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JP2865736B2 - 高強度ポリビニルアルコール繊維の製造法 - Google Patents
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JP2865736B2 - 高強度ポリビニルアルコール繊維の製造法 - Google Patents

高強度ポリビニルアルコール繊維の製造法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高強度ポリビニルアルコール(以下PVAと
略記する)繊維の製造法に関し、さらに詳しくは高強度
PVA繊維を長期的に安定に製造する方法に関する。
(従来の技術) 高強度PVA繊維を製造する方法として、特開昭59−100
710号公報や特開昭61−108711号公報などが提案されて
いる。これらは紡糸原液を口金から空気などの不活性気
体層を通過させて凝固浴に押し出す乾湿式紡糸により製
造するものである。乾湿式紡糸では口金より吐出されて
も直ちに固化しないためフイラメントが硬着し易く、紡
糸が不安定であるという問題がある。
また特公昭43−16675号公報にはジメチルスルホキシ
ド(以下DMSOと略記する)を溶媒として用い、メタノー
ルなどの凝固性有機溶媒を含有する凝固浴に紡糸するこ
とが記載されている。かかる方法で得られた繊維の強度
は10g/dと低い。
さらに特開昭53−99315号公報では、溶媒としてDMSO
と水の特定組成範囲のものを用いた紡糸原液を特定組成
範囲のDMSOとメタノールを含有する凝固浴中に湿式紡糸
することが提案されている。しかし紡糸原液の必須成分
である水が、凝固浴の必須成分ではなく、長期的に紡糸
すると凝固浴が三成分となり、濃度管理が極めて困難と
なり、長期的に安定に斑なく紡糸することができる。
(発明が解決しようとする課題) 従って本発明は高強度PVA繊維を硬着なく長期的に安
定で品質に斑なく製造する方法を提供するものである。
(課題を解決するための手段) すなわち本発明は、「重合度1500以上のPVAをDMSOを
主体とする溶媒に溶解して得た、PVA濃度が8重量%以
上の紡糸原液を、凝固性有機溶媒を主体とする凝固浴中
に湿式紡糸するに際して、原液温度をTd、凝固浴温度を
Tbとして次式を満足するよう紡糸することを特徴とする
高強度PVA繊維の製造法 |Td−Tb|≦30℃ −30℃≦Tb≦15℃ 」 に関するものである。
本発明においてPVAは、30℃の水溶液の粘度より求め
た平均重合度が1500以上のものを用いる。平均重合度が
1500より小さくては高強度繊維が得られない。好ましく
は平均重合度は2000以上、さらに好ましくは3000以上で
ある。20,000以上の重合度のPVAは現状では高価である
ため本発明で最も好適に使用しうるPVAの平均重合度は
3,000〜20,000である。PVAのケン化度の限定はないが、
99モル%以上が好ましい。PVAはホモポリマーが好まし
いが、強度などの性能に悪影響を及ぼさない範囲でエチ
レンなどが共重合されていてもかまわない。
本発明においては原液溶媒としてDMSOを主体とした溶
媒を用いる。本発明は後述の如く低温凝固浴中に湿式紡
糸することが重要なポイントであり、溶媒低温でもPVA
に対して充分な溶解性を有していなければならない。こ
の点でDMSOが最適である。DMSO以外に30%以下の他の溶
媒、例えば水、エチレングリコール、グリセリン、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及び凝固性有
機溶媒が原液溶媒として含有されていてもよい。特に低
温で紡糸する場合、後述の如く原液の凍結を防止するた
め、積極的にDMSOに他の溶媒を少量混合すると好ましい
場合がある。紡糸原液中のPVA濃度は、後述する実施例
から明らかなように8重量%以上であることが紡糸原液
の凍結又はそれに近い状態が生じることを防止する上で
必要である。次に本発明においては凝固浴として凝固性
有機溶媒を主体とした液体を用いる。本発明にいう凝固
性有機溶媒とはPVAに対して凝固性を有する有機溶媒
で、例えばメタノール、エタノール、アセトン、ベンゼ
ンなどが好ましい。なかでもメタノール、エタノール、
アセトンがさらに好ましく、特にメタノールが最適であ
る。これらの凝固性有機溶媒に、50%以下の他の薬剤、
例えば原液溶媒のDMSOが混合されていてもよい。
凝固浴温度Tbを−30℃以上15℃以下とすることが本発
明のポイントの1つである。PVAをDMSO主体の溶媒に溶
解した紡糸原液を、メタノールなどの凝固浴中に湿式紡
