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JP2856966B2 - ポリアミド中空および/または異形繊維 - Google Patents
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JP2856966B2 - ポリアミド中空および/または異形繊維 - Google Patents

ポリアミド中空および/または異形繊維

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアミド中空および
/または異形繊維およびその製造法に関する。更に詳し
くは、本発明は中空率および/または異形度の改善され
たポリアミド繊維及びその製造法に関する。
【0002】ここで、”中空および/または異形繊維”
の語句は、単繊維の断面が丸断面または異形の中空糸、
単繊維断面が中実で異形で且つ中実の糸、あるいはこれ
らの単繊維を混繊した糸を意味する。
【0003】
【従来の技術】ポリアミド繊維の異形性・中空形成性の
向上に対しては、従来より口金形状を工夫したり、ある
いは、ポリマーの重合度を増大させて溶融粘度を上昇さ
せる手段が採られてきた。しかし、前者の手段では、断
面形成自体が困難なばかりか、単糸数に制約があって要
求特性を満足させるのはなかなか困難であった。一方、
後者の手段では、溶融粘度の上昇に伴い製糸自体が困難
となり、従ってこの手段による異形度や中空率の改良に
は限界があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、中空および
/または異形のポリアミド繊維の製造に当たって、中空
率および/または異形度の向上手段としては限界のある
従来法に代えて、口金形状やポリマーの重合度の変更に
頼る必要のない、ポリアミド中空および/または異形繊
維およびその製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれ
ば、ある量以下の末端カルボキシル基を有するポリアミ
ド、更に好ましくは末端アミノ基量と末端カルボキシル
基量との比(末端アミノ基量/末端カルボキシル基量)
が1以上であるポリアミドに対して、これまで溶融紡糸
時の糸切れ防止のために用いられてきた飽和脂肪酸の金
属塩をカルボキシル基量に相関させて配合してから溶融
紡糸するとき、紡出糸の中空率および/または異形度が
顕著に改善されることが判明した。
【0006】かくして、本発明によれば、炭素数が少な
くとも10である飽和脂肪酸の金属塩が配合されたポリ
アミド中空および/または異形繊維において、該繊維を
構成するポリアミドの末端カルボキシル基量(X)が6
0グラム当量/トン以下であり、且つ該飽和脂肪酸の金
属塩が該末端カルボキシル基量(X)の量に応じてY≧
0.00871X−0.13(ここで、Yは飽和脂肪酸
の金属塩の配合量)を満足する量で配合されていること
を特徴とするポリアミド中空および/または異形繊維、
さらにはポリアミド中空および/または異形繊維を溶融
紡糸するに際して、該ポリアミドとして末端カルボキシ
ル基量(X)が60グラム当量/トン以下のものを用
い、該末端カルボキシル基量(X)の量に応じて、炭素
数が少なくとも10である該飽和脂肪酸の金属塩をポリ
アミドにY≧0.00871X−0.13(ここで、Y
は飽和脂肪酸の金属塩の配合量)を満足する量で配合し
てから溶融紡糸することを特徴とするポリアミド中空お
よび/または異形繊維の製造法が提供される。
【0007】本発明において、上記の飽和脂肪酸の金属
塩(以下、単に”金属塩”と称することがある)とは、
高級脂肪酸の金属化合物を意味する。高級脂肪酸として
は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、モンタン酸などがあり、金属としては、アルカ
リ金属、アルカリ土類金属、土類金属を意味し、好まし
くはナトリウム、カルシウム、マグネシウムが挙げられ
る。好ましくは、マグネシウムである。
