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JP2817966B2 - 生体への刺激を軽減した硬組織補填用練和物及びその製造方法 - Google Patents
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JP2817966B2 - 生体への刺激を軽減した硬組織補填用練和物及びその製造方法 - Google Patents

生体への刺激を軽減した硬組織補填用練和物及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 「利用分野」 本発明は、医科用あるいは歯科用の硬組織補填用練和
物に関する。
「従来技術及びその問題点」 α−リン酸三カルシウムなど、ある種のリン酸カルシ
ウムには水和凝結性があり、クエン酸などの酸水溶液を
用いると、硬化はより速やかに進行することから、この
素材を医科用あるいは歯科用硬組織補填材として用いる
試みが、近年、非常に盛んになってきており、多数の報
告がなされている(例えば、特開昭59−88351号、同59
−182263号、同60−36404号、同61−191606号、同61−2
34868号、同61−236644号、同61−270249号、同62−723
63号、同62−83349号公報など)。
しかしながら、これらの材料は、生体外で完全に硬化
させてから生体内に埋入する場合には、その硬化体を補
填部分の形状に適合させる加工が煩雑であり、他方、従
来の医科・歯科用各種セメントのように未硬化状態、す
なわち、可塑性のある状態で埋入する場合には、補填部
分の形状に適合させるのは極めて容易であるが、生体内
に埋入すると、未反応の酸が溶出し、生体組織に刺激を
与え、炎症を引き起こすという問題があった。
「発明の目的」 本発明の目的は、完全に硬化する前の可塑性のある状
態でリン酸カルシウム系練和物を生体内に埋入した際の
生体組織への刺激を軽減した硬組織補填用練和物及びそ
の製造方法を提供することにある。
「発明の構成」 本発明による硬組織補填用練和物は、リン酸カルシウ
ム系粉剤と酸水溶液との練和物の表面に水と混和しない
生分解性物質の薄膜を有することを特徴とする。
この硬組織補填用練和物は、本発明方法によればリン
酸カルシウム系粉剤と酸水溶液とを混練することにより
生成した練和物を水と混和しない生分解性物質の液に浸
漬し、練和物の表面に薄膜を形成することによって製造
される。
リン酸カルシウム系粉剤と酸水溶液とを混練すると、
硬化体が得られるが、本発明においては完全に硬化する
前の可塑性を持つ状態で水と混和しない生分解性物質の
液中に浸漬する。
本発明に用いるリン酸カルシウム系粉剤は、リン酸カ
ルシウム系硬化体の製造に用いられる任意の粉剤であっ
てよく、具体的には、α−リン酸三カルシウム及び/又
はリン酸四カルシウムを必須成分として含むものであ
る。粉剤は、上記必須成分の他に、場合によりさらにハ
イドロキシアパタイトあるいはβ−リン酸三カルシウム
を含んでいてもよいが、α−リン酸三カルシウム及び/
又はリン酸四カルシウムを全体の1/3以上含むことを必
要とする。これらの成分が1/3未満であると、組成物が
充分に硬化しない。ハイドロキシアパタイトあるいはβ
−リン酸三カルシウムを添加すると、硬化体の強度が改
善されるため、これらを含む粉剤を用いるのが好まし
い。また、これらの粉剤成分は、完全には純粋でなくて
もよく、合成中に生じた少量の不純物を含んでいてもよ
い。
一方、硬化液として使用する酸水溶液は、無機及び有
機の各種の酸を溶解して含むものであってよい。酸とし
ては、例えばリン酸などの無機酸、又は酢酸、乳酸、ク
エン酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、
酒石酸、ポリアクリル酸などの有機酸が挙げられる。こ
れらの酸を好ましくは25重量%以上、より好ましくは25
〜55重量%の酸濃度の水溶液として用いる。酸性水溶液
の酸濃度が25重量%未満であると、粉剤と混合すること
によって得られる硬化体が所望の強度を示さない。
本発明において、単糖類、少糖類、多糖類、糖アルコ
ール及び多価アルコールのうちの1種以上を酸水溶液に
添加剤として加えることができる。これらの添加剤は、
硬化反応を穏和に進行させたり、混練時に成形性を向上
させる作用する。
使用しうる単糖類としては、例えばグルコース、フル
クトース等が挙げられ、少糖類としては、例えばサッカ
ロース、マルトース、ラクトース、ラフィノース等が挙
げられる。また、多糖類を添加すると、硬化反応が著し
