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JP2882364B2 - 雑音消去方法及び雑音消去装置 - Google Patents
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JP2882364B2 - 雑音消去方法及び雑音消去装置 - Google Patents

雑音消去方法及び雑音消去装置

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JP2882364B2
JP2882364B2 JP8153816A JP15381696A JP2882364B2 JP 2882364 B2 JP2882364 B2 JP 2882364B2 JP 8153816 A JP8153816 A JP 8153816A JP 15381696 A JP15381696 A JP 15381696A JP 2882364 B2 JP2882364 B2 JP 2882364B2
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    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
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    • H03H2021/007Computation saving measures; Accelerating measures
    • H03H2021/0076Measures relating to the convergence time
    • H03H2021/0078Measures relating to the convergence time varying the step size

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  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Noise Elimination (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は雑音消去方法及び雑
音消去装置に係り、特にマイクロフォンやハンドセット
などから入力された音声信号に混入した背景雑音信号を
適応フィルタを用いて消去する雑音消去方法及び雑音消
去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロフォンやハンドセットなどから
入力された音声信号に混入した背景雑音信号は、情報圧
縮度の高い狭帯域音声符号化装置や音声認識装置等にお
いては大きな問題となる。このような音響的に重畳した
雑音成分の消去を目的とした雑音消去装置として、適応
フィルタを用いた2入力型雑音消去装置が、1975年
発行の刊行物「プロシーディングズ・オブ・アイ・イー
・イー・イー」の63巻12号の1692頁〜1716
頁に記載されている(B.Widrow et.al.,"Adaptive Nois
e Cancelling:Principles and Applications",PROCEEDI
GS OF IEEE,VOL.63,NO.12,1975,pp.1692-1716;以下、
文献1という)。
【0003】この2入力型雑音消去装置は、参照入力端
子に入力された雑音信号が音声入力端子に到達するまで
に通る経路(ノイズパス)のインパルス応答を近似する
適応フィルタを用いて、音声入力端子に混入する雑音信
号成分に対応した擬似雑音信号を生成し、音声入力端子
に入力された受信信号(音声信号と雑音信号の混在信
号)から擬似雑音信号信号を差し引くことによって、雑
音信号を抑圧するように動作する。
【0004】このとき、適応フィルタのフィルタ係数
は、受信信号(音声信号と雑音信号の混在信号)から擬
似雑音信号を差し引いた誤差信号と参照入力端子にて得
られる参照信号との相関をとることにより修正される。
このような適応フィルタの係数修正、すなわち、収束ア
ルゴリズムの代表的なものとして文献1に記載されてい
る「エル・エム・エス・アルゴリズム(LMS ALGORITH
M)や「アイ・イー・イー・イー・トランザクションズ
・オン・オートマチック・コントロール、12巻、3
号、1967年、282−287頁(IEEE TRANSACTION
S ON AUTOMATIC CONTROL,VOL.12,No.3,1967,pp.282-28
7)」(以下、文献2という)に記載されている「ラー
