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JP2917080B2 - 水難溶性塩の連続製造方法およびその装置 - Google Patents
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JP2917080B2 - 水難溶性塩の連続製造方法およびその装置 - Google Patents

水難溶性塩の連続製造方法およびその装置

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JP2917080B2 JP4250511A JP25051192A JP2917080B2 JP 2917080 B2 JP2917080 B2 JP 2917080B2 JP 4250511 A JP4250511 A JP 4250511A JP 25051192 A JP25051192 A JP 25051192A JP 2917080 B2 JP2917080 B2 JP 2917080B2
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  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、体質顔料、化粧品、写
真乳剤、電子材料および添加剤等に適した、粒径の揃っ
た水難溶性塩の連続製造方法ならびにその原料となる2
種以上の流体を連続的に混合して反応させるための装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水難溶性塩を生成する反応では、反応速
度が非常に大きいために、その原料となる異種の流体を
すばやく均一な混合流体とすることが、均一な品質の生
成物を得るための必要条件である。例えば、2種以上の
流体を混合して反応させて、体質顔料の硫酸バリウムの
如き生成物を製造する場合、その操作を連続的に行い、
かつ均一で優れた品質の生成物を得るためは、次の諸点
に留意することが必要である。
【0003】(1)互いに混合して反応する異種の流体
を混合した後に、すばやく均一な混合流体とすること。
混合が部分的に不均一となると、各部分での反応速度等
に差異が生じ、均一な品質の生成物が得られないからで
ある。 (2)装置内での滞留時間分布を狭くすること。装置内
での滞留時間分布が広くなると、粒子成長度の異なる、
つまり形状や大きさの異なる粒子が形成され、装置から
排出される生成物の品質にバラツキが生ずることにな
り、生成物の価値を著しく損なう結果となるからであ
る。 (3)装置内での滞留時間を短くすること。連続製造プ
ロセスを工業的に実施する場合に、しばしば問題となる
装置のスタート時と停止時での不安定な過渡状態の長短
は、装置内の滞留時間の長短に起因することが多く、滞
留時間が長いとこの過渡状態も長くなって、生成物の歩
留まりを悪くするばかりでなく、同一の装置を用いて多
品種の生成物を製造する場合に不経済となる。 (4)装置内に駆動部、あるいは攪拌部を設けないこ
と。駆動部あるいは攪拌部がある場合、生成物の結晶粒
子が破損して品質を損なう可能性がある。また、生成物
が付着して異常反応の原因を引き起こす可能性もあるか
らである。さらには、装置洗浄も困難となる。
【0004】従来、以上のような留意点を有する反応速
度の非常に大きい水難溶性塩の反応において、その原料
となる流体を連続的に混合して反応する場合、(イ)パ
イプラインホモミクサー(特殊機化工業(株)製)のよ
うに管路内に攪拌機を設置し、混合して反応させる装
置、(ロ)上下方向に多段の攪拌翼を有し攪拌翼の上下
に仕切を設け、攪拌翼による逆混合を防止した縦型筒状
攪拌装置、(ハ)ドラフトチューブを設け、逆混合を防
止したドラフトチューブ型攪拌装置、または、(ニ)筒
内に多孔板棚段を設けたオリフィス塔型装置が使用され
ていた。
【0005】しかし、(ニ)については装置内での滞留
時間分布を狭く保つこと(留意点(2))を重視するあ
まり、混合度が低く留意点(1)に問題があった。一
方、(イ)(ロ)(ハ)の装置を用いると、原料流体の
混合は素早く行えるが、混合を推進するために駆動部、
攪拌部が装置内に設けられており、留意点(4)に問題
があった。さらに、(ロ)(ハ)については、反応装置
が管型ではなく槽型に近いため留意点(2)に問題があ