糸する方法として、前記特公昭43−16675号公報や特開
昭63−99315号公報が知られているが、これらには凝固
浴温度や原液温度についてほとんど記載がなく、重要性
が認識されていない。ただ特開昭63−99315号公報の実
施例に原液温度として70℃及び80℃の記載があるのみで
ある。一方本発明者らは原液溶媒と凝固浴のいづれもが
有機溶媒の系を湿式紡糸する際、凝固浴温度が極めて重
要な要因であり低温であると高強度となることを見出し
た。凝固浴温度が低くなると何故に得られる繊維が高強
度となるかは不明であるが、低温で凝固すると、まず急
速に固化し次いでゆっくりと脱溶媒と凝固浴の浸透が行
なわれるため、繊維の断面方向に対して均一性が高いこ
とが起因していると推定される。凝固浴温度Tbが15℃を
越えると繊維断面が均一でなくなり、高強度とならな
い。Tbが10℃以下であることが好ましく、5℃以下であ
るとさらに好ましい。Tbが−30℃より低い温度で紡糸し
ても繊維の高強度化にはつながらず、紡糸性も低下する
ので不都合である。従ってTbが−10〜5℃が最適であ
る。
さらに本発明においては原液温度Tdと凝固浴温度Tbの
差を30℃以下とすることが発明のポイントの1つであ
る。本発明にいう原液温度Tdはノズル孔より直前1cmの
原液配管の中心部で測定した値をいう。|Td−Tb|が30℃
を越えると毛羽が出易く高強度PVA繊維を安定に製造す
ることができない。この原因を種々検討した所、デニー
ルの斑が大きいためと推定された。湿式紡糸ではノズル
が凝固浴に必ず浸漬されるため、ノズルより吐出される
直前の原液は凝固浴温度の影響を大きく受けることは当
然予想されることではあるが、PVAの通常の紡糸では原
液と凝固浴の温度差は50〜70℃が標準的である。本発明
は有機溶媒系原液を有機溶媒系凝固浴へ湿式紡糸する場
合には、意外にも|Td−Tb|を小さくせねばならないこと
を見出した。
従って原液側と凝固浴側の熱移動を防止することが重
要となる。このためノズル及びノズル近辺の凝固浴と接
触する配管や部品は断熱性の良好な発泡材料で覆った
り、さらに配管や部品自体を金属より断熱性の良好なプ
ラスチック材料(テフロン、ポリプロピレンなど)とす
ることが好ましい。このような工夫をすることにより、
同じTdでも原液保温する循環温水の温度を下げることが
可能となり、ひいては原液温度の斑を小さくすることが
可能となる。|Td−Tb|が20℃以下であることが好まし
く、10℃以下であるとさらに好ましい。上記の如くTbは
−30℃以上15℃以下で、|Td−Tb|が30℃以下であるか
ら、Tdは45℃以下でなければならない。従って本発明で
は、特開昭63−99315号公報に記載の70〜80℃の原液温
度よりはるかに低温で紡糸する必要がある。Tdはさらに
低温が好ましい。しかしながら原液溶媒のDMSOは氷結点
は18℃と比較的高く、紡糸を10℃以下にすると凍結し、
紡糸が不可能となる。原液はノズルより吐出される直前
まで凍結しない条件を選定する必要がある。このため前
述のノズル、配管及び部品の断熱性の向上をはかること
が好ましいが、原液の凍結温度を下げることが可能とな
れば有効である。具体的にはDMSO以外の薬剤を溶解して
氷点降下をさせる。氷点降下剤としては水、エチレング
リコール、グリセリン、ジメチルホルムアミドなども有
効に用いうるが、凝固浴として使用している凝固性有機
溶媒を用いることが、系の複雑さを避けるためにはさら
に有効である。凝固性有機溶媒の原液への添加量はDMSO
に対して0.1%〜20%が適当である。0.1%より少ないと
氷点降下の効果が小さく、20%を越えると原液の曳糸性
が低下するので好ましくない。より好ましくは0.5%〜1
2%、さらに好ましくは1%〜8%である。凝固性有機
溶媒の原液への添加方法はメタノールの如く低沸点の溶
媒では原液溶媒を80℃以上で行なう場合蒸散する可能性
がある。そこでDMSO単独で一旦PVAを溶解後、メタノー
ルの沸点以下まで降温し、原液を強力攪拌しながら、所
定量のメタノールを徐々に添加することが好ましい場合
がある。
以上の如く、原液溶媒がDMSO主体である紡糸原液を所
定温度とし、凝固性有機溶媒主体の凝固浴を所定温度と
してノズルを通して湿式紡糸する。凝固浴は常法の如
く、凝固性有機溶媒を主体とする浴に浸漬して、溶媒を
抽出洗浄し、乾燥する。必要に応じてウエツト工程でロ
ーラー延伸や湿熱延伸を施こしてもよい。さらに150〜2
50℃で乾熱延伸して全延伸倍率を15倍以上とし、さらに
必要に応じて熱処理や熱収縮を施こして、高強度PVA繊
維を得る。
(発明の効果) 以上より、本発明は、原液溶媒がDMSO主体であるPVA
の紡糸原液を凝固性有機溶媒中に湿式紡糸する際、凝固