ニング・アイデンティフィケーション・メソッド(LEAR
NING IDENTIFICATION METHOD;LIM)」が知られてい
る。
【0005】図3は従来の雑音消去装置の一例のブロッ
ク図を示す。話者の口元に置かれた例えばマイクロフォ
ンにより音響−電気変換されて音声入力端子1に入力さ
れた音声信号には背景雑音が混入している。一方、上記
の話者よりも離れた位置に置かれたマイクロフォンによ
り音響−電気変換された信号は実質的に上記の音声入力
端子1に混入する背景雑音信号に相当し、この雑音信号
は参照入力端子2に入力される。
【0006】音声入力端子1に入力された音声信号と背
景雑音信号とが混在した信号(これを受信信号というも
のとする)は、遅延回路3に供給される。遅延回路3は
入力された受信信号に対してΔt1の遅延量(遅延時
間)を付与して減算器5に供給する。この遅延回路3
は、因果律を満足させるために挿入されるものであり、
その遅延量Δt1は、通常、適応フィルタ4のタップ数
の半分程度の遅延量に設定される。一方、参照入力端子
2に入力された雑音信号は適応フィルタ4に参照雑音信
号として供給され、ここでそのフィルタリング動作によ
り擬似雑音信号として生成された後、減算器5に供給さ
れる。
【0007】減算器5は、遅延回路3により遅延された
受信信号から適応フィルタ4によって生成された擬似雑
音信号を差し引くことにより、受信信号中の背景雑音信
号成分を消去し、消去後の受信信号を出力端子6へ出力
すると共に、適応フィルタ4にはその消去後の受信信号
を誤差信号として供給する。
【0008】適応フィルタ4は、参照入力端子2より供
給された参照雑音信号と、減算器5より供給された誤差
信号と、係数更新のために設定されたステップサイズα
に基づいて、フィルタ係数の更新を逐次行う。フィルタ
係数の更新アルゴリズムとしては、文献1に記載された
「LMSアルゴリズム」や文献2に記載された「LI
M」が用いられる。
【0009】いま、音声入力端子1より入力される受信
信号のうち、音声信号成分をs(k)(ただし、kは時
刻を表す指標とする)、消去の対象となる雑音信号成分
をn(k)とし、遅延回路3の遅延量Δt1を零である
と仮定すると、音声入力端子1より減算器5に供給され
る受信信号y(k)は次式で表される。
【0010】 y(k)=s(k)+n(k) (1) 適応フィルタ4は、参照入力端子2より入力される参照
雑音信号x(k)を入力として、(1)式における雑音
信号成分n(k)に対応する擬似雑音信号r(k)を生
成するように動作する。減算器5は、受信信号y(k)
から擬似雑音信号r(k)を減算して、誤差信号e
(k)を出力する。ここで、付加雑音成分は音声信号成
分s(k)に比べて十分小さいので無視すると、誤差信
号e(k)は次式で表すことができる。
【0011】 e(k)=s(k)+n(k)−r(k) (2) ここで、適応フィルタ4のフィルタ係数の更新アルゴリ
ズムとして文献1に記載されている「LMSアルゴリズ
ム」を仮定し、係数の更新方法を説明する。時刻kにお
ける適応フィルタ4のj番目の係数をw(k)とする
と、適応フィルタ4の出力する擬似雑音信号r(k)
は、(3)式で表現される。ここで、Nは適応フィルタ
4のタップ数を表す。
【0012】
【数1】 (3)式で求められた擬似雑音信号r(k)を(2)式
に適用すると、誤差信号e(k)が求められる。求めら
れた誤差信号e(k)を用いて、時刻(k+1)におけ
るフィルタ係数w(k+1)は次式で計算される。
【0013】 w(k+1)=w(k)+α・e(k)・x(k−j) (4) (4)式において、αはステップサイズと呼ばれる定数
であり、係数の収束時間や収束後の残留誤差量を決定す
るパラメータである。
【0014】一方、文献2に記載されている「LIM」
の場合のフィルタ係数更新は、次式で計算される。
【0015】
【数2】 (5)式において、μは「LIM」に対するステップサ
イズである。「LIM」では、ステップサイズμを適応
フィルタに入力される参照雑音信号x(k)の平均電力
に反比例させることによって「LMSアルゴリズム」よ
りも安定な収束を実現している。
【0016】「LMSアルゴリズム」におけるステップ
サイズαも、「LIM」におけるステップサイズμも、
その値が大きい場合には、係数の修正量が多くなるため
収束が速くなる一方、修正量が大きい分だけ係数更新の
妨害となる成分が存在する場合にはその影響を強く受け
て残留誤差量が多くなる。反対に、ステップサイズの値
が小さい場合には、収束時間が増加するが、妨害信号成
分の影響が少なく残留誤差量は小さくなる。従って、ス
テップサイズの設定には、「収束時間」と「残留誤差」
にトレードオフが存在することがわかる。
