強化繊維を含有させて引張力や圧縮力に対する高い強度を確保するとともに、既設管の内壁に密着させるのに十分な拡径性をも確保したライニング材を提供する。
【解決手段】一実施形態としてのライニング材1は、不透過性材料からなる被覆層11と、被覆層11の内側に設けられて強化繊維材料からなる強化繊維基材層13と、硬化性樹脂を含浸させる樹脂吸収基材層12とを有する。強化繊維基材層13は、複数枚のシート状基材2が互いにオーバーラップするように配設される。シート状基材2は、複数の繊維束Aから形成された繊維基材と、繊維基材上に互いに平行で間隔を設けるとともに繊維束Aと交差する方向に配置された複数の繊維束Bとが、縫い糸により縫い合わせられて形成されている。シート状基材2のオーバーラップ部20は、既設管9の管軸方向に沿って設けられる。
【選択図】図4
【解決手段】一実施形態としてのライニング材1は、不透過性材料からなる被覆層11と、被覆層11の内側に設けられて強化繊維材料からなる強化繊維基材層13と、硬化性樹脂を含浸させる樹脂吸収基材層12とを有する。強化繊維基材層13は、複数枚のシート状基材2が互いにオーバーラップするように配設される。シート状基材2は、複数の繊維束Aから形成された繊維基材と、繊維基材上に互いに平行で間隔を設けるとともに繊維束Aと交差する方向に配置された複数の繊維束Bとが、縫い糸により縫い合わせられて形成されている。シート状基材2のオーバーラップ部20は、既設管9の管軸方向に沿って設けられる。
【選択図】図4
Description
本発明は、既設管の内面に施して更生するためのライニング材に関する。
地中に埋設された下水道管、上水道管、農水管などの既設管が老朽化した場合に、その管路を掘削することなく、管路の内面にライニングを施して管路を補修する既設管の更生工法が種々提案されており、広く実用化されている。
その更生工法の一つとして、管状のライニング材の内側に流体圧を作用させ、もしくは流体圧により加圧ホースを反転挿入することによって、ライニング材を管路の内壁に押圧し、硬化させて一体化することでライニング層を形成する方法がある。また、ライニング材そのものを反転させながら管路内に挿入し、流体圧により管路の内壁に押圧し、硬化させて一体化する方法もある。このようなライニング材による更生工法は、管路が埋設された地中を掘削することなく補修作業を行うことができる。
この種の更生工法に用いられるライニング材として、例えば、特許文献1には、外表面が樹脂フィルムで被覆された管状樹脂吸収基材に、液状硬化性樹脂を含浸させた管状ライニング材を用いることが記載されている。管状ライニング材は、管路の内壁に押圧された状態で含浸樹脂を硬化させ、管路の内壁に固定される。
また、この工法では、管状ライニング材が平坦状に折り畳まれ、密閉容器内に積み重ねられた状態で配備されている。そして、密閉容器に接続された反転ノズルの開口端外周に、前記管状ライニング材を取り付け、密閉容器内に水圧を作用させて、管状ライニング材を管路内に反転挿入する構成とされている。これにより、拡径されたライニング材は、管路内で樹脂吸収基材が管路の内壁に密着し、管路をライニングするものとなる。
このような管状ライニング材による更生工法において、更生した管路(ライニング層)の強度を上げるには、ライニング材の樹脂吸収基材の肉厚を厚くする方法が考えられる。しかし、単に樹脂吸収基材の肉厚を厚くすると、液状樹脂が均一に含浸しにくく、未含浸部分ができてしまって、品質が安定しないという問題点があった。また、未含浸部分を発生させないように時間をかけて含浸させようとすると、液状樹脂のポットライフが短いために含浸中や反転作業中に増粘してしまい、未含浸部分を生じたり、反転に対応できなくなったりするという不都合があった。
また、液状硬化性樹脂として不飽和ポリエステルやエポキシアクリレート樹脂を用い、架橋剤としてスチレンモノマーを増量して添加することで低粘度化し、含浸性を良くするという手法もある。しかし、スチレンモノマーは臭気が強いため、施工中の作業者や近隣住民への影響が大きく、敬遠されており、また、発ガン性の疑いがあるため、上水道や農業用水には使えないという難点があった。
このほか、強度を上げるために、ライニング層を繊維で強化する方法も考えられる。す