く緩和となり、ガム状の練和物を生じるため、欠損部に
補填する場合に好ましいものである。使用しうる多糖類
としては、例えばカルボキシメチルキチン、グリコール
キチン、プルラン、ペクチン、高メトキシ化ペクチン、
ヒアルロン酸及びキトサンが挙げられ、特にキトサンが
好ましい。なお、本明細書において、「キトサン」と
は、部分的又は完全に脱アセチル化されたキチンを意味
するものとする。キトサンの脱アセチル化度及びカルボ
キシメチルキチン及びグリコールキチンの置換度は、特
に制限されない。
糖アルコールとしては、例えばソルビット、マンニッ
ト、キシリット等、さらに多価アルコールとしては、例
えばエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン
等が挙げられる。
これらの添加剤の使用量は、状況により適宜決定する
ことができるが、あまり少ないと、添加効果が発揮され
ない。一般的には、単糖類、少糖類、糖アルコール及び
多価アルコールの濃度は、好ましくは合計で40重量%以
下、より好ましくは合計で30重量%以下とする。これら
の添加量が40重量%を越えると、これらの添加剤が酸水
溶液に溶解し難くなる。他方、多糖類は、0.05重量%以
上の濃度で酸水溶液に添加するのが好ましい。
上記のような硬化反応に関与する添加剤の他に硬組織
補填材に添加することが提案されている各種の金属酸化
物、抗生物質、タンニン酸、タンニン酸誘導体、モノフ
ルオロリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コラー
ゲンなどを添加することができる。
本発明においては、上記のように調製された粉剤と液
剤とを混練することによって硬化体を製造する。その
際、粉剤(P)と液剤(L)の混練比は、液剤に対する
粉剤の配合量(P/L)が重量比で0.4〜2.7となるように
するのが好ましい。ここで、この比が0.4未満である
と、固形分が少ないため、得られる硬化体の強度が弱く
なり、一方、2.7を超えると、粉剤と液剤との均一な練
和が困難となる。
本発明においては、上記のような粉剤と液剤とを混練
し、まだ可塑性のある状態の練和物を水と混和しない生
分解製物質の液に浸漬する。可塑性のある状態及びその
持続時間は用いる粉剤及び液剤の種類、濃度、粉液比に
よって異なる。
本発明において、練和物の表面に薄膜を形成するため
用いる、水と混和しない生分解性物質としては、常温で
液体であるか又は加熱により液化する生体為害性のない
物質であれば各種のものを使用することができ、具体的
には、例えば不飽和樹脂酸、植物性あるいは動物性油
脂、合成ポリマーあるいはコポリマーなどが挙げられ
る。不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン酸系、オレ
イン酸系、リノール酸系、α−リノレン酸系のものがあ
る。また、植物性油脂としては、オリーブ油、ゴマ油な
ど、動物性油脂としては、肝油などが挙げられる。さら
に、合成ポリマーあるいはコポリマーとしては、例えば
L−乳酸・δ−バレロラクトンコポリマーなどが生分解
性であることが知られており、本発明に用いることがで
きる。
本発明においては、水と混和しない生分解性物質は、
練和物の表面に薄膜を形成し、練和物が硬化するまで、
練和物中の未反応の酸が体液によって溶解・溶出される
のを防止すればよいので、使用する物質は生体内での代
謝排泄の早いものが好ましい。また、浸漬時間は、使用
する生分解性物質によって左右されるが、通常、2秒前
後あれば充分である。
「発明の実施例」 次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 水酸化カルシウムスラリーとリン酸水溶液を用いて公
知の湿式法でハイドロキシアパタイトスラリーを合成し
た。得られたスラリーを噴霧乾燥して粉末化した後、減
圧下(約10-2Pa)1200℃で加熱したところ、ハイドロキ
シアパタイト粉末は完全に熱分解し、α−リン酸三カル
シウムとリン酸四カルシウムとの混合物が得られた。こ
れを粉剤とし、この粉剤2gにグルコース15%とキトサン
(共和油脂工業(株)製、商品名フローナックN)1%
を含む45%クエン酸水溶液1gを液剤として混練し、ま
だ、可塑性のある状態(混練開始3分後)の練和物を10
mlのオリーブ油(小堺製薬(株)製、日本薬局方適合
品)に2秒間浸漬してから取り出した。
得られた浸漬練和物からの酸の溶出状態を検討するた
め、練和物を蒸留水中に投入し、5分後にpHを測定した
ところ、pHは約5.9であり、参照に用いた蒸留水(約6.
