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JP2557780B2 - 木質材及び多孔質無機質材への処理液注入方法及び装置並びに木質材の放射柔細胞壁及び閉塞壁孔対破壊方法 - Google Patents
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JP2557780B2 - 木質材及び多孔質無機質材への処理液注入方法及び装置並びに木質材の放射柔細胞壁及び閉塞壁孔対破壊方法 - Google Patents

木質材及び多孔質無機質材への処理液注入方法及び装置並びに木質材の放射柔細胞壁及び閉塞壁孔対破壊方法

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JP2557780B2
JP2557780B2 JP5023752A JP2375293A JP2557780B2 JP 2557780 B2 JP2557780 B2 JP 2557780B2 JP 5023752 A JP5023752 A JP 5023752A JP 2375293 A JP2375293 A JP 2375293A JP 2557780 B2 JP2557780 B2 JP 2557780B2
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  • Wood Science & Technology (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、木質材の防腐、防虫、
防蟻、防カビ、難燃化や寸法安定、強度向上を図るた
め、及び石質材の耐酸性雨性の向上を図るために木質材
や石質材等に樹脂等の処理液を注入する方法及びその装
置に関する。また、併せて木質材の放射柔細胞壁や閉塞
壁孔対を破壊する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より木質材の難燃化、寸法安定、強
度向上のため、及び防腐・防虫性を高めることを目的と
して各種の処理液を木質材に注入することが行われてい
る。この木質材への処理液の注入は、一般に木質材を短
時間のうちに一気に一定圧力に加圧し、その圧力を長時
間保持しつつ処理液を注入することによって行われる。
この場合、木質材の材質にもよるが通常15kg/cm2
上の圧力を加えると木質材にそりや曲げ等の変形を生じ
たり、ヤセたりすることから、処理液の注入はそれ以下
の圧力によって行われていた。一方、石質材においては
処理液を表面に塗布することや、石室材そのものの性質
を利用すること、例えば大理石が持つ表面に触れた酸性
水を中和する性質などを利用して酸性雨に対する保護を
図っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、木質材は一般
に図8のように多数の細胞の集合から成り立っており、
各細胞間には図9のような構造の壁孔対1が点在し壁孔
2が形成されている。この壁孔2の中央にはトルース3
という肥厚部があり、そのまわりは薄い網目状(マル
ゴ)になっている。このような構造を有する木質材は、
心材化の過程などにおいて壁孔壁が一方の孔口に引き寄
せられトルース3が孔口を塞ぐ。このような状態となっ
たものを閉塞壁孔対と呼び、トルース3が壁孔2を塞い
だような形となっており、心材部のみならず辺材部にも
存在する。従って、木材全体に亘って処理液を浸透させ
るためには、この閉塞壁孔対の孔口を塞いでいるトルー
ス3を破壊したり細胞壁そのものを破壊して隣接する細
胞内にも処理液が行き渡るようにする必要がある。
【0004】しかしながら、このトルース3を材中心部
まで破壊するためには、従来の処理液注入方法では30
kg/cm2 の圧力が必要であるが、先述のように15kg/
cm2以上の圧力では材そのものが変形してしまう。そこ
で、その変形を避けるべく注入圧を低圧にせざるを得
ず、その結果圧力不足となりトルース3を十分に破壊し
て木材内部まで十分に処理液を注入することができなか
った。一方、特に広葉樹においては、一気に所定圧力ま
