JP2829291B2 - 複写機用分離爪の製造方法 - Google Patents
複写機用分離爪の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は複写機用分離爪の製造
方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】社会の情報化に伴って急速な進歩発展を
した乾式複写機は、原稿の文字、図形等に対応して感光
ドラムの表面に形成された静電荷潜像をトナー像に変換
した後、このトナー像を給紙カセットから供給されてく
る紙面に転写し、さらに転写されたトナー像を紙面に定
着させるために、加熱された定着ローラによって表面を
加熱加圧し、トナー像と紙繊維とを融着させて両者が容
易に離れないようにする機構を有するものである。 【0003】しかし、このような装置の例えば最終の定
着工程において、定着ローラによって加熱加圧された紙
がローラ表面に密着したまま回転し、紙詰りの原因とな
る危険がきわめて多く、そのために定着ローラの表面に
先端を押し付けた分離爪を使ってローラに密着している
紙の縁を持ち上げて円滑に剥離させることが肝要であ
る。 【0004】したがって、分離爪は先端部が変形しない
ような耐熱性を必要とすることは当然であるが、それと
同時に先端の曲率半径(以下これを先端Rと略称する)
を小さくしたり、分離爪に潤滑性を持たせたりして、定
着紙を定着ローラ側に送ってしまう分離不良(以下これ
を分離方向不良と呼ぶ)または分離爪部での紙詰り(以
下これを単に紙詰りと呼ぶ)を防ぐことが大切である。 【0005】さらに、定着ローラの表面が170〜27
0℃の温度に上昇するため、紙に付着したトナーが分離
爪に融着し、この量が増加するとこの融着トナーによっ
て紙詰りが起きたり、紙に付着したトナーを掻き取るた
めに定着紙面のトナー定着部分に白い筋(以下これを爪
跡と呼ぶ)が入ることもしばしばあるので、これを避け
るために分離爪はトナーに対して非粘着性のものでなけ
ればならない。 【0006】このような分離爪の具備すべき条件を満た
すために、従来ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリア
リーレンサルファイド、芳香族ポリエ−テルケトン、芳
香族ポリサルホン、芳香族ポリエーテルイミド、芳香族
ポリアミド、芳香族ポリエステル等の樹脂またはこれら
樹脂に四フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂もしくはグ
ラファイトその他の固体潤滑剤を混入したもの、さらに
はたとえば実公昭54−18921号公報、特開昭57
−111569号公報に示されているように、上記のよ
うな樹脂の表面にフッ素含有重合体を被覆して潤滑性お
よび非粘着性を向上させたものなどが実用化されて来
た。 【0007】しかし、表面にフッ素含有重合体を被覆し
ない分離爪は、たとえフッ素樹脂または固体潤滑剤など
を混入したものであっても潤滑性、非粘着性共に不充分
であって、紙詰り、爪跡の問題を起こし、また表面にフ
ッ素含有重合体を被覆した分離爪であっても、期待する
潤滑性も非粘着性も共に不充分であり、長期の連続使用
もしくはトナーの種類によっては、紙詰り、爪跡の問題
が前記の場合と同様に起こる。 【0008】一般に分離爪先端の被覆膜の膜厚は潤滑
性、非粘着性の効力を発揮するためには平均30μm、
少なくとも10μm以上は必要であるから、被覆するこ
とによって折角小さい値に成形された分離爪の先端Rは
大きくなり分離方向不良、紙詰りなどが起こりやすくな
る。 【0009】したがって、分離爪の先端Rが被覆膜の膜
厚によって大きくなることを避けるため分離爪の成形時
に先端Rを膜厚分を勘案して小さくするという対策が採
られることもあるが、このような処置では当然先端部が
熱変形を受けやすくなり、使用可能温度が低下するばか
りではなく、樹脂製の分離爪本体とフッ素含有重合体と
は通常強固に結合しているわけではないので、被覆膜の
界面剥離も起こりやすく、フッ素含有重合体を被覆する
には、通常極性溶媒に分散させたフッ素含有重合体をス
プレーによって20〜40μm程度に被覆する方法が採
用されているが、分離爪の周囲に飛沫が飛散して、製品