【0017】ところで、雑音消去装置における適応フィ
ルタ4の目的は、雑音信号成分n(k)の擬似信号成分
r(k)を作り出すことであるから、適応フィルタの係
数更新のための誤差信号としてはn(k)とr(k)の
差、すなわち残留誤差(n(k)−r(k))が必要と
なる。ところが、(2)式で示したように、誤差信号e
(k)は音声信号成分s(k)を含んでおり、この音声
信号成分s(k)が適応フィルタ4の係数更新動作にと
っては妨害信号成分として大きな影響を与える。
【0018】適応フィルタ4にとって妨害信号となる音
声信号成分s(k)の影響を低減するため、雑音消去装
置に用いられる適応フィルタ4においては係数更新のた
めのステップサイズを極めて小さい値に設定する必要が
ある。しかしながら、上述したようにステップサイズを
小さくすると適応フィルタ4の収束が遅くなるという問
題が生じる。
【0019】この問題を解決するため、ステップサイズ
を比較的大きな値に設定する代わりに、受信信号y
(k)の平均電力と参照雑音信号x(k)の平均電力の
比較から音声信号の存在を検出したときは、係数更新を
停止する方法が提案されている。しかしながら、この方
法では音声信号s(k)の検出が閾値の設定に依存する
ため、音声信号s(k)と雑音信号x(k)の大小関係
によっては音声信号s(k)の検出の遅れによって残留
誤差が大きくなったり、逆に音声信号s(k)が存在し
ないのに係数更新が停止して収束が遅くなるなどの状況
が起こる。更に、音声信号が存在するときには、係数更
新が停止するため系の変動に追従できない。
【0020】上記の問題を解決する方法として「VSア
ルゴリズム」が「アイ・イー・イー・イー・トランザク
ションズ・オン・アコースティックス・スピーチ・アン
ド・シグナルプロセッシング、34巻、2号、1986
年、309−316頁(IEEETRANSACTIONS ON ACOUSTIC
S,SPEECH AND SIGNAL PROCESSING,VOL.34,No.2,1986,p
p.309-316)」(以下、文献3という)に記載されてい
る。
【0021】この「VSアルゴリズム」では、各フィル
タ係数に対して共通、固定のステップサイズではなく、
ステップサイズ行列で与えられる各フィルタ係数に個別
のステップサイズを用い、そのステップサイズの値を設
定された制御範囲で逐次変更する。その変更方法は、フ
ィルタ係数の傾き成分の極性がm回連続して変化した
場合にはステップサイズを半分にし、m回連続して変
化しない場合にはステップサイズを2倍にする方法であ
る。また、ステップサイズの最大値は、自己相関行列の
最大固有値λの逆数値1/λに、最小値は収束後の残留
誤差量によって規定される。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】上記の「VSアルゴリ
ズム」は、自己相関行列の各成分のばらつきに対応した
ステップサイズを各フィルタ係数に用いることによって
収束速度を向上させ、フィルタ係数の傾きを観測するこ
とによってフィルタ係数の収束状況を判定し、ステップ
サイズを小さくすることによって残留誤差を低減させて
いる。
【0023】しかしながら、この「VSアルゴリズム」
によっても、適応フィルタの係数更新に使われている誤
差信号が妨害信号である音声信号成分を含んでいること
に変わりはない。従って、雑音信号成分が音声信号成分
に比べて極めて少ない状況、つまり、音声入力端子にお
ける音声信号対雑音電力比(SNR:Signal to Noise
Ratio)が良い状況が想定される場合においても安定し
た動作をさせるために、前記のm、mの値を大きく
すると共に、ステップサイズの最小値を小さく設定する
必要がある。しかし、それは「VSアルゴリズム」の収
束速度を低下させてしまい、SNRが悪い状況において
はこの収束速度の低下により十分な消去性能が得られな
いという問題がある。
【0024】本発明は以上の点に鑑みなされたもので、
収束時間の短縮と収束後の歪み(残留誤差)の低減を実
現できる雑音消去方法及び雑音消去装置を提供すること
を目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め請求項1記載の本発明方法は、参照入力端子から入力
される参照雑音信号を第1の適応フィルタに入力してフ
ィルタ係数に従ったフィルタリングにより擬似雑音信号
を生成させ、この擬似雑音信号と音声入力端子から入力
される音声信号と背景雑音信号とが混在した受信信号と
を減算器により減算して誤差信号を生成させ、誤差信号
に基づいて第1の適応フィルタのフィルタ係数を逐次修
正することにより、減算器より雑音が消去された受信信
