JP2024087948A - 電池 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、水系電解液を有し、かつ低温での放電特性に優れた電池に関するものである。
空気電池やアルカリ電池などの水系電解液を用いた電池は、従来から数多く使用されているが、近年になって、体温パッチなどのような身体用の各種センサの電源用途への利用が進んでいる。
この種の電池においては、こうした用途展開を踏まえて種々の改良が進められており、例えばユーザーが交換後の電池を廃棄しても環境への影響を可及的に低減する観点から、強酸と弱塩基との塩を電解質塩として含む水溶液を電解液とすることで、そのpHを低くしつつ、良好な特性を確保する試みがなされている(特許文献1、2など)。
ところで、前記のような用途に適用される水系電解液電池においては、廃棄時の環境への配慮に加えて、何某かのトラブルによって電池内から電解液が漏出して身体に付着した場合の安全性も考慮すると、例えば電解液が重金属元素を含まないことが望ましい。ところが、重金属元素を含まない強酸と弱塩基との塩を含有する電解液を使用した電池では、低温(例えば-40℃程度)において放電特性が大きく損なわれるといった問題があり、かかる点において未だ改善の余地がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水系電解液を有し、かつ低温での放電特性に優れた電池を提供することにある。
本発明の電池は、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムおよびこれらの合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属を活物質とする負極と、水系電解液とを有し、前記電解液が、弱酸と強塩基との塩であり、かつ0℃での水100gに対する溶解度が100g以上である電解質塩を、10質量%以上の濃度で含有する水溶液であることを特徴とするものである。
本発明によれば、水系電解液を有し、かつ低温での放電特性に優れた電池を提供することができる。
塩化アンモニウムなどの強酸と弱塩基との塩を電解質塩とする水溶液を電解液とする電池は、電解液が低pHであって、良好な放電特性を有している。しかしながら、このような電池であっても、0℃以下、例えば-40℃程度の低温環境下においては、十分な放電特性が確保できない。
他方、正極にマンガン酸化物を用いたマンガン電池などにおいては、塩化亜鉛を電解質塩とする水溶液を電解液としており、このような電池では、-40℃程度の低温環境下においても、良好に放電できる。しかしながら、塩化亜鉛は重金属元素である亜鉛を含むため、このような電池においては、電解液が漏出して身体に付着した場合などにおいて、安全性の面で改善の余地がある。
強酸と弱塩基との塩を電解質塩とする水溶液は、前記のような低温環境下に置かれると、電解質塩が析出したり、水溶液が凍結したりするものが多いため、電池の電解液としての機能を保ち得ないと考えられるのに対し、塩化亜鉛を電解質塩とする水溶液においては、こうした現象が生じない。そこで、本発明においては、重金属元素を含まない電解質塩を含有し、低温環境下でも電池の電解液としての特性を維持し得る水溶液を、電解液に使用することとした。これにより、塩化亜鉛を電解質塩とする水溶液からなる電池に比べると低温での放電特性は劣るものの、実用性のある特性を確保しつつ、安全性を高めることが可能となる。
本発明の電池は、水系電解液、すなわち水を溶媒とする水溶液からなる電解液を有する各種の電池〔アルカリ電池(アルカリ一次電池、アルカリ二次電池)、マンガン電池、空気電池など〕の態様を採ることができる。
(水系電解液)
本発明の電池は、水系電解液として、弱酸と強塩基との塩(弱酸と強塩基とから形成される塩)であり、かつ0℃での水100gに対する溶解度が100g以上である電解質塩を、10質量%以上の濃度で含有する水溶液を有している。
本発明の電池は、水系電解液として、弱酸と強塩基との塩(弱酸と強塩基とから形成される塩)であり、かつ0℃での水100gに対する溶解度が100g以上である電解質塩を、10質量%以上の濃度で含有する水溶液を有している。
弱酸と強塩基との塩を形成する弱酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸や、リン酸などが挙げられる。また、弱酸と強塩基との塩を形成する強塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;などが挙げられる。このように、弱酸や強塩基は、重金属元素を含有しないものが一般的であるため、これらから形成される塩も重金属元素を含有しない。よって、弱酸と強塩基との塩を電解質塩として含有する水溶液を電解液に使用することで、電解液が漏出して身体に付着しても、安全性の高い電池とすることができる。
水系電解液に使用する弱酸と強塩基との塩としては、このような弱酸と強塩基とから形成される塩のうちの、0℃での水100gに対する溶解度が100g以上であるものであればよいが、酢酸カリウムなどの酢酸塩や、ギ酸カリウムなどのギ酸塩が好ましい。
水系電解液に使用する水溶液における弱酸と強塩基との塩の濃度は、電池の低温での放電特性を良好に確保する観点から、10質量%以上であり、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。また、水系電解液に使用する水溶液は、pHが低くなるほど電池の起電力が高くなる傾向にあるが、弱酸と強塩基との塩の濃度が高くなるほどpHが高い方にずれる傾向にある。また、弱酸と強塩基との塩の濃度が高くなりすぎると、水溶液のイオン電導度が低下する虞も生じる。よって、水系電解液に使用する水溶液における弱酸と強塩基との塩の濃度は、電池の特性をより高める観点から、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。
水系電解液に使用する水溶液は、弱酸と強塩基との塩とともに、強酸と弱塩基との塩も含有していることが好ましい。弱酸と強塩基との塩を含有する水溶液を電解液とする電池は、強酸と弱塩基との塩を含有する水溶液を電解液とする電池に比べ、低温での放電特性が良好である一方で、常温(例えば25℃)での放電特性が劣るが、電解液に強酸と弱塩基との塩を弱酸と強塩基との塩と併用した場合には、電池の低温および常温での放電特性をより高めることが可能となる。
水系電解液中での強酸と弱塩基との塩の濃度は、電池の放電特性をより高める観点から、3質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが特に好ましい。また、電池の温度が低下した時に、強酸と弱塩基との塩が電極の表面に析出し、放電反応を妨げるのを防ぐため、水系電解液中での強酸と弱塩基との塩の濃度は、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