【0008】ポリアミドに上記金属塩を配合させる方法
としては、ドライブレンド法、マスターチップブレンド
法、リキッド添加法、重合添加法が採用される。
【0009】溶融紡糸は、常法によって行うことができ
る。即ち、上記金属塩を配合せしめたポリアミドを溶融
紡糸し、冷却固化後油剤を付与し、必要に応じて延伸・
熱処理・交絡処理等の加工を施した後に巻き取ればよ
い。また、ポリアミドには、二酸化チタン等の艶消し
剤、耐光性向上剤などの添加剤および/または顔料・染
料が配合されていてもよい。
【0010】本発明の一大特徴とする所は、中空および
/または異形のポリアミド繊維の製造に当り、口金形状
や高重合度のポリマーに頼ることなく、ポリマーの末端
カルボキシル基量に応じて上記の金属塩を配合したポリ
アミドを溶融紡糸することによって所望の目的を達成し
たことにある。このためには、ポリマーの末端カルボキ
シル基量(X)が高々60グラム当量/トンであること
と、そして、この末端カルボキシル基量(X)に応じ
て、金属塩の配合量(Y)(ポリマー100部に対する
配合量)を、Y≧0.00871X−0.13で規定さ
れる量とするものである。これら二つの要件の何れが欠
けても、中空率や異形度の向上は期待できず、本発明で
はこれら二つの要件が同時に満足されて初めて本発明の
目的が達成される。従って、本発明においては、末端カ
ルボキシル基量Y≧0.00871X−0.13の2要
件が臨界的であるが、それらの意義についてモデル実験
の結果を通して説明する。尚、末端カルボキシル基量が
60グラム当量/トン以下のポリアミドは、モノアミン
などの末端封鎖剤を用いることによって容易に得ること
ができる。
【0011】
【モデル実験1】本実験で使用したポリマーの特性を表
1に示す。末端アミノ基の量はm−クレゾールにポリマ
ーを溶解し、p−トルエンスルホン酸にて中和滴定した
値を、末端カルボキシル基の量はベンジルアルコールに
ポリマーを溶解し、水酸化ナトリウム溶液にて中和滴定
した値を示し、各々重合体100万グラム当りのグラム
当量の単位で表す。また、重合度は、m−クレゾールを
溶媒とし濃度0.4g/100mlの溶液について35
℃で測定した時の極限粘度で表している。(以下[η]
と略記する)
【0012】
【表1】
【0013】表1に示した各ポリマーに対して、ステア
リン酸マグネシウム(以下、St−Mgと略記)を0〜
1.0重量%含有せしめ溶融紡出した。紡糸は、紡糸温
度を250℃、紡糸速度を900m/分、延伸速度を3
000m/分、延伸倍率が3.25倍の条件でエクスト
ルーダーの溶融紡糸機を用い、スリット幅が0.12m
mの細孔を46個有する三角中空断面の紡糸口金を通し
て830デニール・46フィラメントの延伸糸を得た。
中空率は、中空糸の比重と中実糸の比重の比で表した。
【0014】表2にそれらの結果を示す。比較例はポリ
マータイプDについて、紡糸温度を240℃として紡糸
した結果である。
【0015】
【表2】
【0016】ここで、注目すべきことは、ポリマーのタ
イプにより中空率の増加の程度が異なっていることであ
り、このことは以下のように整理できる。
【0017】末端カルボキシル基の含有量が60グラ
ム当量/トンを越えるポリアミドにあっては、金属塩の
配合量に拘らず中空率は実質的に変化しない。
【0018】末端カルボキシル基の含有量が60グラ
ム当量/トン以下のポリアミドにあっては、St−Mg
の配合量の増加に伴って、中空率は大幅に増加し、特に
ポリマータイプDの場合、St−Mgの配合量が0.7
%になると中空率はブランクの場合に比べてほぼ倍増す
る。
【0019】また、中空率の増加の程度は、末端アミ
ノ基量と末端カルボキシル基量との比(末端アミノ基量
/末端カルボキシル基量)によってもことなり、この比
は少なくとも1、特に3.5以上であることが好まし
い。
【0020】そこで、上記の事実に基づいて(実験N
o.8〜25)、中空率の増加に必要なSt−Mgの配
合量を末端カルボキシル基量との関係で整理したのが図
1である。該表中の直線はY=0.00871X−0.
