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JP2988802B2 - 生活活動性モニタ装置 - Google Patents
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JP2988802B2 - 生活活動性モニタ装置 - Google Patents

生活活動性モニタ装置

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JP2988802B2
JP2988802B2 JP5074744A JP7474493A JP2988802B2 JP 2988802 B2 JP2988802 B2 JP 2988802B2 JP 5074744 A JP5074744 A JP 5074744A JP 7474493 A JP7474493 A JP 7474493A JP 2988802 B2 JP2988802 B2 JP 2988802B2
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posture
angle
sensor
time
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敏 上田
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Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、生活活動性モニタ装
置に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、
リハビリテーション患者の生活動作分析、スポーツ動作
分析、循環疾患患者の生活活動分析等に有用な、小型で
高性能、かつ簡便な利用が可能な生活活動性モニタ装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】高令化社会の到来とともに、
厚生省の「寝たきり老人ゼロの運動」をはじめ、わが国
の寝たきり老人を欧米並みに減少させることが焦眉の課
題になってきている。このための対策としては、病後の
安静期間の短縮化、患者の生活活動性、たとえば運動機
能、心拍機能等の維持、リハビリテーションの早期開始
などが不可欠となっている。
【0003】しかしながら、従来は、このための、患者
等の生活活動性の維持を図ることを目的とした生活活動
性モニタ手段は実現されていなかった。このような状況
は、健康な生活のためのスポーツ振興、あるいは病後の
回復期全般の問題としても共通しており、生活活動性に
ついての正確な状況把握は是非とも必要とされていた。
【0004】だが、この生活活動性の把握は、それほど
簡単ではない。トータルな活動性について、何を指標と
して、どのように把握するのかはこれまでほとんど検討
されてきていないからである。そこでこの発明は、以上
の通りの事情に鑑みて、従来状況を克服し、患者等の生
活活動性を適切にトータルに把握することができ、しか
もその操作が簡便で、小型高性能でもある生活活動性モ
ニタ装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の通り
の課題を解決するものとして、体幹、大腿および下腿の
各々に配置される傾斜角センサと、胸骨上に配置される
心拍センサと備えられており、前記傾斜角センサでは
姿勢検出されるとともに、下腿に配置される傾斜角セ
ンサでは歩数も検出され、心拍センサでは心拍数が検出
されて、検出データメモリに記憶され、データ演算装
置によって処理されて、姿勢運動、歩行運動および心拍
数の経時的な観察把握による生活活動分析が可能とされ
ことを特徴とする生活活動性モニタ装置を提供する。
【0006】
【作用】この発明においては、上記の構成によって、患
者等が所定の期間内に、立位、座位、横臥位等の姿勢
運動をどの程度行ったかは、体幹、大腿および下腿に取
り付けた傾斜角センサで、摺足を含めた歩行運動をど
の程度行ったかは、前記下腿に取り付けた傾斜角センサ
を兼用することで、心拍状態は、首下の胸骨上にワン
シート電極として簡単に貼りつけた心拍センサで、それ
ぞれ計測を行い、これらのデータを腰部に取り付けた小
型メモリに記憶し、これをコンピュータ処理して患者の
生活活動状況を把握する。
【0007】そして、この発明の装置によって、患者等
の生活活動性が簡単に把握できるため、リハビリテーシ
ョンやスポーツ、さらには病後回復全般について、適切
な指示を与えることが可能となる。このことは極めて重
要なことである。それと言うのも、たとえばリハビリテ
ーション患者は、これまでその活動が不活発で、リハビ
リテーションの訓練時間が終れば寝ている時間が極めて
多いのが現実であった。
【0008】これは実は非常に大きな問題であり、不活
発な生活は全身的な廃用症状としての「体力低下」や廃
用性筋萎縮をひき起こすことになるので、訓練で得た成
果を病棟の不活発な生活によって失っていることになり
かねない。しかし一方で考えなければならないのは、廃
用症候群の予防・改善とはただちに「体力増強」や「健
側の強化」、あるいは「歩行量の増加」といった、いわ
ば「スパルタ式」な訓練へと短絡すべきものではないと
いうことである。特に対象患者の高齢・重症・重度・重
複化が著しい現在、過用(overuse) の危険と廃用の害と
が紙一重であるという場合さえ少なくない。
【0009】したがって最も基本となるのは「生活全般
の活発化」すなわち極めて不活発な病棟生活をできる限
り活発化することである。具体的には日中の臥床をやめ
させ、最低限座位姿勢(車椅子でもよい)をとらせるこ
とである。それにより積極的に日常生活動作(ADL)
を自立して行なわせ、必要に応じて歩行・移動させるこ
とが可能となる。これが実現されれば、生活活動量の増
加により、重症・重度患者でも廃用症状が改善され、結
