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JP2963466B2 - フッ素樹脂系フィルム被覆セメント成形物の製造方法およびその製造用部材 - Google Patents
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JP2963466B2 - フッ素樹脂系フィルム被覆セメント成形物の製造方法およびその製造用部材 - Google Patents

フッ素樹脂系フィルム被覆セメント成形物の製造方法およびその製造用部材

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JP2963466B2 JP17411789A JP17411789A JP2963466B2 JP 2963466 B2 JP2963466 B2 JP 2963466B2 JP 17411789 A JP17411789 A JP 17411789A JP 17411789 A JP17411789 A JP 17411789A JP 2963466 B2 JP2963466 B2 JP 2963466B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、耐候性,耐大気汚染性,耐薬品性に優れ、
特に屋外および屋内の耐久性を必要とされている広範囲
の用途に好適なフッ素樹脂系フィルム被覆セメント成形
物の製造方法およびその製造用部材に関する。
[従来の技術] 従来、セメント成形物(以下、コンクリート構造物お
よびセメント製品を総称してセメント成形物という)
は、耐久性のある長期間の使用に耐えられるものとし
て、広範囲に大量に利用され、しかも、道路,橋梁,鉄
道や建築物などの社会資本や公共物としても利用されて
おり、国民生活にとって非常に重要なものとなってい
る。
しかしながら、長期間の使用に耐えられるものと考え
られていたこれらのセメント成形物は、使用開始後、様
々な要因によって、劣化や老朽化が始まり、長期間の使
用に耐えられるものとしての利用に限界が生じてきてい
る。この様な劣化や老朽化の要因としては、コンクリー
トの中性化、塩素イオンの浸透、凍害、アルカリ骨材反
応などによるコンクリートの剥離や欠損、鉄筋の発錆や
破断などが、具体的な現象として認められている。そし
て、これらの要因を引き起こす主な原因として、また最
も問題となっていることは、コンクリートの外部から供
給された二酸化炭素,塩素,酸素などの物質がコンクリ
ート内部へと浸透していくことにより、鉄筋が発錆ない
しは破断することが挙げられる。従って、セメント成形
物を長期間の使用に耐えられるものとして使用していく
ためには、これらの二酸化炭素,塩素,酸素などの物質
の浸透を食い止める必要がある。
[発明が解決しようとする課題] 一般に、上記の二酸化炭素,塩素,酸素などの物質が
コンクリート内部へ浸透するのを防止する方法として
は、作業の簡便さから、塗膜や塗膜防水を始めとする被
覆材の塗装が行なわれている。しかしながら、塗装で
は、セメント成形物の表面が必ずしも平滑ではないの
で、塗膜にピンホールなどができたり、また、塗膜の膜
厚が不均一であるために、上記の様な有害な物質の浸透
を防止する効果が不十分になったりする。更に、膜厚が
不均一であるために、セメント成形物の変形に追従する
ことができないために、局部的なわれや剥離が生じたり
する。特に、作業者の塗装技術の差により、その被塗装
物の性能は大きく左右される。
更に、塩化ビニル樹脂系やエポキシ樹脂系などの一般
の塗装材料では、セメント成形物が置かれている厳しい
環境(日光,海水,凍結,塵埃など)に対する長期の耐
久性が乏しいため、長期間の使用に耐えることが望まれ
るセメント成形物の被覆材料としては不適切であり、特
に耐候性を有する外壁用セメント成形物の開発が望まれ
ている。
本発明は、この様な従来の欠点を改善するためになさ
れたものであり、耐候性,耐大気汚染性,耐薬品性に優
れたフッ素樹脂系フィルム被覆セメント成形物の製造方
法を提供することを目的とするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、上記問題点を鑑み、セメント成形物を
