JP2892964B2 - 生分解性繊維 - Google Patents
生分解性繊維Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生分解性繊維に関し、特
に釣糸や漁網等の漁業資材、植壌土用ネット等の土木資
材、播種テープ等の農業資材等の自然環境中で使用され
る生分解性を有する繊維に関する。
に釣糸や漁網等の漁業資材、植壌土用ネット等の土木資
材、播種テープ等の農業資材等の自然環境中で使用され
る生分解性を有する繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】釣糸、漁網、植壌土用ネット等は結束に
よって、連結,編網されるために結節時の強度が引張強
度以上に重要である。このような目的を達成するため
に、ナイロンでは内層部が高配合で表層部が弾性を有す
るハードエラスチックファイバー構造を実現する方法が
提案されている。具体的には、スチーム処理法(特公昭
47−43768号公報,特公昭60−7721号公
報)、表面処理法(特開昭51−38597号公報)が
知られている。
よって、連結,編網されるために結節時の強度が引張強
度以上に重要である。このような目的を達成するため
に、ナイロンでは内層部が高配合で表層部が弾性を有す
るハードエラスチックファイバー構造を実現する方法が
提案されている。具体的には、スチーム処理法(特公昭
47−43768号公報,特公昭60−7721号公
報)、表面処理法(特開昭51−38597号公報)が
知られている。
【0003】同様に、ポリふっ化ビニリデンでは、弛緩
熱処理法(特開昭60−181314号公報)、高温緊
張熱処理法(特開昭60−231815号公報)が知ら
れている。
熱処理法(特開昭60−181314号公報)、高温緊
張熱処理法(特開昭60−231815号公報)が知ら
れている。
【0004】これらの方法は、基本的に、多段延伸の途
中ないし終了後に熱的弛緩処理を行うか表面を化学的物
理的に変化させる方法であり、繊維断面の内層が高配向
で、表層が低配向で弾性を持った構造の繊維が得られ
る。
中ないし終了後に熱的弛緩処理を行うか表面を化学的物
理的に変化させる方法であり、繊維断面の内層が高配向
で、表層が低配向で弾性を持った構造の繊維が得られ
る。
【0005】ヒドロキシアルカノエート類繊維の製造方
法としては、特公平2−63055号公報、特公平2−
63056号公報が知られている。図1は、特公平2−
63055号公報における装置を示す。
法としては、特公平2−63055号公報、特公平2−
63056号公報が知られている。図1は、特公平2−
63055号公報における装置を示す。
【0006】図中の符番1は、押出物2を水槽3の水の
中に送給するダイである。押出物2はガイド4,5に沿
って水中を移動しつつ水冷された後、モノフィラメント
6になって第一引取ロ−ラ7を経てピン8,ヒータプレ
ート9側に搬送される。モノフィラメント6は、ヒータ
プレート9上の領域で延伸された後、第二引取ロ−ラ10
を経て巻取ロ−ラ11で巻き取られる。この様な方法で成
形すると、c軸方向が繊維軸と平行に配向した結晶を多
く含む繊維が得られる。
中に送給するダイである。押出物2はガイド4,5に沿
って水中を移動しつつ水冷された後、モノフィラメント
6になって第一引取ロ−ラ7を経てピン8,ヒータプレ
ート9側に搬送される。モノフィラメント6は、ヒータ
プレート9上の領域で延伸された後、第二引取ロ−ラ10
を経て巻取ロ−ラ11で巻き取られる。この様な方法で成
形すると、c軸方向が繊維軸と平行に配向した結晶を多
く含む繊維が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】高引張強度で高結節強
度の繊維を得るには、内層に比較して表層の配向が低
く、結晶部に加えて非晶部の分子鎖配向が高い構造が適