った。
【0006】上記の問題点を解決する手段として、特公
昭52−31582号公報に連続混合反応装置が開示さ
れている。この装置は、異種流体をすばやく混合し滞留
時間分布も小さく混合反応装置としては優れているが、
装置が複雑であり装置内に攪拌部を有しているため、攪
拌部による生成物の破壊や付着ならびに付着による異常
反応(留意点(4))に問題があった。また、装置洗浄
も容易には行えず、製造品種の切り換えが困難で不経済
である。
【0007】また、特公昭54−22200号公報、特
公昭62−34688号公報では、水難溶性塩の連続製
造方法が開示されている。特公昭54−22200号公
報では、反応原料が液体−気体であり、かつ反応を2段
に分割し制御している。この反応では、水難溶性塩を生
じる反応速度に比べて、原料の気体が液体に溶解する速
さが小さいことを利用し、連続製造方法に展開している
が、実際には管型反応装置と槽型反応装置とが2つつな
がっており、装置のコストが高いものとなっている。
【0008】また、特公昭62−34688号公報で
は、半回分反応方法であるため、反応生成物の存在下に
原料流体が供給されるために、滞留時間分布が広く、す
なわち留意点(2)に問題があり、装置から排出される
生成物の品質にバラツキが生じて、生成物の価値を著し
く損なう結果となる。従って、均一な品質を要求される
水難溶性塩の生成物を連続的に製造するプロセスの場合
には、これらの従来の各装置はいずれも不適当であり、
結局これらのプロセスは連続化できずに、回分プロセス
に依らざるを得なかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような課
題を解決するために行われたものである。すなわち、本
発明の目的は、反応速度の非常に早い水難溶性塩である
硫酸バリウムの連続製造において、装置内での流体の滞
留時間分布を極度に狭く保つことができ、かつ、反応装
置内に攪拌部・駆動部を有しないにもかかわらず、各種
流体を迅速かつ均一に混合・攪拌して反応させ、さら
に、反応生成物をすみやかに反応装置外へ排出すること
のできる連続反応装置を提供し、粒径の整った品質の良
硫酸バリウムの連続製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】斯かる実情において本発
明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結
果、2種以上の原料を反応させて水難溶性塩である硫酸
バリウムを連続的に製造する方法において、少なくとも
2種の原料を独立して管型の反応装置に連続的に供給し
て、反応させ、さらに反応生成物(硫酸バリウムならび
に副生物を含んだ流体)を滞留させる事なく反応装置か
ら連続的に排出することを特徴とする硫酸バリウムの連
続製造方法及びそれに用いる連続反応装置を見いだし、
本発明の完成に到った。
【0011】即ち、本発明の要旨は、 (1) 管型反応器内で原料同士の混合・攪拌が生じる
ように、2種以上の原料を独立して連続的に該反応器内
に供給して原料を反応させ、生成する反応生成物を滞留
させることなく反応器から連続的に排出する硫酸バリウ
の連続製造方法であって、2種以上の原料のうち、少
なくとも1種の原料(a)は管型反応器の端部に設けた
一の原料供給口(A)から供給し、他の原料(b)は該
端部またはその下流側に設けた少なくとも一以上の他の
原料供給口(B)から供給するものであり、かつ該管型
反応器の下記式で定義される断面積比As/Ajを2以
上8以下、および流体接触比Am/Ljを0.5以上4
以下とし、相対過飽和度(σ)が10〜200となる反
応を行なうことを特徴とする、硫酸バリウムの連続製造
方法、 並びに (2) 2種以上の原料を反応させて硫酸バリウムを連
続的に製造する連続反応装置において、管型反応器と、
該反応器に独立して設けられた2以上の原料供給口と、
反応生成物を連続的に排出する生成物排出口を備え、該
反応器内で原料同士の混合・攪拌が生じるように原料を
供給する原料供給手段を有してなり、前記原料供給口が
該管型反応器の端部に設けられた原料供給口(A)およ
び該端部またはその下流側に設けられた原料供給口
(B)から構成され、かつ該管型反応器の下記式で定義
される断面積比As/Ajを2以上8以下、および流体
接触比Am/Ljを0.5以上4以下とし、相対過飽和