歩留りは低下し、コストが非常に高くなるということも
あって、多くの問題がある。 【0010】なお、シリコーン油の薄膜を、たとえばデ
ィッピング法等によって分離爪の表面に形成させて潤滑
性および非粘着性とを発現させようとする試みもある
が、短時間で表面から離脱するため効果の長期維持は不
可能である。 【0011】 【発明が解決しようとする問題点】このように従来の技
術に基づく分離爪の先端被覆には潤滑特性、非粘着性、
密着強度および薄膜形成能のすべての点ですぐれている
ものはなく、熱変形、分離方向不良、紙詰り、爪跡等の
好ましくない現象がしばしば起こるという問題がある。 【0012】 【問題点を解決するための手段】上記の問題点を解決す
るために、この発明においては、定着部ローラから定着
紙を剥離する芳香族ポリエステル樹脂製分離爪の製造方
法において、分離爪表面にフッ素化ポリエーテル重合体
の層を形成する際の250℃よりも高温の熱処理で熱変
形しない耐熱性を有ししかも射出成形が可能な芳香族ポ
リエステル樹脂を母材樹脂とし、これを分離爪形状に射
出成形し分離爪先端の曲率半径を0.05mm以下に成
形した後、分離爪の少なくとも先端部の通紙面にフッ素
化ポリエーテル重合体含有溶液を塗布し、この溶液を乾
燥し250℃よりも高温でしかもフッ素化ポリエーテル
重合体が熱分解しない温度で熱処理してフッ素化ポリエ
ーテル重合体の層を形成する複写機用分離爪の製造方法
としたのである。 【0013】 【作用】この発明におけるフッ素化ポリエーテル重合体
は、それ自体潤滑性、非粘着性を有する重合体である層
に成形し得るものであるから、このような重合体を分離
爪の特に先端部に塗布しても良好な先端Rを増大させな
いで、潤滑性、非粘着性を発揮する。 【0014】 【実施例】この発明における芳香族ポリエステル樹脂
は、150℃以上の雰囲気温度で、その機械的強度が定
着紙分離爪として連続使用可能でありかつ射出成形可能
なものであり、例えば米国カーボランダム社の登録商標
名であるEKONOLとして市販されている芳香族ポリ
エステル樹脂等の合成樹脂をさす。 【0015】つぎに、この発明において使用する少なく
とも一つの極性末端基を有するフッ素化ポリエーテル重
合体は、たとえば−CX1F2X1 −O−単位(ただしX1
は1〜4の整数)を主要構造単位とし、数平均分子量約
1000〜5000の重合体であって、たとえば 【0016】 【化1】 【0017】があげられ、特に好ましくは、 【0018】 【化2】 【0019】で示される伊国モンテヂソン社の登録商標
Fomblin Z−DISOCとして市販されている
平均分子量約2000のフッ素化ポリエーテル重合体、 【0020】 【化3】 【0021】で示される伊国モンテヂソン社の登録商標
Fomblin Z−DEALとして市販されている平
均分子量約2000のフッ素化ポリエーテル重合体、 【0022】 【化4】【0023】で示される伊国モンテヂソン社の登録商標
Fomblin Z−DOLとして市販されている平均
分子量約2000のフッ素化ポリエーテル重合体、など
を例示することができる。 【0024】複写機用分離爪に潤滑性、非粘着性を与え
るために、フッ素化ポリエーテル重合体の薄膜を形成さ
せるには、上記フッ素化ポリエーテル重合体の粘度は高
過ぎる。たとえば、Fomblin Z−DOL200
0の20℃の粘度は約80cstであり、Fombli
n Z−DEAL2000の20℃での粘度は約20c
stである。フッ素化ポリエーテル重合体をフロン11
3等の高フッ化有機溶媒に溶解して、適当な方法で、た
とえばスプレー法、ディッピング法にて塗装すれば良い
が、好ましくはディッピング法が良い。それは塗装液の
歩留りが非常に良いからである。 【0025】高フッ化有機溶媒に溶解させたフッ素化ポ
リエーテル重合体の濃度は特に限定するものではない
が、コストを考えれば0.3〜10重量%程度が好まし
く特に効果的な薄膜を得るためには0.5〜3重量%程
度が好ましい。 【0026】さらに塗装、乾燥後に柔らかい布やティッ
シュペーパー等で表面をみがき、わずかに曇っていた表
面状態を光沢のあるものとする。これは過剰のフッ素化
ポリエーテル重合体を除くためである。 【0027】分離爪母材樹脂に上記した方法、すなわ