高い水準で維持管理し、しかも、これまでよりも長い寿
命で長期間の使用に耐えられることを目的として、鋭意
検討努力した結果、耐候性,耐大気汚染性,耐薬品性に
優れたフッ素系樹脂を主成分とするフィルムを表面層と
してセメント成形物を被覆して保護することにより、セ
メント成形物の耐久性を向上することができることを見
い出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、外枠にアンカー層、補強用基材
層及びフッ素系樹脂を主成分とするフィルムからなる積
層体をフィルム面が接する様に仮止めし、次いで前記積
層体を仮止めした外枠を少なくとも一面に用いて内面に
アンカー層を有する打設型枠を組立てた後、該打設型枠
内にセメント成形物の混練り物を打込み、硬化後外枠を
取り外しセメント成形物と積層体を一体に形成すること
を特徴とするフッ素樹脂系フィルム被覆セメント成形物
の製造方法である。
また、本発明は、外枠にアンカー層、補強用基材層及
びフッ素系樹脂を主成分とするフィルムからなる積層体
をフィルム面が接する様に仮止めしてなることを特徴と
するフッ素樹脂系フィルム被覆セメント成形物の製造用
部材である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、耐候性,耐大気汚染性,耐薬品性に優れた
フッ素系樹脂系フィルムを表面層として使用し、該フッ
素樹脂系フィルムでセメント成形物を被覆保護すること
を特徴とするものであるが、フッ素樹脂系フィルムとし
てはフッ素系樹脂を50重量%以上、好ましくは60重量%
以上含有するものが用いられる。50重量%未満では、セ
メント成形物の耐候性,耐大気汚染性,耐薬品性等の効
果が十分に得られない。使用されるフッ素系樹脂として
は、例えばフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロ
エチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオ
ロプロピレン、フッ化ビニルのホモポリマーおよび共重
合体が挙げられる。共重合体としては、例えばフッ化ビ
ニリデンとテトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビ
ニリデンとヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレ
ンとテトラフルオロエチレンの共重合体、テトラフルオ
ロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体等が
挙げられる。
フッ素系樹脂には接着性等の他の性能を付与する目的
でフッ素系樹脂と相溶性のある樹脂を混合して用いるこ
とができる。例えばフッ化ビニリデンと相溶性のある樹
脂としてはメタクリル酸エステル系樹脂が挙げられる。
メタクリル酸エステル系樹脂とはメタクリル酸メチル
(MMA)のホモポリマー又はメタクリル酸メチルと共重
合可能な単量体との共重合体及びポリメタクリル酸メチ
ルとアクリル系ゴムとのブレンド物等をいう。共重合可
能な単量体としては炭素数2〜4のメタクリル酸エステ
ル、アクリル酸ブチルをはじめとする炭素数1〜8のア
クリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、ア
クリロニトリル、アクリル酸、その他のエチレン性不飽
和モノマー等がある。フッ素樹脂系フィルムに含有され
るフッ素系樹脂以外の上記の樹脂の含有量は、使用樹脂
全体量中の50重量%以下である。好ましいフッ素樹脂系
フィルムとしては、フッ化ビニリデン100〜50重量%と
メチルメタクリレート0〜50重量%を主成分とする組成
物が挙げられる。
また、フッ素樹脂系フィルムには、必要に応じて、顔
料、紫外線吸収剤、安定剤、充填剤および加工助剤等を
添加することができる。
フッ素樹脂系フィルムに使用することのできる顔料と
しては、無機系顔料及び有機系顔料のいずれでもよい。
無機系顔料としては、例えば2種以上の金属酸化物が焼
成により新しい結晶構造を形成し、結晶場分裂により発
色するといわれる複合酸化物系無機顔料を主な有色顔料
として使用できる。主な複合酸化物系無機顔料には、Ti