度(σ)が10〜200となる反応に使用されることを
特徴とする、硫酸バリウムの連続製造装置、に関する。
【0012】まず、本発明の連続反応装置について説明
する。本発明の連続反応装置は、上記のように管型反応
器と、該反応器に独立して設けられた2以上の原料供給
口と、反応生成物を連続的に排出する生成物排出口を備
えるが、該管型反応器は、一方に2以上の原料供給口、
他方に生成物排出口を有し、2種以上の原料を各々独立
して供給することができる構造を有する。好ましくは、
一の原料供給口(A)が管型反応器の端部に設けられ、
他の一以上の原料供給口(B)が該端部またはその下流
側に設けられたものであり、より好ましくは、原料供給
口(B)が、管型反応器の端部に設けられた一の原料供
給口(A)から下流側に所定の距離をおいて下流側の方
向に配設されているものである。なお、本発明でいう端
部とは、生成物排出口とは反対側の閉じた部分あるいは
その近傍をいう(図1における8の範囲)。
【0013】このような管型反応器の具体例としては、
例えば図1〜図3に示すようなものが挙げられる。図1
は、管型反応器が該管型反応器の端部に原料供給口
(A)と、該端部から下流側にもう一つの原料供給口
(B)を有する連続反応装置で、すべての原料の供給方
向が反応器の生成物排出口方向へ向いているタイプであ
る。図2は管型反応器の一端が閉じており、原料が管型
反応器の管壁接線方向から反応器内に供給されるように
原料供給口が設けられ、旋回流を形成しながら生成物排
出口の方へ流れていくタイプ、図3は管型反応器の一端
が閉じており、その閉じた面に向かって原料を噴出させ
ることができるように原料供給口が設けられ、急激に流
れの方向を変化させた後、生成物排出口へと流動させる
タイプであるが、原料の噴き出す方向、位置は特にこれ
らに限定されるものではない。ここに挙げた3タイプの
中でも逆混合の起こりにくさ、押し出し流れの均一さか
らみて図1のタイプが最も好ましい。
【0014】以下、本発明の連続反応装置の好ましい一
例について、図1に基づいて詳細に説明する。図1は本
発明における連続反応装置の反応器部の一例を示す。図
中、1は原料供給口(B)、2は原料供給口(A)、3
は原料供給のためのバッファー槽、4は原料供給口
(A)2から供給された流体が管型反応器6内でピスト
ンフローとなるための助走区間、5は原料供給口(B)
1に連通する原料供給管、9は原料供給口(A)2に連
通する原料供給管、6は混合・攪拌により反応を行うた
めの管型反応器、7は反応生成物を含有する流体を管型
反応器6の外へ排出するための生成物排出口である。ポ
ンプ等の原料供給手段により、異種の原料流体はそれぞ
れ送液され、原料供給口1、2から管型反応器6内へ供
給されるが、原料供給管5、9の大きさ、形状、本数は
限定されない。また、原料供給口(B)1は、供給の平
均線流速を高めるために、噴出ノズルとしてもよい。
【0015】原料供給口(A)2から供給された原料a
は管型反応器6内の助走区間4を通り、生成物排出口7
の方向へ流れる。その際、助走区間4の長さは、原料a
が管型反応器6内部において、半径方向に対して速度分
布がほぼ一様、すなわちピストンフローになるような長
さにする必要がある。もし、半径方向に対して速度分布
が一様でない場合、原料bと原料aとの混合・攪拌が半
径方向に対して不均一になり、結果的に生成物の品質に
バラツキが生じてしまうからである。原料供給口1、2
および管型反応器6の大きさ、本数及びその配置によ
り、助走区間4の長さを決定できるが、(助走区間4の
長さ)≧(管型反応器6の内径)であることが望まし
い。(助走区間4の長さ)<(管型反応器6の内径)で
はピストンフローが不十分であるために混合が半径方向
に対して不均一になり問題が生じる。さらに、ピストン
フローを十分に成長させるためには、(助走区間4の長
さ)≧(管型反応器6の内径)×3であることが望まし
い。しかし、速度分布を均一にするための分散板等を挿
入し、いち早くピストンフローを実現することができれ
ば、(助走区間4の長さ)≧(管型反応器6の内径)を
満足する必要はない。
【0016】また、原料bにおいてはバッファー槽3を
経て、原料供給口(B)1から管型反応器6内へ供給さ
れる。ここで、バッファー槽3は、原料供給手段により
生じる脈動を吸収し、原料供給管5の入口において、均
一な圧力で原料供給できるような大きさを有していれば