で加圧を行うため、チロース等の不純物により導管に詰
まりが発生し、処理液を材中心部まで注入することが非
常に難しかった。また、石質材においては処理液の表面
塗布や石質材の性質によりその保護を図っていることか
ら、その効果は表面に限られ、長期間に亘り酸性雨にさ
らされるとその耐酸性雨性も衰え、酸性雨に対して十分
な効果が得られなくなる。その結果、酸性雨が内部に浸
透してしまい内部がパウダー状になる等石質材内部から
蝕まれることを防ぎ得なかった。
【0005】本発明は上記課題を解決すべくなされたも
のであり、木質材や石質材等の被処理材に変形を生じさ
せることなく、その内部まで十分に処理液を注入浸透さ
せることができる木質材及び多孔質無機材の処理液注入
方法及び装置を提供することを目的とする。また、併せ
て木質材の放射柔細胞壁や閉塞壁孔対を破壊する方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の本発明は、樹脂等の処理液を木質材及び
多孔質無機質材に注入する方法であって、被処理材を減
圧して該被処理材内の気体を取除く減圧ステップと、被
処理材を該被処理材が変形を生じない所定圧力に加圧
し、所定時間該圧力を保持する初期加圧ステップと、上
記圧力保持時間経過後、最終加圧圧力まで段階的に昇圧
し、かつ各加圧段階において所定時間当該圧力を保持し
つつ被処理材を加圧する予備加圧ステップと、所定の処
理液注入圧力において当該被処理材に処理液を注入する
処理液注人ステップとからなることを特徴として構成さ
れている。さらに請求項2記載の本発明は、樹脂等の処
理液を針葉樹材に注入する方法であって、被処理材を減
圧して該被処理材内の気体を取除く減圧ステップと、被
処理材を該被処理材が変形を生じない低圧力に加圧し、
所定時間該圧力を保持する初期加圧ステップと、上記圧
力保持時間経過後、最終加圧圧力まで段階的に昇圧し、
かつ各加圧段階において所定時間当該圧力を保持しつつ
被処理材を加圧する予備加圧ステップと、所定の処理液
注入圧力において当該被処理材に処理液を注入する処理
液注入ステップとからなることを特徴として構成されて
いる。さらにまた請求項3記載の本発明は、樹脂等の処
理液を広葉樹材に注入する方法であって、針葉樹材の場
合よりも長時間被処理材を減圧して該被処理材内の気体
を取除く減圧ステップと、被処理材を該被処理材が変形
を生じない低圧力で加圧し、針葉樹材の場合よりも長時
間該圧力を保持する初期加圧ステップと、上記圧力保持
時間経過後、最終加圧圧力まで段階的に昇圧し、かつ各
加圧段階において所定時間当該圧力を保持しつつ被処理
材を加圧する予備加圧ステップと、所定の処理液注入圧
力において当該被処理材に処理液を注入する処理液注入
ステップとからなることを特徴として構成されている。
しかも請求項4記載の本発明は、樹脂等の処理液を石質
材に注入する方法であって、木質材の場合よりも長時間
被処理材を減圧して該被処理材内の気体を取除く減圧ス
テップと、被処理材を該被処理材が変形を生じない低圧
力で加圧し、木質材の場合よりも長時間該圧力を保持す
る初期加圧ステップと、上記圧力保持時間経過後、当該
被処理材を最終加圧圧力に加圧する予備加圧ステップ
と、所定の処理液注入圧力において当該被処理材に処理
液を注入する処理液注入ステップとからなることを特徴
として構成されている。しかもまた請求項5記載の本発
明は、被処理材を密閉格納する圧力容器と、該圧力容器
減圧用の減圧装置と、上記圧力容器加圧用の加圧装置
と、処理液を上記圧力容器に加圧注入するための液体加
圧装置と、上記圧力容器に接続され予め上記圧力容器内
と同一圧力に加圧されるものであって処理液の注入完了
後に上記圧力容器の加圧状態を解圧するための解圧タン
クと、該解圧タンクに接続されるものであって処理液の
注入完了後に開閉され上記解圧タンクを介して上記圧力
容器内の圧力を徐々に解圧する解圧バルブとを備えたこ
とを特徴として構成されている。また請求項6記載の本
発明は、木質材の放射柔細胞壁及び閉塞壁孔対破壊方法
であって、被処理材を減圧して該被処理材内の気体を取
除く減圧ステップと、被処理材を該被処理材が変形を生