している。
度の繊維を得るには、内層に比較して表層の配向が低
く、結晶部に加えて非晶部の分子鎖配向が高い構造が適
している。
【0008】特開昭58−82723号公報や特公平2
−63055号公報にも示されるように、ヒドロキシア
ルカノエート類の予備形成物は昇温しても脆く、通常の
方法で延伸しようとしても塑性変形及び配向する前に破
壊する。予備形成物の結晶化度が低い場合、ゴム状で粘
着性を示すうえ、非晶状態からの結晶化速度が遅いた
め、配向の達成や取扱が困難である。従って、弛緩熱処
理や表層のみを融点以上に加熱するといった従来の方法
では、繊維の内層と表層で別々に構造を制御することは
難しい。
−63055号公報にも示されるように、ヒドロキシア
ルカノエート類の予備形成物は昇温しても脆く、通常の
方法で延伸しようとしても塑性変形及び配向する前に破
壊する。予備形成物の結晶化度が低い場合、ゴム状で粘
着性を示すうえ、非晶状態からの結晶化速度が遅いた
め、配向の達成や取扱が困難である。従って、弛緩熱処
理や表層のみを融点以上に加熱するといった従来の方法
では、繊維の内層と表層で別々に構造を制御することは
難しい。
【0009】また、表層を有機溶剤や他の樹脂で処理す
ることは、溶剤残留による環境破壊や異種材被覆による
分解性の低下等、自然環境で使用する繊維材料として好
ましからざる影響を及ぼす。
ることは、溶剤残留による環境破壊や異種材被覆による
分解性の低下等、自然環境で使用する繊維材料として好
ましからざる影響を及ぼす。
【0010】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、ヒドロキシアルカノエート類の樹脂において繊維構
造を制御することにより、内層より表層の方が柔軟性に
富み非晶部の分子鎖が高度に配向した高引張強度,高結
節強度で、野外で使用する漁網等が流失,放置されても
微生物により分解されて環境中に堆積することなく、自
然界への負荷を低減できる生分解性繊維を提供すること
を目的とする。
で、ヒドロキシアルカノエート類の樹脂において繊維構
造を制御することにより、内層より表層の方が柔軟性に
富み非晶部の分子鎖が高度に配向した高引張強度,高結
節強度で、野外で使用する漁網等が流失,放置されても
微生物により分解されて環境中に堆積することなく、自
然界への負荷を低減できる生分解性繊維を提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、延伸工程での
予備加熱条件(温度,時間)、延伸条件(温度,時間)
及び熱処理条件(温度,時間)を変えることで、異なる
結晶様式をもつ結晶の割合や結晶化度,非晶質を含めた
配向度等を、繊維断面の内層と表層で異なるように制御
することにより得られる、高引張強度で高結節強度の生
分解性繊維である。
予備加熱条件(温度,時間)、延伸条件(温度,時間)
及び熱処理条件(温度,時間)を変えることで、異なる
結晶様式をもつ結晶の割合や結晶化度,非晶質を含めた
配向度等を、繊維断面の内層と表層で異なるように制御
することにより得られる、高引張強度で高結節強度の生
分解性繊維である。
【0012】なお、以下では主に延伸温度を60℃に固
定して熱処理温度を変化させた場合を用いて説明する。
定して熱処理温度を変化させた場合を用いて説明する。
【0013】微生物が生産する熱可塑性樹脂であるヒド
ロキシアルカノエ−ト類には、異なる分子構造を持つ多
くのモノマーからなる単独又は共重合体である。代表的
なモノマーとしては、3−ヒドロキシプロピオネート,
3−ヒドロキシブチレート,4−ヒドロキシブチレー
ト,3−ヒドロキシバリレート,5−ヒドロキシバリレ
ート,3−ヒドロキシカプロレート,3−ヒドロキシヘ
プタノエート,3−ヒドロキシオクタノエートが挙げら
れる。但し、ここに挙げた成分に限定されるものではな
く、他の成分をも含むものである。