良く、大きさならびにその形状についてはなんら限定さ
れない。
【0017】管型反応器6の内径および長さは、反応の
種類、反応時間、処理能力等の要求される条件により選
定されるが、設置する原料供給管5の本数およびその大
きさによって、その範囲が限定されてくる。原料供給管
5は、円管、三角管、四角管等の形状は限定されない
が、その入手のしやすさから、円管が望ましい。また、
本反応装置における混合機構は、2流体間の速度差から
せん断応力が発達し、流体間で運動量交換が行われるた
めであるが、この運動量交換を生むための要因として
は、流体間の速度差と流体間の接触面積が関与してい
る。この速度差を生じさせるためには、原料供給する後
述する液流量の関係は当然のことながら、それぞれの流
体が流動する流路断面積の関係も重要である。また、2
流体間で接触する面積が大きければ大きいほど、混合・
攪拌は速やかに行われ、反応生成物も均一なものとな
る。すなわち、次のように定義される流路の断面積比A
s/Ajならびに流体接触比Am/Ljは本発明の連続
反応装置を製作する上で大きな因子である。
【0018】
【数1】
【0019】例えば、円管の原料供給管5を有する管型
反応器6の場合、次のように計算される。
【0020】
【数2】
【0021】ここで、Dmは管型反応器6の内径、Dj
は原料供給口1の内径を示す。本発明者らの検討によれ
ば、混合を速やかに行うためには断面積比As/Ajが
70以下であることが望ましい。もし、断面積比As/
Ajが70より大きい場合、原料供給口1の内径は管型
反応器6に比べて非常に細くなり、圧力損失が大きくな
り付帯設備ならびに運転コストの面で不利である。さら
に、好ましくは、断面積比As/Ajが2以上20以下
であることが望ましい。断面積比が2未満の場合、2流
体間の速度差が得にくいからである。また、流体接触比
Am/Ljは30以下であることが望ましい。流体接触
比が30を越える場合、原料供給口1の内径を小さく
し、またその数を多くしなければならないために、その
加工面で難しい。さらに、好ましくは、流体接触比が1
0以下であることが望ましい。しかし、これらの断面積
比As/Ajと流体接触比Am/Ljの最適値は、反応
の種類や反応条件により若干異なってくる。たとえば、
硫酸バリウムの反応においては、断面積比As/Ajが
2以上8以下、流体接触比Am/Ljが0.5以上4以
下が最も好ましい。
【0022】本発明の連続反応装置は、以上のような管
型反応器へ、原料同士の混合・攪拌が生じるように原料
を供給する原料供給手段を有する。具体的には、送液用
ポンプ、加圧ガスによる圧送、等が用いられ、所定の条
件を満足するよう適宜調整される。即ち、本発明におい
ては、ポンプ等の原料供給手段により、原料流体は原料
供給口1、2からそれぞれ管型反応器6内へ供給される
が、原料供給口2から供給された原料aは管型反応器6
内の助走区間4を通り、生成物排出口7の方向へ流れ
る。また、原料bにおいてはバッファー槽3を経て、原
料供給管5の先端に設けられた原料供給口1から供給さ
れる。そして、管型反応器6内で原料aと原料bを混合
・攪拌させて反応させ、生成物排出口7から反応生成
物、副生物ならびに媒体が排出される。
【0023】このとき、本発明における混合・攪拌の原
理は、低速で流動する原料aへこの流速よりも速い流速
で原料bが噴出されて供給されるため、その運動量の違
いから2つの原料流体が混合・攪拌されるというもので
ある。このように、本発明では単なる2以上の原料の混
合のみでなく、流動の作用を利用した攪拌作用が生じ
る。もう少し詳細に説明すると、低速で流動する原料a
中に高速で流動する原料bが噴出される。このとき、2
流体間の接触する部分で、その速度差のためにせん断応
力が発達し、運動量の交換が行われると共に、低速の原
料aが噴流の原料bに取り込まれる。この流れの同伴
が、流体の混合・攪拌に直接的な効果があり、巨視的な
混合・攪拌がなされる。また、流れの同伴にともなって
噴流は拡大されるが、この噴流は乱流渦を惹起し、乱流
渦が噴流の流線を横切って広がり、微視的な混合・攪拌
が進む。乱流渦は流れのすべての方向に広がるが、流れ
の軸方向に主流があり、流れ方向と逆の方向への乱流渦
の伝達は微弱である。すなわち、流れ方向と逆の方向へ
の流体の移動である逆混合はほとんどないと考えて良
い。したがって、本発明における混合・攪拌の原理は、
2流体間のせん断応力を引き起こす流体の速度差が推進