O2・Sb2O3・BaO・NiO・Cr2O3を主成分とするルチル型や
ブリデライト型結晶のチタンイエロー系、ZnO・Fe2O3
Cr2O3を主成分とするスピネル型結晶の亜鉛−鉄系ブラ
ウン、CoO・Al2O3・Cr2O3を主成分とするスピネル型結
晶のコバルトブルー系、TiO2・CoO・NiO・ZnOを主成分
とするグリーン系、CuO・Cr2O3やCuO・Fe2O3・Mn2O3
主成分とするスピネル型のブラック系、CuOやMn2O3から
なるバイオレット系等がある。そしてこれらの有色顔料
とともにルチル型酸化チタン、亜鉛華、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、その他の無機系顔料が使用できる。
また有機系顔料としては、例えば下記に示す顔料が挙
げられる。
○モノアゾ顔料 アゾレーキ系 レーキレッドC ウオッチャンレッド プリリアントカーミン6B ベンズイミダゾロン系 PVオレンジHL ○ジスアゾ顔料 ジアリライドイエロー系 パーマネントイエローHR ピラゾロン系 ベンジジンレッド ○縮合アゾ顔料 縮合アゾ系 縮合アゾイエロー 縮合アゾレッド ○多環系顔料 キナクリドン系 キナクリドンレッド ジオキサジン系 ジオキサジンバイオレット イソインドリノン系 イエロー3RLT バット系 ペリレンレッド ペリノンオレンジ インダスロンブルー フタロシアニン系 フタロシアニンブルー フタロシアニングリーン フッ素樹脂系フィルムに使用する樹脂への顔料添加量
は、樹脂100重量部に対して、0〜100、好ましくは1〜
50重量部である。100重量部を越えるとフィルム強度が
低下する。また、フッ素樹脂系フィルムの補強のために
用いられる補強用基材層を保護するためには、顔料を添
加し、いんぺい力をもたせることが好ましい。
また、紫外線吸収剤といては、フッ素樹脂系フィルム
に使用する樹脂と相溶性のあるものであればよく、揮散
を防ぐためには、高分子量の紫外線吸収剤が好ましい。
紫外線吸収剤の例としては、ベンゾトリアゾール系、オ
キザリックアッシド系、ベンゾフェノン系、ヒンダード
アミン系及びその他多くの種類の公知のものが使用でき
る。更に具体的には、2−(3,5−ジ−アロファージメ
チルベンジル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリア
ゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシ
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル
−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ
ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2
−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−エトキシ−2′−エチ
ルオキザックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5
−t−ブチル−2′−エチルオキザックアシッドビスア
ニリド、2−ヒドロキシ−4−n−オクトオキシベンゾ
フェノン、ビス(1,2,2,6,6−ペンチメチル−4−ピペ
リジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)セバケート、ジメチル−2−(4−
ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジ
ル)エタノール、1−[2−3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−
2,2,6,6−T−テトラメチルピペリジン等がある。紫外
線吸収剤の添加量は樹脂100重量部に対し、0.1〜15重量
部、好ましくは0.5〜5重量部である。添加量が0.1重量
部未満では紫外線吸収量が少ないので、紫外線保護とし
ての性能が不十分となり、また15重量部を越えても効果
が変わらなく、しかもコストが高くなる。
フッ素樹脂系フィルムの厚さは、その目的とするセメ
ント成形物の耐候性付与および大気や外部からの有害性
物質の浸透阻止のため、0.1〜500μmの範囲であり、好