ロキシアルカノエ−ト類には、異なる分子構造を持つ多
くのモノマーからなる単独又は共重合体である。代表的
なモノマーとしては、3−ヒドロキシプロピオネート,
3−ヒドロキシブチレート,4−ヒドロキシブチレー
ト,3−ヒドロキシバリレート,5−ヒドロキシバリレ
ート,3−ヒドロキシカプロレート,3−ヒドロキシヘ
プタノエート,3−ヒドロキシオクタノエートが挙げら
れる。但し、ここに挙げた成分に限定されるものではな
く、他の成分をも含むものである。
【0014】本発明では、主に3−ヒドロキシブチレー
トと3−ヒドロキシバリレートの共重合体を用いて以下
に説明する。ヒドロキシアルカノエ−ト類の内、3−ヒ
ドロキシブチレート重合体の結晶構造を図4に示す。結
晶の各軸の内c軸は分子鎖に平行な方向になり、分子鎖
はらせん形態をとっている。
トと3−ヒドロキシバリレートの共重合体を用いて以下
に説明する。ヒドロキシアルカノエ−ト類の内、3−ヒ
ドロキシブチレート重合体の結晶構造を図4に示す。結
晶の各軸の内c軸は分子鎖に平行な方向になり、分子鎖
はらせん形態をとっている。
【0015】本発明で熱処理温度を変化させた場合の、
偏光顕微鏡より求めた繊維全体の複屈折を図5に示す。
結晶中の原子座標を用いて計算した3−ヒドロキシブチ
レートの固有複屈折は、−0.0755でマイナスの値
となる。従って、マイナスの絶対値が大きい程繊維軸方
向に分子鎖が配向していることになる。
偏光顕微鏡より求めた繊維全体の複屈折を図5に示す。
結晶中の原子座標を用いて計算した3−ヒドロキシブチ
レートの固有複屈折は、−0.0755でマイナスの値
となる。従って、マイナスの絶対値が大きい程繊維軸方
向に分子鎖が配向していることになる。
【0016】繊維断面の偏光顕微鏡の模式図を図6に示
す。図6により、繊維内部に花弁状の特異な分布がみら
れ、表層にも内層と異なる配向模式の領域が観察され
た。
す。図6により、繊維内部に花弁状の特異な分布がみら
れ、表層にも内層と異なる配向模式の領域が観察され
た。
【0017】繊維側面の干渉顕微鏡の模式図を図7に示
す。均一な内部構造をもつ繊維は、干渉縞が右側に凸の
滑らかな弧を描くが、図7では中央部が左側に凸の浅い
弧を描いている。従って、繊維断面で構造分布があるこ
とが確認できる。
す。均一な内部構造をもつ繊維は、干渉縞が右側に凸の
滑らかな弧を描くが、図7では中央部が左側に凸の浅い
弧を描いている。従って、繊維断面で構造分布があるこ
とが確認できる。
【0018】干渉顕微鏡観察から求めた、断面での複屈
折分布を図8に示す。繊維全体では、熱処理温度が高く
なるほど複屈折は低下し繊維軸方向の配向が高くなる。
繊維断面での分布を見ると、熱処理温度が100℃以下
では繊維内層の方が表層よりも配向が高く、120℃で
略均一であり、120℃を越えると繊維表層の方が内層
よりも配向が高くなる。
折分布を図8に示す。繊維全体では、熱処理温度が高く
なるほど複屈折は低下し繊維軸方向の配向が高くなる。
繊維断面での分布を見ると、熱処理温度が100℃以下
では繊維内層の方が表層よりも配向が高く、120℃で
略均一であり、120℃を越えると繊維表層の方が内層
よりも配向が高くなる。
【0019】本発明で熱処理温度を変化させた場合の、
広角X線回折パターンより求めた繊維全体の結晶化度と
2種類の結晶の割合を図9に示す。図9において、Xc,
c はc軸が繊維方向に配向した結晶を示し、Xc,n はc
軸が繊維軸に対して垂直方向に配向した結晶を示す。
広角X線回折パターンより求めた繊維全体の結晶化度と
2種類の結晶の割合を図9に示す。図9において、Xc,
c はc軸が繊維方向に配向した結晶を示し、Xc,n はc
軸が繊維軸に対して垂直方向に配向した結晶を示す。
【0020】熱処理温度が高くなるほど結晶化度が増
え、特に結晶のc軸が繊維軸方向に配向した結晶の割合
が増加する。