電池が空気電池の場合、水系電解液中の水分が蒸発して空気孔から散逸することによる電解液組成の変動の問題が生じやすい。よって、このような問題を回避する観点から、水系電解液の溶媒として沸点が150℃以上(好ましくは320℃以下)の水溶性高沸点溶媒を水と共に使用したり、水溶液からなる水系電解液に増粘剤を配合したり〔より好ましくはゲル状(ゲル状電解質)としたり〕することもできる。
前記水溶性高沸点溶媒としては、エチレングリコール(沸点197℃)、プロピレングリコール(沸点188℃)、グリセリン(沸点290℃)などの多価アルコール;ポリエチレングリコール(PEG;例えば、沸点230℃)などのポリアルキレングリコール(分子量が600以下のものが好ましい);などが挙げられる。水溶性高沸点溶媒を使用する場合、その全溶媒中の割合は、3~30質量%であることが好ましい。
また、後述するような負極活物質として作用する金属のシート(金属箔)を用いた負極を有する電池においては、水溶液からなる水系電解液を用いる場合、その水系電解液による腐食によって負極が破断し、容量が十分に引き出し得ないなどの問題が生じる虞があるが、水系電解液に増粘剤を配合しておき、より好ましくはゲル状(ゲル状電解質)とした場合には、前記の電解液組成の変動の問題を回避できることに加えて、負極の不要な腐食反応の抑制や、それに伴うガス発生および負極の破断の発生などを抑制することもできる。水系電解液に配合し得る増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース(CEC)などのセルロースの誘導体;ポリエチレンオキシド(PEO)などのポリアルキレンオキシド(ただし、分子量が1000以上のものが望ましく、10000以上のものがより望ましい);ポリビニルピロリドン;ポリ酢酸ビニル;デンプン;グアーガム;キサンタンガム;アルギン酸ナトリウム;ヒアルロン酸;ゼラチン;ポリアクリル酸;アクリルアミドの重合体または共重合体;などの各種合成高分子または天然高分子が挙げられる。さらに、前記例示の増粘剤のうち、カルボキシル基やその塩からなる官能基(-COOH、-COONaなど)を分子内に有するものを用いる場合には、ゲル化促進剤として作用する多価金属塩を水系電解液に配合することも好ましい。水系電解液における増粘剤の配合量は、前記効果を高めるために、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましく、放電特性の低下を防ぐために、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。また、ゲル化促進剤を使用する場合には、質量比で、増粘剤の割合を100としたときに、ゲル化促進剤の割合が1~30であることが好ましい。
また、水系電解液は、公知のポリマーなどのゲル化剤を用いてゲル状(ゲル状電解質)としてもよい。
水系電解液のpHは、電池をアルカリ電池とする場合などでは、12以上と高くすることができ、例えば14以上であってもよいが、廃棄時の環境負荷低減の観点からは12未満であることが好ましい。また、電池の放電特性がより良好となることから、水系電解液のpHは8以下であることがより好ましく、7以下であることがさらに好ましく、6以下であることが最も好ましい。さらに、水系電解液のpHは、負極活物質の腐食を防ぐために、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。水系電解液のpHは、弱酸と強塩基との塩の濃度を調節したり、強酸と弱塩基との塩を併用したりすることで調整することができる。また、電解液にカルボン酸、炭酸、リン酸などの弱酸を含有させることにより、水系電解液のpHをより低い値に調整することもできる。
(負極)
負極には、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムおよびこれらの合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属を活物質とするものが使用される。
負極には、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムおよびこれらの合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属を活物質とするものが使用される。
こうした負極の具体例としては、前記材料で構成された金属シート(亜鉛箔、亜鉛合金箔、マグネシウム箔、マグネシウム合金箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔)が好ましく用いられる。金属シートの厚みは、5~1000μmであることが好ましい。
また、前記材料で構成された金属粒子(亜鉛粒子、亜鉛合金粒子、マグネシウム粒子、マグネシウム合金粒子、アルミニウム粒子、アルミニウム合金粒子)を用いることもできる。
亜鉛合金の合金成分としては、例えば、インジウム、ビスマス、アルミニウムなどが挙げられ、前記元素の1種または複数種を含有させることができる。
亜鉛合金における各合金成分の含有量は、例えば以下の通りである。インジウムの含有量は、例えば、質量基準で0.005%以上であり、また、0.1%以下である。ビスマスの含有量は、例えば、質量基準で0.002%以上であり、また、0.2%以下である。アルミニウムの含有量は、例えば、質量基準で0.0001%以上であり、また、0.15%以下である。
なお、亜鉛箔および亜鉛合金箔としては、電解箔と圧延箔があるが、電解箔の方が電池内で電解液との反応によるガスを生じ難いため、電解箔が好ましく用いられ、特にビスマスを含有する電解亜鉛合金箔がより好ましく用いられる。電解亜鉛合金箔中でのビスマスの好適な含有量の範囲は、質量基準で0.02%以上0.1%以下である。
また、マグネシウム合金の合金成分としては、例えば、カルシウム、マンガン、亜鉛、アルミニウムなどが挙げられ、前記元素の1種または複数種を含有させることができる。
マグネシウム合金における各合金成分の含有量は、例えば以下の通りである。カルシウムの含有量は、例えば、質量基準で1%以上であり、また、3%以下である。マンガンの含有量は、例えば、質量基準で0.1%以上であり、また、0.5%以下である。亜鉛の含有量は、例えば、質量基準で0.4%以上であり、また、1%以下である。アルミニウムの含有量は、例えば、質量基準で8%以上であり、また、10%以下である。
さらに、アルミニウム合金の合金成分としては、例えば、亜鉛、スズ、ガリウム、ケイ素、鉄、マグネシウム、マンガンなどが挙げられ、前記元素の1種または複数種を含有させることができる。