ち、フッ素化ポリエーテル重合体を適当な濃度で高フッ
化有機溶媒に溶解させ、ディッピング法等の適当な塗装
方法で被膜を形成させ、高フッ化有機溶媒を飛ばすため
に適当な温度で、たとえば熱風(50℃)乾燥炉で乾燥
する。この乾燥後または乾燥を兼ねてさらに高い温度で
処理しても良いし、またフッ素化ポリエーテルの極性末
端基と分離爪母材樹脂との反応性を高める可能性を考え
れば好ましい。 【0028】たとえば射出成形することにより分離爪形
状を得た母材の表面にディッピング法にてこのフッ素化
ポリエーテル重合体含有溶液を塗布し、250℃よりも
高い温度、例えば270℃以上の高温で適当な時間熱処
理する。ここでいう高い温度とは、母材樹脂およびフッ
素化ポリエーテルが熱変形したり熱分解しない温度をさ
す。 【0029】以下に、実施例および比較例を示す。 【0030】実施例1:分離爪用耐熱性樹脂として、芳香族ポリエステル樹脂
(米国カーボランダム社製:EKONOL)を用いた。
分離爪先端の曲率半径(先端R)は、0.05mm以下
である。そして、成形方法は ヘンシェルミキサーで混合
後、2軸溶融押出機にて混練後押出し、このストランド
をカットしペレットを得た。このペレットを射出成形
し、分離爪形状成形品および摩擦試験片を得た。 【0031】フッ素化ポリエーテル重合体としてつぎの
伊国モンテヂソン社製品(数平均分子量2000)を選
んだ。すなわち、下記の化5で示されるFomblin
Z−DISOCを用い、フッ素化ポリエーテル重合体
のそれぞれを1.5%溶解したフレオン113溶液に浸
け、分離爪の少なくとも先端部の通紙面に塗布し取り出
し、塗布後の熱処理を50℃以上の熱風乾燥炉で行なっ
た後、260℃で24時間乾燥および熱処理した後、潤
滑性、非粘着性および分離爪材としての機能性を評価し
た。 【0032】 【化5】 【0033】潤滑性: スラスト型摩擦試験機を使用して、荷重1kg/c
m2 、速度1cm/秒の条件で軸受鋼(SUJ 2)を
相手に試験した。 【0034】非粘着性: 分離爪を試験片として、エルマ光学社製ゴニオメーター
式接触角試験機を用いて、水と酢酸に対する接触角を求
めた。 【0035】分離爪としての機能性: シャープ社製乾式複写機Z−60型を用い、同型の分離
爪と同一形状の試験片を定位置に取り付け、A4判の複
写用紙5万枚を連続通紙し、5万回の複写を繰り返し、
定着ローラからの紙の分離不良(紙詰り)発生時の複写
枚数、爪跡によるトナー画像汚染発生の有無、分離爪へ
のトナーの付着量〔付着していないまたは微量付着して
いる、比較的少量付着している、少量付着している、多
量に付着しているの4段階〕で評価した。また、通紙試
験後に分離爪に付着したトナーをエチルアルコールでふ
き取った後、水および酢酸に対する接触角を測定した。 【0036】比較例1: フッ素化ポリエーテル重合体の被覆膜を分離爪表面に形
成させなかったこと以外は実施例1とまったく同様の方
法で試験片を得、同じ測定を行なった。 【0037】実施例1の分離爪は、良好な潤滑性を有
し、非粘着性においてもフッ素樹脂単体に匹敵する接触
角を示して非常に優れたものであり、複写機の実用的機
能も充分満足できる結果であった。また試験後の通紙面
の接触角も試験前と同様の大きい値を示し、比較例1の
接触角とは大きな差があった。これは分離爪表面に試験
後もなおフッ素化ポリエーテル重合体被膜が存在してい
ることを示し、この発明のフッ素化ポリエーテル重合体
被膜が良好な密着強度および耐摩耗性を有していること
がわかる。 【0038】 【効果】以上のことから明らかなように、この発明によ
る複写機用の分離爪の製造方法は、潤滑性、非粘着性が
共にすぐれ塗布層と基材との密着強度向上および塗布層
の薄層化および基材の種類とその先端曲率半径を0.0
5mm以下と精密に射出成形したことによって、従来の
被覆技術の欠点である分離爪先端部の先端Rの増大に基
づく分離方向不良や紙詰りおよび熱変形を起こすことな
く、また熱伝導性、電気伝導性を損うことなく長期連続
使用に充分耐え得る複写機用分離爪を製造できるという
利点がある。 【0039】また、フッ素化ポリエーテル重合体の層を
設ける際の250℃よりも高い熱処理温度で熱変形しな