なわち、管状ライニング材にガラス繊維等の強化繊維を配合させた複合材料を用いて強度を高める方法である。ここで、ライニング材は、前記のように管路に挿入するために、管路の内径よりも若干小径に形成されており、挿入後に拡径するとともに押圧される。ライニング層の強度を高めるには管路の周方向及び管軸方向の二方向に強化することが好ましいが、強化繊維は伸縮性に乏しいため、周方向に強化繊維を配列させるとライニング材の拡径性を阻害するという問題を生じる。
なわち、管状ライニング材にガラス繊維等の強化繊維を配合させた複合材料を用いて強度を高める方法である。ここで、ライニング材は、前記のように管路に挿入するために、管路の内径よりも若干小径に形成されており、挿入後に拡径するとともに押圧される。ライニング層の強度を高めるには管路の周方向及び管軸方向の二方向に強化することが好ましいが、強化繊維は伸縮性に乏しいため、周方向に強化繊維を配列させるとライニング材の拡径性を阻害するという問題を生じる。
加えて、強化繊維は、前記のように二方向に強化する観点から、連続繊維が一軸方向に配列されたロービングでは足りず、ロービングクロスに代表される少なくとも二軸方向に繊維を配向させた複合材料であることが好ましい。しかし、ロービングクロスはロービングを織った形態であり、強化繊維が折り曲げられていることから、強化繊維の強度が十分に発現されないという問題も考えられる。
そこで本発明は、上記のような問題点にかんがみてなされたものであり、周辺環境への影響を考慮し、強化繊維を含有することで引張力や圧縮力に対する高い強度を確保することを可能にするとともに樹脂含浸性に富み、既設管の更生作業時には既設管の内壁に密着させるのに十分な拡径性を有して、施工性の良好なライニング材を提供するものである。
上記した目的を達成するため、本発明は既設管の内壁をライニングする複層構造のライニング材であって、硬化性樹脂を含浸させる樹脂吸収基材層と、強化繊維材料からなる強化繊維基材層と、不透過性材料からなる被覆層とを備え、前記強化繊維基材層には、複数枚のシート状基材が互いにオーバーラップするように配設されており、各シート状基材は、複数の繊維束Aからなる繊維基材と、前記繊維基材上に互いに平行で間隔を設けて前記繊維束Aと交差する方向に配置された複数の繊維束Bとが、縫い糸により縫い合わせられて形成され、前記シート状基材のオーバーラップ部が既設管の管軸方向に沿って設けられることを特徴とする。
このような発明により、強化繊維基材層によって高い強度を実現する構成でありながら、ライニング材を拡径あるいは膨張させる際には、強化繊維基材層がシート状基材のオーバーラップ部において相互にずれて拡径する。したがって、ライニング材の外径を既設管の内径よりも小径にて形成し、既設管内で拡径させることが可能となる。また、ライニング材拡径後の強化繊維を均等な配置とすることができて、高い耐圧性能と適切な強度確保が可能となる。
また、本発明は前記構成のライニング材において、前記シート状基材は、繊維束Bが上となる面を表面とし、繊維基材が上となる面を裏面としたとき、前記強化繊維基材層はオーバーラップ部でシート状基材の裏面同士が内接する向きに配設されていることが好ましい。
これにより、強化繊維基材層は、シート状基材の表面にある繊維束B、B間による溝を外側に向けた状態で形成される。したがって、繊維束Bに平行な方向に硬化性樹脂が流れやすくなり、表裏両面の双方向にも硬化性樹脂が流れやすくなって、硬化性樹脂の含浸性を高めることができる。
また、本発明は前記構成のライニング材において、前記樹脂吸収基材層及び強化繊維基材層はともに複数層設けられ、複数の樹脂吸収基材層の各層間に強化繊維基材層が介装されていることが好ましい。
これにより、樹脂吸収基材層と強化繊維基材層とが交互に形成され、樹脂吸収基材層に
よる肉厚と強化繊維基材層の強化繊維材料により十分な強度を確保するとともに、硬化性樹脂を円滑に含浸させることも可能となる。
よる肉厚と強化繊維基材層の強化繊維材料により十分な強度を確保するとともに、硬化性樹脂を円滑に含浸させることも可能となる。
また、本発明は前記構成のライニング材は、あらかじめ既設管の内径よりも小さい外径の筒状に形成されていてもよい。
前記構成のライニング材は、十分な拡径性を有するので、あらかじめ既設管の内径よりも小さい外径の筒状に形成して、既設管に挿入もしくは反転挿入して拡径させ、既設管の内壁を更生することが可能である。これにより、施工現場への搬入作業や既設管への導入作業が容易となり、地中の既設管を掘削することなく短期間で管路の補修を行うことができる。
