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JP2856274B2 - 紡糸用口金の製造方法 - Google Patents
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JP2856274B2 - 紡糸用口金の製造方法 - Google Patents

紡糸用口金の製造方法

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JP2856274B2
JP2856274B2 JP33826194A JP33826194A JP2856274B2 JP 2856274 B2 JP2856274 B2 JP 2856274B2 JP 33826194 A JP33826194 A JP 33826194A JP 33826194 A JP33826194 A JP 33826194A JP 2856274 B2 JP2856274 B2 JP 2856274B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異形糸紡糸用の口金の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紡糸用口金は、通常、鋼、とくにステン
レス鋼からなる円板部材に、所定形状の紡糸用孔を多数
設けることにより構成されている。紡糸する糸の断面が
丸形の場合、紡糸用孔は例えば図16、図17に示すよ
うに形成され、異形断面(丸形以外の断面、例えば、Y
形、星形、十字形、三角形等)の場合には、紡糸用孔は
例えば図18、図19に示すように形成される。
【0003】図16、図18において、101、111
は紡糸用口金を構成する円板部材の部分縦断面を示して
おり、円板部材101、111に、所定の数だけ紡糸用
孔102、112が形成される。矢印は、溶融流体、例
えば溶融合成樹脂の流れ方向を示している。紡糸用孔1
02、112は、上流側から順に、横断面が円形で内周
面がテーパ面に形成された導入部103、113、横断
面円形のストレート孔からなる導入孔部104、11
4、横断面円形で内周面がテーパ面に形成された絞り部
105、115、孔延設方向に同一形状の断面を有する
吐出孔部106、116からなっている。丸形断面糸用
の場合には、吐出孔部106の断面形状は、図17に示
すように円形に形成され、異形断面糸用の場合には、吐
出孔部116の断面は、例えば図19に示すようにY形
断面に形成される。
【0004】この紡糸用孔102、112のうちとくに
吐出孔部106、116には、極めて高い仕上精度が要
求されることに加え、孔径(孔最大径)を0.1〜1.
0mm程度の細径にしなければならないことから、とく
に異形断面糸用口金の場合には孔断面形状が異形断面で
あることから、通常、吐出孔部106、116は放電加
工によって形成される。すなわち、絞り部105、11
5までは、ドリル加工、リーマ通し等によって加工、仕
上が行われ、吐出孔部106、116は放電加工によっ
て穿設される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な加工方法で紡糸用孔、とくに異形断面の紡糸用孔11
2が形成される従来の紡糸用口金には、以下に述べるよ
うな問題がある。図18、図19に示したような異形断
面糸用口金では、加工上、吐出孔部116入口部、つま
り吐出孔部116と絞り部115との境界部に、必然的
に平坦な面117が形成され、この平坦面117は吐出
孔部116加工後にも図示の如く残る。この平坦面11
7は、溶融流体の流れ方向に略直交する面となるので、
この部分に滞留が生じやすくなるとともに、大きな圧力
損失を生じさせる原因となる。
【0006】滞留が生じると、紡糸される糸の糸切れ等
の生産上のトラブルを引き起こしたり、糸品質上の問題
を招くおそれがある。圧力損失が大きくなると、紡糸用
口金入口でさらに高い圧力が要求されることになるの
で、紡糸用口金部、さらにはその上流側各部品にさらに
高い耐圧性が必要になる。
【0007】また、前述の従来の加工方法では、吐出孔
部116を一つ一つ放電加工していかなければならない
ので、加工に手間と時間を要し、紡糸用口金が高価にな
るとともに、加工のばらつきにより、仕上げられた各吐
出孔部116の孔精度にばらつきが生じるおそれがあ
る。このばらつきが大きくなると、紡糸された糸の品質
上の問題、トラブルを招く。
【0008】本発明の目的は、滞留を実質的に無くすこ