じない所定圧力に加圧し、所定時間該圧力を保持する初
期加圧ステップと、上記圧力保持時間経過後、最終加圧
圧力まで段階的に昇圧し、かつ各加圧段階において所定
時間当該圧力を保持しつつ、当該被処理材を加圧する予
備加圧ステップとからなることを特徴として構成されて
いる。
【0007】
【実施例】次に本発明に係る処理液注入方法の実施例に
ついて、図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係
る第1の実施例における減圧・加圧処理の様子を示す説
明図であり、針葉樹に対し処理液を注入する場合の方法
である。また、図4、図5は針葉樹の構造を示す説明
図、図6は本発明を用いた場合と従来の注入方法により
処理液注入した場合との注入処理後の状態を比較する説
明図、図7は本方法を実施するための装置の構成ブロッ
ク図である。
【0008】ここで、針葉樹は、一般的には図4、図5
のような構造となっており中心部まで処理液を注入する
ためには放射柔細胞壁や閉塞壁孔対を破壊しなければな
らない。本方法は、被処理木材に加える圧力を低圧から
段階的に増して行くことにより、木材の内部と外部との
圧力差を、トルース3を破壊するには十分であるが木材
を変形させない程度に保ち、トルース3を次第に材中心
部まで破壊し、その後に処理液を注入して処理液を木材
内部まで十分に浸透させる方法である。即ち、まず最も
外側の放射柔細胞壁や閉塞壁孔対を破壊し外圧と仮導管
21a内の圧力を等しくする。そして、仮導管21b、
21cというように順次破壊を繰返して心材部まで外圧
と等しくなるように加圧を行う。この場合、圧力伝播は
非常に細かい切れ目や小さな孔を介して行われることか
ら、その効率化のため圧力を上げる必要があるが急激な
上昇は材のヤセや変形を招くため、これを防止すべく本
発明ではその圧力上昇は順次段階的に行われる。
【0009】本発明においては、まず減圧ステップとし
て、図7に示す装置の圧力容器12内に被処理木材11
を密閉収納する。そして、減圧用バキュームポンプ13
により、図1に示すように、一旦−760mmHgまで減圧
して20分程度保持し、材に含まれる空気を出来るだけ
取り除く。その後加圧工程に移り、初期加圧ステップと
して被処理木材を気体加圧用コンプレッサー14により
2kg/cm2 に加圧する。この場合、圧力容器12内の材
はパスカルの原理により各部が等しい圧力を受ける。そ
して、この状態を20分間程度保持する。2kg/cm2
加圧はトルース3等を個々に破壊するには足る圧力であ
り、この保持により放射柔細胞壁や閉塞壁孔対のすべて
は破壊されないものの、その一部破壊により圧力はこの
保持時間中に中心部まで伝播する。なお、この状態では
2kg/cm2 と、比較的低圧の加圧のため木材自体には変
形は生じない。
【0010】次に、予備加圧ステップへと移る。ここで
は、図1に示されるように初期加圧ステップの2kg/cm
2 から出発して段階的に最終加圧圧力まで圧力を増加す
る。本実施例においては、8kg/cm2 、15kg/cm2
25kg/cm2 と増加させるものとする。まず圧力を8kg
/cm2 に上昇させる。このとき、初期加圧ステップにお
いて2kg/cm2 の圧力が加えられていることから、8kg
/cm2 加圧当初においては木材の内部と外部には相対的
に6kg/cm2 の圧力差が生じることとなる。一般にトル
ース3は、木材の種類にもよるが2〜5kg/cm2 の圧力
をそこに加えることにより破壊される。従って、この予
備加圧ステップの第1段階によって木材の外側に近い部
分を中心にさらに多くの閉塞壁孔対が破壊される。そし
て、この8kg/cm2 の圧力において再び10分間程保持
する。これにより、前述同様その圧力が破壊された放射
柔細胞壁や閉塞壁孔対等を介して伝播し、木材は内部ま
で8kg/cm2 の圧力で加圧されている状態となる。
【0011】このように予備加圧ステップでは、同様に
してさらに適宜圧力を増加して各段階において一定時間
その圧力を保持する。即ち、本ステップではさらに15
kg/cm2 で10分、25kg/cm2 で20分というように
最終加圧圧力まで木材を加圧して行く。そして、この各