0)からのpH低下はほとんど認められなかった。
実施例2 オリーブ油の代わりにゴマ油(小堺製薬(株)製、日
本薬局方適合品)を用いた他は、実施例1と同様の操作
を行ない、表面にゴマ油の薄膜を有する練和物を製造し
た。これを蒸留水中に投入したところ、5分後の水のpH
は約5.9であり、蒸留水(pH6.0)からのpH低下はほとん
ど認められなかった。
比較例 練和物をオリーブ油に浸漬しない以外は、実施例1と
同様の操作を行ったところ、pHは約4.8を示し、pH低下
が認められた。これは、練和物から未反応のクエン酸が
溶出しているものと考えられる。
「発明の効果」 本発明による練和物は、生体内に未硬化状態で埋入し
ても、酸を溶出しないので、生体への刺激が著しく軽減
されており、可塑状態での埋入できるという利点を活か
して骨などの硬組織補填材として好適に使用することが
できる。

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リン酸カルシウム系粉剤と酸水溶液との練
    和物の表面に水と混和しない生分解性物質の薄膜を有す
    ることを特徴とする生体への刺激を軽減した硬組織補填
    用練和物。
  2. 【請求項2】水と混和しない生分解性物質が常温で液体
    又は加熱により液化する生体為害性のない物質である請
    求項1記載の硬組織補填用練和物。
  3. 【請求項3】水と混和しない生分解性物質が不飽和脂肪
    酸、植物性あるいは動物性油脂、合成ポリマー又は合成
    コポリマーである請求項2記載の硬組織補填用練和物。
  4. 【請求項4】リン酸カルシウム系粉剤がα−リン酸三カ
    ルシウム及び/又はリン酸四カルシウムを必須成分とし
    て含むものである請求項1記載の硬組織補填用練和物。
  5. 【請求項5】酸水溶液がリン酸などの無機酸又は酢酸、
    乳酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、グル
    タル酸、酒石酸、ポリアクリル酸などの有機酸の水溶液
    である請求項1記載の硬組織補填用練和物。
  6. 【請求項6】酸水溶液が単糖類、少糖類、多糖類、糖ア
    ルコール及び多価アルコールのうちの1種以上を含む請
    求項5記載の硬組織補填用練和物。
  7. 【請求項7】リン酸カルシウム系粉剤と酸水溶液とを混
    練することにより生成した練和物を水と混和しない生分
    解性物質の液に浸漬し、練和物の表面に薄膜を形成する
    ことを特徴とする生体への刺激を軽減した硬組織補填用
    練和物の製造方法。
  8. 【請求項8】水と混和しない生分解性物質が常温で液体
    又は加熱により液化する生体為害性のない物質である請
    求項7記載の硬組織補填用練和物の製造方法。
  9. 【請求項9】リン酸カルシウム系粉剤がα−リン酸三カ
    ルシウム及び/又はリン酸四カルシウムを必須成分とし
    て含むものである請求項7記載の硬組織補填用練和物の
    製造方法。
  10. 【請求項10】酸水溶液がリン酸などの無機酸又は酢
    酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、
    グルタル酸、酒石酸、ポリアクリル酸などの有機酸の水
    溶液である請求項7記載の硬組織補填用練和物の製造方
    法。
  11. 【請求項11】酸水溶液が単糖類、少糖類、多糖類、糖
    アルコール及び多価アルコールのうちの1種以上を含む
    請求項10記載の硬組織補填用練和物の製造方法。
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