13で示される。従って、本発明においては、前記式で
示されるYの量以上で金属塩を用いれば良いことにな
る。ただし、その上限については格別の制限はないが、
一般には1.2%程度が適当である。
【0021】上記の結果は、異形断面糸の溶融紡糸につ
いても言える。
【0022】
【モデル実験2】表1に示したポリマーのうち、中空率
の挙動が大幅に異なるポリマータイプBおよびDにSt
−Mgを0〜2.0重量%含有せしめ溶融紡出した。紡
糸は、紡糸温度を250℃、紡糸速度を800m/分の
条件でスリット幅0.055mmの細孔を10個有する
三葉断面の紡糸口金を通して60デニール・10フィラ
メントの未延伸糸を得た。異形度は図2に示すように断
面における外接円と内接円の比で表している。表3にS
t−Mgの添加量に対する異形度の変化を、図1には異
形度の変化に必要な添加量を末端カルボキシル基量で整
理して破線で示す。
【0023】
【表3】 そしてこの破線は、Y=0.0075X−0.15で示
される。
【0024】図1から異形糸の製造の場合は、St−M
gの効果がより顕在化することが判る。
【0025】
【作用】本発明において、中空率および/または異形度
の向上のために用いる脂肪酸の金属塩は別の形でこれま
でも供されている。
【0026】例えば、特公昭48−28975号公報に
は、特定マグネシウム塩あるいはカルボン酸のマグネシ
ウム塩を含有せしめ紡糸する際、紡糸口金にポリアミド
が付着することにより生じる単糸切れを防止する作用効
果を発現することが開示されている。カルボン酸のマグ
ネシウム塩の一例としてステアリン酸マグネシウムが記
載されているものの、マグネシウム金属によるポリマー
の付着・劣化防止のみを作用効果としている。また、ポ
リマーについても、末端アミノ基量、末端カルボキシル
基量が各々66グラム当量/トン程度のものが示されて
いるに過ぎない。さらに、特開昭62−62911号公
報には、マグネシウム化合物(高級脂肪酸塩及び酸化物
として)を含有せしめ高速紡糸時の糸切れを防止する方
法が開示されている。この場合の作用効果としては、ナ
イロンの溶融粘度を若干低下させると共に粘度斑を減少
させることが教示されているのみである。また、特開昭
63−92717号公報には、ポリアミド原着リキッド
顔料に特定の顔料(イソインドリノン系顔料)とステア
リン酸金属塩を含有せしめることが開示されている。こ
の場合、イソインドリノン系顔料という顔料中にアミド
結合を有し、ポリアミドとアミド交換反応が生じ架橋生
成、粘度上昇、製糸性不良となるのを防止するためあく
までも化学反応防止手段としてステアリン酸金属塩を用
いている。この様に、従来技術では、カルボン酸のマ
グネシウム塩の作用効果として、紡糸口金にポリアミド
が付着したり、染み出したりするのを防ぐことが示され
ているのみである;単一ポリマーの溶融粘度の若干の
低下と、粘度斑の減少による高速紡糸時という限定条件
下での製糸性向上効果を謳っているに過ぎない;イソ
インドリノン系顔料という顔料中にアミド結合を有し、
ポリアミドとアミド交換反応が生じて製糸性不良となる
のを防止するための化学反応防止手段としてステアリン
酸金属塩を用いているのみである。
【0027】つまり、これらの公知技術を通じて中空率
および/または異形度の向上のために、末端カルボキシ
ル基量が60グラム当量/トンのポリマーを用い、この
末端カルボキシル基量に応じて金属塩を配合するといっ
た技術思想は何等察知できない。
【0028】これに対し、本発明では、内部滑性効果・
外部滑性効果という概念を導入し、それらの作用効果を
ポリマーと添加剤との相溶性の関係と結び付けて詳細に
検討した結果、ポリマーの極性(末端基の比率)の違い
で作用効果が異なることを見いだした。
【0029】つまり、各種タイプのポリマーに金属塩を
添加すると、ポリアミドの末端カルボキシル基の量が少
ないポリマーの方が、外部滑性効果の代表特性である吐
出時の流量変化が大きくなることを見いだした。
【0030】一方、内部滑性効果の代表特性である溶融
粘度の低下は、末端カルボキシル基の量が多いポリマー
の方が大きいことを見いだした。即ち、ポリアミドの末
端基の数により金属塩の滑性効果である内部滑性効果と
外部滑性効果のバランスが変化する、更に詳しくは、金
属塩のポリマー中での分布状態(相互作用)が異なるこ
とを見いだした。そして、外部滑性効果が大きいポリマ
ーの場合、金属塩がポリマーの界面に分布することによ
り、その作用機構の詳細はなお不明であるが、吐出時に
金属塩がポリマーを包み込み見掛けの表面張力が上昇
し、異形性・中空形成性が向上するものと推察される。
そして、この外部滑性効果を表す該剤の分布状態は、該