果として「体力」の向上もみられ、やがては病棟内歩
行、屋外歩行などのより積極的な訓練が可能となる。
【0010】廃用症候群を避けるために、安静を治療上
必要な最低限にとどめるためには、患者の日常の生活の
行動を正確に把握し、その上で疾患のリスクを検討しな
がら適切な活動性の指導を行う必要がある。日常生活の
活動性の指標としては累積歩数、歩行時間、安静臥床時
間等多くのものが考えられる。その中でも特に日中の臥
床時間や車椅子乗車時間、立位・歩行時間などを把握す
ることが廃用症候群を予防するリハプログラムの作成上
重要である。また、これらの指標を得るには、患者の姿
勢を継時的に測定することが必要である。
【0011】そこで、この発明においては、具体的には
以下の通りの態様を採用している。
【0012】
【実施例】姿勢運動測定 これまで姿勢の変化を継時的に捉えたものは、ビデオモ
ニタを利用したものや直接観察によるものが主体であっ
た。これらの方法は観察できる範囲内という制約があ
る。また、一度に多くの患者を評価できず、客観性にも
問題がある。連続的に無拘束で測定できるものとしては
学会で発表されたものしか無く、多くは活動性が比較的
高く、また運動障害のないものを対象とするものであっ
た。また、姿勢の判定も臥位かその他の姿勢かを判定す
るものであり、座位や立位を鑑別できるものは無かっ
た。そのため今回は上記のような目的にかない特に活動
性の低い患者を対象として連続的に無拘束で姿勢を測定
できるシステムの開発をおこなった。
【0013】本システムは全身活動性低下による廃用症
候群の予防・改善の見地から患者の日常生活の基本的な
姿勢を連続記録するものである。測定項目は姿勢であ
り、対象はリハ患者のすべて、そして運動障害はないが
生活が不活発になりがちな「健常」な高齢者などを考え
る。 (姿勢の種類) (a)日常の生活活動性の指標としての姿勢の判定が可
能であること:人が日常生活でとっている姿勢には種々
のものがある。しかし、それらすべての姿勢を判定する
のではなく、生活活動性を反映する基本的な姿勢に分類
して判定することとした。
【0014】ここではその基本的姿勢として、立位・椅
子座位・床上座位・臥位の4つの姿勢(以下基本4姿勢
とする:図1参照)を規定する。第一の理由として重力
の影響があげられる。臥位以外の姿勢の保持は重力の影
響に抗して行なわれ、姿勢保持のための筋活動と、それ
を支える姿勢性血圧調節機構その他の自律神経調節機構
さらにそれら全体を統括する精神神経活動によって支え
られている。座位・立位等の姿勢の保持はこれらの機能
の廃用を防ぎ、さらに骨に対する重力負荷により骨萎縮
を予防する等の働きをもつ。
【0015】第二の理由としては基本4姿勢が日常生活
動作の自立に大きな影響を与えるという点である。例え
ば、臥位と床上座位との違いでは、日常生活動作のうち
最も早くから自立する項目として食事動作があるが、そ
のためにはまず臥位からギャッジアップ座位となる必要
がある。また、病棟での生活を考えると、床上座位は椅
子座位とは異なり、ベッド上のことが多く、すぐ臥位に
なりたくなる姿勢である。さらに、立位は日常生活の活
動性を高める歩行に結びつく点で他の姿勢と異なる。
【0016】このように、リハプログラム作成上必要な
ことは、日常生活での活動性を反映し、さらに日常生活
動作を自立させるために必要な姿勢を把握することであ
る。具体的には日常の生活の活動性の指標として、日中
でのベッド上臥床時間やベッド上床上座位時間、車椅子
・椅子座位時間、立位・歩行時間の情報を得ることであ
る。以上の理由より、姿勢モニタが判定すべき姿勢とし
ては、上記の基本4姿勢を必要な条件とする。
【0017】各種基本姿勢に含まれる主な姿勢は以下の
とおりである。 (i)臥位:背臥位、腹臥位、左側臥位、右側臥位。 (ii)床上座位:長座位、割坐、あぐら座位、右方への
横すわり、左方への横すわり、ギャッチアップ座位(も
たれ座位)、立て膝位 (iii) 椅子座位:椅子座位、端座位、車椅子座位、左下
肢上の足くみ、右下肢上の足くみ、右方へ下肢を流す、
左方へ下肢を流す (iv)立位:静止立位、歩行 このうちの歩行を除くと、たとえば、あぐらおよび右下
肢上の足組み、左下肢上の足くみは深い組み方と浅い組
み方の2通りを測定し、又椅子座位、端座位、車椅子座
位は浅い腰掛けと深い腰掛けの2通りを測定し、結局計
25姿勢について測定する。
【0018】(b)姿勢判定のための条件 (i)体幹・大腿・下腿の位置の情報 どのような姿勢をとっているかを判定するためには、図
1に示すように、体幹、大腿、下腿の三部分がどの位置
を示しているかという情報が必要である。たとえば、下
腿の位置情報のみとすればベッド上臥位・座位と、椅子
座位・立位との鑑別はできるが椅子座位と立位との鑑別
は不可能であり、大腿の位置情報のみとすると、立位姿
勢の判定はできるが臥位、長座位、椅子座位の鑑別はで
きない。又、胸部の位置情報のみでは臥位とその他の姿
勢の鑑別しかできない。同様に2つの部位の位置情報の
組み合せでも、前述した4種類の基本姿勢の判別は不可
能である。
【0019】(ii)角度測定法(絶対角度の測定) 三部分の位置判定には、各部位間の距離を測定する方法
と角度を測定する方法がある。装置の簡便さからは、角
度を測定する方法で位置情報を得ることが有効である。
角度情報にも各部位が水平面や垂直面となす絶対角度を
捉える方法と、各部位が相互になす角度を捉える方法と
がある。後者の方法では臥位の姿勢と立位の姿勢では体
幹と大腿、及び体幹と下腿のなす角度がそれぞれ180
度と同じであり、極めて大きく異なる姿勢である立位と
臥位とが同じ姿勢と判定される。しかし、一方、水平面
と各部位がなす角度で判定する方法では、この問題は生
じない。以上より体幹、大腿、そして下腿の3部分が各
々水平面となす絶対角度を測定することによって姿勢を
確認することができる。
【0020】(iii) 姿勢判定角度の設定 基本4姿勢を判定するための境界となる角度を3部位に