号を出力する雑音消去方法において、参照信号と受信信
号とをそれぞれ受け、第1の適応フィルタと同様の構成
の第2の適応フィルタを用いて生成した擬似雑音信号か
ら誤差信号電力と擬似雑音信号電力を検出し、これら誤
差信号電力と擬似雑音信号電力とから受信信号の信号対
雑音電力比を推定し、信号対雑音電力比の推定値と信号
対雑音電力比の推定値を予め定められた時間だけ遅延さ
せた遅延推定値とを比較して、値の大きい方を拡張信号
対雑音電力比の推定値として出力し、拡張信号対雑音電
力比の推定値に対応した値を第1の適応フィルタのフィ
ルタ係数の修正量としてフィルタ係数を適応的に変化さ
せるようにしたものである。
【0026】また、本発明の雑音消去装置は上記の目的
を達成するため、音声入力端子から入力される音声信号
と背景雑音信号とが混在した受信信号を第1の時間遅延
する第1の遅延回路と、参照入力端子から入力される参
照雑音信号を第2の時間遅延する第2の遅延回路と、第
2の遅延回路の出力遅延参照雑音信号と第1の誤差信号
が入力されてフィルタ係数に従ったフィルタリングによ
り第1の擬似雑音信号を出力する第1の適応フィルタ
と、第1の遅延回路から出力された遅延受信信号から第
1の擬似雑音信号を差し引き、その減算の結果得られる
差信号を第1の誤差信号として第1の適応フィルタに供
給すると共に、出力端子へ雑音が消去された受信信号を
出力する第1の減算器と、参照入力端子よりの参照雑音
信号と音声入力端子よりの受信信号とを入力信号として
受け、受信信号の信号対雑音電力比の推定値を得る信号
対雑音電力比推定回路と、信号対雑音電力比推定回路の
出力推定値を第3の時間遅延する第3の遅延回路と、第
3の遅延回路の入力推定値と出力遅延推定値を比較して
大きな値の方を拡張信号対雑音電力比の推定値として出
力する比較回路と、比較回路から出力された拡張信号対
雑音電力比の推定値に基づいて、第1の適応フィルタの
フィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力
するステップサイズ出力回路とを有する構成としたもの
である。
【0027】また、上記の信号対雑音電力比推定回路
は、音声入力端子よりの受信信号を第4の時間遅延する
第4の遅延回路と、参照入力端子よりの参照雑音信号と
第2の誤差信号が入力されてフィルタ係数に従ったフィ
ルタリングにより第2の擬似雑音信号を出力する第2の
適応フィルタと、第4の遅延回路から出力された遅延受
信信号から第2の擬似雑音信号を差し引き、その減算の
結果得られる差信号を第2の誤差信号として第2の適応
フィルタに供給する第2の減算器と、第2の減算器の出
力差信号を受けて、その自乗平均値を算出して受信信号
電力として出力する第1の電力平均回路と、第2の適応
フィルタの出力第2の擬似雑音信号を受け、その自乗平
均値を算出して雑音信号電力として出力する第2の電力
平均回路と、受信信号電力を雑音信号電力で除算して、
受信信号の信号対雑音電力比の推定値を出力する除算回
路とよりなることを特徴とする。
【0028】また、上記のステップサイズ出力回路は、
比較回路から出力された拡張信号対雑音電力比の推定値
の逆数に所定の係数を乗じた乗算値が、予め定めた最大
値と最小値の範囲内の値であるときは乗算値を第1の適
応フィルタのフィルタ係数の修正量を決定するステップ
サイズとして出力し、乗算値が最大値より大なるときは
最大値を、乗算値が最小値より小なるときは最小値をス
テップサイズとして出力することを特徴とする。
【0029】本発明の雑音消去方法及び雑音消去装置で
は、参照信号を受けて擬似雑音信号を出力するように第
2の適応フィルタを動作させて、第2の適応フィルタが
出力する擬似雑音信号の平均電力と受信信号から第2の
適応フィルタが出力する擬似雑音信号を差し引いた差信
号の平均電力から音声入力端子における受信信号の信号
対雑音電力比を推定し、推定した信号対雑音電力比とそ
れを所定時間遅延した推定値のうち値の大きい方を拡張
信号対雑音電力比の推定値として出力し、この拡張信号
対雑音電力比の推定値から妨害信号成分である音声信号
と消去すべき雑音信号成分の大小関係を求め、この推定
値に対応した値を第1の適応フィルタのフィルタ係数の
修正量としてフィルタ係数を適応的に変化させる。
【0030】すなわち、拡張信号対雑音電力比の推定値
が小さいところでは、妨害成分である音声信号に比べ消
去すべき雑音信号成分が多いと判断し、大きなステップ
サイズを第1の適応フィルタに供給し、収束速度を向上
させる。逆に、拡張信号対雑音電力比の推定値が大きい
ところでは、妨害成分である音声信号が消去すべき雑音
信号成分より多いと判断して小さいステップサイズを第
1の適応フィルタに供給し残留誤差の増加を防止する。