ましくは1〜200μmである。また、フッ素樹脂系フィ
ルムは単層でも、或いは2層以上の積層体でもよい。例
えばフッ素系樹脂の含有量の異なる2層のフィルムを積
層したものでもよい。
また、上記のフッ素樹脂系フィルムで被覆して保護さ
れるセメント成形物としては、コンクリート構造物およ
びセメント製品等であるが、例えば外壁材(カーテンウ
オール)、屋根材、内壁材等の屋外,屋内を問わず広範
囲に使用されているセメント成形物が挙げられる。特
に、上記のフッ素樹脂系フィルムは屋外に暴露され劣化
しやすいセメント成形物の保護に適している。
次に、本発明において使用されるフッ素樹脂系フィル
ムの補強用基材層(以下、基材層と記す)としては、
(1)熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を主成分とする
フィルム,シートおよび板状物、(2)金属板、(3)
ゴム製品、(4)不織布,織物およびテント地等が挙げ
られる。
熱可塑性樹脂としては一般的な熱可塑性樹脂が用いら
れ、例えばメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネ
ート、塩化ビニル(硬質、軟質)、ABS樹脂、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、塩ビ−酢酸ビニル共重合体、ポ
リスチレン、耐衝撃ポリスチレン、ポリアミド、ポリア
セタール、ポリカーボネート、ポリカーボネート−ABS
アロイ、ポリカーボネート−AESアロイ、変性PPE、ポリ
エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコー
ル、AES、AAS、フェニルマレイミド系ABS、ポリフェニ
レンサルファイド、ポリアリレート、ポリエーテルサル
ホン、ポリイミド、ポリスルホン等の樹脂が用いられ
る。
熱硬化性樹脂としては一般的な熱硬化性樹脂が用いら
れ、例えばフェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン樹
脂、ホルムアルデヒドおよびケトン樹脂、メラミン樹
脂、アニリン樹脂、スルホンアミド樹脂、アルミド樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げら
れる。
さらに、基材層を形成する上記の熱可塑性樹脂の中で
フッ素樹脂系フィルムとの接着性を考えるとメタクリル
酸エステル系樹脂及びメタクリル酸エステル系樹脂とフ
ッ化ビニリデン樹脂の混合物が好ましく、具体的にはメ
チルメタクリレート100〜50重量%とフッ化ビニリデン
0〜50重量%を主成分とする組成物が好ましい。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化樹脂は前記の顔料
及び紫外線吸収剤やその他安定剤、充填剤、加工助剤、
ガラス繊維、炭素繊維及びチタン酸カリウム繊維等を併
用することができる。
また、熱可塑性樹脂成形物としては発泡体のフィル
ム、シートおよび板状物を用いることもできる。
金属板としては、例えば鋼板、亜鉛処理鋼板、ブリキ
板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム箔
等である。フッ素樹脂系フィルムと金属板の接着は、通
常エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系等
の一般的接着剤が使用できる。
ゴム成形品としては、一般的な合成ゴムおよび天然ゴ
ム成形品が用いられる。例えば、SBR、NBR、ブチルゴ
ム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、
イソプレンゴム等の成形物が挙げられる。
不織布、織物およびテント地としてはそのままフッ素
樹脂系フィルムに積層して用いられるが、これらと熱可
塑性樹脂との複合物として用いてもよい。
基材層はフッ素樹脂系フィルムを補強することができ
ればよく、その厚さは特に制限はないが、作業性と経済
性の点からおのずと限定される。一般的には0.005mm〜2
0mmであり、好ましくは0.01mm〜10mmである。また、基
材層は2種以上の異なる樹脂組成からなる積層体で構成