いほどの高い耐熱性を有ししかも射出成形が可能な芳香
族ポリエステル樹脂製分離爪に、フッ素化ポリエーテル
重合体含有溶液の塗布・乾燥後に250℃よりも高い温
度でしかもフッ素化ポリエーテル重合体が熱分解しない
温度で熱処理したので、分離爪の先端形状の精度を低下
させずに非粘着性に優れた層を分離爪の少なくとも先端
部の通紙面に形成することができ、トナーの付 着や分離
方向不良、紙詰まりおよび融着トナーによる紙汚れなど
の紙面の画像汚染も防止できる。
方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】社会の情報化に伴って急速な進歩発展を
した乾式複写機は、原稿の文字、図形等に対応して感光
ドラムの表面に形成された静電荷潜像をトナー像に変換
した後、このトナー像を給紙カセットから供給されてく
る紙面に転写し、さらに転写されたトナー像を紙面に定
着させるために、加熱された定着ローラによって表面を
加熱加圧し、トナー像と紙繊維とを融着させて両者が容
易に離れないようにする機構を有するものである。 【0003】しかし、このような装置の例えば最終の定
着工程において、定着ローラによって加熱加圧された紙
がローラ表面に密着したまま回転し、紙詰りの原因とな
る危険がきわめて多く、そのために定着ローラの表面に
先端を押し付けた分離爪を使ってローラに密着している
紙の縁を持ち上げて円滑に剥離させることが肝要であ
る。 【0004】したがって、分離爪は先端部が変形しない
ような耐熱性を必要とすることは当然であるが、それと
同時に先端の曲率半径(以下これを先端Rと略称する)
を小さくしたり、分離爪に潤滑性を持たせたりして、定
着紙を定着ローラ側に送ってしまう分離不良(以下これ
を分離方向不良と呼ぶ)または分離爪部での紙詰り(以
下これを単に紙詰りと呼ぶ)を防ぐことが大切である。 【0005】さらに、定着ローラの表面が170〜27
0℃の温度に上昇するため、紙に付着したトナーが分離
爪に融着し、この量が増加するとこの融着トナーによっ
て紙詰りが起きたり、紙に付着したトナーを掻き取るた
めに定着紙面のトナー定着部分に白い筋(以下これを爪
跡と呼ぶ)が入ることもしばしばあるので、これを避け
るために分離爪はトナーに対して非粘着性のものでなけ
ればならない。 【0006】このような分離爪の具備すべき条件を満た
すために、従来ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリア
リーレンサルファイド、芳香族ポリエ−テルケトン、芳
香族ポリサルホン、芳香族ポリエーテルイミド、芳香族
ポリアミド、芳香族ポリエステル等の樹脂またはこれら
樹脂に四フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂もしくはグ
ラファイトその他の固体潤滑剤を混入したもの、さらに
はたとえば実公昭54−18921号公報、特開昭57
−111569号公報に示されているように、上記のよ
うな樹脂の表面にフッ素含有重合体を被覆して潤滑性お
よび非粘着性を向上させたものなどが実用化されて来
た。 【0007】しかし、表面にフッ素含有重合体を被覆し
ない分離爪は、たとえフッ素樹脂または固体潤滑剤など
を混入したものであっても潤滑性、非粘着性共に不充分
であって、紙詰り、爪跡の問題を起こし、また表面にフ
ッ素含有重合体を被覆した分離爪であっても、期待する
潤滑性も非粘着性も共に不充分であり、長期の連続使用
もしくはトナーの種類によっては、紙詰り、爪跡の問題
が前記の場合と同様に起こる。 【0008】一般に分離爪先端の被覆膜の膜厚は潤滑
性、非粘着性の効力を発揮するためには平均30μm、
少なくとも10μm以上は必要であるから、被覆するこ
とによって折角小さい値に成形された分離爪の先端Rは
大きくなり分離方向不良、紙詰りなどが起こりやすくな
る。 【0009】したがって、分離爪の先端Rが被覆膜の膜
厚によって大きくなることを避けるため分離爪の成形時
に先端Rを膜厚分を勘案して小さくするという対策が採
られることもあるが、このような処置では当然先端部が
熱変形を受けやすくなり、使用可能温度が低下するばか
りではなく、樹脂製の分離爪本体とフッ素含有重合体と
は通常強固に結合しているわけではないので、被覆膜の