アルミニウム合金における各合金成分の含有量は、例えば以下の通りである。亜鉛の含有量は、例えば、質量基準で0.5%以上であり、また、10%以下である。スズの含有量は、例えば、質量基準で0.04%以上であり、また、1.0%以下である。ガリウムの含有量は、例えば、質量基準で0.003%以上であり、また、1.0%以下である。ケイ素の含有量は、例えば、質量基準で0.05%以下である。鉄の含有量は、例えば、質量基準で0.1%以下である。マグネシウムの含有量は、例えば、質量基準で0.1%以上であり、また、2.0%以下である。マンガンの含有量は、例えば、質量基準で0.01%以上であり、また、0.5%以下である。
金属粒子を含有する負極の場合、その金属粒子は、1種単独でもよく、2種以上であってもよい。
なお、電池の廃棄時の環境負荷の低減を考慮すると、負極に使用する金属材料は、水銀、カドミウム、鉛およびクロムの含有量が少ないことが好ましく、具体的な含有量が、質量基準で、水銀:0.1%以下、カドミウム:0.01%以下、鉛:0.1%以下、およびクロム:0.1%以下であることがより好ましい。
亜鉛粒子および亜鉛合金粒子の粒度としては、例えば、全粒子中、粒径が75μm以下の粒子の割合が50質量%以下のものが好ましく、30質量%以下のものがより好ましく、また、粒径が100~200μmの粒子の割合が、50質量%以上、より好ましくは90質量%以上であるものが挙げられる。
また、マグネシウム粒子、マグネシウム合金粒子、アルミニウム粒子およびアルミニウム合金粒子の粒度としては、例えば、全粒子中、粒径が30μm以下の粒子の割合が50質量%以下のものが好ましく、30質量%以下のものがより好ましく、また、粒径が50~200μmの粒子の割合が、50質量%以上、より好ましくは90質量%以上であるものが挙げられる。
本明細書でいう金属粒子における粒度は、レーザー散乱粒度分布計(例えば、堀場製作所製「LA-920」)を用い、粒子を溶解しない媒体に、これらの粒子を分散させて測定した、体積基準での累積頻度50%における粒径(D50)である。
前記の金属粒子を含有する負極の場合には、合剤を形成するにあたり、必要に応じて添加されるゲル化剤(ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなど)やバインダを含んでもよく、これに電解液を加えることで構成される負極合剤(ゲル状負極など)を使用することができる。負極中のゲル化剤の量は、例えば、0.5~1.5質量%とすることが好ましく、バインダの量は、0.5~3質量%とすることが好ましい。
金属粒子を含有する負極に係る電解液には、電池に注入するものと同じものを使用することができる。
負極における金属粒子の含有量は、例えば、60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、また、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
金属粒子を含有する負極は、インジウム化合物を含有していることが好ましい。負極がインジウム化合物を含有することによって、金属粒子と電解液との腐食反応による水素ガス発生をより効果的に防ぐことができる。
前記のインジウム化合物としては、例えば、酸化インジウム、水酸化インジウムなどが挙げられる。
負極に使用するインジウム化合物の量は、質量比で、金属粒子:100に対し、0.003~1であることが好ましい。
また、金属材料を含有する負極には、必要に応じて集電体を用いてもよい。金属材料を含有する負極の集電体としては、ニッケル、銅、ステンレス鋼などの金属の網、箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル;カーボンのシート、網;などが挙げられる。負極の集電体の厚みは、10μm以上300μm以下であることが好ましい。
また、負極の集電体には、前記正極の場合と同様に、シート状外装体の内面となることが予定される面にカーボンペーストを塗布して用いることができる。前記のカーボンペースト層の厚みは、50~200μmであることが好ましい。
電池の適用機器と接続するための負極の端子部には、例えば負極集電体を構成し得るものとして先に例示した金属やカーボンで構成された箔(板、シート)、線などを使用することができる。負極の端子部が箔(板、シート)である場合の厚みは、20μm以上500μm以下であることが好ましい。また、負極の端子部が線である場合の直径は、50μm以上1500μm以下であることが好ましい。
また、負極の集電体の一部を、端子部として利用することもできる。さらに、負極が金属シートで構成される場合には、前記金属シートを、負極活物質層として機能する本体部と端子部とを有する形状に切断することにより、1枚の金属シートから本体部と端子部とを有する負極を形成することもできる。
(正極)
電池が、アルカリ電池やマンガン電池の場合、その正極には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダを含有する正極合剤層を集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。
電池が、アルカリ電池やマンガン電池の場合、その正極には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダを含有する正極合剤層を集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。
電池がアルカリ電池の場合に使用可能な正極活物質としては、酸化銀(酸化第一銀、酸化第二銀など);二酸化マンガンなどのマンガン酸化物;オキシ水酸化ニッケル;銀とコバルト、ニッケルまたはビスマスとの複合酸化物;などが挙げられる。また、電池がマンガン電池の場合の正極活物質には、二酸化マンガンなどのマンガン酸化物が使用される。
正極合剤層に係る導電助剤には、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;などの炭素材料の他、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;銅、ニッケルなどの金属粉末類;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などを用いることができる。
正極合剤層に係る導電助剤には、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;などの炭素材料の他、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;銅、ニッケルなどの金属粉末類;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などを用いることができる。
正極合剤層に係るバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、CMC、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