ついて明らかにする必要がある。そこでこの判定するた
めの境界角度を「姿勢判定角度」と規定する。各部位の
判定角度設定の目的は以下の通りである。 体幹矢状面:臥位とその他の姿勢の判別。
【0021】臥位では水平位であるが、その他は垂直位
に近い。ギャッチアップ座位もしくは椅子にもたれかか
ったような坐り方(浅い椅子座位)と臥位との間に境界
角度が来る可能性が高いと予測される。 体幹前額面:側臥位とその他の姿勢の判別。 側臥位など矢状面以外の動きが加わった場合、体幹矢状
面のみでは判定は不確実なため必要となる。側臥位を明
確に判定できる角度が境界角度になる可能性が高いと予
測される。 大腿:立位とその他の姿勢の判別。
【0022】立位では垂直位であるが、その他は水平位
に近い。浅い端座位(座面の高い椅子に臀部を座面の前
方にかけている程度の椅子座位)が立位との境界角度に
なる可能性が高いと予測される。 下腿:椅子座位と床上座位との判別。 椅子座位では垂直位であるが、床上座位では水平位に近
い。車椅子での浅い椅子座位、あるいは床上での立て膝
座位が境界角度になる可能性が高いと予測される。 (各姿勢の時間が測定可能であること)次に、基本4姿
勢を連続的に継時記録できること、連続性については姿
勢を測定する頻度が問題となる。姿勢の変化は連続的な
ものであるが、対象の活動性が低いこと、一日の姿勢の
変化を患者の活動性という観点から捉えることより1秒
ごとに姿勢を測定して記録できれば連続性として充分と
考える。 (分析項目) <姿勢>基本4姿勢に分類して下記の項目について分析
を可能とする。
【0023】(a)経時変化:時間経過に従った姿勢の
変化。 (b)指定時刻における姿勢判定:ある時刻について、
その時刻における姿勢を判定する。これは測定中に何ら
かのエピソードがおきた場合、その前後を詳しく検討す
ることを可能にする。 (c)各姿勢の一定時間内での合計時間:自由に設定可
能な一定時間(たとえば24時間)内での各姿勢の合計
時間。
【0024】(d)各姿勢の一定時間内での割合:自由
に設定可能な一定時間内で各姿勢が占める割合。 <計器の条件>以下の条件を満たし、患者の自然な日常
生活が測定できることが必要となる。 (a)活動範囲を制限しないこと。
【0025】入院中のみではなく自宅生活患者でも測定
するため無拘束測定機器であることが必要である。 (b)人体に装着することによって自然な体動を妨げな
いこと。これを満足するためには次の3条件を満たす必
要がある。 <i> 軽量で小さいこと。
【0026】<ii> 体動時に関節運動を妨げないこ
と。 <iii >身体部位同士または身体部位と周辺(床、椅子
等)との接触時に邪魔にならないこと。 また、連続測定が可能なことが必要となる。これは、あ
る一定間隔で不連続的に測定するのではなく、連続して
測定することを意味している。
【0027】そして長時間測定可能なことも必要とな
る。1日の生活として見るため24時間以上測定可能な
ことである。さらには、振動・衝撃・電磁干渉・温度変
化・気圧変化などの影響を受けないこと、できる限り安
価であることも必要要件となる。 (姿勢連続モニタの基本構造)以上に述べた条件を満た
すためには基本構造として測定装置、判定・連続装置、
分析装置の3つにわける。各装置に求められる条件は以
下の通りである。 測定装置 身体に装着して姿勢および歩行・車椅子駆動についての
情報を得る。
【0028】センサー:姿勢に関連する人体各部位の肢
位を測定する。 アンプ:センサーの信号を増幅する。 A−Dコンバータ:センサーからのアナログ信号をデジ
タル信号に変換する(これにより長時間の記憶が可能と
なる)。 判定および連続記録装置 (a)判定装置 デジタル化した情報から姿勢に関する判定を行なう。 (b)連続記録装置 測定装置から得た情報を時間情報とともに連続情報とし
て蓄えておく。この装置を体に装着可能にすることによ
って身体活動範囲は拘束されない。またこの部分ででき
るかぎり簡単な情報に処理した後に記憶することで長時
間記憶が可能となる。
【0029】CPU:A−Dコンバータから入力した信
号を処理し、メモリカードに書き込むマイクロ・コンピ
ュータ。 ROM:A−Dコンバータから入力した信号を処理しメ
モリカードに書き込む際に、CPUが実行すべきデータ
処理プログラムを記憶しておく読み込み専用メモリ。
【0030】RAM:検者が個々の被験者に応じて設定
するデータ処理方法を記憶しておくための一時記憶装
置。(例:姿勢を判定するための境界角度の設定) メモリカード:軽量にするため、たとえばメモリカード
で記憶することができる。 分析装置 連続記録装置に蓄えた情報を処理して「前記分析項目」
であげた項目についての分析を行なう。
【0031】カードリード・ライター:メモリカードを
初期化する、メモリカードからデータを読み込む、ある
いはデータを書き込む装置。 パーソナルコンピュータ:メモリカードからの情報を解
析し、データファイルのCRT表示またはプリントアウ
トを行なう。 CRT:解析した情報を表示するためのパソコン用ディ
スプレイ装置。
【0032】プリンタ:画面表示のハードコピーおよび
解析した数値データを印刷する。 姿勢連続モニタに要求される条件としては、特に測定セ
ンサーが重要となる。この発明においては、傾斜センサ
ーを使用するが、このために、磁気角度センサーを用い
る。それは、既存の角度を測定するセンサーでは「姿勢
測定装置」のセンサーとしては適するものがないと判断
したためである。このため、新たに絶対角度を測定でき
る角度センサーを開発した。
【0033】既存の角度センターのうちでは、高性能、
高精度、高分解度が可能なInSb(インジウム・アン
チモン化合物)を材料とする半導体磁気抵抗素子を使用
した無接触型のポテンショメーターが最も適切であると
考えられる。それらにはベースヨーク方式、コの字型ヨ
ーク方式、スパイラルヨーク方式、ヘリカルヨーク方式
