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JP2867568B2 - 機能性多層薄膜およびその製造方法 - Google Patents
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JP2867568B2 - 機能性多層薄膜およびその製造方法 - Google Patents

機能性多層薄膜およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、機能性多層薄膜に関し、特に透明導電膜
とこの透明導電膜を保護する絶縁保護膜とを備える機能
性多層薄膜およびその製造方法に係る。
〔従来の技術〕
一般に、機能性多層薄膜の一つである表示素子用透明
電極や通電融氷ガラス等は、高い透光性と同時に低抵抗
が要求されている。
そこで従来、例えば表示素子用透明電極においては、
薄板状のガラス基板上に、電極としての透明導電膜を積
層し、その上から透明の絶縁保護膜で覆って構成してい
る。
この場合、透明導電膜としては、比較的低い抵抗値が
得られるITOが良く用いられている。なお、このITOはIn
2O3に導電性を持たせるために5〜10wt%のSnO2を添加
したものであり、その結晶は主成分であるIn2O3と同一
とみなされている。
また、絶縁保護膜としては、高透光性、低屈曲率、安
価といった点から、SiO2が一般的に用いられている。
そして、これらの両薄膜は、スパッタリングあるいは
蒸着等のように、真空中にて薄膜を形成する一般的手法
を用いて、ガラス基板に順次積層されている。
なお、このような機能性多層薄膜の従来技術として、
例えば特開昭63−57757号公開公報(特願昭61−202189
号)がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、このような機能性多層薄膜では、透明導電膜
のITO(側ち、In2O3)と絶縁保護膜のSiO2は、表1に示
すように、結晶形と格子定数の両方とも大きく異なるた
め、両者を薄膜として積層した場合、界面のなじみが悪
く、密着性が劣っていた。
そのため、両薄膜が界面で容易に剥離してしまうため
に耐摩耗性に欠けていた。
そこでこの発明の課題は、両薄膜のなじみを良好にし
て、両薄膜の密着性を向上するようにしたものである。
〔課題を解決するための手段〕
そのためこの発明の機能性多層薄膜は、ガラス基板上
に積層された酸化錫を含有するITO薄膜からなる透明導
電膜とこの透明導電膜上に積層されてその表面を覆う酸
化珪素薄膜からなる絶縁保護膜とにより構成される機能
性多層薄膜において、前記ITO薄膜表面が、酸化錫の添
加量がその表面側に向かって徐々に増加する組成変化層
とされ、さらに、前記透明導電膜と絶縁保護膜との境界
部に、前記ITO薄膜と酸化珪素薄膜との拡散層が備えら
れていることを特徴とするものである。
また、この発明の機能性多層薄膜の製造方法は、ガラ
ス基板上に、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッ
タリング等の物理的薄膜形成方法により、透明導電膜と
この透明導電膜を覆う絶縁保護膜を積層する機能性多層
薄膜の製造方法において、 ガラス基板表面上に、前記物理的被膜形成方法により
ITO薄膜を積層するとともに、このITO薄膜の表面に酸化
錫添加量を徐々に増加させて組成変化層を連続して積層
して透明導電膜とし、さらに、この透明電極膜の上に酸
化珪素薄膜を積層して絶縁保護膜として多層膜を形成し
た後、加熱処理を施して前記透明導電膜と絶縁保護膜の
境界部に拡散層を形成するようにしたものである。
〔作用〕
上述の手段によれば、透明導電膜であるITO薄膜の表
面を、酸化錫をその表面側に向かって徐々に増加させた
組成変化層としたので、絶縁保護膜である酸化珪素薄膜
とのなじみがよくなり、さらに、透明導電膜と絶縁保護
膜の境界部に加熱処理により、ITO薄膜と酸化珪素薄膜
の拡散層を形成しているので、両薄膜の境界部の密着性
が向上する。
〔実施例〕
以下、添付図面に基づいてこの発明の実施例を説明す
る。
第1図はこの発明の一実施例を示す機能性多層薄膜の
断面図である。
そして、第1図に示すように、機能性多層薄膜1は、
ガラス基板2の上に酸化インジウム(In2O3)を主成分