え、特に結晶のc軸が繊維軸方向に配向した結晶の割合
が増加する。
【0021】カルボニル基の赤外分光分析より求めた、
繊維の赤外二色比配向係数を図10に示す。図5の複屈
折と同様に、熱処理温度の上昇に伴って配向が高くな
る。
繊維の赤外二色比配向係数を図10に示す。図5の複屈
折と同様に、熱処理温度の上昇に伴って配向が高くな
る。
【0022】カルボニル基の赤外分光分析より求めた、
繊維の表層および内層の赤外二色比配向係数を図11に
示す。熱処理温度が低温の場合は内層が高配向である
が、高温の場合は表層の配向が高くなり複屈折の結果と
同様である。
繊維の表層および内層の赤外二色比配向係数を図11に
示す。熱処理温度が低温の場合は内層が高配向である
が、高温の場合は表層の配向が高くなり複屈折の結果と
同様である。
【0023】結晶の分子鎖が繊維軸方向に配列した場合
と垂直な場合および非晶の分子鎖が無配向な場合におけ
る、原子座標から求めた赤外二色比配向係数はそれぞれ
−0.5、0.25、0である。また、固有複屈折はそ
れぞれ−0.0755、0.0383、0になる。無配
向の場合は0であるから、無視すると、結晶での2種類
の配向におけるそれぞれの値はほぼ同じ比率なので赤外
二色比配向係数と複屈折は同じ傾向を示すはずである。
ところが、図5の複屈折の結果において低温で熱処理さ
れた繊維が正の値を示すにもかかわらず、図10の赤外
二色比配向係数は負の値を示している。
と垂直な場合および非晶の分子鎖が無配向な場合におけ
る、原子座標から求めた赤外二色比配向係数はそれぞれ
−0.5、0.25、0である。また、固有複屈折はそ
れぞれ−0.0755、0.0383、0になる。無配
向の場合は0であるから、無視すると、結晶での2種類
の配向におけるそれぞれの値はほぼ同じ比率なので赤外
二色比配向係数と複屈折は同じ傾向を示すはずである。
ところが、図5の複屈折の結果において低温で熱処理さ
れた繊維が正の値を示すにもかかわらず、図10の赤外
二色比配向係数は負の値を示している。
【0024】3−ヒドロキシブチレート重合体の分子鎖
は、通常らせん形態をとっているが、分子鎖方向に高い
応力が加わることによって引き伸ばされ、平面ジグザク
構造をとると考えた場合、赤外二色比配向係数と固有複
屈折はそれぞれ−0.5、−0.01となる。従って、
この平面ジグザク構造を考えると赤外二色比配向係数で
は負に寄与し、複屈折では正に寄与するので、前述の傾
向の違いを説明することができる。このことから、非晶
部には分子鎖が無配向の部分と繊維軸方向に高度に配向
した部分(パラクリスタル:準結晶)とが存在してお
り、高度に配向した分子鎖構造の1案として高い応力が
加わることによって引き伸ばされた平面ジグザク構造を
考えることができる。
は、通常らせん形態をとっているが、分子鎖方向に高い
応力が加わることによって引き伸ばされ、平面ジグザク
構造をとると考えた場合、赤外二色比配向係数と固有複
屈折はそれぞれ−0.5、−0.01となる。従って、
この平面ジグザク構造を考えると赤外二色比配向係数で
は負に寄与し、複屈折では正に寄与するので、前述の傾
向の違いを説明することができる。このことから、非晶
部には分子鎖が無配向の部分と繊維軸方向に高度に配向
した部分(パラクリスタル:準結晶)とが存在してお
り、高度に配向した分子鎖構造の1案として高い応力が
加わることによって引き伸ばされた平面ジグザク構造を
考えることができる。
【0025】本発明では熱処理温度を変化させて作製し
た延伸糸の赤道方向の、広角X線回折パターンを図12
に示す13.5°、17°、20°付近に3つのピーク
がある。この内前2つは結晶の(020)面と(11
0)面に起因し、3つ目は非晶部において高度に配向し
た分子鎖に起因するピークである。
た延伸糸の赤道方向の、広角X線回折パターンを図12
に示す13.5°、17°、20°付近に3つのピーク