【0031】更に、この拡張信号対雑音電力比の推定値
は、信号対雑音電力比の大きい区間が時間的に拡張され
た推定値であるため、音声信号が十分に小さい時点でス
テップサイズが大きく設定されるように動作する。
【0032】更に、本発明の雑音消去装置における第2
の遅延時間は、信号対雑音電力比推定回路において受信
信号の信号対雑音電力比の推定値を算出するのに要する
時間に等しいかそれ以上の値に設定されており、第1の
遅延時間は第2の遅延時間より大なる時間に設定されて
いるため、信号対雑音電力比推定回路において算出する
信号対雑音電力比の推定値の変化を実際より速く検出で
きる。
【0033】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面と共に説明する。図1は本発明の一実施の形態の
ブロック図を示す。同図中、図3と同一構成部分には同
一符号を付してある。図1に示すように、本実施の形態
は、適応フィルタ4のステップサイズを制御するため
に、遅延回路8、遅延回路9、信号対雑音電力比推定回
路10、遅延回路17、比較回路18及びステップサイ
ズ出力回路19を備えている。
【0034】また、信号対雑音電力比推定回路10は、
音声入力端子1より受信信号y(k)が入力される遅延
回路11と、参照入力端子2より参照雑音信号x(k)
が入力される適応フィルタ12と、遅延回路11の出力
信号と適応フィルタ12の出力擬似雑音信号r(k)
との減算を行う減算器13と、減算器13及び適応フィ
ルタ12の各出力信号のそれぞれの電力を平均化する電
力平均回路14及び15と、電力平均回路14の出力信
号で電力平均回路15の出力信号を除算する除算回路1
6とから構成されている。
【0035】まず、信号対雑音電力比推定回路10の動
作について説明する。適応フィルタ12は参照入力端子
2から入力される参照雑音信号x(k)を入力信号とし
て受けると共に、減算器13の出力誤差信号を入力信号
として受け、擬似雑音信号を出力する。遅延回路11
は、遅延量Δt1の遅延を受信信号y(k)に与える回
路で、遅延回路3と同様に因果律を補償するために挿入
されるものである。減算器13は遅延回路11が出力す
る遅延された受信信号から適応フィルタ12の出力擬似
雑音信号を減算し、減算結果を誤差信号として適応フィ
ルタ12へ供給する。
【0036】このとき、適応フィルタ12の係数更新の
ためのステップサイズは収束速度を速めるために大きめ
の値を設定するものとし、係数更新のアルゴリズムとし
て文献2の「LIM」を適用する場合には、ステップサ
イズμとして例えば「0.2」から「0.5」程度の値
に設定するものとする。
【0037】いま、受信信号をy(k)、適応フィルタ
12に入力される参照雑音信号をx(k)、適応フィル
タ12の出力擬似雑音信号をr(k)とし、従来例と
同様に遅延回路11の遅延量Δt1を零と仮定すると、
減算器13の出力である誤差信号e(k)は次式で表
される。
【0038】 e(k)=y(k)−r(k) (6) ここで、(1)式で示したように、受信信号y(k)は
音声信号s(k)と雑音信号n(k)の和で表されるか
ら、(6)式は(7)式のように書き直される。
【0039】 e(k)=s(k)+n(k)−r(k) (7) 減算器13の出力誤差信号e(k)は、係数更新のた
めの誤差信号として適応フィルタ12に供給されると共
に電力平均回路14に供給される。電力平均回路14
は、誤差信号e(k)を自乗して、その時間平均を出
力する。誤差信号e(k)の自乗値e (k)は
(8)式で与えられる。
【0040】 e (k)={s(k)+n(k)−r(k)} (8) 電力平均回路14は、この自乗値e (k)の時間平
均を出力するが、これを期待値で近似するものとする
と、音声信号s(k)と参照雑音信号x(k)、従って
音声信号s(k)と雑音信号n(k)は互いに独立なの
で、期待値E[e (k)]は次式で表される。
【0041】 E[e (k)]=E[s(k)]+E[{n(k)−r(k)}] (9) (9)式の右辺第2項は残留誤差成分を示しており、こ
れを大きめのステップサイズの設定により高速に収束す
ることを考慮すると、残留誤差成分は急速に減衰するか
ら次式が得られる。
【0042】 E[e (k)]≒E[s(k)] (10) 従って、(10)式に示すように、電力平均回路14の
出力信号は音声信号電力s(k)を近似していること
になる。
【0043】一方、電力平均回路15は適応フィルタ1
2の出力擬似雑音信号r(k)を自乗して、その時間
平均を出力する。適応フィルタ12は大きめのステップ
サイズの設定によって高速に収束することから次式が成
立する。
【0044】 r(k)≒n(k) (11) よって、擬似雑音信号r(k)の自乗値r (k)