段階当初において生ずる木材内部と外部との相対的な圧
力差によって放射柔細胞壁や閉塞壁孔対等が木材内部ま
で次々に破壊されて行くことになる。
【0012】ここで、先述のように木材は一般に15kg
/cm2 の圧力を加えると変形を生ずる。しかしながら、
これは無加圧状態から急激に15kg/cm2 以上の加圧を
行う場合における衝撃的な圧力差による木材の変形を意
味する。従って、本発明のように段階的に木材への圧力
を増して行くような場合には、たとえ木材に加えられた
最終的な圧力が15kg/cm2 を超えても木材の変形は生
じにくい。また、加えて本発明においては、各段階で所
定時間保持して木材内部まで各段階における圧力となる
ように処理される。従って、例えば25kg/cm2 を加え
た場合であっても、その加圧時における圧力上昇は内外
の相対的圧力差、即ち、それ以前の加圧状態の15kg/
cm2 と25kg/cm2 の差たる10kg/cm2 に過ぎず、木
材の変形は生じない。
【0013】このように、本発明による方法によれば段
階的な予備加圧ステップを経ることによって木材自体が
変形することなく木材内部まで閉塞壁孔対等を破壊する
ことができることになる。なお、各圧力段階において保
持する時間ははじめの15kg/cm2 程度までは比較的長
く10分間以上とることが望ましいが、それ以後におい
てはそれよりも短くしても差し支えない。また、初期加
圧ステップでの圧力や各段の圧力差、保持時間は木材の
材質や寸法によって種々異なる値を設定することは勿論
であり、トルース3の破壊圧力が大きいものは圧力差を
大きくし、木材内部まで等圧となるのに時間を要するも
のは保持時間を長くする必要がある。
【0014】次に、このように予備加圧ステップを経た
後処理液注入ステップへと進む。この処理液注入ステッ
プでは被処理木材に液体加圧ポンプ15により処理液を
一定圧力下で注入、浸透させる。この場合、材の仮導管
21内に残っている気体はヘンリーの法則により加圧注
入された処理液内に取り込まれる。なお、この処理圧力
は予備加圧ステップに続いて最終加圧圧力と同圧力で行
っても良いし、別途に異なる圧力によって行っても良
い。本方法においては予備加圧ステップによって、既に
放射柔細胞壁や閉塞壁孔対は木材内部まで破壊されてい
るため容易に処理液は木材内部まで浸透する。従って、
従来の処理液注入圧力よりも低圧によって処理すること
もまた可能である。
【0015】一方、このように処理液を加圧注入した後
にはその加圧状態を解圧する必要がある。この場合、急
な解圧を行うとヘンリーの法則により処理液中に取り込
まれた気体が急激に膨張し、それにより材自体を破壊す
る可能性がある。このため本実施例においては特に処理
装置内に解圧タンク18を設け、これを事前に気体によ
り加圧して圧力容器12内との圧力差をなくしておく。
そして、この解圧タンク18から解圧バルブ19を介し
て徐々に圧を抜いていくことで処理液中に溶け込んでい
た気体から先に逃がす。この場合、処理液中に溶け込ん
でいた気体は分子量が小さいために処理液よりも先に材
から流出し、その結果処理液は材内部に留まることにな
る。
【0016】本実施例により処理液を注入した木材の様
子を従来の方法により注入したものと比較したものを図
6に示す。これは水溶性染料を本方法及び従来の方法に
より注入し、注入済木材を切断して比較したものである
(杉、ラジアークパイン心材、含水率55%、20×2
0×100cm使用)。図6からわかるように、従来の方
法によるものは木口面から処理液が少し入るだけにとど
まり、その他の面からはほとんど注入されない。これに
対し、本方法によれば板目、柾目を問わず、どの方向か
らも処理液が注入されている。即ち、本方法によれば材
の放射柔細胞や閉塞壁孔対を破壊して処理液を注入する
ことから、たとえ被処理材が心材部を用いたものであっ
ても、材表面部のみならず中心部まで処理液が確実に注
入される。
【0017】なお、本実施例においては処理液注入に先
立って気体による予備加圧ステップを設け、まず閉塞壁
孔対等を破壊する構成としたが、処理液を直接段階的に
加圧注入する構成としても良い。この場合処理液の注入