界面剥離も起こりやすく、フッ素含有重合体を被覆する
には、通常極性溶媒に分散させたフッ素含有重合体をス
プレーによって20〜40μm程度に被覆する方法が採
用されているが、分離爪の周囲に飛沫が飛散して、製品
歩留りは低下し、コストが非常に高くなるということも
あって、多くの問題がある。 【0010】なお、シリコーン油の薄膜を、たとえばデ
ィッピング法等によって分離爪の表面に形成させて潤滑
性および非粘着性とを発現させようとする試みもある
が、短時間で表面から離脱するため効果の長期維持は不
可能である。 【0011】 【発明が解決しようとする問題点】このように従来の技
術に基づく分離爪の先端被覆には潤滑特性、非粘着性、
密着強度および薄膜形成能のすべての点ですぐれている
ものはなく、熱変形、分離方向不良、紙詰り、爪跡等の
好ましくない現象がしばしば起こるという問題がある。 【0012】 【問題点を解決するための手段】上記の問題点を解決す
るために、この発明においては、定着部ローラから定着
紙を剥離する芳香族ポリエステル樹脂製分離爪の製造方
法において、分離爪表面にフッ素化ポリエーテル重合体
の層を形成する際の250℃よりも高温の熱処理で熱変
形しない耐熱性を有ししかも射出成形が可能な芳香族ポ
リエステル樹脂を母材樹脂とし、これを分離爪形状に射
出成形し分離爪先端の曲率半径を0.05mm以下に成
形した後、分離爪の少なくとも先端部の通紙面にフッ素
化ポリエーテル重合体含有溶液を塗布し、この溶液を乾
燥し250℃よりも高温でしかもフッ素化ポリエーテル
重合体が熱分解しない温度で熱処理してフッ素化ポリエ
ーテル重合体の層を形成する複写機用分離爪の製造方法
としたのである。 【0013】 【作用】この発明におけるフッ素化ポリエーテル重合体
は、それ自体潤滑性、非粘着性を有する重合体である層
に成形し得るものであるから、このような重合体を分離
爪の特に先端部に塗布しても良好な先端Rを増大させな
いで、潤滑性、非粘着性を発揮する。 【0014】 【実施例】この発明における芳香族ポリエステル樹脂
は、150℃以上の雰囲気温度で、その機械的強度が定
着紙分離爪として連続使用可能でありかつ射出成形可能
なものであり、例えば米国カーボランダム社の登録商標
名であるEKONOLとして市販されている芳香族ポリ
エステル樹脂等の合成樹脂をさす。 【0015】つぎに、この発明において使用する少なく
とも一つの極性末端基を有するフッ素化ポリエーテル重
合体は、たとえば−CX1F2X1 −O−単位(ただしX1
は1〜4の整数)を主要構造単位とし、数平均分子量約
1000〜5000の重合体であって、たとえば 【0016】 【化1】 【0017】があげられ、特に好ましくは、 【0018】 【化2】 【0019】で示される伊国モンテヂソン社の登録商標
Fomblin Z−DISOCとして市販されている
平均分子量約2000のフッ素化ポリエーテル重合体、 【0020】 【化3】 【0021】で示される伊国モンテヂソン社の登録商標
Fomblin Z−DEALとして市販されている平
均分子量約2000のフッ素化ポリエーテル重合体、 【0022】 【化4】【0023】で示される伊国モンテヂソン社の登録商標
Fomblin Z−DOLとして市販されている平均
分子量約2000のフッ素化ポリエーテル重合体、など
を例示することができる。 【0024】複写機用分離爪に潤滑性、非粘着性を与え
るために、フッ素化ポリエーテル重合体の薄膜を形成さ
せるには、上記フッ素化ポリエーテル重合体の粘度は高
過ぎる。たとえば、Fomblin Z−DOL200
0の20℃の粘度は約80cstであり、Fombli
n Z−DEAL2000の20℃での粘度は約20c
stである。フッ素化ポリエーテル重合体をフロン11
3等の高フッ化有機溶媒に溶解して、適当な方法で、た
とえばスプレー法、ディッピング法にて塗装すれば良い
が、好ましくはディッピング法が良い。それは塗装液の
歩留りが非常に良いからである。 【0025】高フッ化有機溶媒に溶解させたフッ素化ポ
リエーテル重合体の濃度は特に限定するものではない
が、コストを考えれば0.3〜10重量%程度が好まし
く特に効果的な薄膜を得るためには0.5〜3重量%程