がある。この内前2つは結晶の(020)面と(11
0)面に起因し、3つ目は非晶部において高度に配向し
た分子鎖に起因するピークである。
【0026】熱処理温度が80℃〜120℃では、非晶
部で高度に配向した分子鎖に起因するピーク強度が相対
的に強く、それよりも低温側や高温側では弱い。
部で高度に配向した分子鎖に起因するピーク強度が相対
的に強く、それよりも低温側や高温側では弱い。
【0027】従来法による繊維の、広角X線回折パター
ンを図13に示す。結晶に起因する2つのピークが大き
いのに対して、20°の非晶部で高度に配向した分子鎖
に起因するピークはかなり小さい。結晶化度は55%
で、その内結晶のc軸が繊維軸方向に配向した結晶が7
5%を占めており結晶の配向は非常に高い。このように
結晶の配向により繊維全体の配向が高いにも関わらず、
非晶部で分子鎖の配向が低いために低引張強度の繊維に
なる。
ンを図13に示す。結晶に起因する2つのピークが大き
いのに対して、20°の非晶部で高度に配向した分子鎖
に起因するピークはかなり小さい。結晶化度は55%
で、その内結晶のc軸が繊維軸方向に配向した結晶が7
5%を占めており結晶の配向は非常に高い。このように
結晶の配向により繊維全体の配向が高いにも関わらず、
非晶部で分子鎖の配向が低いために低引張強度の繊維に
なる。
【0028】非晶での分子鎖の配向に関しては、引張強
伸度からも推定できる。本発明による繊維は従来法によ
る繊維に比較して、低弾性率,高引張強度,低伸度,低
結晶化度である。結晶化度が低く結晶の配向も低いの
に、伸度が半分以下になるのは非晶での分子鎖の配向が
高いためである。
伸度からも推定できる。本発明による繊維は従来法によ
る繊維に比較して、低弾性率,高引張強度,低伸度,低
結晶化度である。結晶化度が低く結晶の配向も低いの
に、伸度が半分以下になるのは非晶での分子鎖の配向が
高いためである。
【0029】本発明において低温の熱処理条件では、高
引張強度でかつ同等の結節強度を有する繊維が得られ
る。これは結晶部のみではなく、非晶部にも繊維軸方向
に高度に配向した分子鎖からなる部分が多く含まれるの
で引張強度が高くなり、表層の分子配向が内層より低い
ために結節強度も高くなる。
引張強度でかつ同等の結節強度を有する繊維が得られ
る。これは結晶部のみではなく、非晶部にも繊維軸方向
に高度に配向した分子鎖からなる部分が多く含まれるの
で引張強度が高くなり、表層の分子配向が内層より低い
ために結節強度も高くなる。
【0030】高温で熱処理を行った場合には、全体とし
て高配向になり高弾性率の繊維が得られる。しかし、高
度に配向した分子鎖からなる部分が少ないために非晶部
が弱く、全体として引張強度が低くなる。また、表層の
分子配向が内層より高いために、引張強度に比較して結
節強度が低下する。
て高配向になり高弾性率の繊維が得られる。しかし、高
度に配向した分子鎖からなる部分が少ないために非晶部
が弱く、全体として引張強度が低くなる。また、表層の
分子配向が内層より高いために、引張強度に比較して結
節強度が低下する。
【0031】本発明において、紡糸と延伸は連続的に行
わず不連続な別々の工程で行うのが望ましい。
わず不連続な別々の工程で行うのが望ましい。
【0032】なお、上記各温度範囲は、ヒドロキシアル
カノエート類の種類や共重合体組成の違いにより変化す
る。従って、各樹脂の融解開始温度,融解ピーク温度
(融点),融解終了温度,結晶化開始温度,結晶化ピー
ク温度(結晶化点),結晶化終了温度を測定した上で決
定する必要がある。
カノエート類の種類や共重合体組成の違いにより変化す
る。従って、各樹脂の融解開始温度,融解ピーク温度
(融点),融解終了温度,結晶化開始温度,結晶化ピー
ク温度(結晶化点),結晶化終了温度を測定した上で決
定する必要がある。
【0033】
【作用】この発明において、繊維軸方向に分子鎖が高配