力となり、噴流に伴う低速流体のとりこみによる巨視的
混合・攪拌と乱流渦による微視的混合・攪拌の2種の混
合・攪拌機構が同時に起こると考えられる。
【0024】この混合・攪拌機構を検証するために、反
応速度の非常に大きいHCl/NaOHの中和反応(反
応の速度定数は108 3 mol-1-1;Mixing in th
e Process Industries; N.HARNBY, M.F.EDWARDS, A.W.N
IENOW; Butterworth & Co(Publishers) Ltd, 1985)を用
いて、その反応の進行度をトレーサー(フェノールフタ
レイン)の脱色から目視観察する事により、その混合・
攪拌状態ならびに混合時間を測定した。具体的には、原
料aとして、0.01mol/リットルのHCl水溶
液、原料bとして、フェノールフタレインで赤色に着色
した0.01mol/リットルのNaOH水溶液を用
い、この溶液を種々の平均線流速となるように供給し、
その時の赤色の脱色状態を目視観察する事により、その
混合距離を測定した。その結果を図4に示す。
【0025】図4中、横軸は原料bが原料供給口1から
噴出されるときの原料供給口1における平均線流速Ub
から原料aの原料供給口1近傍における平均線流速Ua
を引いた2流体間の速度差Ub−Ua(スリップ速
度)、縦軸には原料供給口1からトレーサーの赤色が消
滅するまでの距離(混合距離)を示している。また、R
−1,R−3,R−4は反応器の種類を示す(表1参
照)。この結果からもわかるように、本発明の連続反応
装置において2流体の混合・攪拌を速やかに行うために
は、スリップ速度が10cm/sec以上であることが
必要である。つまり、スリップ速度が10cm/sec
未満の場合、流体間の速度差から生じるせん断応力の発
達が不十分であるために、噴流が長く伸び、混合・攪拌
が速やかに行われていないことがわかる。さらに、スリ
ップ速度が非常に大きい場合、混合・攪拌という目的に
おいては望ましいが、供給時の液流量が多くなり、圧力
損失、配管摩耗等の装置的問題から望ましくない。した
がって、好ましくはスリップ速度が10cm/sec以
上500cm/sec以下であることが望ましい。これ
らを前記の原料供給手段により調整する場合、通常、ポ
ンプの回転速度を変化させたり、加圧ガスの圧力を変化
させる、等すればよい。
【0026】本発明の連続製造方法は、以上のような連
続反応装置を用いて、好適に行うことができる。以下、
本発明の製造方法について詳細に説明する。原料の供給
は、例えば、原料xとyとzを反応させて水難溶性塩を
製造する場合、以下のような態様が挙げられる。 1)xとyとzを独立して供給する場合。ただし、x,
y,zは各々少なくとも1ヶ所以上の供給口から供給す
る。 2)xとyの混合物とzを独立して供給する場合。ただ
し、xとyの混合物、zは各々少なくとも1ヶ所以上の
供給口から供給する。 3)2)と同様に、yとzの混合物とxを各々独立して
供給する。 4)2)と同様に、zとxの混合物とyを各々独立して
供給する。これらのうち、1)については、前述の装置
に更に原料供給口をもう1つ以上設ける必要があるが、
その場合、追加する原料供給口の位置は、反応系の性状
により管型反応器の端部またはその下流側に設ければよ
い。
【0027】本発明でいう水難溶性塩とは、Chem. Eng.
Technol. vol. 11 P.264 〜276(1988) に記載されてい
る、反応時等における相対過飽和度σが、1〜1000
であるような塩をいう。ただし、相対過飽和度とは次式
で表されるものである。
【0028】
【数3】
【0029】本発明の水難溶性塩の連続反応は、相対過
飽和度が1〜1000であるような瞬間反応により水難
溶性塩を得るものであり、好ましくは、本連続反応装置
の混合特性から、相対過飽和度が5〜500が望まし
い。さらに好ましくは、10〜200が最も望ましい。
相対過飽和度が1未満の場合、水難溶性塩の反応では、
非常に希薄な反応濃度となるため、生産効率が極端に低
いものとなり、製造コスト面で不利である。また、相対
過飽和度が1000を越える場合、水難溶性塩の反応の
なかでも反応速度が速いものであり、このような反応を
行うためには2流体間の速度差を非常に大きいものと
し、すばやく混合する必要がある。しかし、速度差を非
常に大きくするに伴い、圧力損失が大きくなり、送液用