とし酸化錫(SnO2)を5〜10wt%添加したITO薄膜31
と、このITO薄膜31の表面を、酸化錫の添加量がその表
面側に向かって徐々に増加し最終的に酸化錫100wt%と
なるようにした組成変化層32とからなる透明導電膜3が
積層され、この透明導電膜3の上に、この透明導電膜3
を覆う酸化珪素(SiO2)を主成分とする絶縁保護膜4が
積層され、さらに、この透明導電膜3の組成変化層32と
絶縁保護膜4との境界部に、ITO薄膜31と酸化珪素薄膜
の拡散層5を備えて構成されている。
次に、このように構成される機能性多層薄膜1を製造
する方法について説明する。
まず、多元スパッタリング装置により、ターゲットに
In2O3とSnO2を用い、ガラス基板2を300℃、Ar雰囲気
中、真空度=5.0×10-1Paの条件下で、In2O3ターゲット
には高周波電力500W、SnO2ターゲットには高周波電力50
Wを印加した。これにより、ガラス基板2上に、約5wt%
のSnO2を添加したIn2O3薄膜(ITO薄膜)31を形成した。
さらに、このITO薄膜31を300nm形成した後、連続的
に、In2O3ターゲットに印加する高周波電力を500Wから0
Wに徐々に変化させ、かつ、SnO2ターゲットに印加する
高周波電力を50Wから1000Wに徐々に変化させることによ
り、SnO2の添加量を徐々に増加させて最終的にSnO2100w
t%となる組成変化層32を形成し、透明導電膜3を形成
した。なお、SnO2ターゲットへの印加高周波電力が最終
的に1000Wと、In2O3ターゲットへの印加高周波電力500W
より大きくなるのは、SnO2のスパッタ率がIn2O3のスパ
ッタ率の約半分と低いためである。
そして、この組成変化層32上に、ターゲットにSiO2
用い、ガラス基板2を300℃、Ar雰囲気中、真空度=5.0
×10-1Pa、印加高周波電力500Wの条件下で、スパッタリ
ングしてSiO2の絶縁保護膜4を形成した。なお、この絶
縁保護膜4の膜厚は180nmであった。
さらにその後、O2雰囲気中、真空度=7.0×10-2Pa、
雰囲気温度500℃の範囲の条件下で、1時間加熱処理を
施すことにより、前記透明導電膜3の組成変化層32と絶
縁保護膜4の境界部分に拡散層5を形成した。
比較例として、前記加熱処理の工程を省いたこと以外
は前記実施例と同じ工程および同じスパッタリング条件
にて積層した機能性多層薄膜(以下、比較例1と称
す)、および、ITO薄膜上に単にSiO2を積層し、加熱処
理を行わない機能性多層薄膜(以下、比較例2と称す)
を製造した。次に、この実施例および比較例1、2のテ
ーバ摩耗試験を行った結果を、第2図乃至第4図を参照
して説明する。なお、このテーバ摩耗試験においては、
摩耗輪はCS−10Fを使用し、荷重は500gとし、1000回転
まで行った。
第2図はこの実施例の透明導電膜3の組成変化層32の
厚さを変えた場合のテーバ摩耗試験後のヘーズ値の変化
特性図であり、組成変化層32の厚さを横軸としたヘーズ
値の変化を示している。
なお、このヘーズ値は耐摩耗性を示す指標となるもの
で、摩耗による傷付きが少ない程小さな値となる。
そして、第2図から分かるように、組成変化層32の厚
みの増加に伴い、ヘーズ値は低下し、厚みが20nm以上で
は一定となった。このことから組成変化層32の厚さは20
nm以上が好ましい。ただし、この厚みでもヘーズ値は目
標の2%以下にならず耐摩耗性は不足している。
第3図はこの実施例の機能性多層薄膜の加熱処理条件
を変えた場合のテーバ摩耗試験後のベース値の変化特性
図であり、加熱処理工程における雰囲気温度を400℃、5
00℃、600℃、700℃とし、加熱時間を変えてこの加熱時
間を横軸としたヘーズ値の変化を示している。
この第3図から分かるように、加熱時間を雰囲気温度
400℃の場合で約80分、同700℃の場合で約30分とするこ
とで、それぞれヘーズ値が目標の2%以下になり、充分
な耐摩耗性を確保できることがわかる。これは加熱処理
により、透明導電膜3と絶縁保護膜4の界面近傍に拡散
層5が形成され、剥離が防止されたことによるものであ
る。
なお、雰囲気温度が300℃以下となると、拡散層5が
形成されにくくなり、また、800℃以上になると、ガラ
ス基板2が溶融損傷し易くなるため、400℃〜700℃の範
囲で雰囲気温度を設定するのが好ましい。