正極合剤層中の組成としては、正極活物質の量が80~98質量%であることが好ましく、導電助剤の含有量が1.5~10質量%であることが好ましく、バインダの含有量が0.5~10質量%であることが好ましい。また、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、30~300μmであることが好ましい。
正極合剤層を有する正極は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを水またはN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの有機溶媒に分散させて正極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し(バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体上に塗布し乾燥し、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
また、電池が空気電池の場合の正極(空気極)には、触媒層を有するもの、例えば、触媒層と集電体とを積層した構造のものを使用することができる。
触媒層には、触媒やバインダなどを含有させることができる。
触媒層に係る触媒としては、例えば、フタロシアニン系金属錯体;銀、白金族金属またはその合金;遷移金属;Pt/IrO2などの白金/金属酸化物;La1-xCaxCoO3などのペロブスカイト酸化物;WCなどの炭化物;Mn4Nなどの窒化物;二酸化マンガンなどのマンガン酸化物;カーボン〔黒鉛、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなど)、木炭、活性炭など〕などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が使用される。
なお、触媒層は、重金属の含有量が、1質量%以下であることが好ましい。電池は、その形態によっては廃棄時に手などで引き裂いて容易に破壊することができるが、重金属の含有量が前記のように少ない触媒層を有する正極の場合、特別な処理などを経ずに廃棄しても環境負荷が小さい電池とすることができる。
本明細書でいう触媒層中の重金属の含有量は、蛍光X線分析により測定することができる。例えば、リガク社製の蛍光X線分析装置「ZSX100e」を用い、励起源:Rh50kV、分析面積:φ10mmの条件で測定することができる。
よって、触媒層に係る触媒には、重金属を含有していないものが推奨され、前記の各種カーボンを使用することがより好ましい。
また、正極の反応性をより高める観点からは、触媒として使用するカーボンの比表面積は、200m2/g以上であることが好ましく、300m2/g以上であることがより好ましく、500m2/g以上であることが更に好ましい。本明細書でいうカーボンの比表面積は、日本産業規格(JIS)K 6217に準じた、BET法によって求められる値であり、例えば、窒素吸着法による比表面積測定装置(Mountech社製「Macsorb HM modele-1201」)を用いて測定することができる。なお、カーボンの比表面積の上限値は、通常、2000mm2/g程度である。
触媒層における触媒の含有量は、20~70質量%であることが好ましい。
触媒層に係るバインダとしては、PVDF、PTFE、フッ化ビニリデンの共重合体やテトラフルオロエチレンの共重合体〔フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF-HFP)、フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(PVDF-CTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体(PVDF-TFE)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体(PVDF-HFP-TFE)など〕などのフッ素樹脂バインダなどが挙げられる。これらの中でも、テトラフルオロエチレンの重合体(PTFE)または共重合体が好ましく、PTFEがより好ましい。触媒層におけるバインダの含有量は、3~50質量%であることが好ましい。
触媒層を有する正極の場合、例えば、前記触媒、バインダなどを水と混合してロールで圧延し、集電体と密着させることにより製造することができる。また、前記の触媒や必要に応じて使用するバインダなどを、水や有機溶媒に分散させて調製した触媒層形成用組成物(スラリー、ペーストなど)を、集電体の表面に塗布し乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することもできる。
また、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルトなどの、繊維状カーボンで構成された多孔性のカーボンシートを触媒層とすることも可能である。前記カーボンシートは、後述する正極の集電体として用いることもでき、両者を兼ねることもできる。
正極合剤層を有する正極や触媒層を有する正極に係る集電体には、例えば、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、銅などの金属の網、箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル;カーボンの網、シート;などを用いることができる。なお、空孔を有する集電体を使用する場合には、正極合剤層の構成成分や触媒層の構成成分が、集電体の空孔中に保持されることで、正極合剤層や触媒層と集電体とが一体化していてもよい。正極に係る集電体の厚みは、10μm以上300μm以下であることが好ましい。
また、電池が樹脂製フィルムで構成されたシート状外装体を有する場合、正極の集電体には、前記樹脂製フィルムの一部を利用することもできる。この場合、例えば、樹脂製フィルムの、シート状外装体の内面となることが予定される面にカーボンペーストを塗布して集電体としたり、金属層を有する樹脂製フィルムの前記金属層を集電体としたりし、この集電体の表面に前記と同様の方法で正極合剤層や触媒層を形成することで、正極とすることができる。前記のカーボンペースト層の厚みは、30~300μmであることが好ましい。
正極は、通常、適用機器と接続するための端子部を有している。正極の端子部は、アルミニウム箔(板)や線、ニッケル箔(板)や線などを、正極の集電体とリード体を介して接続したり、正極の集電体に直接接続したりするなどして形成することができる。正極の端子部が箔(板)である場合の厚みは、50μm以上500μm以下であることが好ましい。また、正極の端子部が線である場合の直径は、100μm以上1500μm以下であることが好ましい。また、前記集電体の一部を外部に露出させることにより、正極の端子部としてもよい。
(セパレータ)