は、被処理木材11を圧力容器12に収納して該容器内
を処理液で満たし、その後、加圧することによって行
う。注入量は圧力によって調整され、その確認は液体タ
ンク16内に設けた液圧用レベルゲージ17によって行
う。
【0018】また、注入液には、植物油、鉱物油をカチ
オン系界面活性材により乳化して水溶性とし、これに防
腐、防虫、防蟻剤及び防カビ剤を配合したものを用い
る。この注入液はカチオン系のものであるため、アニオ
ンである木材組織とイオン結合して木材内から流脱する
ことがなく処理液としては適当である。この点水溶性の
グリコール類の処理液を用いた場合に比して流脱、長期
に亘る寸法安定性等に関して有利である。さらに、本方
法では木材中心部まで処理液を注入できることから、難
燃剤の注入により、従来より高い難燃性をもつ処理材の
提供が可能である。
【0019】次に本発明に係る処理液注入方法の第2の
実施例について説明する。この第2の実施例は広葉樹に
対し処理液を注入する方法である。図2はその場合にお
ける減圧・加圧処理の様子を示す説明図である。広葉樹
は、一般に先の針葉樹と異なり水の通導を行っている導
管が存在する。従って、それを通して容易に処理液を注
入できるように思われるが、実際にはこの導管にはチロ
ース等の不純物が多く含まれ、一気に加圧を行うとその
不純物が導管内に詰まり、処理液の注入を阻害する。そ
こで本実施例は、導管内の詰まりを防止すべく、詰まり
を生じない程度の比較的低い圧力により加圧を長時間行
い、これにより材中心部まで等しく圧を伝播し処理液を
中心部まで注入しようとするものである。
【0020】本方法では、広葉樹は針葉樹に比べて導管
要素が多いことから、出来るだけ導管内の気体を取り除
き加圧工程での導管内の詰まりを抑える必要があること
から、図2に示すように減圧時間を60分と針葉樹の場
合よりも長く取る。そして、次の加圧工程においても導
管内に詰まりを生じない1. 5kg/cm2 程度の比較的低
い圧力にて加圧し、さらにその加圧時間も30分と針葉
樹の場合よりも長く取る(図2)。これにより導管内の
圧力を導管内の詰まりに妨げられることなく一定の状態
とすることができる。このように長時間の低圧加圧を行
った後は7kg/cm2 にて10分、30kg/cm2 にて30
分というように段階的に加圧する。この場合、導管要素
が多いことから針葉樹ほど多段階とすることなく昇圧す
ることができる。そして、処理液注入後、先述同様解圧
バルブ19により徐々に圧を抜く。なお、この場合にも
針葉樹と同様に結果が得られた(ナラ、ブナ心材、含水
率60%、20×20×100cm使用)。
【0021】一方、図3は本発明に係る処理液注入方法
の第3の実施例における減圧・加圧処理の様子を示す説
明図である。本実施例は石材等の多孔質無機質材に対し
処理液を注入する方法である。本方法は、減圧時間と低
圧による加圧時間を長時間とし、その後一気に高圧にす
ることにより石材内部まで処理液を注入するものであ
る。
【0022】多孔質無機質材、例えば大理石では材の構
造上多量の気体がその内部に含まれている。従って、本
方法においてはまず、内部の気体を十分に抜くために減
圧時間を十分に取る。この場合、この減圧時間は先の広
葉樹の場合よりも長く120分程度取ることが望まし
い。次に石材の場合もその内部には多くの細かい不純物
や微粉が含まれていることから、これらによる詰まりを
防止すべく5kg/cm2 程度の比較的低い圧力によって木
質材よりも長時間、例えば60分程度加圧する。これに
より先の広葉樹の場合と同様に材内部の圧力を一定の状
態とすることができる。そして、長時間の低圧加圧を行
った後、本実施例においては、石室材は加圧による変形
等が生じにくいことから、木材の場合と異なり一気に3
0kg/cm2 の高圧を付加する。そして、その後処理液を
加圧注入する。なお、この加圧についてはコンプレッサ
ーを用いた気体による予備加圧の後に処理液を圧注入す
る方法のみならず、液体ポンプを用いて処理液により直
接加圧する方法も可能である。一方、高圧により処理液
を注入した後は先述と同様に解圧バルブ19により徐々
に圧を抜く。
【0023】このように本発明による方法によれば、材