などがあるがいずれも水平面との絶対角度を示す構造に
はなっていない。そこで今回新たにコの字型ヨーク方式
のセンサーをシリコンオイルの中に入れ、ヨークが常に
垂直位を呈するようにその先端部分を重くし、ヨークと
回転軸との位置関係で角度が測定できるものを作成した
(模式図:図2)[21mm×8.3mm、20g]。
コの字型ヨーク方式の角度センサーの原理はコの字型ヨ
ークがマグネットとともに回転し、センサー容器に固定
された回転型半導体磁気抵抗素子との間の相対的角度変
化により電圧が得られるが、その特性より角度と出力電
圧が直線状態となる範囲は90°である(図3)。従っ
て、その範囲の中央を0°と規定して±45°の範囲を
測定できるようになっている。姿勢変化による身体部位
の移動により装着されたセンサーの半導体が動くにもか
かわらず、コの字型ヨークがマグネットとともに垂直方
向で固定されることにより相対的な回転運動が生じ、回
転型半導体とマグネットとの間で生じた電圧の変化を角
度変化としてとらえることになる。但し、上記の性能を
損なうことなく絶対角度が安定して測定できる為にはヨ
ークが常に垂直位を示し、かつ姿勢変化による加速度の
影響ではあまり共振しないことが望まれる。そのためシ
リコンオイルの粘性を調製する必要があるが、対象とす
る患者の活動性が低いことより一秒間に2回以上の頻繁
な姿勢変化は本装置の測定対象外と考え、制動係数を
0.5、共振周波数が2Hz以上となるように検討し
た。結果的にはシリコンオイルの粘性は共振周波数が
6.8Hzとなるものを用いた。
【0034】また、センサーのヨークと重力の位置関係
を細かく調整して設定する必要があるため、センサーは
円柱状とし、容器の中でセンサーを軸にそって回転させ
て角度調整ができるようにした。また、全ての部位のセ
ンサーは同じものを用いたが、それを固定するプラスチ
ック容器はそれぞれの装着部位に合わせて作成した(図
4)。(センサーと装着部位)装着部位の原則は基本4
姿勢を鑑別できるように、支持組織である骨格の動きが
できるだけ角度情報に反映されること、装着によって日
常生活に支障をきたさないことである。
【0035】上記原則を満たすセンサーの装着部位につ
いて、まず体幹、大腿、下腿においてどの部位が最も適
するかを検討した。なお姿勢は矢状面での動きの変化を
基本としているため、体幹で前額面の角度を測定するセ
ンサー以外は、センサーのヨークの動きが矢状方向とな
るように装着することが原則である。
【0036】<体幹>体幹に装着するセンサーは矢状面
の角度と前額面の角度を測定する。体幹の場合、上記の
条件を満たす部位として骨盤部、前胸部が考えられる。
8名の検討結果では骨盤部に付けた場合は、背中を曲げ
て楽に坐った座位と背筋を伸ばしてかしこまって坐った
座位との間には30°〜50°の差が生じた。すなわち
骨盤と上半身(胸郭以上)との間は可とう性の大きな腰
椎によって連結されているため姿勢によって非常に大き
な角度の差を生ずることが判明した。しかし、前胸部の
場合は姿勢による差は5°内外と極めて少なく、胸骨下
端から中央部で周辺の軟部組織による影響が極力少ない
部位が最も体幹の角度変化を反映する部位と考えられ
る。
【0037】なお、装着はベストを作成して用いた。こ
のベストは両脇をゴム製にし、体幹にあわせて脇のゴム
の長さを調節して体幹にフィットするようにしたもので
ある。矢状面と前額面のセンサーは水平面で直交するよ
うにプラスチック製の容器に固定し、その容器がベルク
ロバンドによってベストと固定できるようにした。 <大腿>大腿部のセンサーの装着部位については大腿が
水平位の場合にセンサー自体が水平を示す部位というこ
とで、椅子座位で(膝屈曲90度)で最も大腿四頭筋が
盛り上がっている部位、もしくは筋萎縮が著しく大腿四
等筋の盛り上がりが不明瞭な人では大腿上3分の1部位
に装着することにした。
【0038】装着方法の検討。伸縮可能なベルトを使用
して大腿部に装着を試みたが、体動によって上下方向に
ずれ易く、不適切であった。また伸縮性のある材質でで
きた大腿にフィットするパンツにセンサーを縫い込んで
みたが、これも体動によってずれるため不適と判断し
た。結局、長時間連続装着可能でかつ刺激性の少ない粘
着テープ(TegadermR 9×9cm)をセンサー容器の大
きさにあわせてくりぬき直接皮膚に張り合わせて装着す
ることにした。
【0039】<下腿>下腿部のセンサーの装着部位につ
いては脛骨前面に装着すると畳などの床面上の生活では
不快感が生じ、又センサー部にせん断力が入り固定性に
不利があった。結局、フロアー上の生活に最も邪魔にな
らないのは足関節部と判明した。装着には足関節から足
底、踵をくるんだ足袋状の形の伸縮性のあるサポーター
を用いた。なお、装着しやすくするために、足関節後方
をベルクロで止めはずし可能とした(図7)。最終的に
この角度計は「歩行連続モニタ」の歩行センサーとして
の機能もあわせもつことになったが、この部位は歩行セ
ンサーとしての装着部位としても最も適する場所となっ
た。
【0040】<センサーと連続記録装置間のコード>な
お、各センサーからのコードは体動の影響を受けにくい
ように伸縮可能なものとし、下腿、膝、大腿にも皮膚に
テープでとめることにした。 <連続記録装置>後で述べる連続記録装置(重量1k
g)の装着は、身体活動への影響が最も少なく、固定性
が良好なウェストベルトに固定することにした。 (「基準角度設定位置」および「姿勢判定角度」の検
討)「基本姿勢の判定」に示した各種臨床上重要な基本
4姿勢の判別のためには境界線をどこで引くか、すなわ
ち「姿勢判定角度の設定」で述べた「姿勢判定角度」の
決定が重要である。そのためこの姿勢判定角度について
の検討を行う必要がある。
【0041】しかし、角度センサーは矢状面における変
化は正確にとらえることができるが、その平面をはずれ
ると必ずしも矢状面の角度値を正確に示すとは限らな
い。この際、先に述べた角度センサーの特性から、角度
センサーが0°を呈する位置の付近では誤差がもっとも