の期待値E[r (k)]は(12)式で近似でき
る。
【0045】 E[r (k)]≒E[n(k)] (12) 従って、電力平均回路15の出力信号は、雑音信号電力
(k)を近似していることになる。除算回路16は
電力平均回路14の出力音声信号電力を電力平均回路1
5の出力雑音信号電力で除算し、結果として信号対雑音
電力比の推定値SNR1を出力する。
【0046】ところで、電力平均回路14及び15の動
作を移動平均等で行う場合を仮定すると、算出された電
力平均値は実際の電力変化に対して平均回数に依存する
遅延Δavを生じてしまう。そこで、この実施の形態で
は、この遅延Δavを補償するため、適応フィルタ4の入
力参照雑音信号に対してΔ t2の遅延を与える遅遅延回
路9を適応フィルタ4の入力側に備えると共に、受信信
号に対してΔ t2の遅延を与える遅延回路8を遅延回路
3の入力側に備えている。
【0047】ここで、上記の遅延量Δ t2は通常、遅延
量Δavと同じかそれ以上の値が設定される。もし、Δ
2をΔavよりも大きく設定した場合には、SNR1の変
化を減算器5の実際の入力受信信号のSNR値より速く
検出することになり、SNR1を負の時間方向へ拡張し
たことになる。なお、遅延回路8と遅延回路3は(Δ
2+Δ t1)の遅延を与える一つの遅延回路で構成可能
である。
【0048】以上説明したように、信号対雑音電力比推
定回路10は、音声入力端子1より入力される受信信号
と参照信号入力端子2より入力される参照雑音信号とを
入力信号として受けて、擬似雑音信号を出力する適応フ
ィルタ12を動作させ、適応フィルタ12の出力擬似雑
音信号等から誤差信号電力と擬似雑音信号電力を検出
し、これらに基づいて信号対雑音電力比の推定値SNR
1を出力する。
【0049】次に、遅延回路8、9、17、比較回路1
8の動作を説明する。遅延回路17は信号対雑音電力比
推定回路10が出力する信号対雑音電力比の推定値SN
1に対してΔt3の遅延を与える。比較回路18は、
遅延回路17に入力される遅延前の信号対雑音電力比の
推定値SNR1と、遅延回路17から出力される遅延後
の信号対雑音電力比の推定値SNR2とを比較し、値が
大きい方を推定値SNR3として出力する。
【0050】図2は上記の信号対雑音電力比の推定値S
NR1、SNR2及びSNR3の関係を模式的に示したも
のである。すなわち、図2(A)は遅延回路17に入力
される遅延前の信号対雑音電力比の推定値SNR1で、
遅延回路17によりΔt3の遅延を与えられると、図2
(B)に示すようになり、比較回路18からは同図
(C)に示す信号対雑音電力比の推定値SNR3が取り
出される。図2(A)〜(C)に示すように、信号対雑
音電力比の推定値SNR3は信号対雑音電力比の推定値
SNR1をΔt3だけ正の時間方向に拡張した形になっ
ていることが分かる。
【0051】次に、ステップサイズ出力回路19の動作
について説明する。ステップサイズ出力回路19は、比
較回路18が出力する拡張信号対雑音電力比の推定値S
NR3を受けて、その入力SNR3値に対応した値を適応
フィルタ4のステップサイズとして出力するように動作
する。このとき、ステップサイズ出力回路19はSNR
3値が大きい場合には小さいステップサイズを出力し、
逆にSNR3値が小さい場合には大きなステップサイズ
を出力する。具体的には、時刻kでのSNR3値をSN
3(k)、時刻kでのステップサイズをμ(k)とす
ると、SNR3(k)とμ(k)の関係は、例えば次の
(13)式のように表される。
【0052】 μ(k)=clip[μ0・1/SNR3(k),μmaxmin ] (13) ただし、上式中、μは定数であり、例えば「0.1」
から「0.5」程度の値に設定される。また、clip
[a,b,c]は最小値、最大値を設定するための関係
で次のように定義される。
【0053】 clip[a,b,c]=a (c≦a≦b) (14a) clip[a,b,c]=b (a>b) (14b) clip[a,b,c]=c (a<c) (14c) ここで、μ=0.1、μmax=0.5、μmin
0.01と仮定すると、(13)式は(15)式のよう
に表される。
【0054】 μ(k)=clip[0.1/SNR3(k),0.5 ,0.01] (15) 従って、この場合はSNR3値が0dBのとき、すなわ
ちSNR3(k)=1のときのステップサイズは(14
a)式から”0.1”となる。また、SNR3値が10
dBのとき、すなわちSNR3(k)=10のときのス
テップサイズは(14a)式から”0.01”となる。
【0055】しかし、SNR3値が−10dB、すなわ
ち、SNR3(k)=0.1のときは最大値の制限を受