また、本発明は前記構成のライニング材において、前記強化繊維基材層はシート状基材が、繊維基材の繊維軸を既設管の周方向に沿わせて配設されていることが好ましい。これにより、より効果的にライニング層の強度を高めることが可能となる。
また、本発明は前記構成のライニング材において、前記強化繊維基材層は周方向には複数枚のシート状基材を有し、オーバーラップ部が周方向に均等に配置されていることが好ましい。より詳細には、前記強化繊維基材層は周方向には2枚のシート状基材を有し、オーバーラップ部が対向して配置されていることが好ましい。
このような構成であることにより、シート状基材は、オーバーラップ部において相互に周方向にずれることが可能であり、ライニング作業工程においてライニング材を拡径もしくは膨張させることができる。また、拡径や膨張後におけるライニング材の強化繊維を均等な配置とすることができて、高い耐圧性能と適切な強度確保が可能となる。
上述のような本発明のライニング材によれば、引張力や圧縮力に対する高い強度を確保するための強化繊維を含有する構成でありながら、ライニング施工に必要な拡径性を損なわず、既設管に密着させて内壁形状に追従させることが可能である。また、上記構成のライニング材とすることにより、強化繊維基材層および樹脂吸収基材層において短時間で円滑に硬化性樹脂を含浸させて良好な品質を確保することができる。
以下、本発明に係るライニング材の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るライニング材の部分断面図であり、図2は、一実施形態として、あらかじめ管状に形成されたライニング材を示す断面図である。また、図3は、既設管内に配設されたライニング材を示す断面図、図4は、既設管内で拡径されて内壁に一体化させた状態のライニング材を示す断面図である。
図1に示すように、ライニング材1は、不透過性材料からなる被覆層11と、被覆層11の内側に設けられ、硬化性樹脂を含浸する樹脂吸収基材層12と、強化繊維材料からなる強化繊維基材層13とを有する。
このライニング材1は、図3に示すように既設管9内に引き込まれ又は挿入されて、内側から圧力を加えることによって内壁に密着するように拡径される。そして図4に示すように、既設管9の内壁に密着しライニングするものである。以下の説明では、図2に示すように、あらかじめ既設管9の円形断面に対応しうる筒状布帛として管状に形成した場合のライニング材1について例示する。
図2に示すライニング材1は、図4に示すように補修対象の既設管9の内面をライニングしたときに、内周面を形成する側から順に被覆層11、樹脂吸収基材層12、強化繊維基材層13、樹脂吸収基材層12となる、4層構造で筒状に形成されている。また、ライニング材1は、既設管9の内壁をライニングする前工程では、図2に示すように、最外層が被覆層11であり、その内側に樹脂吸収基材層12及び強化繊維基材層13が設けられる形態とされている。
被覆層11は、加圧流体不透過性及び不透水性を有する樹脂フィルム材又はシート材により筒状に形成されている。ポリエチレンフィルム、ポリウレタンフィルム、軟質塩化ビニル樹脂フィルム等からなる。例えば、0.2〜2.0mm程度の厚さの、ポリエチレンフィルム材を被覆層11に用いることができる。このほか、被覆層11には、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等の樹脂フィルム材、あるいはエラストマーや合成ゴム等の合成樹脂系材料を用いて形成することも可能である。
樹脂吸収基材層12は、単層または複層にわたって形成され、硬化性樹脂を含浸させる基材層である。樹脂吸収基材層12には、例えば、樹脂不織布やチョップドストランドマットを用いることができる。
樹脂吸収基材層12を樹脂不織布により形成する場合は、ポリエステル不織布のほか、高密度ポリエチレン(HPPE)や、ポリプロピレンのように高強度で高弾性材料から形成された不織布を用いることができる。また、樹脂不織布は、可撓性を有して多孔質であれば、連続フィラメント又はステープルファイバーを備えたフェルト、マット、スパンボンド、ウェブなどを樹脂吸収基材層12に用いることも可能である。なお、かかる樹脂吸収基材層12の特性として、空隙率が90%以下とされることが好ましい。
樹脂吸収基材層12をチョップドストランドマットにより形成する場合は、例えば、ガラス繊維等のストランドを一定長さに切断し、マット状に分散させた後、熱可塑性樹脂等の粘接着剤を均一に付与して熱溶融し、ストランド同士を接着させてマットとしたものが好ましい。この場合、樹脂吸収基材層12は、樹脂不織布を用いた場合よりも高い強度を得ることができる。