少ない。そのため体幹矢状面、大腿、下腿では角度セン
サーの0°をどのように身体位置との関係で設定するの
かが極めて重要である。そこで、この角度センサーが0
°を呈する位置を「基準角度」と規定した。そして、こ
の「基準角度」を種々の角度に設定し、それぞれの「基
準角度」設定位置における基本姿勢の判別のための境界
線「姿勢判定角度」を検討した。なお、体幹前額面につ
いては基準角度は垂直方向に設定し、姿勢判定角度の検
討のみを行なった。
【0042】対象と方法は次の通りとした。 対象:脳卒中片麻痺患者11名。(平均年令48.2±
12.6才) 方法:各角度センサーの「基準角度」を図5のように設
定した。すなわち、体幹の矢状面の場合は体幹前屈20
°から後屈70°(垂直位を0°として)、大腿では股
関節屈曲90°から伸展0°(体幹は垂直位として)、
下腿では膝関節伸展0°から屈曲90°(大腿を水平位
として)までの間を10°ごとに設定し、「3.1基本
姿勢の判定」で提示した25種類の姿勢の角度を測定し
た。但し、体幹前額面では基準角度は垂直方向とするた
め姿勢の変化による測定のみおこなった。なお大腿、下
腿ではセンサーは非麻痺側に装着した。
【0043】25種類の姿勢は口頭指示をしてとらせ、
それぞれの姿勢が安定して保持できるまで待った。自力
では不可能な姿勢については、介助者が介助して、その
姿勢をとらせた。また、保持はベッドの背もたれ、ふと
んなどの最大限の工夫による物的な介助による保持は許
可するが、人的な介助がなければ保持が不可能な場合は
その姿勢は不可能と判定して測定は行なわなかった。
【0044】測定値は姿勢変換時も含めて連続的に記録
したが、各姿勢時の測定値判定は安定して保持可能とな
った時点の値で判定した。 (結果)その結果は以下の通りである。 (a)体幹矢状面:背臥位とその他の立位・椅子座位・
床上座位を鑑別することが目的である。「基準角度」を
50°に設定し、「姿勢判定角度」0°とするのが背臥
位の判別は最も良好である。
【0045】(b)体幹前額面:側臥位をその他の姿勢
と判別することが目的である。そのためには±30°の
範囲外を臥位とすることにした。 (c)大腿:立位と椅子座位・床状座位とを鑑別するこ
とが目的である。立位の判別には「基準角度」を40
°、「姿勢判定角度」を0°とするのが最も適する。
【0046】(d)下腿:椅子座位と床上座位を鑑別す
ることが目的である。下腿の場合はどの位置に「基準角
度」を設定しても、このようにあぐら、横すわりの床上
座位を椅子座位と誤って判断する危険性がある。そのた
めこの「姿勢センサー」は最終的には歩行・車椅子移動
を測定する「歩行センサー」として同時測定が可能とな
るように歩行センサーとして最も良い「基準角度」の設
定位置である0°に設定した。その場合「姿勢判定角
度」は椅子座位と床上座位を判別するには±35°以内
を立位・椅子座位とすることが最適と考えられた。
【0047】以上より、今回開発したセンサーを体幹前
額面、体幹矢状面、大腿、下腿の4箇所に装着すること
により基本4姿勢を鑑別することが可能となった。 (連続記録)姿勢センサーからはアナログデータが得ら
れるが、これをデジタルデータに変換して姿勢を判定で
きるようにし、連続記録が長時間可能となるようにする
必要がある。そのために、姿勢判定・連続記録装置の開
発を行った。
【0048】<総合判定法>以上求めた各部位の最適の
「基準角度」での「姿勢判定角度」をもとに姿勢の判定
法を検討した。 姿勢判定を2進法情報で行うための測定値判定法 できる限り少ない消費電力で長時間連続記録していくた
めには、角度センサーで測定した生データを記録するの
ではなく、できる限り少ない2進法情報に処理して記憶
していくことが望ましい。それには姿勢判定に必要な情
報だけにする必要がある。
【0049】そこで2ビットの2進法情報を用いての姿
勢判定のための処理法として、図6に示す2通りの判定
法を考えた。2方法ともにa、bの2つのビットを使用
し、aでは+45°〜α°、bではβ°〜−45°の測
定値の場合を1としてそれ以外を0と入力するようにし
た。α°、β°は姿勢判定角度に基づいて設定する。 (a)境界判定法:α°もしくはβ°の境界判定値以上
か未満かを判定する方法である。図6のごとく+45°
から−45°に向かって変化する場合、+45°からβ
°の間はaビットは1、bビットは0と入力される。逆
に−45°からα°までの間はaビットは0、bビット
は1と入力される。β°からα°の間は両ビットともに
1と入力されるが、この間はヒステリシスとして用い、
+45°からの変化ではaビットが優先されて境界判定
値α°以上と判定し、−45°からの変化ではbビット
が優先されて境界判定値β°未満と判定するようにし
た。ヒステリシス角度を設定した目的は、姿勢判定角度
の近くの範囲を微妙に移動する場合においては、情報量
を極力少なくすることができるからである。しかし、実
際はα=β=「姿勢判定角度」として情報を判定するこ
とが可能であった。
【0050】(b)範囲測定法:重なっている範囲か否
かで判定する方法(即ち+45°〜α°、β°〜α°、
β°〜−45°のどこに含まれるかで判定する方法)で
ある。 上記2判定法の利用の実際の応用としては、境界判定は
ある値以上か以下かの判定に用いるのに適し、一方範囲
判定はある範囲に含まれるか否かの判定に適する。その
ため「基準角度設定位置」および「姿勢判定角度」の検
討の結果から、体幹前額面と下腿では範囲判定法を用
い、体幹矢状面および大腿では境界判定法を用いること
にした。 各種姿勢判定法 各センサーからの位置情報はa,bの2ビットづつであ
り、総計4つのセンサー即ち8ビットの二進法情報で姿
勢を総合的に判定することになる。判定基準は図7に示
す通りとした。すなわち、 (a)臥位:体幹矢状面については、「基準角度」を5
0°に設定し、「姿勢判定角度」として求めた0°を判
定境界角度とした。即ち、0°以下であれば他部位の情