けてステップサイズは(14b)式から”0.5”に設
定される。同様に、SNR3値が20dB、すなわち、
SNR3(k)=100のときは最小値の制限を受けて
(14c)式からステップサイズは”0.01”とな
る。
【0056】このような、ステップサイズの制限範囲の
設定は、適応フィルタの安定した動作のために有効であ
る。このように、ステップサイズ出力回路19は、信号
対雑音電力比推定回路10で推定されたSNR1値を遅
延回路17及び比較回路18で拡張して得た拡張信号対
雑音電力比の推定値SNR3に応じて適応フィルタ4に
供給するステップサイズを制御する。
【0057】以上説明したように、本実施の形態の雑音
消去装置は、推定されたSNR3値によって適応フィル
タ4に供給するステップサイズを制御するようにしたた
め、音声信号が存在しない区間や、音声信号が存在して
も雑音信号成分に比べて非常に小さい区間におけるステ
ップサイズを大きくして、妨害信号の影響を受けずに収
束を速めることができる。一方、雑音信号成分に比べて
音声信号成分が大きい区間においては、ステップサイズ
を小さくして妨害信号による残留誤差の増加を防ぐこと
ができる。
【0058】また、ステップサイズ制御に使用されるS
NR3値は、遅延回路8、遅延回路9による負の時間方
向の拡張と、遅延回路17による正の時間方向の拡張に
よって、両方向へ拡張されているために、音声信号が始
まる前に十分ステップサイズを小さくし、音声信号が終
了してからステップサイズを大きくする制御が行えるた
め、適応フィルタ4のフィルタ係数を安定に収束させる
ことができる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
拡張信号対雑音電力比の推定値から適応フィルタの係数
更新にとっての妨害信号成分である音声信号と消去すべ
き雑音信号成分の大小関係を求め、この推定値に対応し
た値を第1の適応フィルタのフィルタ係数の修正量とし
てフィルタ係数を適応的に変化させるようにしたため、
高速収束と残留誤差の低減を実現することができる。
【0060】また、本発明によれば、拡張信号対雑音電
力比の推定値は、信号対雑音電力比の大きい区間が時間
的に拡張された推定値であり、音声信号が十分に小さい
時点でステップサイズが大きく設定されるように動作す
るため、安定した係数収束を達成することができる。
【0061】更に、本発明によれば、第1の適応フィル
タに入力する参照雑音信号に付与する第2の遅延時間
を、信号対雑音電力比推定回路において受信信号の信号
対雑音電力比の推定値を算出するのに要する時間に等し
いかそれ以上の値に設定することで、信号対雑音電力比
推定回路で得られる信号対雑音電力比の推定値の変化を
第1の減算器に入力される受信信号の実際の値より速く
検出できるため、音声信号が始まる前に十分ステップサ
イズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のブロック図である。
【図2】図1における信号対雑音電力比の推定値の時間
的拡張を説明する図である。
【図3】従来の一例のブロック図である。
【符号の説明】
1 音声入力端子 2 参照入力端子 3、8、9、11、17 遅延回路 4 第1の適応フィルタ 5 第1の減算器 6 出力端子 10 信号対雑音電力比推定回路 12 第2の適応フィルタ 13 第2の減算器 14 第1の電力平均回路 15 第2の電力平均回路 16 除算回路 18 比較回路 19 ステップサイズ出力回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H03H 21/00 H03H 21/00 H04M 1/00 H04M 1/00 H (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G10L 3/00 - 9/18 H03H 17/00,21/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 参照入力端子から入力される参照雑音信
    号を第1の適応フィルタに入力してフィルタ係数に従っ
    たフィルタリングにより擬似雑音信号を生成させ、この
    擬似雑音信号と音声入力端子から入力される音声信号と
    背景雑音信号とが混在した受信信号とを減算器により減
    算して誤差信号を生成させ、該誤差信号に基づいて前記
    第1の適応フィルタのフィルタ係数を逐次修正すること
    により、前記減算器より雑音が消去された前記受信信号
    を出力する雑音消去方法において、 前記参照信号と前記受信信号とをそれぞれ受け、前記第
    1の適応フィルタと同様の構成の第2の適応フィルタを