度が好ましい。 【0026】さらに塗装、乾燥後に柔らかい布やティッ
シュペーパー等で表面をみがき、わずかに曇っていた表
面状態を光沢のあるものとする。これは過剰のフッ素化
ポリエーテル重合体を除くためである。 【0027】分離爪母材樹脂に上記した方法、すなわ
ち、フッ素化ポリエーテル重合体を適当な濃度で高フッ
化有機溶媒に溶解させ、ディッピング法等の適当な塗装
方法で被膜を形成させ、高フッ化有機溶媒を飛ばすため
に適当な温度で、たとえば熱風(50℃)乾燥炉で乾燥
する。この乾燥後または乾燥を兼ねてさらに高い温度で
処理しても良いし、またフッ素化ポリエーテルの極性末
端基と分離爪母材樹脂との反応性を高める可能性を考え
れば好ましい。 【0028】たとえば射出成形することにより分離爪形
状を得た母材の表面にディッピング法にてこのフッ素化
ポリエーテル重合体含有溶液を塗布し、250℃よりも
高い温度、例えば270℃以上の高温で適当な時間熱処
理する。ここでいう高い温度とは、母材樹脂およびフッ
素化ポリエーテルが熱変形したり熱分解しない温度をさ
す。 【0029】以下に、実施例および比較例を示す。 【0030】実施例1:分離爪用耐熱性樹脂として、芳香族ポリエステル樹脂
(米国カーボランダム社製:EKONOL)を用いた。
分離爪先端の曲率半径(先端R)は、0.05mm以下
である。そして、成形方法は ヘンシェルミキサーで混合
後、2軸溶融押出機にて混練後押出し、このストランド
をカットしペレットを得た。このペレットを射出成形
し、分離爪形状成形品および摩擦試験片を得た。 【0031】フッ素化ポリエーテル重合体としてつぎの
伊国モンテヂソン社製品(数平均分子量2000)を選
んだ。すなわち、下記の化5で示されるFomblin
Z−DISOCを用い、フッ素化ポリエーテル重合体
のそれぞれを1.5%溶解したフレオン113溶液に浸
け、分離爪の少なくとも先端部の通紙面に塗布し取り出
し、塗布後の熱処理を50℃以上の熱風乾燥炉で行なっ
た後、260℃で24時間乾燥および熱処理した後、潤
滑性、非粘着性および分離爪材としての機能性を評価し
た。 【0032】 【化5】 【0033】潤滑性: スラスト型摩擦試験機を使用して、荷重1kg/c
m2 、速度1cm/秒の条件で軸受鋼(SUJ 2)を
相手に試験した。 【0034】非粘着性: 分離爪を試験片として、エルマ光学社製ゴニオメーター
式接触角試験機を用いて、水と酢酸に対する接触角を求
めた。 【0035】分離爪としての機能性: シャープ社製乾式複写機Z−60型を用い、同型の分離
爪と同一形状の試験片を定位置に取り付け、A4判の複
写用紙5万枚を連続通紙し、5万回の複写を繰り返し、
定着ローラからの紙の分離不良(紙詰り)発生時の複写
枚数、爪跡によるトナー画像汚染発生の有無、分離爪へ
のトナーの付着量〔付着していないまたは微量付着して
いる、比較的少量付着している、少量付着している、多
量に付着しているの4段階〕で評価した。また、通紙試
験後に分離爪に付着したトナーをエチルアルコールでふ
き取った後、水および酢酸に対する接触角を測定した。 【0036】比較例1: フッ素化ポリエーテル重合体の被覆膜を分離爪表面に形
成させなかったこと以外は実施例1とまったく同様の方
法で試験片を得、同じ測定を行なった。 【0037】実施例1の分離爪は、良好な潤滑性を有
し、非粘着性においてもフッ素樹脂単体に匹敵する接触
角を示して非常に優れたものであり、複写機の実用的機
能も充分満足できる結果であった。また試験後の通紙面
の接触角も試験前と同様の大きい値を示し、比較例1の
接触角とは大きな差があった。これは分離爪表面に試験
後もなおフッ素化ポリエーテル重合体被膜が存在してい
ることを示し、この発明のフッ素化ポリエーテル重合体
被膜が良好な密着強度および耐摩耗性を有していること
がわかる。 【0038】 【効果】以上のことから明らかなように、この発明によ
る複写機用の分離爪の製造方法は、潤滑性、非粘着性が
共にすぐれ塗布層と基材との密着強度向上および塗布層
の薄層化および基材の種類とその先端曲率半径を0.0
5mm以下と精密に射出成形したことによって、従来の
被覆技術の欠点である分離爪先端部の先端Rの増大に基
づく分離方向不良や紙詰りおよび熱変形を起こすことな