報内容は問わず、全て臥位とする。
【0051】体幹前額面は判定範囲角度外(+35°以
上もしくは−35°以下)であれば全て臥位とする。上
記2つの規定以外、即ち、体幹矢状面の判定境界角度が
0°以上で、かつ水平面の判定範囲角度内の場合は
(b)床上座位、(c)椅子座位、(d)立位のいずれ
かとなる。
【0052】(b)床上座位:大腿の「基準角度」を4
0°に設定しての判定境界角度が「姿勢判定角度」とし
て求めた0°以下でかつ下腿の「基準角度」0°での範
囲判定角度が±35°外であれば床上座位とする。 (c)椅子座位:大腿の「基準角度」40°での判定基
準角度が0°以下でかつ下腿の「基準角度」0°での範
囲判定角度が±35°以内であれば椅子座位とする。
【0053】(d)立位:下腿の情報内容を問わず、大
腿の「基準角度」が40°の設定での判定基準角度が0
°以上であればすべて立位とする。但し以上の姿勢判定
法を用いた場合、以下のような誤った判定がなされる危
険がある。 <i>腹臥位を立位と判定する。これは体幹矢状面は前
屈位、大腿・下腿が伸展位として角度測定されることに
よる。但し、自然の日常生活では完全な腹臥位をとるこ
とは極めて少なく、この誤判定の可能性は少ないと考え
られる。
【0054】<ii>床上座位(あぐら座位、横座り、割
坐等)の一部を椅子座位と判定する。:矢状面以外の動
きが入ることによる影響と、股・膝屈曲によって下腿が
伸展位として角度判定されることによる。 <長時間記録>一定間隔で測定しながらそれを長時間連
続記録していくことは可能である。しかし一定間隔毎に
測定したすべての情報を蓄えるよりも、基本姿勢として
みた場合秒毎に変化し続けることは少ないので、1秒毎
に判定をしていき10秒毎に総合判定した姿勢について
の情報を連続的に蓄えていくことにした。この方が多く
の情報を蓄えることができるという利点もある。但し、
総合判定する期間は1秒から10秒の間1秒ごとに調節
可能とし、例えば立ち上がり動作を頻回に自己訓練とし
て行なう時もチェックが可能となるよう目的に応じて調
節できるようにした。
【0055】連続記録を軽量にするためのバッテリー電
力の制限から、この一定間隔毎の姿勢の総合判定法は通
常は各ビット毎に1秒毎の0・1判定で10秒間に多か
った方をそのビットの判定値とし、各ビットの判定値の
組み合わせで総合判定される姿勢をその10秒間の姿勢
と判定し、それを経時的に連続記録していくこととし
た。なお10秒間のうちで、あるビット内の0と1の数
が等しければ直前の10秒内の姿勢が連続していると判
定することにした。
【0056】保存は外部メモリとし128kバイトのメ
モリカードを用いることにした。全容量を姿勢判定に用
いれば128kバイト÷(1バイト×60秒/10秒×
60分)=336時間記憶可能となる。但し、歩行モニ
タの情報も同時記録すれば時間はその分短くなる。メモ
リカードの1/3を姿勢モニタに使用した場合、理論的
には28kバイト×1/3÷(1バイト×60秒/10
秒×60分)=119時間連続測定可能となる。
【0057】上記の装置により、基本4姿勢がデジタル
情報で連続的にメモリカードに記録することが可能とな
った。 (分析装置)連続記憶装置に蓄えられた長時間記録をも
とに分析し、自動的に表示可能とした。 姿勢のトレンドグラフ 総合判定した時間毎の姿勢を、図8に示すように、横軸
を時間変化とし、時間経過に従って連続的に表示するこ
ととした。各姿勢は色分けした横棒で表示し、これによ
って時刻毎の姿勢を確認できるようにした。
【0058】この表示は横軸を時刻としたが、スケール
を変えることによって一定時間内の時間による変化を細
かく検討することもできるようにした。例えば図8は6
時30分から20時までの表示であるが、図9のように
指定した一定時間帯(この場合14時から16時)での
姿勢の変化も細かにも検討できるようにした。更に、あ
る設定した時刻での姿勢の表示もできるようにした。 各姿勢の合計時間 自由に時間を設定してその時間帯での各姿勢の合計時間
を算出できるようにした。また、自由に設定した時間帯
に占める各姿勢の割合(パーセンテージ)も算出するこ
とにした。
【0059】最終的にはこの姿勢に関する情報と同時
に、歩行に関する表示もできるようにした。又、歩行に
関する情報の他、何らかのエピソードを入力することも
可能とした。 (姿勢連続モニタの信頼性)実際に入院リハビリ患者の
姿勢を連続的に測定し、その信頼性を検討した。 対象と方法 「姿勢連続モニタ」の信頼性を検討するために、患者に
起床直後から就寝のためにベッドに入る直前まで、合計
10数時間にわたって連続装着させ、装着時からはずす
時までリハ医が患者の姿勢および生活の状態を直接観察
して記録し、その記録とモニタの結果を比較対照するこ
とを行なった。都内リハビリテーション専門病院入院中
の患者5名(男5名、平均年令64.6歳、脳卒中右片
麻痺2名、同両側麻痺2名、パーキンソン病1名)に
「姿勢連続モニタ」を起床時から就寝時まで連続装着
し、基本4姿勢を測定した。尚、この姿勢連続モニタに
歩行モニタ73) 併用することにより、車椅子歩行や歩行
が測定可能となった。したがって、椅子座位の一部が車
椅子歩行として、立位の一部が歩行として判定されるこ
とになる。 結果 <モニタ記録と観察との一致性>直接観察法は30秒毎
に患者の基本4姿勢を記載する方法を用いた。直接観察
法とモニタ記録との一致性は1分以上異なる場合を不一
致と判断したが、そ の結果モニタ記録と観察とは表1
に示すごとくほぼ100%一致した。直接の観察におい
て症例5ではあぐら座位を椅子座位として10分間、症
例3では足くみを24分間床上座位と誤って判定した。
それ以外は一致しており、一致性は極めて高いと言え
る。
【0060】
【表1】
【0061】<生活活動性の検討>表2に患者毎の4つ
の基本姿勢および歩行、車椅子駆動の一日の合計時間と
そのパーセンテージを示した。
【0062】
【表2】