このように形成される樹脂吸収基材層12は、既設管9の更生工程において、未硬化の液状硬化性樹脂を含浸させる基材からなり、硬化してライニング層を形成する。なお、樹脂吸収基材層12の空隙率は90%以下となるように形成されることで、硬化性樹脂を確実に含浸させることができ、その結果、硬化後の樹脂吸収基材層12内にボイド等を形成するという不具合を最小限に抑えることが可能となる。
強化繊維基材層13は、複数枚のシート状基材2、2を互いにオーバーラップさせるように配設して形成されている。図2及び図3において、ダブルハッチングにより示された箇所は、シート状基材2同士によるオーバーラップ部20を示している。
ここで、強化繊維基材層13のシート状基材2について説明する。図5は、強化繊維基材層を構成するシート状基材の表面図であり、図6は、前記シート状基材の裏面図である。また、図7は、ライニング材を部分拡大断面により示す説明図であり、図8は強化繊維基材層におけるシート状基材の配設形態を示す説明図である。
なお、図7においては図面を見やすくするために、被覆層11、樹脂吸収基材層12、強化繊維基材層13およびシート状基材2の各構成部材には断面を示すハッチングを省略して記載している。
図5、6に示すように、シート状基材2は、複数の繊維束Aから形成された繊維基材21と、繊維基材21上に互いに平行でかつ繊維束Aと交差する方向に配置された複数の繊維束Bとが、縫い糸22により縫い合わせられたシート状複合基材のニットファブリックからなる。すなわち、複数の繊維束Bを、繊維束Aからなる繊維基材21に対し交差する方向に配置して、縫い糸22により縫い合わせて固定し、シート状基材2が形成されている。
なお、シート状基材2は、図5に示すように、繊維束Bが上に配置された面を表面とし、図6に示すように、繊維基材21が上に配置された面を裏面として説明するものとする。
繊維基材21は、多数の強化繊維を束ねて形成した繊維束Aを、ほぼ間隔を設けずに平行に並べて構成されている。繊維基材21は、シート状基材2からなる強化繊維基材層13を、繊維束Aに平行な方向に強化する。
繊維束Bも多数の強化繊維を束ねて形成されている。繊維束Bは、繊維基材上において、互いに平行に配置されるとともに、隣り合う繊維束B、B間に間隔を設けて配置されている。これらの繊維束Bは、シート状基材2からなる強化繊維基材層13を、繊維束Aに交差する方向に強化する。繊維束Bは縫い糸22で縫い合わせられても、断面形状がつぶれず、ある程度の厚みを有する。このため、繊維束B、B間に設けた間隔は、シート状基材2の表面に、多数の溝23を形成するものとなる。
ここで、繊維基材21及び繊維束Bの繊維は、強化繊維であれば特に限定されないが、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等であると好ましい。中でも、得られる繊維強化樹脂成形品の強度や価格などを考慮すると、ガラス繊維が最も好ましい。また、強化繊維は、繊維径が3〜25μmの範囲のものであることが好ましく、強度面及び価格面の観点から5〜20μmの繊維径のものがより好ましい。
また、繊維束A及び繊維束Bの強化繊維は、硬化性樹脂との接着性を高めるため、シランカップリング剤等で前処理してあることが好ましい。さらに、繊維束A及び繊維束Bは
、50〜2,000本の繊維を集束させた形態であることが好ましく、100〜1,600本の繊維を集束させた形態であるとより好ましい。
、50〜2,000本の繊維を集束させた形態であることが好ましく、100〜1,600本の繊維を集束させた形態であるとより好ましい。
また、縫い糸は、その材料を特に限定しないが、例えば、ポリエステル、ガラス繊維等からなる糸であることにより適当な強度が確保され好ましい。
シート状基材2は、強化繊維基材層13において周方向に複数枚を配設するとともに、互いにオーバーラップするように配置されている。図2〜4に示す形態では、強化繊維基材層13には、周方向に2枚のシート状基材2が互いに他方のシート状基材2にオーバーラップするように配設されている。また、図3、4に示すように、強化繊維基材層13において、オーバーラップ部20が既設管9の管軸方向に沿って設けられることが好ましい。強化繊維基材層13に周方向に2枚のシート状基材2を配設した場合、オーバーラップ部20、20は、互いに対向して配置されるものとなる。