く、また熱伝導性、電気伝導性を損うことなく長期連続
使用に充分耐え得る複写機用分離爪を製造できるという
利点がある。 【0039】また、フッ素化ポリエーテル重合体の層を
設ける際の250℃よりも高い熱処理温度で熱変形しな
いほどの高い耐熱性を有ししかも射出成形が可能な芳香
族ポリエステル樹脂製分離爪に、フッ素化ポリエーテル
重合体含有溶液の塗布・乾燥後に250℃よりも高い温
度でしかもフッ素化ポリエーテル重合体が熱分解しない
温度で熱処理したので、分離爪の先端形状の精度を低下
させずに非粘着性に優れた層を分離爪の少なくとも先端
部の通紙面に形成することができ、トナーの付 着や分離
方向不良、紙詰まりおよび融着トナーによる紙汚れなど
の紙面の画像汚染も防止できる。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】(1) 定着部ローラから定着紙を剥離する芳香族ポリ
エステル樹脂製分離爪の製造方法において、 分離爪表面にフッ素化ポリエーテル重合体の層を形成す
る際の250℃よりも高温の熱処理で熱変形しない耐熱
性を有ししかも射出成形が可能な芳香族ポリエステル樹
脂を母材樹脂とし、これを分離爪形状に射出成形し分離
爪先端の曲率半径を0.05mm以下に成形した後、分
離爪の少なくとも先端部の通紙面にフッ素化ポリエーテ
ル重合体含有溶液を塗布し、この溶液を乾燥し250℃
よりも高温でしかもフッ素化ポリエーテル重合体が熱分
解しない温度で熱処理してフッ素化ポリエーテル重合体
の層を形成することを特徴とする複写機用分離爪の製造
方法。(2) フッ素化ポリエーテル重合体含有溶液が、溶媒
に溶解された溶液状のフッ素化ポリエーテル重合体であ
る特許請求の範囲第1項に記載の複写機用分離爪の製造
方法。(3) 前記複写機用分離爪が、乾式複写機用分離爪で
ある特許請求の範囲第1項に記載の複写機用分離爪の製
造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20926597A JP2829291B2 (ja) | 1997-08-04 | 1997-08-04 | 複写機用分離爪の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20926597A JP2829291B2 (ja) | 1997-08-04 | 1997-08-04 | 複写機用分離爪の製造方法 |
Related Parent Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8223799A Division JP2713705B2 (ja) | 1996-08-26 | 1996-08-26 | 乾式複写機 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1091030A JPH1091030A (ja) | 1998-04-10 |
| JP2829291B2 true JP2829291B2 (ja) | 1998-11-25 |
Family
ID=16570093
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP20926597A Expired - Lifetime JP2829291B2 (ja) | 1997-08-04 | 1997-08-04 | 複写機用分離爪の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2829291B2 (ja) |
-
1997
- 1997-08-04 JP JP20926597A patent/JP2829291B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
| Title |
|---|
| 日本プラスチック工業連盟誌、プラスチックス10月号、35〔10〕(1984) |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH1091030A (ja) | 1998-04-10 |
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