の設備および動力が大きくなりコスト的に不利になるた
めである。
【0030】このように、相対過飽和度が1〜1000
となるような反応のための原料としては、例えば、 アルカリ;Ca(OH)2 ,Ba(OH)2 酸 ;HF,H2 SO4 ,H2 CO3 塩 ;BaCO3 ,BaCl2 ,K2 CO3 ,Ag
NO3 ,KCl,NaClO4 ,MgCl2 ,Na2
2 4 ,Ba(NO3 ) 2,NH4 F,NiSO4 ,(N
4 2 SO4 ,Na2 SO4アルコキサイト゛ ;Ti(OC2 5 4 等を水、低級アルコール(例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等)等に溶解して溶液(原料流
体)にしたものが用いられる。
【0031】本発明では、これらを適宜組み合わせるこ
とにより、相対過飽和度が1〜1000となるようにす
るが、σが10〜200であるような原料の組み合わせ
を具体的に示すと、以下の(イ)〜(ヘ)のようにな
る。
【0032】
【化1】
【0033】このように、本発明の製造方法によると、
管型反応器に駆動部あるいは攪拌部を有さない装置を用
いているにもかかわらず、異種の流体を接触させた後に
すばやく均一な混合流体とすることが可能である。しか
も、管型反応器内での逆混合がほとんどないために滞留
時間分布が非常に狭く保たれている。さらに、反応器内
全体を見た場合、混合・攪拌された流体はピストンフロ
ーとなっており、反応生成物を含む流体はすみやかに反
応器外へ排出されるために、滞留時間が短く、従って定
常状態に至る迄の時間も短いという特徴を有している。
これらの特徴により、本発明によると反応速度の非常に
大きい水難溶性塩を生成する反応でも、均一な品質(粒
径、結晶形状等)の生成物を連続的に製造することがで
きる。
【0034】以上、本発明の好ましい態様について説明
したが、本発明では前記のような図2,図3に示すよう
な反応器を用いてもよく、これらの場合、次のような混
合・攪拌の作用が生じる。図2の管型反応器の管壁接線
方向から原料を供給し、旋回流を形成しながら生成物排
出口の方へ流れていくタイプでは、旋回流によって反応
器内に渦を形成することで混合・攪拌が促進され均一な
反応場を形成したのち、生成する反応生成物を滞留させ
ることなく反応器から連続的に排出することができる。
また、図3は管型反応器の閉じた壁面に向かって原料を
噴出させるタイプであるが、原料と壁面の衝突により、
流体の流れの方向が急激に変化するために、複雑な速度
分布状態が形成されることで混合・攪拌が行われ、同様
に反応生成物を滞留させることなく連続的に排出するこ
とができる。本発明は、以上の実施態様に限定されるも
のではなく、特許請求の範囲内で種々の変形が可能であ
ることは言うまでもない。
【0035】
【実施例】本発明の内容を一層理解し易くするために、
以下に実施例、比較例を挙げて更に詳細に説明する。実
施例で用いた連続反応装置の構成の概略を図5に、反応
器の寸法等を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】実施例1〜4 特級試薬 塩化バリウム2水塩1465.7gをイオン
交換水200リットルに溶解した0.03mol/リッ
トルの塩化バリウム溶液(原料b)と、特級試薬 硫酸
585gをイオン交換水200リットルに溶解した0.
03mol/リットルの硫酸溶液(原料a)を原料槽に
用意し、60℃まで昇温した。60℃になったところ
で、予め充液(イオン交換水)し、60℃に予熱してお
いた反応器にポンプを用いて供給し、流量計で液流量を
設定した。ポンプ作動開始から10秒おきにサンプリン
グを行い、平均粒径を測定した。反応が安定したところ
で、反応生成物硫酸バリウムを含んだ塩酸水溶液を受液
槽にすべて受けた。次いで、常温まで冷却し、5Cの濾
紙(東洋濾紙(株)製)で濾過してイオン交換水で十分
に水洗後、乾燥させた。こうして得られた硫酸バリウム
粉末の粒度分布を測定(堀場(株)製,粒度分布測定装
置LA−700)した。その結果を原料供給条件と併せ
て表2に示す。なお、粒度分布を示す指標として、個数
基準による平均粒径D50とσg(σg=D84/D50,D
50;個数基準の50%粒径,D84;個数基準のアンダー
サイズ84%に対応する粒径)を用いた。なお、実施例
の1〜4いずれにおいても、10μm以上の粒子は0.