この場合、シート状基材2は、ライニング材1の断面に対し上下に二分割する配置形態を呈しており、オーバーラップ部20で重なり合っている。すなわち、強化繊維基材層13に配設される複数枚のシート状基材2による総幅は、既設管9の内径よりも適当に長く形成されている。
これにより、ライニング材1を既設管9の内壁に押圧したとき、強化繊維基材層13のシート状基材2は、オーバーラップ部20において相互に周方向にずれ、拡径や膨張を許容する。また、シート状基材2の総幅を長くしておくことで、ライニング材1の拡径後も、強化繊維基材層13のシート状基材2がオーバーラップ状態を維持することができる。
このように構成されるライニング材1は、既設管9の内壁形状に追従しうる弾性、可撓性、及び柔軟性を有する。さらに、ライニング材1の外径を既設管9の内径よりも小径にて形成し、既設管9内で拡径させることが可能となる。また、既設管9の内壁の凹凸や段差、隙間等にライニング材1の形状を追従させることができ、拡径後の強化繊維を均等な配置とすることができて、高い耐圧性能と適切な強度確保が可能となる。加えて、強化繊維基材層13のシート状基材2は、繊維基材21の繊維軸が既設管9の周方向に沿って配設されることで、ライニング層の強度を一層高めることも可能となる。
さらに、強化繊維基材層13のシート状基材2は、図7、8に示すように、強化繊維基材層13において裏面同士を内接させて配設されることが好ましい。前記のように、シート状基材2の表面には、溝23が多数設けられて凹凸を有する。よって、強化繊維基材層13のシート状基材2の配置は、シート状基材2の表面を樹脂吸収基材層12、12の方へ向けるのが望ましい。
これにより、強化繊維基材層13は、シート状基材2の表面に多数設けられた溝23によって、繊維束Bに平行な方向に硬化性樹脂が流れやすくなるとともに、繊維束A、B間の隙間から表裏両面の双方向に硬化性樹脂が流れやすくなるので、硬化性樹脂をシート状基材2に円滑に含浸させることが可能となる。また、ライニング材1を拡径させるとき、強化繊維基材層13のシート状基材2、2は、オーバーラップ部20において表面の凹凸が抵抗とならず、相互に矢符方向にずれやすくなっており、十分に拡径に対応することができる。
これに対し、比較例として示す図9、10においては、シート状基材2が表面同士を内接させて配置されている。この場合、強化繊維基材層13のシート状基材2、2は、オーバーラップ部20において表面の凹凸が抵抗となって、相互にずれることが困難であり、十分な拡径性を得ることができない。また、強化繊維基材層13に硬化性樹脂が含浸しに
くく、繊維基材21が樹脂の流れを阻害すると思われる。このため、強化繊維基材層13に硬化性樹脂の未含浸部分を生じ、所期の強度を得られない可能性がある。
くく、繊維基材21が樹脂の流れを阻害すると思われる。このため、強化繊維基材層13に硬化性樹脂の未含浸部分を生じ、所期の強度を得られない可能性がある。
実際、図7に示すシート状基材2の配置形態と、図9に示すシート状基材2の配置形態とで、エポキシ樹脂を含浸させて平板状の繊維強化樹脂試験体をそれぞれ形成した。そして、両試験体の引張試験を行ったところ、図7に示す本実施形態では280MPaの高い引張応力を確認できたのに対し、図9に示す比較例では、222MPaの引張応力を得るにとどまった。
このように構成された管状のライニング材1は、既設管9の更生に際し、内部に未硬化の硬化性樹脂が注入される。次いで、ライニング材1の内部を減圧して樹脂吸収基材層12内のエアを効率よく脱気し、硬化性樹脂を樹脂吸収基材層12及び強化繊維基材層13に含浸させる。樹脂吸収基材層12の繊維間の隙間や、強化繊維基材層13の溝23が脱気経路として作用し、未硬化樹脂が円滑に流動して含浸する。
次いで、かかるライニング材1を既設管9内へ挿入、もしくは反転させつつ挿入し(図3参照)、流体圧を作用させると、ライニング材1は十分に拡径し、既設管9の内壁に密着する。硬化性樹脂が硬化することで、図4に示すように、既設管9の内壁には、ライニング材1の樹脂吸収基材層12が接着する。また、被覆層11がライニング層の内側に配設され、既設管9の内周面となって平滑な管路を形成するものとなる。これにより、引張力や圧縮力に対する高い強度を有する管路に更生することができる。