剤とポリマーの相溶性により異なることも判明した。更
に詳しくは、この効果はポリアミドの末端基の量・割合
により異なり、末端カルボキシル基の量が少ない方がポ
リマーと金属との界面に分布し易いと言うことである。
これは、金属塩がカルボキシル末端基に配位しやすい性
質があるためと考えられる。このように、本発明は、ポ
リアミドの末端基と金属塩の化学構造的特性により、ポ
リマーの表面張力をコントロールすることにあり、それ
により異形性・中空形成性を向上させることに成功した
ものである。
【0031】
【効果】本発明によれば、口金形状の工夫と言った不確
定要素の大きい手段、あるいは、予めポリマーの重合度
を上げるといった操業上余分の工程を必要とする手段に
頼ることなく、簡便な手段で所望の中空率、異形度を得
ることができ、その工業的意義は多大のものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭素数が10以上の飽和脂肪酸の金属塩の配合
量とポリアミドの末端カルボキシル基量との関係を示す
グラフ。
【図2】異形度についての説明図。
【符号の説明】
Y 上記金属塩の配合量 X ポリアミド中の末端カルボキシル基量(グラム当量
/トン) R 異形糸の外接円の直径 r 異形糸の内接円の直径
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/90 301 D01F 6/60 321 D01F 6/60 341

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素数が少なくとも10である飽和脂肪酸
    の金属塩が配合されたポリアミド中空および/または異
    形繊維において、該繊維を構成するポリアミドの末端カ
    ルボキシル基量(X)が60グラム当量/トン以下であ
    り、且つ該飽和脂肪酸の金属塩が該末端カルボキシル基
    量(X)の量に応じてy≧0.00871X−0.13
    (ここで、Yは飽和脂肪酸の金属塩の配合量)を満足す
    る量で配合されていることを特徴とするポリアミド中空
    および/または異形繊維。
  2. 【請求項2】ポリアミドの末端アミノ基量と末端カルボ
    キシル基量との比(末端アミノ基量/末端カルボキシル
    基量)が1以上である請求項1記載のポリアミド中空お
    よび/または異形繊維。
  3. 【請求項3】ポリアミドの末端アミノ基量と末端カルボ
    キシル基量との比(末端アミノ基量/末端カルボキシル
    基量)が3以上である請求項1または2記載のポリアミ
    ド中空および/または異形繊維。
  4. 【請求項4】炭素数が少なくとも10である飽和脂肪酸
    の金属塩が、ステアリン酸のマグネシウム塩である請求
    項1記載のポリアミド中空および/または異形繊維。
  5. 【請求項5】ポリアミドがポリカプロアミドである請求
    項1記載のポリアミド中空および/または異形繊維。
  6. 【請求項6】ポリアミド中空および/または異形繊維を
    溶融紡糸するに際して、該ポリアミドとして末端カルボ
    キシル基量(X)が60グラム当量/トン以下のものを
    用い、該末端カルボキシル基量(X)の量に応じて、炭
    素数が少なくとも10である該飽和脂肪酸の金属塩をポ
    リアミドにy≧0.00871、−0.13(ここで、
    Yは飽和脂肪酸の金属塩の配合量)を満足する量で配合
    してから溶融紡糸することを特徴とするポリアミド中空
    および/または異形繊維の製造法。
  7. 【請求項7】ポリアミドの末端アミノ基量と末端カルボ
    キシル基量との比(末端アミノ基量/末端カルボキシル
    基量)が1以上である請求項6記載のポリアミド中空お
    よび/または異形繊維の製造法。
  8. 【請求項8】ポリアミドの末端アミノ基量と末端カルボ
    キシル基量との比(末端アミノ基量/末端カルボキシル
    基量)が3以上である請求項6または7記載のポリアミ
    ド中空および/または異形繊維の製造法。
  9. 【請求項9】炭素数が少なくとも10である飽和脂肪酸
    の金属塩が、ステアリン酸のマグネシウム塩である請求
    項1記載のポリアミド中空および/または異形繊維であ
    る請求項6記載のポリアミド中空および/または異形繊
    維の製造法。
  10. 【請求項10】ポリアミドがポリカプロアミドである請
    求項6記載のポリアミド中空および/または異形繊維の
    製造法。
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