の中心部まで処理液が注入され、このことは大理石(イ
タリア産、2×40×80cm)の石材を使用して水溶性
染料を注入し、その後材を切断して確認したところ材中
心部まで均一に着色されていたことからも確かめられ
た。なお、本方法においては、シランモノマーを主成分
とする例えば東亜化学製アロンウォーターシャット(商
品名)を用いることにより、このシランモノマーが基材
中のシラノールと化学的に結合して内部まで強力な吸水
防止層を形成して酸性雨等の被害から石材を保護する。
また加えて、石材、特に大理石の毛網孔を埋めることも
ないことから、大理石の持つ呼吸作用を損なうことなく
大理石の特徴を生かした処理を行うことができる。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る処理
液注入方法によれば、被処理材の種類に応じて、その内
部の構成等を考慮して減圧・加圧時間や加圧状態を適宜
変化させることとしたことにより、心材など従来処理液
の注入が非常に難しかった木質系の素材や、処理液の注
入処理そのものが行われていなかった石質材に対しても
中心部まで十分な処理液注入を行うことができるという
効果がある。従って、木質材においては、その耐防腐、
防虫、防蟻、防カビ性が飛躍的に向上し、その耐用年数
を引き上げることができる。また、併せて流脱のおそれ
のない処理液を用い、それを中心部まで注入することに
より、長期間に亘りヒビ割れを防止し、高い寸法安定効
果を得ることができる。さらに、中心部まで十分に処理
液が注入されることから本方法による木質材は高い難燃
性を有し、高い寸法安定性と相俟って木材の使用の幅を
広げることが可能となる。加えて、木材の耐用年数の引
き上げは、近年問題となっている熱帯雨林の無計画な伐
採に歯止めをかける一助ともなり、森林保護の観点から
もその有用性は大きい。
【0025】一方、石質材においては、石質材そのもの
の持つ性質や風合を失うことなく、酸性雨などによる被
害を防ぐことができる。特に、ヨーロッパなど石質材を
用いた建造物の多い地域において大きな社会問題ともな
っている酸性雨による建物外壁の崩壊などを防止するこ
とができる。即ち、本発明によれば、建物外壁に対する
大理石等の石質材の使用禁止といった事態を回避するこ
とができ、単に石質材の損傷を防止するにとどまらず、
その国の文化や環境保全にも広く役立ち得る。また本発
明の木質材及び多孔質無機質材への処理液注入装置は、
圧力容器と、減圧装置と、加圧装置と、液体加圧装置
と、上記圧力容器に接続され予め上記圧力容器内と同一
圧力に加圧されるものであって処理液の注入完了後に上
記圧力容器の加圧状態を解圧するための解圧タンクと、
該解圧タンクに接続されるものであって処理液の注入完
了後に開閉され上記解圧タンクを介して上記圧力容器内
の圧力を徐々に解圧する解圧バルブとを備えたことによ
り、高圧下で被処理木材に処理液を注入した後、解圧バ
ルブと解圧タンクとを介して被処理木材を徐々に解圧で
きるので、被処理木材を破壊することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による処理液注入方法を針葉樹に適用し
た場合における減圧・加圧の様子を示す説明図である。
【図2】本発明による処理液注入方法を広葉樹に適用し
た場合における減圧・加圧の様子を示す説明図である。
【図3】本発明による処理液注入方法を石質材に適用し
た場合における減圧・加圧の様子を示す説明図である。
【図4】針葉樹の内部の組織構造を示す説明図である。
【図5】針葉樹の内部の組織構造を示す説明図である。
【図6】本発明に係る方法によって処理液を注入した木
材と、従来の方法によって処理液を注入した木材の処理
後の様子を示す木材の断面図である。
【図7】本発明に係る方法を実施する場合の処理装置の
構成を示すブロック図である。
【図8】木材の組織の様子を示す拡大断面斜視図であ
る。
【図9】木材組織間の壁孔の様子を示す断面図である。
【符号の説明】
1 壁孔対 2 壁孔 3 トルース 11 被処理木材 12 圧力容器 13 減圧用バキュームポンプ 14 気体加圧用コンプレッサー 15 液体加圧ポンプ 16 液体タンク 17 液圧用レベルゲージ 18 解圧タンク 19 解圧バルブ 21 仮導管