向した非晶部分及び内層の配向よりも表層の配向が低い
構造をもつことにより、柔軟性があり高引張強度で高結
節強度の繊維が得られる。
向した非晶部分及び内層の配向よりも表層の配向が低い
構造をもつことにより、柔軟性があり高引張強度で高結
節強度の繊維が得られる。
【0034】
【実施例】以下、この発明の実施例について比較例とと
もに説明する。
もに説明する。
【0035】図2は、本願発明の生分解性繊維の製造方
法に用いられる装置の一部を示す概略説明図である。図
中の符番21は、押出物22を水槽23の温水の中に供給する
押出機である。また、符番24,25,26は、押出物22を案
内するガイド、符番27は引取ロ−ラ、符番28は巻取ロ−
ラを示す。
法に用いられる装置の一部を示す概略説明図である。図
中の符番21は、押出物22を水槽23の温水の中に供給する
押出機である。また、符番24,25,26は、押出物22を案
内するガイド、符番27は引取ロ−ラ、符番28は巻取ロ−
ラを示す。
【0036】図3は、図2の装置の巻取ロ−ルで巻き取
った繊維を延伸する装置の概略説明図を示す。図中の符
番31は、溶融紡糸した繊維32を加熱炉33に送給する送出
ロ−ラである。また、図中の符番34,35は加熱ロ−ラ、
符番36,37は加熱板、符番38は引取ロ−ラ、符番39は巻
取ロ−ラを示す。
った繊維を延伸する装置の概略説明図を示す。図中の符
番31は、溶融紡糸した繊維32を加熱炉33に送給する送出
ロ−ラである。また、図中の符番34,35は加熱ロ−ラ、
符番36,37は加熱板、符番38は引取ロ−ラ、符番39は巻
取ロ−ラを示す。
【0037】この実施例では、こうした装置を用いて次
のようにして繊維を製造する。
のようにして繊維を製造する。
【0038】まず、ヒドロキシブチレ−トとヒドロキシ
バリレ−トの共重合体(PHB/HV=92/8)を、
押出機21により160℃で水槽23の温水中に押し出し、
溶融紡糸する。ここで、水槽23中の温水の温度は50℃
に保持しておく。温水中に送られた繊維は冷却固化さ
れ、ガイド26,引取ロ−ラ27を経て巻取ロ−ラ28で巻取
る(図2参照)。
バリレ−トの共重合体(PHB/HV=92/8)を、
押出機21により160℃で水槽23の温水中に押し出し、
溶融紡糸する。ここで、水槽23中の温水の温度は50℃
に保持しておく。温水中に送られた繊維は冷却固化さ
れ、ガイド26,引取ロ−ラ27を経て巻取ロ−ラ28で巻取
る(図2参照)。
【0039】次に、図3に示すように、紡糸とは別工程
で本繊維を150℃で予備加熱し、60℃で7倍に延伸
し、更に100℃で1.1倍に熱処理して繊維を製造す
る。
で本繊維を150℃で予備加熱し、60℃で7倍に延伸
し、更に100℃で1.1倍に熱処理して繊維を製造す
る。
【0040】(比較例1)上記実施例と同様の方法で紡
糸した繊維を、延伸条件150℃、60℃、60℃で延
伸熱処理を行い繊維を製造した。
糸した繊維を、延伸条件150℃、60℃、60℃で延
伸熱処理を行い繊維を製造した。
【0041】(比較例2)上記実施例と同様の方法で紡
糸した繊維を、延伸条件150℃、60℃、140℃で
延伸熱処理を行い繊維を製造した。
糸した繊維を、延伸条件150℃、60℃、140℃で
延伸熱処理を行い繊維を製造した。
【0042】(比較例3)比較例3では、図1における
装置を用いて、上記実施例と同様の樹脂を押出機1によ
り160℃で水槽3(浴温60℃)の温水中に押出す。
次に、そのまま連続して120℃のホットピン8を経て
60℃のヒータプレート9で8倍に延伸して巻取ローラ
11で巻き取る。
装置を用いて、上記実施例と同様の樹脂を押出機1によ
り160℃で水槽3(浴温60℃)の温水中に押出す。
次に、そのまま連続して120℃のホットピン8を経て
60℃のヒータプレート9で8倍に延伸して巻取ローラ
11で巻き取る。
【0043】下記表1は、上記実施例,比較例1,2,