とが可能で、かつ、圧力損失も極めて低く抑えることが
可能で、かつ、紡糸される糸の横断面形状を正確に目標
とする形状に形成可能な紡糸用孔を有する紡糸用口金を
製造する方法を提供することにある。
【0009】とくに、孔加工を容易化でき、加工時間を
大幅に短縮できる、安価に製作可能な紡糸用口金の製造
方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の沿う本発明の紡糸
用口金の製造方法は、複数の板状部材を組み合わせて、
横断面形状が非円形の異形形状である組合せ部材を作成
し、該組合せ部材を、一端面が球状の面に形成された円
柱部材の該一端面に、円柱部材の軸心の延長線と組合せ
部材の軸心が一致するように接合して円柱部材と一体化
し、該一体化部材を成形雄型とし該一体化部材周りにセ
ラミック材を配置して一体化部材と実質的に同一形状の
紡糸用孔を有するセラミック部材を成形し、該セラミッ
ク部材を口金本体に形成された取付孔内に固着すること
を特徴とする方法からなる。
【0011】この方法は、とくに、後述のような実質的
に吐出孔部の入口部の形状線が現れない三次元曲面の紡
糸用孔内面を有する紡糸用口金の製造に好適である。
【0012】さらに、本発明に係る紡糸用口金の製造方
法は、横断面が円形で、大径部と小径部とを有し両部間
がテーパ部で接続された円柱状ピン部材を作成し、研削
手段を用いて、ピン部材の小径部および少なくともテー
パ部の一部に、ピン部材の軸心に沿う方向に延びる溝を
ピン部材の周方向に複数刻設し、該ピン部材を成形雄型
とし該ピン部材周りにセラミック材を配置してピン部材
と実質的に同一形状の紡糸用孔を有するセラミック部材
を成形し、該セラミック部材を口金本体に形成された取
付孔内に固着することを特徴とする方法からなる。
【0013】この方法は、とくに、後述のような実質的
に吐出孔部の入口部の形状線が現れない三次元曲面の紡
糸用孔内面を有する紡糸用口金の製造、および、吐出孔
部の横断面異形形状の吐出孔部径方向への延設部の幅
が、吐出孔部径方向において変化している紡糸用口金の
製造に好適である。
【0014】上記の両製造方法において、成形雄型に角
部が残っている場合には、その角部に、R加工によって
丸みがつけられていることが好ましい。また、必要に応
じて、成形される孔の精度を高めるために、上記成形雄
型あるいは成形後の孔に修正加工を施してもよい。この
ように製作されたセラミック部材を、口金本体として
の、たとえば金属製円板部材に機械加工によって穿設さ
れた各取付け孔内に固着することにより、目標とする紡
糸用口金が得られる。
【0015】すなわち、本発明に係る製造方法により製
造される、目標とする紡糸用口金は、次のような構成を
有する。たとえば、紡糸用流体が導入される導入孔部
と、該導入孔部からの流体を吐出する導入孔部よりも小
径の吐出孔部とを備えた紡糸用孔を多数有する紡糸用口
金において、前記吐出孔部の横断面を非円形の異形形状
に形成し、該吐出孔部の入口部を、前記横断面異形形状
が前記流体の流れ方向に沿って徐々に発達するように形
成し、かつ、前記横断面異形形状の吐出孔部径方向への
延設部の、吐出孔部径方向における内側部分の幅を、吐
出孔部径方向における外側部分の幅よりも小さくしたこ
とを特徴とする紡糸用口金である。
【0016】上記吐出孔部の横断面異形形状の吐出孔部
径方向への延設部の幅の変化については、吐出孔部径方
向に実質的に直線テーパ状に変化させてもよく、曲線テ
ーパ状に変化させてもよい。
【0017】そして好ましくは、前記流体の流れ方向に
みて、前記吐出孔部の入口部へと接続する紡糸用孔内面
の少なくとも一部が、実質的に吐出孔部の入口部の形状
線が現れない三次元曲面に形成されている。
【0018】また、上記のような紡糸用孔は、金属製口
金本体とは別体のセラミック部材内に形成することがで
きる。すなわち、各紡糸用孔が、各セラミック部材内に
形成されており、各セラミック部材が、口金本体に穿設
された各取付孔内にそれぞれ固着されている紡糸用口金
である。
【0019】
【実施例】以下に、本発明の紡糸用口金の製造方法の望
ましい実施例を、図面を参照して説明する。まず、本発
明の紡糸用口金の製造方法により製造する、目標とする
紡糸用口金の例について説明する。図1ないし図4は、
本発明の製造方法により製造される、一実施例に係る紡
糸用口金を示しており、異形断面糸用口金に適用した場
合を示している。図1および図2において、1は、紡糸
用口金全体を示している。紡糸用口金1は、口金本体と