電池において、正極と負極との間にはセパレータを介在させる。電池がアルカリ電池やマンガン電池、空気電池の場合のセパレータには、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布(ビニロン・レーヨン混抄紙)、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などを用いることができる。また、微多孔性フィルムを用いることもでき、微多孔性ポリオレフィンフィルム(微多孔性ポリエチレンフィルムや微多孔性ポリプロピレンフィルムなど)が具体的に例示され、水系電解液との濡れ性を改善するため、その表面を親水化処理したものであってもよい。
電池において、正極と負極との間にはセパレータを介在させる。電池がアルカリ電池やマンガン電池、空気電池の場合のセパレータには、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布(ビニロン・レーヨン混抄紙)、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などを用いることができる。また、微多孔性フィルムを用いることもでき、微多孔性ポリオレフィンフィルム(微多孔性ポリエチレンフィルムや微多孔性ポリプロピレンフィルムなど)が具体的に例示され、水系電解液との濡れ性を改善するため、その表面を親水化処理したものであってもよい。
また、前記微多孔性フィルムと、セロファンフィルムと、ビニロン・レーヨン混抄紙のような吸液層(電解液保持層)とを積み重ねたものをセパレータとしてもよい。セパレータの厚みは、例えば、10~500μmであることが好ましく、微多孔性フィルムの場合は、10~50μmであることが好ましく、不織布の場合は、20~500μmであることが好ましい。
(電池の形態など)
電池の形態については特に制限はなく、外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する扁平形(コイン形、ボタン形を含む);樹脂フィルム製のシート状外装体を有するシート形;有底筒形の外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する筒形〔円筒形、角形(角筒形)〕;など、いずれの形態とすることもできる。
電池の形態については特に制限はなく、外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する扁平形(コイン形、ボタン形を含む);樹脂フィルム製のシート状外装体を有するシート形;有底筒形の外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する筒形〔円筒形、角形(角筒形)〕;など、いずれの形態とすることもできる。
電池を、身体に装着可能なパッチ、特に、皮膚の表面に装着し、体温、脈拍、発汗量など身体の状況に関する測定を行うためのパッチなどの、医療・健康用途の機器の電源として使用する場合には、樹脂フィルム製のシート状外装体を有するシート状電池とすることが好ましい。
シート状外装体は、樹脂製フィルムで構成されるが、このような樹脂製フィルムとしては、ナイロンフィルム(ナイロン66フィルムなど)、ポリエステルフィルム〔ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなど〕などが挙げられる。
なお、シート状外装体の封止は、シート状外装体の上側の樹脂製フィルムの端部と下側の樹脂製フィルムの端部との熱融着によって行うことが一般的であるが、この熱融着をより容易にする目的で、前記例示の樹脂製フィルムに熱融着樹脂層を積層してシート状外装体に用いてもよい。熱融着樹脂層を構成する熱融着樹脂としては、変性ポリオレフィンフィルム(変性ポリオレフィンアイオノマーフィルムなど)、ポリプロピレンおよびその共重合体などが挙げられる。熱融着樹脂層の厚みが20~200μmであることが好ましい。
また、樹脂製フィルムには金属層を積層してもよい。金属層は、アルミニウムフィルム(アルミニウム箔。アルミニウム合金箔を含む。)、ステンレス鋼フィルム(ステンレス鋼箔。)などにより構成することができる。金属層の厚みが10~150μmであることが好ましい。
さらに、シート状外装体を構成する樹脂製フィルムは、前記の熱融着樹脂層と前記の金属層とが積層された構成のフィルムであってもよい。
また、シート状外装体を構成する樹脂製フィルムは、電気絶縁性の水蒸気バリア層を有していることも好ましい。この場合、電気絶縁性の樹脂製フィルム自体が水蒸気バリア層の役割も担う単層構造のものや、電気絶縁性の樹脂製フィルムの層を複数有し、そのうちの少なくとも1層が水蒸気バリア層の役割を担う多層構造のものであってもよく、また、樹脂製フィルムからなる基材層の表面に電気絶縁性の水蒸気バリア層を有する多層構造のものであってもよい。
このような樹脂製フィルムのなかでも、少なくとも無機酸化物で構成される水蒸気バリア層が、樹脂製フィルムからなる基材層の表面に形成されたものが、好ましく使用される。
水蒸気バリア層を構成する無機酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などが挙げられる。なお、酸化ケイ素で構成される水蒸気バリア層は、酸化アルミニウムで構成される水蒸気バリア層に比べて、電池内の電解液中の水分の透過を抑制する機能が高い傾向にある。よって、水蒸気バリア層を構成する無機酸化物には、酸化ケイ素を採用することがより好ましい。
無機酸化物で構成される水蒸気バリア層は、例えば蒸着法によって基材層の表面に形成することができる。水蒸気バリア層の厚みは、10~300nmであることが好ましい。
水蒸気バリア層を有する樹脂製フィルムの基材層には、前記のナイロンフィルムやポリエステルフィルムが挙げられる他、ポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルムなども用いることができる。基材層の厚みは、5~100μmであることが好ましい。
水蒸気バリア層と基材層とを有する樹脂製フィルムの場合、水蒸気バリア層を保護するための保護層を、水蒸気バリア層の表面(基材層とは反対側の面)に形成してもよい。
また、水蒸気バリア層と基材層とを有する樹脂製フィルムの場合にも、前記の熱融着樹脂層がさらに積層されていてもよい。
樹脂製フィルム全体の厚みは、電池に十分な強度を持たせるなどの観点から、10μm以上であることが好ましく、電池の厚みの増大やエネルギー密度の低下を抑える観点から、200μm以下であることが好ましい。
シート状外装体を構成する樹脂製フィルムの水蒸気透過度は、10g/m2・24h以下であることが好ましい。なお、樹脂製フィルムは、できるだけ水蒸気を透過しないことが望ましく、すなわち、その水蒸気透過度は、できるだけ小さい値であることが好ましく、0g/m2・24hであってもよい。
本明細書でいう樹脂製フィルムの水蒸気透過度は、JIS K 7129B法に準じて測定される値である。