浴温度を低温とし、かつ原液と凝固浴の温度差を小さく
保つことにより、高強度のPVA繊維を工程的にも品質的
にも極めて安定して製造する方法を提供するものであ
る。得られた高強度PVA繊維はパラ系アミド繊維など他
の高強度繊維よりコストパーフオマンスに優れており、
自動車用タイヤやホースなどのゴム資材分野やFRCおよ
びFRPなどの補強分野などの産業資材用途などに広くか
つ有効に用いることができる。
以下実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は
これら実施例に限定されるものではない。
実施例1 平均重合度3500のPVAを、PVA濃度が10%となるよう常
温(25℃)のDMSOに投入し、攪拌してPVAを充分に濡ら
してから85℃に昇温してさらに5時間攪拌を続行し、完
全溶解させ、減圧脱泡して紡糸原液を得た。この原液
を、ノズル直前の原液温度Tdが25℃となるよう原液保温
用循環温水の温度を調整し、孔数300、孔径0.11mmφ、
頭径32mmφの口金を通して、8℃のメタノール/DMSOが9
5/5の凝固浴中に湿式紡糸した。この際原液温度と凝固
浴温度の差は17℃であった。次いで2倍のローラー延伸
を行ない、20℃メタノール/DMSO=99/1の第1抽出浴を
通過させ、さらに1.5倍のローラー延伸後25℃の殆んど
メタノールのみより成る第2抽出浴を通過させ、さらに
1.33倍のローラー延伸後30℃のメタノールよりなる第3
抽出浴を通過させ、50℃で乾燥し、乾燥原糸を捲き取っ
た。次いで225℃の熱風中で乾熱延伸を行ない、全延伸
倍率を21倍とした。全工程を通じ、紡糸延伸調子は良好
で安定して製造することが出来た。
得られたPVA繊維は硬着や毛羽はなく、強度が19.5g/d
と高性能であった。
実施例2、比較例1〜5 平均重合度4000のPVAをPVA濃度が9%となるようDMSO
に溶解、脱泡して紡糸原液を得た。この原液を実施例1
と同様の口金を通して、メタノール/DMSO=85/15の凝固
浴中に湿式紡糸した。この際、原液温度と凝固浴温度を
表−1に示す如く変更した。次いで実施例1と同様に溶
媒の抽出とローラー延伸を行ない、乾燥して、引き続き
230℃で乾熱延伸を行った。各々の条件で最大延伸倍率
の0.9倍でサンプリングし、その性能を表−1に示し
た。
これより、Tbが15℃以下かつ|Td−Tb|が30℃以下が高
強度繊維を安定に製造しうることがわかる。
実施例3 平均重合度4800のPVAをDMSOに90℃で完全溶解し、得
られた溶液を50℃に冷却し、次いで攪拌しながらDMSO/
メタノール=50/50を原液に徐々に滴下し、滴下終了後5
0℃で5時間攪拌し脱泡して、最終組成が、PVA8%/溶
液、DMSO/メタノール=100/5のPVA−DMSO−メタノール
よりなる紡糸原液を得た。この原液を、ノズル直前の原
液温度Tdが15℃となるよう原液保温用循環温水の温度を
調整し、孔数1000、孔径0.08mmφ、頭径32mmφの口金を
通して、Tb−3℃のメタノール/DMSO=90/10の凝固浴中
に湿式紡糸した。本実施例では|Td−Tb|は13℃であっ
た。なお原液と凝固浴の両方が接する原液配管及び各種
の部品は断熱性のよいポリプロピレン製とし、かつその
表面を厚さ2mmの軟質発泡ポリエチレンシートを捲きつ
けた。さらにノズルの孔のない部分も発泡ポリエチレン
シートを貼り付け、原液と凝固浴の熱移動を極力防止し
た。次いで実施例1と同様に溶媒の抽出とローラー延伸
を行ない、乾燥し、引き続き228℃で乾熱延伸を行な
い、全延伸倍率を20.5倍とした。2日間連続紡糸した
が、全工程を通じて調子は良好でノズル切れや断糸など
のトラブルは皆無であった。得られた繊維には硬着、毛
羽、着色はなく、dr変動率は3%と小さく、強度が22g/
dと高かった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合度1500以上のポリビニルアルコールを
    ジメチルスルホキシドを主体とする溶媒に溶解して得
    た、ポリビニルアルコール濃度が8重量%以上の紡糸原
    液を、凝固性有機溶媒を主体とする凝固浴中に湿式紡糸
    するに際して、原液温度をTd、凝固浴温度をTbとして次
    式を満足するよう紡糸することを特徴とする高強度ポリ
    ビニルアルコール繊維の製造法。 −30℃≦Tb≦15℃ |Td−Tb|≦25℃
  2. 【請求項2】原液溶媒に、凝固浴の有機溶媒を0.1〜20
    重量%添加することを特徴とする請求項1記載の高強度
    ポリビニルアルコール繊維の製造法。
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