されていてもよい。
次に、本発明においてはアンカー層が用いられるが、
アンカー層はセメント成形物に基材層およびフッ素樹脂
系フィルムを接着剤を用いることなく固定するために使
用される。アンカー層は基材層の裏面層にスポット状又
は連続状に形成され、後述のセメント成形物の混練り物
を打ち込んで本発明の樹脂被覆セメント成形物を製造す
る方法に適するものである。
アンカー層を形成する構成物としては熱可塑性樹脂成
形物、金属成形物および繊維状物等がある。
アンカー層の形状は基材層とセメント成形物が強固に
固着されるものであればよく、形状としては特に制限は
ないが、例えば柱状、板状、網状等が挙げられる。その
具合的な形状の一例を第1図〜第3図に示す。
また、アンカー層の厚さは特に制限はないが、通常1
〜100mm、好ましくは5〜30mmの範囲のものが用いられ
る。アンカー層と基材層との接合は通常接着剤の使用又
は熱接着によって接合されるが、基材層とアンカー層を
同時に一体成形することもできる。網状物としては、例
えば高密度ポリエチレン製ネットが用いられる。
また、本発明においては、樹脂被覆セメント成形物の
製造中および輸送中にフッ素樹脂系フィルムをキズ等の
外傷から保護するために保護層が用いられる。保護層は
フッ素樹脂系フィルムの上に設けられるが、保護層には
一般的に使用されている熱可塑性樹脂フィルムの片面又
は両面に粘着剤を付加したものが用いられ、また熱可塑
性樹脂フィルム自身に粘着力のあるものは粘着剤なしで
使用できる。熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えばポ
リエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエ
ステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニ
ルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコール共重
合フィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニリデンフィル
ム、塩化ビニルフィルム、セロファン、アクリロニトリ
ル系フィルム等が挙げられる。
次に、フッ素樹脂系フィルムの製造方法について述べ
る。本発明におけるフッ素樹脂系フィルムは1層もしく
は2層以上で構成され、その製造方法については特に制
限はないが、一般的には溶融押出成形にて実施する方法
が用いられる。溶融押出成形には一般的に使用されてい
る単軸押出機の他、2軸押出機も使用されるが、2層以
上の構成の場合には複数の層を一体に結合する共押出成
形法を採用するのが好ましい。
複数の押出成形機を利用して樹脂を溶融状態で接着せ
しめて多層とするT−ダイ使用の共押出成形法にはマル
チマニホールドダイと称し、複数の樹脂層をフィルムの
状態にした後、接蝕させて接着する方法と、複数の樹脂
を接着後、フィルム状に拡げる方法がある。又インフレ
ーション成形法と称し、丸型ダイを使用する方法でも多
層フィルムが成形できる。
また、フッ素樹脂系フィルムおよび基材層の樹脂成分
中に無機系顔料、紫外線吸収剤等の添加剤を混入する方
法としては特に制限はないが、例えば樹脂と添加剤をあ
らかじめ混合しておき、一般に使用される単軸押出機を
使用して溶融混練する方法でもよい。
また、基材層は1層もしくは2層以上で構成され、製
造方法については特に制限はないが、フッ素樹脂系フィ
ルムと同様の方法が用いられる。
フッ素樹脂系フィルムと基材層の積層体の製造方法
は、フッ素樹脂系フィルムと基材層を別々に製造し、熱
圧着等により一体化することもできるが、共押出装置に
よりフッ素樹脂系フィルムと基材層を同時に共押出成形
することもできる。
さらに、アンカー層、基材層およびフッ素樹脂系フィ
ルムの積層体の製造方法の省力化の方法として、フッ素
樹脂系フィルム、基材層およびアンカー層を同時に成形
する方法も用いられる。
次に、本発明の樹脂被覆セメント成形物の製造方法に
ついて説明する。なお、本発明において用いられるセメ
ント成形物とは前述のとおりコンクリート構造物および
セメント製品等であるが、その中にはポルトランドセメ
ント、アルミナセメント、混合セメントをはじめとする