しての金属製円板部材2と、該金属製円板部材2に所定
個数(紡糸用孔個数)、所定配列にて穿設された各取付
孔3内にそれぞれ固着された、紡糸用孔4を有するセラ
ミック部材5と、から構成されている。
【0020】金属製円板部材2の材質としては、とくに
限定されず、紡糸用口金に要求される耐熱性、耐圧性、
耐食性等を有するものであればよい。したがって、従来
から紡糸用口金に用いられているステンレス鋼を用いる
ことができる。また、本実施例では、口金本体として金
属製円板部板2を用いているが、この口金本体の材質
は、他の材質、たとえば次に述べるセラミック部材5と
は別に成形されたセラミック部材から構成してもよい。
【0021】セラミック部材5の材質としても特に限定
されず、アルミナ、ジルコニアを含むセラミック素材が
適用できる。中でも、硬度が高く、剛性の高いジルコニ
ア系セラミックが好ましい。
【0022】このセラミック部材5は、内部に紡糸用孔
4を有し、本実施例では、外周面が図3に示すような段
付形状に形成されている。金属製円板部材2に形成され
る取付孔3は、板厚み方向中央部にセラミック部材5と
の嵌合部3aが形成され、上面側、下面側の部分3b、
3cは、それぞれセラミック部材5の外径よりも大きい
孔径に形成されている。各セラミック部材5が各取付孔
3の嵌合部3aに嵌着された後、セラミック部材5の外
周面と取付孔内周面3b、3cとの間にそれぞれ形成さ
れる隙間に、耐熱性無機接着剤6が充填、固化されてい
る。この耐熱性無機接着剤6の充填、固化により、セラ
ミック部材5が強固に取付孔3内に固着されるととも
に、紡糸用口金の上面、下面側で、滞留等の原因となる
隙間が形成されるのを防止している。
【0023】上記耐熱性無機接着剤6は、無機粉末、例
えばガラス粉末、セラミック粉末と、耐熱性接着剤又は
結合材とを混合したものからなり、それを充填した後、
炉(恒温槽、焼成炉等)で加熱処理することにより固化
されている。
【0024】なお、本実施例では、上記の如く耐熱性無
機接着剤6を用いてセラミック部材5を取付孔3内に固
着したが、これに限定されず、他の方法で固着してもよ
い。例えば、取付孔3を、実質的に全長にわたってセラ
ミック部材5の外周形状と実質的に同一形状に加工して
おき、セラミック部材5を圧入する方法、あるいは、口
金本体としての金属製円板部材2を加熱し熱膨張により
取付孔3の孔径を拡大させておき、常温の、又は口金本
体と同じ温度に昇温したセラミック部材5を嵌着後円板
部材2の温度を下げて固着させる方法、等も採用可能で
ある。
【0025】セラミック部材5内に形成される紡糸用孔
4は、本実施例では図3、図4に示す形状に形成されて
いる。図3に示すように、紡糸用孔4は、紡糸用流体、
例えば溶融合成樹脂の流れ方向(矢印方向)にみて上流
側から、溶融流体を孔内に導入する、横断面円形で内周
面がテーパ絞り面に形成された導入部7、該導入部7に
接続し、横断面円形のストレート孔部からなる導入孔部
8、該導入孔部8に接続し、滑らかな三次元曲面で下流
側程径が絞られている三次元曲面部9、該三次元曲面部
9に接続し、溶融流体を吐出する異形横断面のストレー
ト孔部からなる吐出孔部10、から形成されている。
【0026】吐出孔部10の異形横断面形状は、本実施
例では、図4に示すようにY形に形成されている。三次
元曲面部9は、その面形状が滑らかに変化し、吐出孔部
10の入口部10aに接続する際には、実質的に吐出孔
部10の入口部10aの形状線が現れないように滑らか
に接続している。図3では、説明の便宜上、各孔部境界
を破線で示してあるが、これらの線は実際には現れな
い。本実施例では、三次元曲面部9と導入孔部8との境
界も、滑らかな曲面を介しての接続状態となっており、
この部分も形状線は現れないようになっている。さらに
本実施例では、導入部7と導入孔部8との境界にもRが
付与されており、この部分も滑らかに遷移するようにな
っている。上記のような接続状態のため、吐出孔部10
の入口部10aにおいては、異形横断面形状が流体の流
れ方向に沿って徐々に発達するようになっている。
【0027】吐出孔部10の異形断面形状は、上記Y形
に限定されず、公知の異形断面糸に用いられている断面
形状、例えば星形、十字形、三角形等が採用可能であ
る。いずれの断面形状の場合にも、少なくとも、導入孔
部と吐出孔部とが、三次元曲面部によって、吐出孔部の
入口形状線が現れない程度に滑らかに接続されればよ
い。
【0028】この吐出孔部10は、通常、その孔径(最
大径)が0.1〜1.0mm程度、長さが0.1〜1.