    用いて生成した擬似雑音信号から誤差信号電力と擬似雑
    音信号電力を検出し、これら誤差信号電力と擬似雑音信
    号電力とから前記受信信号の信号対雑音電力比を推定
    し、該信号対雑音電力比の推定値と該信号対雑音電力比
    の推定値を予め定められた時間だけ遅延させた遅延推定
    値とを比較して、値の大きい方を拡張信号対雑音電力比
    の推定値として出力し、該拡張信号対雑音電力比の推定
    値に対応した値を前記第1の適応フィルタのフィルタ係
    数の修正量として該フィルタ係数を適応的に変化させる
    ことを特徴とする雑音消去方法。
  2. 【請求項2】 音声入力端子から入力される音声信号と
    背景雑音信号とが混在した受信信号を第1の時間遅延す
    る第1の遅延回路と、 参照入力端子から入力される参照雑音信号を第2の時間
    遅延する第2の遅延回路と、 該第2の遅延回路の出力遅延参照雑音信号と第1の誤差
    信号が入力されてフィルタ係数に従ったフィルタリング
    により第1の擬似雑音信号を出力する第1の適応フィル
    タと、 前記第1の遅延回路から出力された遅延受信信号から前
    記第1の擬似雑音信号を差し引き、その減算の結果得ら
    れる差信号を前記第1の誤差信号として前記第1の適応
    フィルタに供給すると共に、出力端子へ雑音が消去され
    た受信信号を出力する第1の減算器と、 前記参照入力端子よりの参照雑音信号と前記音声入力端
    子よりの受信信号とを入力信号として受け、前記受信信
    号の信号対雑音電力比の推定値を得る信号対雑音電力比
    推定回路と、 該信号対雑音電力比推定回路の出力推定値を第3の時間
    遅延する第3の遅延回路と、 該第3の遅延回路の入力推定値と出力遅延推定値を比較
    して大きな値の方を拡張信号対雑音電力比の推定値とし
    て出力する比較回路と、 該比較回路から出力された拡張信号対雑音電力比の推定
    値に基づいて、前記第1の適応フィルタのフィルタ係数
    の修正量を決定するステップサイズを出力するステップ
    サイズ出力回路とを有することを特徴とする雑音消去装
    置。
  3. 【請求項3】 前記信号対雑音電力比推定回路は、 前記音声入力端子よりの受信信号を第4の時間遅延する
    第4の遅延回路と、 前記参照入力端子よりの参照雑音信号と第2の誤差信号
    が入力されてフィルタ係数に従ったフィルタリングによ
    り第2の擬似雑音信号を出力する第2の適応フィルタ
    と、 前記第4の遅延回路から出力された遅延受信信号から前
    記第2の擬似雑音信号を差し引き、その減算の結果得ら
    れる差信号を前記第2の誤差信号として前記第2の適応
    フィルタに供給する第2の減算器と、 前記第2の減算器の出力差信号を受けて、その自乗平均
    値を算出して受信信号電力として出力する第1の電力平
    均回路と、 前記第2の適応フィルタの出力第2の擬似雑音信号を受
    け、その自乗平均値を算出して雑音信号電力として出力
    する第2の電力平均回路と、 前記受信信号電力を前記雑音信号電力で除算して、前記
    受信信号の信号対雑音電力比の推定値を出力する除算回
    路とよりなることを特徴とする請求項2記載の雑音消去
    装置。
  4. 【請求項4】 前記ステップサイズ出力回路は、前記比
    較回路から出力された拡張信号対雑音電力比の推定値の
    逆数に所定の係数を乗じた乗算値が、予め定めた最大値
    と最小値の範囲内の値であるときは該乗算値を前記第1
    の適応フィルタのフィルタ係数の修正量を決定するステ
    ップサイズとして出力し、該乗算値が該最大値より大な
    るときは該最大値を、該乗算値が該最小値より小なると
    きは該最小値を前記ステップサイズとして出力すること
    を特徴とする請求項2又は3記載の雑音消去装置。
  5. 【請求項5】 前記第2の遅延時間は、前記信号対雑音
    電力比推定回路において前記受信信号の信号対雑音電力
    比の推定値を算出するのに要する時間に等しいかそれ以
    上の値に設定されており、前記第1の遅延時間は前記第
    2の遅延時間より大なる時間に設定されていることを特
    徴とする請求項2又は3記載の雑音消去装置。
  6. 【請求項6】 前記第4の遅延時間は、前記第1の遅延
    時間から前記第2の遅延時間を差し引いた時間に設定さ
    れていることを特徴とする請求項3記載の雑音消去装
    置。
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