なお、本発明に係るライニング材1は、上記の4層構造に限られず、例えば樹脂吸収基材層12が被覆層11の内側に1層設けられて、これらの被覆層11及び樹脂吸収基材層12の間に強化繊維基材層13が介装された3層構造のものであってもよい。また、ライニング材1は、樹脂吸収基材層12と強化繊維基材層13とが5層以上配設された多層構造であってもよい。
図11は、多層構造としたライニング材1の例を示す断面図である。図11に示す形態では、被覆層11の内側に樹脂吸収基材層12が3層設けられ、各樹脂吸収基材層12の間に強化繊維基材層13としてシート状基材2、2が配設されている。強化繊維基材層13は、いずれもシート状基材2を2枚、互いにオーバーラップさせて配設し、オーバーラップ部20が管軸方向に沿う向きに形成されている。オーバーラップ部20同士は対向して配置されている。これにより、ライニング材1は、樹脂吸収基材層12と強化繊維基材層13とが交互に形成された形態となり、樹脂吸収基材層12による肉厚と強化繊維基材層13の強化繊維材料によって、十分な強度を確保したライニング層を形成することが可能となり、硬化性樹脂を円滑に含浸させることも可能となる。
また、このようなライニング材1は、ライニングする対象に追従する形状であればよいので、上記のように筒状であることに限定されず、各対象に合わせた形状であればどのような形状であってもよい。また、強化繊維基材層13には、2枚のシート状基材2が前記のように配設されるだけでなく、複数枚のシート状基材2が互いに他方のシート状基材2にオーバーラップし、このオーバーラップ部が管軸方向に沿って設けられるとともに、周方向に均等に配置されていれば、どのようであってもよい。
本発明は、老朽化したり補修が必要となったりした既設管の更生に用いるライニング材に適用可能である。
1 ライニング材
11 被覆層
12 樹脂吸収基材層
13 強化繊維基材層
2 シート状基材
20 オーバーラップ部
21 繊維基材
22 縫い糸
23 溝
A 繊維束
B 繊維束
9 既設管
11 被覆層
12 樹脂吸収基材層
13 強化繊維基材層
2 シート状基材
20 オーバーラップ部
21 繊維基材
22 縫い糸
23 溝
A 繊維束
B 繊維束
9 既設管
Claims (7)
- 既設管の内壁をライニングする複層構造のライニング材であって、
硬化性樹脂を含浸させる樹脂吸収基材層と、強化繊維材料からなる強化繊維基材層と、不透過性材料からなる被覆層とを備え、
前記強化繊維基材層には、複数枚のシート状基材が互いにオーバーラップするように配設されており、
各シート状基材は、複数の繊維束Aからなる繊維基材と、前記繊維基材上に互いに平行で間隔を設けて前記繊維束Aと交差する方向に配置された複数の繊維束Bとが、縫い糸により縫い合わせられて形成され、
前記シート状基材のオーバーラップ部が既設管の管軸方向に沿って設けられることを特徴とするライニング材。 - 請求項1記載のライニング材において、
前記シート状基材は、繊維束Bが上となる面を表面とし、繊維基材が上となる面を裏面としたとき、前記強化繊維基材層はオーバーラップ部でシート状基材の裏面同士が内接する向きに配設されていることを特徴とするライニング材。 - 請求項1又は2のいずれか一つの請求項に記載のライニング材において、
前記樹脂吸収基材層及び強化繊維基材層はともに複数層設けられ、複数の樹脂吸収基材層の各層間に強化繊維基材層が介装されていることを特徴とするライニング材。 - 請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載のライニング材において、
既設管の内径よりも小さい外径の筒状に形成されていることを特徴とするライニング材。 - 請求項4に記載のライニング材において、
前記強化繊維基材層はシート状基材が、繊維基材の繊維軸を既設管の周方向に沿わせて配設されていることを特徴とするライニング材。 - 請求項5に記載のライニング材において、
前記強化繊維基材層は周方向には複数枚のシート状基材を有し、オーバーラップ部が周方向に均等に配置されていることを特徴とするライニング材。 - 請求項6に記載のライニング材において、
前記強化繊維基材層は周方向には2枚のシート状基材を有し、オーバーラップ部が対向して配置されていることを特徴とするライニング材。
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2009
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