1%以下であった。
【0038】
【表2】
【0039】実施例5〜6 特級試薬 塩化バリウム2水塩488.56gと水酸化
バリウム8水塩315.5gをイオン交換水200リッ
トルに溶解した0.015mol/リットルのバリウム
溶液(原料a)と、特級試薬 硫酸294gをイオン交
換水200リットルに溶解した0.015mol/リッ
トルの硫酸溶液(原料b)を原料槽に用意し、60℃に
なったところで、予め充液(イオン交換水)し60℃に
予熱しておいた反応器にポンプを用いて供給し、流量計
で液流量を設定した。ポンプ作動開始から10秒おきに
サンプリングを行い、平均粒径を測定した。反応が安定
したところで、反応生成物硫酸バリウムを含んだ塩酸水
溶液を受液槽にすべて受けた。次いで、常温まで冷却
し、5Cの濾紙で濾過してイオン交換水で十分に水洗
後、乾燥させた。こうして得られた硫酸バリウム粉末の
粒度分布を測定(堀場(株)製,粒度分布測定装置LA
−700)した。その結果を原料供給条件と併せて表3
に示す。なお、粒度分布を示す指標として、平均粒径D
50とσg(前記と同じ内容)を用いた。なお、実施例の
5〜6いずれにおいても、10μm以上の粒子は0.1
%以下であった。
【0040】
【表3】
【0041】実施例7〜8 特級試薬 塩化バリウム2水塩488.56gと水酸化
バリウム8水塩315.5gをイオン交換水200リッ
トルに溶解した0.015mol/リットルのバリウム
溶液(原料a)と、特級試薬 硫酸294gをイオン交
換水200リットルに溶解した0.015mol/リッ
トルの硫酸溶液(原料b)を原料槽に用意し、60℃に
なったところで、予め充液(イオン交換水)し60℃に
予熱しておいた反応器にポンプを用いて供給し、流量計
で液流量を設定した。ポンプ作動開始から10秒おきに
サンプリングを行い、平均粒径を測定した。反応が安定
したところで、反応生成物硫酸バリウムを含んだ塩酸水
溶液を受液槽にすべて受けた。次いで、常温まで冷却
し、5Cの濾紙で濾過してイオン交換水で十分に水洗
後、乾燥させた。こうして得られた硫酸バリウム粉末の
粒度分布を測定(堀場(株)製,粒度分布測定装置LA
−700)した。その結果を原料供給条件と併せて表4
に示す。なお、粒度分布を示す指標として、平均粒径D
50とσg(前記と同じ内容)を用いた。なお、実施例の
7〜8いずれにおいても、10μm以上の粒子は0.1
%以下であった。
【0042】
【表4】
【0043】実施例9 ゼオライトにより脱水したエタノール1リットルに対し
て、特級試薬のTi(OCH2 CH3 4 を5.7gの
割合で調製した溶液(原料a)と、2wt%含水エタノ
ール(原料b)を原料槽に用意し、30℃になったとこ
ろで、予め充液(イオン交換水)し30℃に予熱してお
いた反応器にポンプを用いて供給し、流量計で液流量を
設定した。ポンプ作動開始から10秒おきにサンプリン
グを行い、平均粒径を測定した。反応が安定したところ
で、反応生成物であるTiO2 を含んだエタノール溶液
を受液槽にすべて受けた。次いで、ポアサイズ0.2μ
mのメンブランフィルター(東洋濾紙(株)製)で濾過
してイオン交換水で十分に水洗後、乾燥させた。こうし
て得られたTiO2 粉末の粒度分布を測定(堀場(株)
製,粒度分布測定装置LA−700)した。その結果を
原料供給条件と併せて表5に示す。なお、粒度分布を示
す指標として、平均粒径D50とσg(前記と同じ内容)
を用いた。
【0044】
【表5】
【0045】比較例1 特級試薬 塩化バリウム2水塩2.44gと水酸化バリ
ウム8水塩1.58gをイオン交換水1リットルに溶解
した0.015mol/リットルのバリウム溶液を、2
リットルのセパラブルフラスコに仕込み、またそれにセ
ットした1リットル滴下ロートには、特級試薬の硫酸
1.47gをイオン交換水1リットルに溶解した0.0
15mol/リットルの硫酸溶液を仕込んだ。バリウム
溶液、硫酸溶液ともに60℃まで昇温した後、テフロン
製攪拌翼にて200rpmでセパラブルフラスコ内を攪
拌しながら硫酸溶液を1分で投入し、得られた結晶は5
Cの濾紙で濾過してイオン交換水で十分に水洗後、乾燥
させた。この結晶は、平均粒径1.6μm、実施例1と
同様に定義されるσg=3.0で粒径分布の広い物であ
った。
【0046】比較例2 特級試薬 塩化バリウム2水塩488.56gと水酸化
バリウム8水塩315.5gをイオン交換水200リッ
トルに溶解した0.015mol/リットルのバリウム
溶液と、特級試薬 硫酸294gをイオン交換水200
リットルに溶解した0.015mol/リットルの硫酸
溶液を原料槽に用意し、60℃になったところで、予め
充液(イオン交換水)し60℃に予熱しておいたステン
レス製の20リットル連続槽型反応器に、ポンプを用い
て各々2リットル/分の流速で供給した。ポンプ作動開
始から10秒おきにサンプリングを行い、平均粒径を測
定した。反応が安定したところで、反応生成物硫酸バリ
ウムを含んだ塩酸水溶液を受液槽にすべて受けた。次い
で、常温まで冷却し、5Cの濾紙で濾過してイオン交換
水で十分に水洗後、乾燥させた。この場合、得られる結
晶の粒径が定常値に達するまで5分を要した。また得ら
れた結晶は平均粒径2.1μm、実施例1と同様に定義
されるσg=2.5であったが、実施例1、2及び比較
例1では見られなかった10μm以上の巨大粒子を1.