セメント硬化体のみならず、高温高圧処理にて得られる
ケイ酸カルシウム硬化体をも含んでいる。
本発明の樹脂被覆セメント成形物の製造方法は、打設
前に型枠の内側に前もってフッ素樹脂系被覆材を設置し
ておいてから、セメント成形物の混練り物を打設し、硬
化した後、型枠を取り外すことによってセメント成形物
の表面に該フッ素樹脂系被覆材を設置する方法(以下、
先付け工法という)により行なわれる。なお、フッ素樹
脂系被覆材とは、フッ素樹脂系フィルム/基材層/アン
カー層を表わす。
次に、先付け工法は、打設型枠の内側に前もってフッ
素樹脂系被覆材を仮止めし、セメント成形物の混練り物
を打設し、硬化せしめてセメント成形物の表面にフッ素
樹脂系被覆材を設置する方法で、具体的には、外枠にア
ンカー層、基材層及びフッ素樹脂系フィルムからなる積
層体をフィルム面が接する様に仮止めし、次いで前記積
層体を仮止めした外枠を少なくとも一面に用いて内面に
アンカー層を有する打設型枠を組立てた後、該打設型枠
内にセメント成形物の混練り物を打込み、硬化後外枠を
取り外しセメント成形物と積層体を一体に形成する方法
である。この方法は、現場における作業としては、後付
け工法よりも工程的に有利である。
打設型枠にフッ素樹脂系被覆材を仮止めする方法とし
ては、後でセメント成形物とともに打設型枠からはがす
必要性から、はがしやすい接着剤や両面テープなどを用
いるのが好ましい。はがしやすい接着剤や両面テープと
は、その接着成分がグルコース系ポリマー(デンプン、
デキストリンなど)、ポリマーラテックス(ポリ塩化ビ
ニル、エチレン−酢ビ重合体、ポリビニル−酢ビ共重合
体など)、水溶性高分子(ポバール、メチルセルロース
など)などから成るものが例として挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。また、これらを主成分と
する接着剤でも、強い接着力を有するものは好ましくな
い。いずれにしても、後ではがしやすいものを用いるこ
とが肝要である。
次に、フッ素樹脂系被覆材を仮止めした打設型枠内に
セメント成形物の混練り物を打設することによって、こ
のフッ素樹脂系被覆材をセメント成形物の表面に設置す
る。この場合の設置方法は、フッ素樹脂系被覆材にアン
カー層を設ける方法により行なう。
また、アンカー層は、フッ素樹脂系被覆材とセメント
成形物とを物理的に密着させるものであり、その形状や
大きさ、材質などには制限はない。例としては、前述し
た様に、樹脂系や金属系の突起物をフッ素樹脂系被覆材
の裏面に接着したものや、樹脂系突起物を溶着したも
の、あるいはフッ素樹脂系被覆剤と一体成形したものな
どがある。
次に、第4図にアンカー層を用いた先付け工法に使用
する樹脂被覆セメント成形物の製造用部材の一例を示
す。同図に示す部材は、外枠9にアンカー層3、基材層
2、フッ素樹脂系フィルム1および保護層4からなる積
層体を保護層4を介してフッ素樹脂系フィルム面が接す
る様にXの位置で仮止めしてなるものである。この積層
体を仮止めした外枠からなる部材を打設型枠の少なくと
も一面に用いて、打設型枠の内面にアンカー層を有する
様に組立てた後、該打設型枠内にセメント成形物の混練
り物を打込んで先受け工法を行なう。セメント成形物の
硬化後、保護層4と共に外枠9を取り外す。
以上の工法(先付け工法)にて、建設現場でセメント
成形物とフッ素樹脂系被覆材との組み合わせ作業を行な
うが、作業中、フッ素樹脂系フィルムに傷が付くのを防
止するために、該フッ素樹脂系フィルムの表面に保護層
として保護用フィルムを併用しておくのが好ましい。こ
の保護層は、先付け工法の場合に、仮止め用接着剤の付
着を防止する。更に、先付け工法の場合、セメント成形
物の脱型時に、打設型枠とのはくり面を保護層とフッ素
樹脂系被覆材との間に設けると、比較的簡単に剥離が行
なえて、フッ素樹脂系フィルムの表面を良好な状態に保
てる利点がある。組み合わせ作業終了後、保護層をはが
すことも出来る。
[実施例] 以下、実施例を示し本発明をさらに具体的に説明す
る。
参考例1および比較例1,2 呼び強度270kg/cm2、スランプ15cmのコンクリートを
用いて、本発明のセメント成形物における二酸化炭素に
よる中性化促進試験を行なった。コンクリートの基本配
合は次の第1表に示す通りである。