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂等の処理液を木質材及び多孔質無機
    質材に注入する方法であって下記のステップからなるも
    の。 a)被処理材を減圧して該被処理材内の気体を取除く減
    圧ステップ。 b)被処理材を該被処理材が変形を生じない所定圧力に
    加圧し、所定時間該圧力を保持する初期加圧ステップ。 c)上記圧力保持時間経過後、最終加圧圧力まで段階的
    に昇圧し、かつ各加圧段階において所定時間当該圧力を
    保持しつつ被処理材を加圧する予備加圧ステップ。 d)所定の処理液注入圧力において当該被処理材に処理
    液を注入する処理液注入ステップ。
  2. 【請求項2】 樹脂等の処理液を針葉樹材に注入する方
    法であって下記のステップからなるもの。 a)被処理材を減圧して該被処理材内の気体を取除く減
    圧ステップ。 b)被処理材を該被処理材が変形を生じない低圧力に加
    圧し、所定時間該圧力を保持する初期加圧ステップ。 c)上記圧力保持時間経過後、最終加圧圧力まで段階的
    に昇圧し、かつ各加圧段階において所定時間当該圧力を
    保持しつつ被処理材を加圧する予備加圧ステップ。 d)所定の処理液注入圧力において当該被処理材に処理
    液を注入する処理液注入ステップ。
  3. 【請求項3】 樹脂等の処理液を広葉樹材に注入する方
    法であって下記のステップからなるもの。 a)針葉樹材の場合よりも長時間被処理材を減圧して該
    被処理材内の気体を取除く減圧ステップ。 b)被処理材を該被処理材が変形を生じない低圧力で加
    圧し、針葉樹材の場合よりも長時間該圧力を保持する初
    期加圧ステップ。 c)上記圧力保持時間経過後、最終加圧圧力まで段階的
    に昇圧し、かつ各加圧段階において所定時間当該圧力を
    保持しつつ被処理材を加圧する予備加圧ステップ。 d)所定の処理液注入圧力において当該被処理材に処理
    液を注入する処理液注入ステップ。
  4. 【請求項4】 樹脂等の処理液を石質材に注入する方法
    であって下記のステップからなるもの。 a)木質材の場合よりも長時間被処理材を減圧して該被
    処理材内の気体を取除く減圧ステップ。 b)被処理材を該被処理材が変形を生じない低圧力で加
    圧し、木質材の場合よりも長時間該圧力を保持する初期
    加圧ステップ。 c)上記圧力保持時間経過後、当該被処理材を最終加圧
    圧力に加圧する予備加圧ステップ。 d)所定の処理液注入圧力において当該被処理材に処理
    液を注入する処理液注入ステップ。
  5. 【請求項5】 被処理材を密閉格納する圧力容器と、該
    圧力容器減圧用の減圧装置と、上記圧力容器加圧用の加
    圧装置と、処理液を上記圧力容器に加圧注入するための
    液体加圧装置と、上記圧力容器に接続され予め上記圧力
    容器内と同一圧力に加圧されるものであって処理液の注
    入完了後に上記圧力容器の加圧状態を解圧するための解
    圧タンクと、該解圧タンクに接続されるものであって
    理液の注入完了後に開閉され上記解圧タンクを介して上
    記圧力容器内の圧力を徐々に解圧する解圧バルブとを備
    えたことを特徴とする木質材及び多孔質無機質材への処
    理液注入装置。
  6. 【請求項6】 木質材の放射柔細胞壁及び閉塞壁孔対破
    壊方法であって下記のステップからなるもの。 a)被処理材を減圧して該被処理材内の気体を取除く減
    圧ステップ。 b)被処理材を該被処理材が変形を生じない所定圧力に
    加圧し、所定時間該圧力を保持する初期加圧ステップ。 c)上記圧力保持時間経過後、最終加圧圧力まで段階的
    に昇圧し、かつ各加圧段階において所定時間当該圧力を
    保持しつつ、当該被処理材を加圧する予備加圧ステッ
    プ。
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