8%含んでいた。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、顔料、化粧品および添
加剤等に適した、大きさの揃った水難溶性塩である硫酸
バリウムを連続的に製造することができる。また、本発
明の連続反応装置は、反応器内部に攪拌部や駆動部を有
しないにもかかわらず、反応原料となる流体をすばやく
混合・攪拌して反応させ、反応生成物を反応器内に滞留
させることなく連続的に排出できるため、装置の簡素化
ならびに小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の連続反応装置の反応器部の一
例を斜視図により示したものである。
【図2】図2は、本発明の連続反応装置の反応器部の一
例を斜視図により示したものである。
【図3】図3は、本発明の連続反応装置の反応器部の一
例を斜視図により示したものである。
【図4】図4は、速度差Ub−Ua(スリップ速度)と
原料供給口1からトレーサーの赤色が消滅するまでの距
離(混合距離)の関係を示したものである。
【図5】図5は、実施例で用いた本発明の連続反応装置
の構成の概略を示したものである。
【符号の説明】
1 原料供給口(B) 2 原料供給口(A) 3 バッファー槽 4 助走区間 5 原料供給管 6 管型反応器 7 生成物排出口 8 端部 9 原料供給管 11 原料槽(原料a) 12 原料槽(原料b) 13 送液用ポンプ 14 流量計 15 受液槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B01J 14/00 C01F 11/46

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管型反応器内で原料同士の混合・攪拌が
    生じるように、2種以上の原料を独立して連続的に該反
    応器内に供給して原料を反応させ、生成する反応生成物
    を滞留させることなく反応器から連続的に排出する硫酸
    バリウムの連続製造方法であって、2種以上の原料のう
    ち、少なくとも1種の原料(a)は管型反応器の端部に
    設けた一の原料供給口(A)から供給し、他の原料
    (b)は該端部またはその下流側に設けた少なくとも一
    以上の他の原料供給口(B)から供給するものであり、
    かつ該管型反応器の下記式で定義される断面積比As/
    Ajを2以上8以下、および流体接触比Am/Ljを
    0.5以上4以下とし、相対過飽和度(σ)が10〜2
    00となる反応を行なうことを特徴とする、硫酸バリウ
    の連続製造方法。
  2. 【請求項2】 管型反応器の端部に設けられた一の原料
    供給口(A)から下流側に所定の距離をおいて下流側の
    方向に配設された少なくとも一以上の他の原料供給口
    (B)から、他の原料(b)を供給するものであって、
    該原料供給口(B)における他の原料(b)の平均線流
    速が、管型反応器内を流れる原料(a)の原料供給口
    (B)近傍における平均線流速より10cm/sec以
    上大きいものである請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 2種以上の原料を反応させて硫酸バリウ
    を連続的に製造する連続反応装置において、管型反応
    器と、該反応器に独立して設けられた2以上の原料供給
    口と、反応生成物を連続的に排出する生成物排出口を備
    え、該反応器内で原料同士の混合・攪拌が生じるように
    原料を供給する原料供給手段を有してなり、前記原料供
    給口が該管型反応器の端部に設けられた原料供給口
    (A)および該端部またはその下流側に設けられた原料
    供給口(B)から構成され、かつ該管型反応器の下記式
    で定義される断面積比As/Ajを2以上8以下、およ
    び流体接触比Am/Ljを0.5以上4以下とし、相対
    過飽和度(σ)が10〜200となる反応に使用される
    ことを特徴とする、硫酸バリウムの連続製造装置。
  4. 【請求項4】 原料供給口(B)が、管型反応器の端部
    に設けられた一の原料供給口(A)から下流側に所定の
    距離をおいて下流側の方向に配設されており、原料供給
    手段が、原料供給口(B)における他の原料(b)の平
    均線流速が原料供給口(A)から供給された原料(a)
    の原料供給口(B)近傍における平均線流速より10c
    m/sec以上大きくなるように原料を供給するもので
    ある請求項記載の連続製造装置。
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