このコンクリートを用いて、直径10cm×高さ20cmの円
柱試験体を作成し、材令7日まで型枠内にて、20℃−80
%RHの恒温恒湿養生室に放置した。材令7日にて、型枠
を取り外し、参考例1と比較例1.2とに分けて、それぞ
れの処理をした。すなわち、参考例1は、コンクリート
円柱試験体の脱脂処理を行なった後、接着用のエポキシ
樹脂(コニシボンド E206)を用いて、フッ素樹脂系被
覆材を円周方向に沿って、丁寧に全面接着した。なお、
使用したフッ素樹脂系被覆材は、フッ化ビニリデン樹脂
90重量部とメチルメタアクリレート樹脂10重量部および
顔料として酸化チタン5重量部からなるペレット状溶融
物をT−ダイを設置したフィルム製造設備を用いて50μ
mの厚さにフィルム化したものを用いた。
また、比較例1として、円柱試験体の脱脂処理を行な
った後、市販の防食用エポキシ樹脂系塗料を円周方向に
沿って、丁寧に全面ハケ塗りした。更に、未処理の円柱
試験体も比較例2として実験した。
これらの円柱試験体を材令28日まで、20℃−80%RHの
恒温恒湿室で養生した。材令28日において、これらの円
柱試験体を耐圧容器内に静置し、真空ポンプを用いて、
10mmHg以下で15分間脱気した後、二酸化炭素を注入し、
3kg/cm2の圧力で、4時間加圧した。この後、円柱試験
体を取り出して、割裂によって二分割し、分割した破断
面に、フェノールフタレイン溶液を噴霧した。フェノー
ルフタレインによって、赤変しない部分が中性化したと
ころ、すなわち、二酸化炭素に侵されたところと見なし
て、その位置までの深さをノギスを用いて計測した。そ
の結果を下記の第2表に示す。なお、屋外に2年間放置
した試験体においては、本参考例には中性化は観察され
なかったが、比較例には若干中性化が観察された。また
フッ素樹脂系フィルムの色差は1.6であり、試験開始時
からの変色は少なく耐候性が良好であった。
参考例2 参考例1において、フッ素樹脂系被覆材のフッ素樹脂
系フィルム用としてフッ化ビニリデン樹脂80重量部とメ
チルメタクリレート樹脂20重量部および顔料としてTiO2
・CoO・NiO・ZnOを主成分とするグリーン顔料5重量部
からなるペレット状溶融物および基材層としてメチルメ
タアクリレート樹脂80重量部とフッ化ビニリデン樹脂20
重量部および顔料としてTiO2・CoO・NiO・ZnOを主成分
とするグリーン顔料5重量部からなるペレット状溶融物
を用い、共押出し成形法にて製造した20μmのフッ素樹
脂系フィルムと60μmの基材層からなる2層フィルムを
用いた以外は同様に行なった。
屋外に2年間放置した試験体において、中性化は観察
されず、表面の色差は1.4で、耐候性は良好であった。
実施例1 呼び強度210kg/cm2、スランプ20cmのコンクリートを
用いて二酸化炭素による中性化促進試験を行なった。コ
ンクリートの基本配合は次の第3表に示す通りである。
このコンクリートを用いて、直径10cm×高さ20cmの円
柱試験体を作成し、材令7日まで型枠内にて、20℃−80
%RHの恒温恒湿養生室に放置した。尚、本実施例ではフ
ッ素樹脂系被覆材をデンプンのりにて円筒型枠の内面に
仮止めした。使用したフッ素樹脂系被覆材は参考例2で
用いたフッ素樹脂系フィルムがグリーンに着色された2
層フィルムに、さらに基材層として0.5mmの厚さのメチ
ルメタアクリレート板を熱接着によって積層し、さらに
アンカー層として縦5mm,横5mm,高さ15mmのポリカーボネ
ート製角柱体を20mmのピッチで溶着した被覆材を用い
た。材令7日において、型枠を取り外したところ、被覆
材はしっかりと密着していた。中性化試験は参考例1と
同様に行なった。
屋外に2年間放置した試験体においては中性化は観察
されず、またフッ素樹脂系フィルムの色差は1.2であり
耐候性は良好であった。
実施例2 実施例1において、フッ素樹脂系被覆材のフッ素樹脂
系フィルムの保護のために市販のポリエチレンフィルム
の片面を粘着加工したものを用いた以外は同様に行なっ
た。中性化は観察されず、フッ素樹脂系フィルムの色差
は、1.5で耐候性は良好であった。
実施例3および比較例3,4 実施例1で用いたコンクリートを用い、セメント成形
物における塩素イオンの透過試験を行なった。まず、フ
ッ素樹脂系被覆材をデンプンのりにて円筒型枠の内面に