なお、電池が空気電池の場合には、シート状外装体を構成する樹脂製フィルムが、ある程度の酸素透過性を有していることが好ましい。空気電池は正極に空気(酸素)を供給して放電させるため、電池内に酸素を導入するための空気孔をシート状外装体に形成するが、シート状外装体を構成する樹脂製フィルムが酸素透過性を有している場合には、シート状外装体の空気孔以外の箇所からも、外装体を透過させて電池内に酸素を導入することができるため、正極の全体にわたってより均一に酸素が供給されるようになり、電池の放電特性を向上させたり、その放電時間を長時間化したりすることが可能となる。また、シート状外装体に空気孔を持たないシート状空気電池の実現も可能となる。
電池が空気電池の場合の、シート状外装体を構成する樹脂製フィルムの具体的な酸素透過度としては、0.02cm3/m2・24h・MPa以上であることが好ましく、0.2cm3/m2・24h・MPa以上であることがより好ましい。ただし、電池が空気電池の場合、シート状外装体を構成する樹脂製フィルムが酸素を透過しすぎると、自己放電が生じて容量が損なわれる虞があるため、樹脂製フィルムの酸素透過度は、100cm3/m2・24h・MPa以下であることが好ましく、50cm3/m2・24h・MPa以下であることがより好ましい。
他方、電池が空気電池以外の電池の場合には、シート状外装体を構成する樹脂製フィルムの酸素透過性については特に制限はないが、電池の貯蔵性向上の観点からは、あまり酸素を透過しないものが好ましく、具体的な樹脂製フィルムの酸素透過度は、10cm3/m2・24h・MPa以下であることが好ましい。
本明細書でいう樹脂製フィルムの酸素透過度は、JIS K 7126-2法に準じて測定される値である。
また、カシメ封口を行う形態の外装体を使用する場合、外装缶と封口板との間に介在させるガスケットの素材には、ポリプロピレン、ナイロンなど、アルカリ電池などで使用されている材料を使用することができる。
また、充電時に外装缶を構成する鉄などの元素が溶出するのを防ぐため、外装缶の内面には、スズ、亜鉛、インジウムなどの耐食性の金属をメッキしておくことが望ましい。
電池が空気電池の場合は、通常、正極と外装体との間に撥水膜を配する。その撥水膜には、撥水性がある一方で空気を透過できる膜が使用される。このような撥水膜の具体例としては、PTFEなどのフッ素樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン;などの樹脂で構成された膜などが挙げられる。撥水膜の厚みは、50~250μmであることが好ましい。
また、電池が空気電池の場合には、外装体と撥水膜との間に、外装体内に取り込んだ空気を正極に供給するための空気拡散膜を配置してもよい。空気拡散膜には、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ナイロンなどの樹脂で構成された不織布を用いることができる。空気拡散膜の厚みは、100~250μmであることが好ましい。
図1および図2に電池の一例を模式的に示す。図1および図2は、電池が、金属シートを有する負極と、シート状外装体とを備えている場合(シート状電池の場合)の例であり、図1はその平面図を示し、図2は図1のI-I線断面図を示している。
図2に示すように、電池10においては、正極20、セパレータ40および負極30と、水系電解液(図示しない)とが、シート状外装体50内に収容されている。
シート状外装体50の図中上辺からは、正極20の端子部21および負極30の端子部31が突出している。図2に示す通り、正極の端子部21は電池10内で正極20と接続しており、また、図示していないが、負極の端子部31も、電池10内で負極30と接続している。これらの端子部21、31は、電池10と適用機器とを電気的に接続するための外部端子として使用される。
なお、図2では、シート状外装体50(それを構成する樹脂製フィルム)を単層構造で示しているが、前記の通り、シート状外装体を構成する樹脂製フィルムは、多層構造とすることもできる。また、図2では、正極10および負極20も単層構造で示しているが、前記の通り、正極および負極も多層構造とすることもでき、さらに、負極については亜鉛粒子などの金属粒子を含有するものとすることもできる。
シート状外装体の形状は、平面視で多角形(三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形)であってもよく、平面視で円形や楕円形であってもよい。なお、平面視で多角形のシート状外装体の場合、正極の端子部および負極の端子部は、同一辺から外部へ引き出してもよく、それぞれを異なる辺から外部へ引き出しても構わない。
電池がシート状電池である場合、その厚み(図2中aの長さ)については特に制限はなく、電池の用途に応じて適宜変更できる。なお、シート状電池は薄型にできることがその利点の一つであり、かかる観点からは、その厚みは、例えば1mm以下であることが好ましい。電池がシート状空気電池の場合には、特にこのような薄型のものの提供が容易となる。
また、電池の厚みの下限値についても特に制限はないが、一定の容量を確保するために、通常は、0.2mm以上とすることが好ましい。
本発明の電池は、電解液が水溶液であり、実質的に重金属元素を含まないため、環境負荷が小さく、また、破損などによって電解液が漏出して身体に付着しても、問題が生じ難い。よって、本発明の電池は、身体に装着可能なパッチ、特に、皮膚の表面に装着し、体温、脈拍、発汗量など身体の状況に関する測定を行うためのパッチなど、医療・健康用途の機器の電源として好適であり、また、従来から知られている空気電池やアルカリ電池などの水系電解液を有する電池が採用されている用途と同じ用途にも適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。
なお、各実施例および比較例のシート状電池に電解液として使用した水溶液について、後記の各pHの値は、いずれも、堀場製作所製の「LAQUA twinコンパクトpHメータ」を用いて25℃環境下で測定した値である。
(実施例1)
<正極>
電解二酸化マンガン〔東ソー社製「SP-A」(平均粒径0.5μm)〕:87.5質量部と、黒鉛〔日本黒鉛社製「SP-20」(平均粒径30μm)〕:10質量部と、ポリアクリル酸アンモニウム:2.5質量部と、水:150質量部とを混合して、正極合剤含有組成物を調製した。
<正極>
電解二酸化マンガン〔東ソー社製「SP-A」(平均粒径0.5μm)〕:87.5質量部と、黒鉛〔日本黒鉛社製「SP-20」(平均粒径30μm)〕:10質量部と、ポリアクリル酸アンモニウム:2.5質量部と、水:150質量部とを混合して、正極合剤含有組成物を調製した。