第4図はテーバ摩耗回数の増加に応じたこの実施例の
機能性多層薄膜と比較例1および比較例2とのヘーズ値
の変化特性図である。テーバ摩耗回数を横軸としたヘー
ズ値の変化を示している。
この第4図から分かるように、この実施例の多層薄膜
は、テーバ摩耗回数1000回転後においても、ヘーズ値が
2%以下であり、比較例2のヘーズ値がテーバ摩耗回数
1000回転で11を越えているのと較べても、この実施例の
機能性多層薄膜の耐摩耗性が大幅に向上していることが
分かる。なお、比較例1にあっては、比較例2と比べて
耐摩耗性が改善されてはいるが、まだ耐摩耗性は不充分
である。
この実施例の場合、ITO薄膜31および組成変化層32で
形成された透明導電膜3のシート抵抗値は、約10Ω/□
であり、高い透光性と同時に低抵抗が要求される表示素
子用透明電極等に充分応用できるものである。
なお以上の実施例では、酸化錫が最終的に100wt%と
なる組成変化層を例に挙げて説明したが、これに限定さ
れることなく、絶縁保護膜を形成する酸化珪素とのなじ
みが良好となる割合であればよい。
また、機能性多層薄膜をスパッタリングにより製造す
る方法を例に挙げて説明したが、これに限定されること
なく、イオンプレーティング等他の物理的薄膜形成方法
により製造してもよい。
〔発明の効果〕
この発明は上述のように、透明導電膜であるITO薄膜
の表面を、酸化錫をその表面に向かって徐々に増加させ
た組成変化層とし、この上に酸化珪素薄膜で形成した絶
縁保護膜を積層したので、この両薄膜の境界部は、酸化
錫と酸化珪素という結晶形が同じで格子定数の近い材料
の組合わせとなるため、透明導電膜と絶縁保護膜のなじ
みを良くすることができる。
さらに、加熱処理により透明導電膜と絶縁保護膜の境
界部に、ITO薄膜と酸化珪素薄膜の拡散層を形成させた
ので、両薄膜の密着力を大幅に向上することができるた
め、薄膜が剥離するのを防止することができ、耐摩耗性
を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこ発明の一実施例を示す機能性多層薄膜の断面
図、第2図は第1図における透明導電膜の組成変化層の
厚さを変えた場合のテーバ摩耗試験後のヘーズ値の変化
特性図、第3図は加熱処理条件を変えた場合の第1図に
おける機能性多層薄膜のテーバ摩耗試験後のヘーズ値の
変化特性図、第4図はテーバ摩耗回数の増加に応じた第
1図における機能性多層薄膜と比較例1および比較例2
のヘーズ値の変化特性図である。 1……機能性多層薄膜 3……透明導電膜 32……組成変化層 4……絶縁保護膜 5……拡散層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C03C 15/00 - 23/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス基板上に積層された酸化錫を含有す
    るITO薄膜からなる透明導電膜とこの透明導電膜上に積
    層されてその表面を覆う酸化珪素薄膜からなる絶縁保護
    膜とにより構成される機能性多層薄膜において、 前記ITO薄膜表面が、酸化錫の添加量がその表面側に向
    かって徐々に増加する組成変化層とされ、さらに、前記
    透明導電膜と絶縁保護膜との境界部に、前記ITO薄膜と
    酸化珪素薄膜との拡散層が備えられていることを特徴と
    する機能性多層薄膜。
  2. 【請求項2】ガラス基板上に、真空蒸着、イオンプレー
    ティング、スパッタリング等の物理的薄膜形成方法によ
    り、透明導電膜とこの透明導電膜を覆う絶縁保護膜を積
    層する機能性多層薄膜の製造方法において、 ガラス基板表面上に、前記物理的被膜形成方法によりIT
    O薄膜を積層するとともに、このITO薄膜の表面に酸化錫
    添加量を徐々に増加させて組成変化層を連続して積層し
    て透明導電膜とし、さらに、この透明電極膜の上に酸化
    珪素薄膜を積層して絶縁保護膜として多層膜を形成した
    後、加熱処理を施して前記透明導電膜と絶縁保護膜との
    境界部に拡散層を形成するようにしたことを特徴とする
    機能性多層薄膜の製造方法。
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