0mm程度であり、導入孔部8は、孔径が1.0〜5.
0mm程度のものである。吐出孔部10が異形断面であ
り、その孔径が小さくかつ精度を要することから、前述
の如く従来は放電加工のみによっていた。しかし本実施
例では、紡糸用孔4形成部材として、金属製円板部材2
とは別に製作されるセラミック部材5を用いており、各
セラミック部材5は、実質的に同一工程にて、後述のよ
うな方法で、短時間の内に容易にかつ精度よく製作する
ことが可能である。
【0029】上記のような形状の紡糸用孔4にあって
は、吐出孔部10の入口部10aにおいて、異形横断面
形状が紡糸用流体の流れ方向に沿って徐々に発達するの
で、とくに紡糸される糸の異形断面形状の要求精度が高
い場合には、次のような問題を生じるおそれがある。
【0030】すなわち、図5に吐出孔部近傍の縦断面を
模式的に示すように、三次元曲面9の形成により、吐出
孔部の入口部10a部分(その直上流側部分を含む)に
おいては、流体の流れ方向に沿って異形横断面形状が徐
々に発達する。吐出孔部10における異形横断面形状
が、たとえば図6に示すように、吐出孔部10の径方向
への延設部13aの幅Wが一定の形状13だとすると、
図5に示した矢印F1部分から該延設部13aに流入す
る流体と、矢印F2部分から延設部13aに流入する流
体との間には、吐出孔部10の出口に至るまでの距離L
1およびL2に差が生じ、該差に起因して、圧力損失の
差が生じる。この圧力損失は、L1の距離を流れる流体
に対しては、より大きく、L2の距離を流れる流体に対
しては、より小さくなる。したがって、横断面形状13
の延設部13aにおける吐出孔部10の中央部に近づく
程(つまり、吐出孔部径方向内側程)より多くの流量に
なろうとし、中央部から離れる程(つまり、吐出孔部径
方向外側程)より少ない流量になろうとする。そのた
め、吐出孔部10から吐出される異形断面糸の横断面形
状は、図6の2点鎖線13bで示すように変形する傾向
となる。
【0031】そこで本発明においては、より高い精度の
横断面形状が要求される場合には、吐出孔部および/又
はその上流部における孔の横断面形状を、図7又は図8
に示すように修正するようにしている。図7に示す例に
おいては、孔形状14における延設部14aの幅W1を
孔中央部側になる程小さくなるように、直線テーパ状に
変化させたものである。図5に示した流体の流入領域A
において、三次元曲面9が縦断面でみて略直線的に延び
ている場合には、それに対応する図7における領域Bに
おいて、このように幅W1を直線的に変化させることが
好ましい。一方、三次元曲面9が縦断面でみて曲線的に
変化している場合には、図8に示すように、孔形状15
における延設部15aは、図5の領域Aに対応する領域
Cにおいて、その幅W2を曲線テーパ状に変化させるこ
とが好ましい。
【0032】図7、8に示したような孔の横断面形状の
修正により、異形断面糸の目標とする横断面形状が、精
度よく実現される。
【0033】このような吐出孔部における孔横断面形状
の修正は、図7、図8に示したような異形横断面に限ら
ず、任意の異形横断面に関して適用できる。
【0034】たとえば図9、図10に、5葉形(星形)
の異形横断面の例を示す。図9は、横断面形状16の延
設部16aの幅W3を直線テーパ状に変化させたものを
示し、図10は、横断面形状17の延設部17aの幅W
4を曲線テーパ状に変化させたものを示している。
【0035】上記のような実施例装置においては、導入
孔部8から吐出孔部10内へと流れる紡糸用流体は、三
次元曲面部9に沿って流れる。三次元曲面部9は、吐出
孔部10の入口10aの形状線が現れない程度に滑らか
にY形異形断面を有する吐出孔部10に接続しているか
ら、導入孔部8から吐出孔部10内に至る流れも極めて
滑らかな流線の流れとなる。つまり従来形状におけるよ
うな、折れ線状態の流れにはならず、とくに、吐出孔部
10直上部に図18、図19に示したような平坦部は全
く形成されないので、滞留のおそれのある部位が無くな