【0063】その結果から、日常生活の活動性として、
次のことが問題として上げられる。 (a)症例1は多発性脳梗塞の患者である。立位バラン
スが不良で、歩行は小刻みですくみ足がみられ、転倒の
危険があるため、必ず歩行は監視のもとで行なうように
行動が制限されている。毎食事時の食堂への移動のみ看
護婦監視のもとで歩行しているが、その他の移動は病棟
の介護体制上困難であるため、病棟内移動は車椅子移動
としている。訓練場面での歩行は20分程度であり日中
の生活時間に占める割合は看護婦による監視歩行を加え
ても50分(5.79%)と非常に少ない。活動性を高
める為には、車椅子座位時間及び車椅子移動時間を増や
す必要がある。本症例は、このモニタの結果、日中の臥
位時間は25分とベッドで臥位になっていることは少な
く、その活動時間は椅子座位691分(80%)によっ
て占められている。ベッド上で臥床していないことは評
価できるが車椅子移動が23分(2.66%)と少な
く、活動性を高めるためには一人でも安全に行なえる車
椅子移動の自己訓練プログラムを作成し、指導すべきで
あると考えられた。
【0064】(b)症例2は発症後45日の脳卒中右片
麻痺で訓練場面でのみ装具、杖を使用して歩行可能な患
者である。病棟での歩行訓練はまだ困難な状態であるが
車椅子移動は自立している。本例も症例1と同様、臥位
時間が19分(2.34%)と少ない点は評価できる。
また車椅子移動も111分(13.7%)と症例1に比
べてやや多いが、それでも活動性を向上させるべきリハ
病院としての機能を考えると、やはり車椅子移動時間を
増やすようにプログラムを作成すべきと考えられた。
【0065】(c)症例3は発症後86日の脳出血の患
者で症例2と同様歩行能力は訓練場面でのみ杖、装具を
つけて可能な状態である。車椅子移動が自立し、車椅子
移動時間も68分(8.1%)であるが、313分(3
7.2%)もベッド上臥位をとっていた。看護婦や主治
医からの報告でも食後臥床していることが多いという報
告がなされていたが、この検査結果より正確な臥床時間
が判明し、しかも食後だけでなく訓練後も臥床している
ことが分かった。生活全般の活動性の最も基本的なもの
である日中臥床しない、ベッド上にいないことさえ守ら
れていなかった。体力の低下がまだ後遺症として残って
いるが、このような日中の臥床により体力低下の悪循環
を招くことが再認識され、患者にこの検査の結果を伝
え、活動性を高めることにより体力が増大すること、そ
の為には日中臥床しないようにと指導することによりそ
の後臥床時間は30分程度に減少し、生活全般の活動性
を向上させることが出来た。
【0066】(d)症例4はパーキンソン病の患者で車
椅子移動もほとんど実用的には出来ず病室内のわずかな
車椅子移動しか自立していない。歩行能力は訓練場面で
歩行器を使用して介助にて可能な状態である。生活活動
性を高めることは困難な症例であるが、病棟ではできる
だけ車椅子に坐らせることとした。いわば監視下による
椅子座位でありその結果、日中臥床しないという最低限
の活動性のとりくみはなされたと思われる。
【0067】(e)症例5は多発性脳梗塞の症例であ
る。高齢で、歩行は小刻みであるが、安定しており、病
棟内の歩行は自立している。しかし、実際の歩行は63
分(7.56%)とトイレや食堂、訓練室などの移動や
訓練場面での歩行に限られており、積極的な歩行は歩行
自立患者としては少なく、リハプログラムとして歩行時
間、歩行量を設定して指導する必要があると考えられ
た。さらに驚くべきことに日中126分(15.1%)
臥位をとっており、ベッド上での座位を示す床上座位も
124分(14.9%)を占め、ベッド周囲で過ごす習
慣となっていることが分かった。日中はできるだけデイ
ルームにいるように指導することにより日中の臥床時間
を減らすことが必要である。この例のように歩行自立し
ておれば活動性が高いというわけではなく、生活活動性
を高めるためには、リハプログラムを自己訓練や生活指
導も含めて行なう必要がある。歩行運動測定 (歩行連続モニタの基本構造)歩行連続モニタは、基本
構造として、各々次の3つの装置にわけることとした。
図10にブロックダイアグラムとして示す。 歩行測定装置 身体に装着して姿勢および歩行・車椅子駆動についての
情報を得る。以下の部分から成る。
【0068】センサー:歩行に関連する運動を測定す
る。 アンプ:センサーの信号を増幅する。 A−Dコンバータ:センサーからのアナログ信号をデジ
タル信号に変化する。 判定および連続記録装置 <判定装置>デジタル化した情報から歩行に関する判定
を行なう装置である。長時間の連続測定を行うために
は、連続記録装置の部分で歩数処理をすることが必要で
あり、また装置の軽量化のために処理機構を単純にした
ほうがよい。そのためには歩行によって生じたセンサー
からのアナログ信号を、ある閾数以上を呈するか否かに
よってデジタル信号に変換し、これによって「一歩」の
判定をする方法、すなわち「万歩計」等での歩数測定の
原理と同じ方法をとることがもっとも容易であり、この
判定方法をとる装置とすることにした。
【0069】<連続記録装置>測定装置から得た情報を
時間情報とともに連続情報として蓄えておく。この装置
を軽量、小型にして体に装着しても身体活動範囲は拘束
されないようにする。またこの部分でできるかぎり簡単
な情報に処理した後に記録することで長時間記憶が可能
となる。具体的には以下の機器から構成される。
【0070】CPU:A−Dコンバータから入力した信
号を処理し、メモリカードに書き込むマイクロ・コンピ
ュータ。 ROM:A−Dコンバータから入力した信号を処理しメ
モリカードに書き込む際に、CPUが実行すべきデータ
処理プログラムを記憶しておく読み込み専用メモリ。
【0071】RAM:検者が個々の被験者に応じて設定
するデータ処理方法を記憶しておくための一時記憶装置 メモリカード:軽量にするためメモリカードで記憶する
ことにした。 分析装置 連続記録装置に蓄えた情報を処理して分析を行なう部分