多孔性のカーボンペーパー〔厚み:0.15mm、空孔率:75%、透気度(ガーレー):70秒/100ml〕に、前記正極合剤含有組成物を、乾燥後の塗布量が18mg/cm2となるようにストライプ塗布し、乾燥することにより、空隙中に正極活物質(正極合剤)を保持し、かつ表面が正極活物質を含む層(正極合剤層)で被覆された領域〔以下、「領域A」という〕と、空隙中に正極活物質を保持しておらず、かつ表面に正極活物質を含む層が形成されていないカーボンペーパーのみの領域〔以下、「領域B」という〕とを有するカーボンペーパーを得た。これを、30mm×30mmの大きさの領域Aで構成される、正極活物質を保持する本体部と、10mm×20mmの大きさの領域Bで構成される正極端子とを有する形状に打ち抜いて、厚みが0.2mmで理論容量が30mAhの正極を作製した。
<負極>
添加元素としてBi:0.05質量%を含有し、Inを含有しない亜鉛合金により構成された電解亜鉛合金箔(厚み:0.03mm)を、30mm×30mの大きさの本体部と、10mm×20mmの大きさの負極端子とを有する形状に打ち抜いて、負極を作製した。
添加元素としてBi:0.05質量%を含有し、Inを含有しない亜鉛合金により構成された電解亜鉛合金箔(厚み:0.03mm)を、30mm×30mの大きさの本体部と、10mm×20mmの大きさの負極端子とを有する形状に打ち抜いて、負極を作製した。
<電解液>
電解液には、酢酸カリウム(0℃での水100gに対する溶解度が216g)を20質量%の濃度で溶解した水溶液(pH=8.27)を用いた。
電解液には、酢酸カリウム(0℃での水100gに対する溶解度が216g)を20質量%の濃度で溶解した水溶液(pH=8.27)を用いた。
<セパレータ>
セパレータには、表面を親水化処理したポリプロピレン不織布フィルム(厚み:50μm、坪量:12g/m2)を用いた。
セパレータには、表面を親水化処理したポリプロピレン不織布フィルム(厚み:50μm、坪量:12g/m2)を用いた。
<シート状外装体>
アルミニウム箔の外面にPETフィルムを有し、内面に熱融着樹脂層としてポリプロピレンフィルムを有する50mm×50mmの大きさのアルミニウムラミネートフィルム(厚み:65μm)を2枚用いてシート状外装体とした。
アルミニウム箔の外面にPETフィルムを有し、内面に熱融着樹脂層としてポリプロピレンフィルムを有する50mm×50mmの大きさのアルミニウムラミネートフィルム(厚み:65μm)を2枚用いてシート状外装体とした。
<電池の組み立て>
一方のアルミニウムラミネートフィルムの上に、前記正極、前記セパレータおよび前記負極を順に積層し、さらに、他方のアルミニウムラミネートフィルムを重ねた。次に、2枚のアルミニウムラミネートフィルムの周囲3辺を互いに熱溶着して袋状にし、さらにその開口部から前記電解液:0.1mlを注入した後、前記開口部を熱溶着して封止して、図1および図2に示すものと同様の構造のシート状電池を作製した。
一方のアルミニウムラミネートフィルムの上に、前記正極、前記セパレータおよび前記負極を順に積層し、さらに、他方のアルミニウムラミネートフィルムを重ねた。次に、2枚のアルミニウムラミネートフィルムの周囲3辺を互いに熱溶着して袋状にし、さらにその開口部から前記電解液:0.1mlを注入した後、前記開口部を熱溶着して封止して、図1および図2に示すものと同様の構造のシート状電池を作製した。
(実施例2~6)
電解液を、酢酸カリウムをそれぞれ15質量%、25質量%、30質量%、40質量%および50質量%の濃度で溶解した水溶液(それぞれ、pH=8.10、pH=8.46、pH=8.65、pH=9.11、pH=9.72)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2~6のシート状電池を作製した。
電解液を、酢酸カリウムをそれぞれ15質量%、25質量%、30質量%、40質量%および50質量%の濃度で溶解した水溶液(それぞれ、pH=8.10、pH=8.46、pH=8.65、pH=9.11、pH=9.72)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2~6のシート状電池を作製した。
(実施例7)
電解液を、ギ酸カリウム(0℃での水100gに対する溶解度が280g)を25質量%の濃度で溶解した水溶液(pH=8.72)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
電解液を、ギ酸カリウム(0℃での水100gに対する溶解度が280g)を25質量%の濃度で溶解した水溶液(pH=8.72)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
(実施例8)
電解液を、酢酸カリウム(濃度:20質量%)と塩化アンモニウム(0℃での水100gに対する溶解度が29.4g、濃度:5質量%)とを溶解した水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
電解液を、酢酸カリウム(濃度:20質量%)と塩化アンモニウム(0℃での水100gに対する溶解度が29.4g、濃度:5質量%)とを溶解した水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
(実施例9)
電解液を、酢酸カリウム(濃度:20質量%)と塩化アンモニウム(濃度:10質量%)とを溶解した水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
電解液を、酢酸カリウム(濃度:20質量%)と塩化アンモニウム(濃度:10質量%)とを溶解した水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
(実施例10)
電解液を、酢酸カリウム(濃度:20質量%)と塩化アンモニウム(濃度:15質量%)とを溶解した水溶液(pH=7.32)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
電解液を、酢酸カリウム(濃度:20質量%)と塩化アンモニウム(濃度:15質量%)とを溶解した水溶液(pH=7.32)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
(実施例11)
電解液を、酢酸カリウム(濃度:30質量%)と塩化アンモニウム(濃度:5質量%)とを溶解した水溶液(pH=7.88)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
電解液を、酢酸カリウム(濃度:30質量%)と塩化アンモニウム(濃度:5質量%)とを溶解した水溶液(pH=7.88)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
(比較例1)
電解液を、塩化アンモニウムを25質量%の濃度で溶解した水溶液(pH=5.01)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