り、かつ滑らかな流れにより圧力損失も大幅に低減され
る。
【0036】また、本実施例においては、導入部7と導
入孔部8部との境界部、および、導入孔部8と三次元曲
面部9との境界部も滑らかに接続されているので、これ
らの部位でも滑らかな流れ状態となり、一層圧力損失が
低減される。
【0037】さらに、紡糸用孔4を有するセラミック部
材5は、金属製円板部材2とは別個に、簡単に精度よ
く、かつ大量に製造可能であるから、紡糸用口金1を短
時間で、かつ安価に製作することが可能となる。
【0038】さらにまた、吐出孔部10の横断面形状を
図7〜図10に示したように延設部の幅を変化させるこ
とにより、流体の圧力損失差に基づく流量変化を修正で
き、実際に吐出される異形断面糸の横断面形状をより正
確に目標とする形状に形成できる。
【0039】次に、本発明に係る紡糸用口金の製造方法
について説明する。本方法は、セラミック部材を用いて
異形断面糸用の紡糸用口金を効率よく製造しようとする
ものであり、上述した、横断面形状における延設部の幅
を変化させたものについても容易に製造可能とするもの
である。
【0040】まず、図11に第1の方法を示す。この方
法においては、まず、板状の素材が準備され、3つの図
示のような板状部材21a、21b、21cが形成され
る。これら3つの板状部材21a、21b、21cを図
のように組み合わせ、必要に応じて3部材を接合するこ
とにより、Y字形の異形横断面を有する組合せ部材21
を作成する。この組合せ部材21が、一端面が球状の面
に形成された(本実施例では半球面に形成された)円柱
部材22の該一端面に、円柱部材22の軸心が延長線と
組合せ部材21の軸心とが一致するように接合される。
接合は任意の手法、たとえばろう付け、放電加工法等に
よればよい。この一体化部材23を成形雄型として、該
一体化部材23周りに前述したようなセラミック材を配
置し、前述したようなセラミック部材を成形する。成形
されたセラミック部材は、焼成されて固められる。この
ように成形されたセラミック部材には、上記一体化部材
23と実質的に同一形状の異形横断面の紡糸用孔、つま
り所望の異形横断面の紡糸用孔が形成されることにな
る。成形されたセラミック部材は、前述したように、口
金本体の取付孔内に固着される。
【0041】なお、上記組合せ部材21あるいは一体化
部材23に角部が存在する場合には、セラミック部材成
形前にその角部を適当に研磨して丸みをもたせておけば
よい。また、成形されたセラミック部材側で、丸みをつ
けることも可能である。
【0042】この第1の方法により、実質的に任意の異
形横断面形状の紡糸用孔が形成できる。但し、前述し
た、異形横断面形状における延設部の幅を変化させる場
合には、次に述べる第2の方法の方がやり易い。
【0043】第2の方法は、たとえば図12、図13に
示すように実施される。図に示した例は、Y字形の異形
横断面を形成する場合の方法である。まず、横断面が円
形で、大径部31aと小径部31bとを有し、その間が
テーパ部31cで滑らかに接続された円柱状ピン部材3
1が作成される。このピン部材31の小径部31bと、
少なくともテーパ部31cの一部に対して、研削手段、
たとえば研削砥石32により、ピン部材31の軸心に沿
う方向に溝33が刻設されていく。この溝33を周方向
において3ヶ所刻設すれば、所望のY字形異形横断面が
得られる。テーパ部31cにおいては、大径部31a側
に向けて徐々に溝深さが浅くなるように形成される。
【0044】本実施例においては、研削砥石32は12
0°の刃先角をもっており、図13に示すように、正三
葉形の異形横断面に形成される。また、砥石32の先端
に丸みをもたせ、形成される溝底に丸みをもたせること
が好ましい。成形された正三葉形の角葉先端部に角部が
存在する場合には、適当に研磨して丸みをもたせればよ
い。
【0045】このように作成された溝付きピン部材31
を成形雄型とし、該ピン部材31周りに前述したような