3における繊維の延伸倍率(倍),熱処理倍率(倍),
破断強度(MPa),破断伸度(%),結節強度(MP
a)及び結節/破断の比率を示す。ここで、破断強伸
度,結節強度は引張試験より求めた。
3における繊維の延伸倍率(倍),熱処理倍率(倍),
破断強度(MPa),破断伸度(%),結節強度(MP
a)及び結節/破断の比率を示す。ここで、破断強伸
度,結節強度は引張試験より求めた。
【0044】
【表1】
【0045】しかして、上記実施例によれば、ヒドロキ
シブチレ−トとヒドロキシバリレ−トの共重合体(PH
B/HV=92/8)からなる熱可塑性樹脂を原料と
し、繊維断面内に結晶化度や結晶構造の分布を持ち、か
つ繊維軸方向に分子鎖が高配向した非晶部分を有する構
成となっているため、内層より表層の方が柔軟性に富み
高引張強度で高結節強度の生分解性繊維が得られる。こ
れにより、屋外で使用する漁網等が流失,放置されても
微生物により分解されて環境中に堆積することなく、自
然界への負荷を低減できる。
シブチレ−トとヒドロキシバリレ−トの共重合体(PH
B/HV=92/8)からなる熱可塑性樹脂を原料と
し、繊維断面内に結晶化度や結晶構造の分布を持ち、か
つ繊維軸方向に分子鎖が高配向した非晶部分を有する構
成となっているため、内層より表層の方が柔軟性に富み
高引張強度で高結節強度の生分解性繊維が得られる。こ
れにより、屋外で使用する漁網等が流失,放置されても
微生物により分解されて環境中に堆積することなく、自
然界への負荷を低減できる。
【0046】
【発明の効果】以上詳述した如くこの発明によれば、ヒ
ドロキシアルカノエート類の樹脂において繊維構造を制
御することにより、内層より表層の方が柔軟性に富み非
晶部の分子鎖が高度に配向した高引張強度,高結節強度
で、例えば野外で使用する漁網等が流失,放置されても
微生物により分解されて環境中に堆積することなく、自
然界への負荷を低減できる生分解性繊維を提供できる。
ドロキシアルカノエート類の樹脂において繊維構造を制
御することにより、内層より表層の方が柔軟性に富み非
晶部の分子鎖が高度に配向した高引張強度,高結節強度
で、例えば野外で使用する漁網等が流失,放置されても
微生物により分解されて環境中に堆積することなく、自
然界への負荷を低減できる生分解性繊維を提供できる。
【図1】従来技術に係る繊維の紡糸延伸装置の概略説明
図。
図。
【図2】本発明の実施例に係る繊維の紡糸装置の概略説
明図。
明図。
【図3】図2で紡糸した繊維の延伸装置の概略説明図。
【図4】ヒドロキシアルカノエート類の結晶軸と分子鎖
の並びの概念図。
の並びの概念図。
【図5】本発明による繊維の複屈折の熱処理温度依存牲
を示す特性図。
を示す特性図。
【図6】本発明による繊維の断面偏光顕微鏡像の模式
図。
図。
【図7】本発明による繊維の干渉顕微鏡写真の模式図。
【図8】本発明による繊維の複屈折断面分布パターン
図。
図。
【図9】本発明による繊維の結晶化度の熱処理温度依存
牲を示す特性図。
牲を示す特性図。
【図10】本発明による繊維の各熱処理温度における赤
外二色比配向係数を示す特性図。
外二色比配向係数を示す特性図。
【図11】本発明による繊維の各熱処理温度における内
表層の赤外二色比配向係数を示す特性図。
表層の赤外二色比配向係数を示す特性図。
【図12】本発明による繊維の各熱処理温度における広
角X線回折強度を示す特性図。
角X線回折強度を示す特性図。
【図13】従来法による繊維の広角X線回折強度を示す
特性図。
特性図。
21…押出機、 22…押出物、
23…水槽、27,38…引取ロ−ラ、 28,39…巻取ロ−
ラ、 32…繊維、33…加熱炉。
23…水槽、27,38…引取ロ−ラ、 28,39…巻取ロ−