仮止めした。使用したフッ素樹脂系被覆材は参考例2で
用いた2層のフィルムに、さらに基材層として1mmの厚
さのポリカーボネート板を熱接着によって積層し、さら
にアンカー層として縦10mm,横10mm,高さ10mmのポリカー
ボネート製角柱体を15mmのピッチで溶着した被覆材を用
いた。材令7日において、型枠を取り外したところ被覆
材はしっかり密着していた。
また、比較例として、材令7日で脱型した円柱試験体
を比較例1と同様の防食塗装を行なった。更に、未処理
のものも用いた。これらの円柱試験体を脱型後ただちに
NaCl5%溶液に浸漬し、各種材令において取り出し、こ
れを割裂によって、二分割した後、フルオレアセインナ
トリウム0.2%溶液と硝酸銀0.1N溶液を噴霧して、白色
に変色した部分を塩素イオンの浸透領域と判定し、この
深さを計測した。その結果を下記の第4表に示す。
実施例4〜6 参考例2のフッ素樹脂系被覆材と同様の材質で、構成
が(イ)フッ素樹脂系フィルム7μm,基材層50μm、
(ロ)フッ素樹脂系フィルム60μm,基材層5mm、(ハ)
フッ素樹脂系フィルム100μm,基材層15mmからなる積層
体を用いた以外は、実施例3と同様の方法で10cm角のコ
ンクリート立方体を用いて中性化促進試験と塩素イオン
の透過試験を行なったところ、いずれも良好な結果が得
られた。
[発明の効果] 以上説明した様に、本発明によれば、セメント成形物
の表面を耐候性に優れ、有害物質の透過を阻止すること
ができるフッ素樹脂系フィルムで被覆しているので、耐
候性,耐大気汚染性,耐薬品性に優れたセメント成形物
を得ることができ、セメント成形物の耐久性が上がり、
長期間の使用に耐えることができる。
また、新設のセメント成形物の場合、高い水準で維持
管理ができ、これまでよりも長い寿命と美しい表面を兼
ね備えることが可能である。
更に、フッ素樹脂系フィルムの表面に模様や印刷をす
れば、美観的にも美しいものが得られ、フッ素の持つ防
汚性によって長期的に美しさを維持することができる。
また、本発明の製造方法によれば、表面にフッ素樹脂
系フィルムを有するフッ素樹脂系被覆材とセメント成形
物を良好に固着することができるので、フッ素樹脂系被
覆材が剥離することがなくメンテナンスフリーで長期間
の使用に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第3図はアンカー層の形状を示す説明図であ
り、第1図は柱状,第2図は板状および第3図は網状の
アンカー層を表わし、第4図はアンカー層を用いた先付
け工法に使用する樹脂被覆セメント成形物の製造用部材
の一例を示す説明図である。 1……フッ素樹脂系フィルム 2……基材層、3……アンカー層 4……保護層、9……外枠

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外枠にアンカー層、補強用基材層及びフッ
    素系樹脂を主成分とするフィルムからなる積層体をフィ
    ルム面が接する様に仮止めし、次いで前記積層体を仮止
    めした外枠を少なくとも一面に用いて内面にアンカー層
    を有する打設型枠を組立てた後、該打設型枠内にセメン
    ト成形物の混練り物を打込み、硬化後外枠を取り外しセ
    メント成形物と積層体を一体に形成することを特徴とす
    るフッ素樹脂系フィルム被覆セメント成形物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】前記フッ素系樹脂を主成分とするフィルム
    の上に保護層が設けられている請求項1記載のフッ素樹
    脂系フィルム被覆セメント成形物の製造方法。
  3. 【請求項3】外枠にアンカー層、補強用基材層及びフッ
    素系樹脂を主成分とするフィルムからなる積層体をフィ
    ルム面が接する様に仮止めしてなることを特徴とするフ
    ッ素樹脂系フィルム被覆セメント成形物の製造用部材。
  4. 【請求項4】前記フッ素系樹脂を主成分とするフィルム
    の上に保護層が設けられている請求項3記載のフッ素樹
    脂系フィルム被覆セメント成形物の製造用部材。
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