セラミック材を配置し、前述したようなセラミック部材
を成形する。このように成形されたセラミック部材は、
たとえば図14に示すような紡糸用孔形状34を有す
る。図14においては、便宜上孔内の溝形状を線で表わ
してあるが、実際には孔内面は滑らかに変化しているの
で、これら形状線は表われない。34aが吐出孔部、3
4bが孔内面の隆起部を表わしている。
【0046】このように成形されたセラミック部材が、
別に製作された口金本体の取付孔内に固着され、所望の
紡糸用口金が製造される。
【0047】上記第2の方法は、異形横断面形状におけ
る径方向延設部の幅を変化させる場合に適用して最適な
方法である。
【0048】たとえば、図15に示すように、刃先角が
120°よりも小さい研削砥石41を用い、円柱状ピン
部材42に溝43を刻設していくことにより、異形横断
面44の径方向延設部44aの幅を、径方向内側程小さ
く、径方向外側程大きくできる。必要に応じて各部に丸
みをつけ、上述と同様の方法によってセラミック部材を
成形すればよい。このような方法によって成形されたセ
ラミック部材には、容易に、図7や図8に示したような
形状の吐出孔部が形成される。
【0049】なお、本発明における紡糸用流体として
は、紡糸され得るものであればとくに限定されないが、
本発明に係る口金は、とくに、ナイロンやポリエステル
に代表される合成繊維用口金、つまり、比較的高圧でポ
リマーを紡糸する口金に用いて最適である。レーヨンに
代表される再生繊維、アセテートに代表される半合成繊
維では、肉厚の小さい口金(たとえば1mm前後の板に
パンチで孔を開けたような簡単なもの)が使用されるこ
とが多いが、このような繊維にあっても、比較的厚肉の
口金を用いる場合には、本発明の適用が可能である。
【0050】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る紡糸
用口金の製造方法によれば、一体化部材あるいはピン状
部材を成形雄型としてセラミック部材を成形するように
したので、紡糸用孔の孔形状の揃った、高精度のセラミ
ック部材を容易にかつ大量に、しかもそれらを短時間で
製作できるようになり、所望の紡糸用口金を安価に製造
できるようになう。とくに、異形横断面形状における径
方向延設部の幅が変化する吐出孔部を有する口金につい
ても、容易にかつ安価に製造できる。
【0051】本発明に係る紡糸用口金の製造方法により
製造された紡糸用口金においては、紡糸用孔の吐出孔部
の異形横断面における径方向延設部の幅を変化させるよ
うにすることができるので、吐出孔部出口からは、各部
において所望の流量で流体を吐出でき、正確に目標とす
る異形断面形状を有する糸を紡糸することができる。こ
れによって、吐出孔部入口部へと至る紡糸用孔内面を問
題なく三次元曲面とすることができ、該部位を三次元曲
面に形成することにより、滞留のおそれのある部位を実
質的に完全に除去でき、しかも圧力損失を大幅に低減す
ることができる。その結果、紡糸される糸の品質向上を
はかることができ、口金を含めそれより上流側の部品の
耐圧性を結果的に高めることが可能となる。
【0052】また、紡糸用孔を有する部材を口金本体と
は別部材とし、該部材をセラミック部材から構成して口
金本体に固着するようにすれば、上述の如き所望の孔を
容易に形成でき、短時間の加工時間にて安価に紡糸用口
金を製作できる。この製作費用低減効果は、紡糸用孔個
数が多くなる程顕著で、孔個数が数千にも及ぶ紡糸用口
金においては、絶大なるコスト低減効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法により製造された紡糸用口金
の一例を示す平面図である。
【図2】図1の紡糸用口金の部分断面表示側面図であ
る。
【図3】図1の紡糸用口金の拡大部分縦断面図である。
【図4】図3の紡糸用孔の拡大平面図である。
【図5】図1の紡糸用口金の吐出孔部周辺の拡大縦断面
図である。
【図6】吐出孔部の異形横断面の形状例を示す孔平面図