ラ、 32…繊維、33…加熱炉。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前川 義博 福岡県福岡市中央区渡辺通3丁目1番36 号 中興化成工業株式会社内 (72)発明者 新川 武雄 神奈川県横浜市泉区上飯田町1010番地 中興化成工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−321025(JP,A) 特公 平2−63055(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/62 305 D01F 6/00 D01F 6/84 303
Claims (2)
- 【請求項1】 ヒドロキシアルカノエート類の単独重合
体又は共重合体からなる熱可塑性樹脂を原料として、繊
維断面内の内層が高配向で表層が低配向である結晶部分
からなる結晶構造の分布を持ち、かつ繊維軸方向に分子
鎖が高配向した非晶部分を有することを特徴とする生分
解性繊維。 - 【請求項2】 前記ヒドロキシアルカノエ−ト類が3−
ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートの共
重合体である請求項1記載の生分解性繊維。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7080511A JP2892964B2 (ja) | 1995-04-05 | 1995-04-05 | 生分解性繊維 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7080511A JP2892964B2 (ja) | 1995-04-05 | 1995-04-05 | 生分解性繊維 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08284016A JPH08284016A (ja) | 1996-10-29 |
| JP2892964B2 true JP2892964B2 (ja) | 1999-05-17 |
Family
ID=13720348
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7080511A Expired - Fee Related JP2892964B2 (ja) | 1995-04-05 | 1995-04-05 | 生分解性繊維 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2892964B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP7289475B2 (ja) * | 2019-02-15 | 2023-06-12 | 国立大学法人東京工業大学 | 生分解性繊維の製造方法 |
| KR102847285B1 (ko) * | 2019-05-13 | 2025-08-19 | 미쯔비시 가스 케미칼 컴파니, 인코포레이티드 | 지방족 폴리에스테르 공중합체 |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0263055A (ja) * | 1988-08-30 | 1990-03-02 | Japan Synthetic Rubber Co Ltd | 放射線感応性重合体組成物 |
| JP2815260B2 (ja) * | 1992-01-09 | 1998-10-27 | 中興化成工業 株式会社 | 繊維の製造方法 |
-
1995
- 1995-04-05 JP JP7080511A patent/JP2892964B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH08284016A (ja) | 1996-10-29 |
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