電解液を、塩化アンモニウムを25質量%の濃度で溶解した水溶液(pH=5.01)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
(比較例2)
電解液を、塩化亜鉛を25質量%の濃度で溶解した水溶液(pH=4.85)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
電解液を、塩化亜鉛を25質量%の濃度で溶解した水溶液(pH=4.85)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
(比較例3)
電解液を、酢酸ナトリウム(0℃での水100gに対する溶解度が36.2g)を25質量%の濃度で溶解した水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
電解液を、酢酸ナトリウム(0℃での水100gに対する溶解度が36.2g)を25質量%の濃度で溶解した水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
(比較例4)
電解液を、ギ酸ナトリウムを(0℃での水100gに対する溶解度が43.9g)25質量%の濃度で溶解した水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
電解液を、ギ酸ナトリウムを(0℃での水100gに対する溶解度が43.9g)25質量%の濃度で溶解した水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状電池を作製した。
実施例および比較例のシート状電池に使用した電解液の構成を表1に示す。なお、pHの欄では、測定値がないものについては「―」と記載するが、実施例8と実施例9の電池に使用した電解液のpHは、実施例1の電池の電解液のpH(8.27)と、実施例10の電池の電解液のpH(7.32)の間の値となり、実施例1>実施例8>実施例9>実施例10の順にpHが低下すると考えられる。
実施例1、実施例3、実施例7、比較例1、比較例3および比較例4のシート状電池について、室温(25℃)環境下および低温(-40℃)環境下で以下の条件でパルス放電試験を行い、室温および低温での放電特性を評価した。
パルス放電の条件は、パルス幅:10msec、パルス間隔:3secとし、パルス電流の電流値を、室温環境下:10mA、30mAおよび50mA、低温環境下:0.5mA、1mAおよび2mAとして、それぞれの電流値の条件で50回のパルス放電を行い、そのときの閉回路電圧(CCV)を測定した。室温での放電特性の評価結果を図3に示し、低温での放電特性の評価結果を図4に示す。
また、実施例1~7および比較例1~4のシート状電池について、前記と同じ低温環境下で、パルス電流の電流値を1mAとし、前記と同じ条件でパルス放電試験を行い、それぞれの電池のCCVを測定した。
電解質塩の濃度が同じ25質量%である実施例3、実施例7および比較例1~4の電池の測定結果を、低温での放電特性として表2に示す。さらに、実施例1~6の測定結果を基に、電解液中の酢酸カリウムの濃度の変化に伴うCCVの変化を図5に示す。
図3に示す通り、重金属元素を含まない強酸と弱塩基との塩(塩化アンモニウム)を含有する水溶液を電解液に用いた比較例1の電池、あるいは、弱酸と強塩基との塩であり、かつ0℃での水100gに対する溶解度が100g未満である電解質塩(酢酸ナトリウムおよびギ酸ナトリウム)を含有する水溶液を電解液に用いた比較例3および比較例4のシート状電池は、室温での放電特性に優れていた。また、弱酸と強塩基との塩であり、かつ0℃での水100gに対する溶解度が100g以上である電解質塩(酢酸カリウムおよびギ酸カリウム)を含有する水溶液を電解液に用いた実施例3および実施例7のシート状電池も、前記電池よりも多少電圧が低下するものの、同様に室温での放電特性に優れた電池であることがわかった。
一方、表1および図4に示す通り、実施例3および実施例7のシート状電池は、塩化亜鉛を含有する水溶液を電解液に用いた比較例2の電池に比べると、低温での放電特性が低下するものの、比較例1、比較例3および比較例4の電池に比べると、低温での放電特性が大幅に向上した。
また、図5に示す結果は、約40質量%の濃度において室温での値が最大となる、酢酸カリウムを含有する電解液のイオン伝導度の変化と概ね相関していた。これらの結果は、電池の電解液における弱酸と強塩基との塩の濃度を、10質量%以上(電解液のイオン伝導度が、室温で80mS/cm以上)とすればよいことを示している。
次に、実施例8~11のシート状電池について、前記と同様に、低温環境下で0.5mA、1mAおよび2mAの電流値でパルス放電試験を行い、そのときのCCVを測定して低温での放電特性を評価した。その結果を、実施例1の結果と併せて図6に示す。
弱酸と強塩基との塩である酢酸カリウムとともに、強酸と弱塩基との塩である塩化アンモニウムを含有させ、電解液のpHを実施例1の電池よりも低い値とした実施例8~11の電池は、弱酸と強塩基との塩のみを含有する水溶液を電解液に用いた実施例1の電池に比べて、低温での放電特性を向上させることができた。
以上の結果から明らかなように、弱酸と強塩基との塩であり、かつ0℃での水100gに対する溶解度が100g以上である電解質塩を、10質量%以上の濃度で含有する水溶液を電解液に用いることにより、安全性に優れ、低温での放電特性に優れた電池を構成することができる。
10 電池
20 正極
21 正極の端子部
30 負極
31 負極の端子部
40 セパレータ
50 シート状外装体
20 正極
21 正極の端子部
30 負極
31 負極の端子部
40 セパレータ
50 シート状外装体
Claims (4)
- 亜鉛、アルミニウム、マグネシウムおよびこれらの合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属を活物質とする負極と、水系電解液とを有する電池であって、
前記電解液が、弱酸と強塩基との塩であり、かつ0℃での水100gに対する溶解度が100g以上である電解質塩を、10質量%以上の濃度で含有する水溶液であることを特徴とする電池。 - 前記弱酸と強塩基との塩が、カルボン酸の塩である請求項1に記載の電池。
- 前記電解液が、強酸と弱塩基との塩をさらに含有する請求項1に記載の電池。
- 前記電解液のpHが8以下である請求項1に記載の電池。
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| Date | Code | Title | Description |
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| A621 | Written request for application examination |
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