である。
【図7】吐出孔部の別の異形横断面の形状例を示す孔平
面図である。
【図8】吐出孔部のさらに別の異形横断面の形状例を示
す孔平面図である。
【図9】吐出孔部のさらに別の異形横断面の形状例を示
す孔平面図である。
【図10】吐出孔部のさらに別の異形横断面の形状例を
示す孔平面図である。
【図11】本発明の紡糸用口金の製造方法に用いる一体
化部材の部分側面図である。
【図12】本発明の紡糸用口金の製造方法に用いるピン
状部材の部分側面図である。
【図13】図12の部材の小径部側からみた正面図であ
る。
【図14】図12に示した部材から成形されたセラミッ
ク部材の紡糸用孔の平面図である。
【図15】図13の変形例を示すピン状部材の小径部側
からみた正面図である。
【図16】従来の紡糸用口金の紡糸用孔部の縦断面図で
ある。
【図17】図16の紡糸用孔の拡大平面図である。
【図18】従来の別の紡糸用口金の紡糸用孔部の縦断面
図である。
【図19】図18の紡糸用孔の拡大平面図である。
【符号の説明】
1 紡糸用口金 2 口金本体としての金属製円板部材 3 取付孔 4 紡糸用孔 5 セラミック部材 6 耐熱性無機接着剤 7 導入部 8 導入孔部 9 三次元曲面部 10 吐出孔部 10a 吐出孔部の入口 13、14、15、16、17 異形横断面 13a、14a、15a、16a、17a 径方向延設
部 21 組合せ部材 21a、21b、21c 板状部材 22 円柱部材 23 一体化部材 31、42 円柱状ピン状部材 31a 大径部 31b 小径部 31c テーパ部 32、41 研削砥石 33、43 溝 34 紡糸用孔 44a 径方向延設部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−124619(JP,A) 特開 昭50−76312(JP,A) 特開 昭62−177206(JP,A) 特開 昭51−99107(JP,A) 特開 平7−157910(JP,A) 特開 平6−128805(JP,A) 特公 昭46−36247(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01D 4/00 - 4/02 D01D 5/253

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の板状部材を組み合わせて、横断面
    形状が非円形の異形形状である組合せ部材を作成し、該
    組合せ部材を、一端面が球状の面に形成された円柱部材
    の該一端面に、円柱部材の軸心の延長線と組合せ部材の
    軸心が一致するように接合して円柱部材と一体化し、該
    一体化部材を成形雄型とし該一体化部材周りにセラミッ
    ク材を配置して一体化部材と実質的に同一形状の紡糸用
    孔を有するセラミック部材を成形し、該セラミック部材
    を口金本体に形成された取付孔内に固着することを特徴
    とする、紡糸用口金の製造方法。
  2. 【請求項2】 横断面が円形で、大径部と小径部とを有
    し両部間がテーパ部で接続された円柱状ピン部材を作成
    し、研削手段を用いて、ピン部材の小径部および少なく
    ともテーパ部の一部に、ピン部材の軸心に沿う方向に延
    びる溝をピン部材の周方向に複数刻設し、該ピン部材を
    成形雄型とし該ピン部材周りにセラミック材を配置して
    ピン部材と実質的に同一形状の紡糸用孔を有するセラミ
    ック部材を成形し、該セラミック部材を口金本体に形成
    された取付孔内に固着することを特徴とする、紡糸用口
    金の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記成形雄型に存在する角部に、R加工
    により丸みがつけられている、請求項1または2の紡糸
    用口金の製造方法。
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