であり、以下の装置で構成される。
【0072】カードリード・ライター:メモリカードを
初期化する、メモリカードからデータを読み込む、ある
いはデータを書き込む装置。 パーソナルコンピュータ:メモリカードからの情報を解
析し、データファイルのCRT表示またはプリントアウ
トを行なう。 CRT:解析した情報を表示するためのパソコン用ディ
スプレイ装置。
【0073】プリンタ:画面表示のハードコピーおよび
解析した数値データを印刷する。 (歩行センサー)歩行時の動きの少ない患者でも、その
大腿、下腿の位置変化を検出して、歩数測定が可能にな
らないかを検討するために半導体磁気角度センサー(コ
の字型ヨーク方式)を利用することとした。
【0074】従来の歩行分析において身体各部位の位置
の変化を記録する方法としては、各関節の角度変化の記
録、Kine-matographによる各部位の移動軌跡の記録、床
反力計による重心移動軌跡の記録等があるが、これらは
無拘束で長時間、連続記録を行なうものではない。また
股・膝・足等の関節部に装着して各関節の角度を測定す
るセンサーを用いると、患者の自然な日常生活を妨げる
ことになり、無拘束計測が困難となる。そこで下腿、大
腿等の下肢の各部位が垂直位となす角度によって、その
位置を測定できる角度センサーを作成することにした。
【0075】既存の角度センサーとしては、エンコーダ
に代表されるデジタル出力型とポテンショメーターに代
表されるアナログ出力型がある。ポテンショメーター
は、構造が簡単で比較的大きな出力が得られ、高性能、
高精度、高分解度で、現在の精密機器ではむしろ主流で
あり、今回の目的にも適すると考えられる。さらにポテ
ンショメーターはその基本となる抵抗体の種類によって
巻線型、コンダクティブプラスチック型そして半導体磁
気抵抗素子(MR素子)型があるが、Insb(インジ
ウム・アンチモン化合物)を材料とする半導体磁気抵抗
素子を使用した無接触型のポテンショメーターが最も適
切であると考えた。
【0076】そこで半導体磁気抵抗角度センサーの中で
も、今回はコの字型ヨーク方式をシリコンオイルの中に
入れたセンサーを新たに作製して(模式図:図2)[2
1mm×8.3mm、20g、測定範囲±45°]用い
ることとした。その際、角度測定は垂直方向との位置関
係でみるためにヨーク自体をある程度重くして常に垂直
位を呈するようにし、ヨークと回転軸との位置関係で角
度が測定できるようにした。
【0077】(b)角度センサーに要求される機械的特
性 次に、歩行という人体の運動を測定するために要求され
る角度センサーの機械的特性について検討した。正常の
歩行においては、その一周期において股関節は1回の屈
曲伸展、膝関節は2回の屈曲伸展を行なう。通常の歩行
の cadenceは93〜101歩/分(すなわち1.5〜
1.7歩/秒)といわれており、多くとも下肢の各部位
の運動の周波数は(1.5〜1.7)×2=3〜3.4
Hzとなり、角度センサーの測定可能な周波数の上限を
少なくとも3.5Hz程度におくことが必要となる。そ
こで角度センサーの制動係数は0.5とし、共振周波数
は6.7Hzとした。この角度センサーでは、6.7H
zまでの周波数をもつ運動を共振なく測定することが可
能であり、上記の条件を満たすものである。
【0078】この角度センサーを大腿、下腿に装着する
ためのバンドを同時に作成した。まず角度センサーを挿
入・固定し、さらに中でセンサーをその軸を中心に回転
させることができるゴムの円筒を作成した。これを幅2
0mmのベルクロテープの上に円筒の中心軸がベルクロ
テープの長軸と平行に成るように付着させ、このベルク
ロテープを大腿、下腿に巻く。大腿部では歩行中にテー
プが下方に落ちないように、腰部にもゴムベルトを巻
き、そこから下にベルクロを貼ったゴムテープを出して
大腿部のベルクロテープを貼り付けるようにした。これ
らによって角度センサーはその軸を水平面と平行に装着
でき、さらにその高さ、角度センサーの矢状面の大腿、
下腿に対する回旋角度、基準角度を任意に変更できるよ
うにした。 (角度センサーを用いた歩数測定)上記した角度センサ
ーを用いて、歩行時の下肢の位置変化の信号に一定の閾
値をおいて歩数の測定が可能となるかどうかを検討し
た。
【0079】対象と方法:対象は脳卒中片麻痺患者21
名、同両側麻痺4名、パーキンソン病1名、失調症1
名、頚髄損傷による不全四肢麻痺1名、慢性関節リウマ
チ、変形性関節症等の骨関節疾患6名の計34名(男1
1名、女23名、平均年齢64.5±11.0歳)。角
度センサーを両側の大腿近位1/3、下腿内果上方3c
mで進行方向の正面に装着した。角度センサーの矢状面
との位置関係は、歩行時に前に振り出す方向を角度セン
サーの矢状面と極力一致させるようにして決めた。角度
センサーの基準角度(0°)は立位で垂直方向に設定し
た。
【0080】屋内の平坦な12mを、「いつも歩くよう
に歩いてください」と指示して歩行させ、前後各1mを
除いた10mの歩行について分析した。 結 果:図11に示すように歩行による角度センサーか
らの信号は一歩毎にその高さが著明に変化する。したが
って、加速度センサーの場合と同様に一歩毎の波形パタ
ーンの存在は視覚的には確認が容易であるが、角度変化
による信号がある閾値以上を呈するか否かで歩数を測定
することは不可能であった。
【0081】これは、特に歩行速度がおそい患者やすり
足、小刻み歩行の場合は、一歩行周期内での角度変化が
小さく、さらに一歩に要する時間が長いため、現われる
角度変化の波形は振幅が小さく、周波数も低くなること
が大きな原因と考えられる。また歩行時の身体部位が垂
直位に対してなす角度は、必ずしも一定ではなく一歩毎
に変化することも影響している。
【0082】これらの問題を解決するために一歩毎に検
出される波形の振幅を増幅し、かつ装着された身体部位
の角度に影響を受けないようにすることをねらって、角
度センサーの角度信号処理を行なうことにした。 (角度センサーの角度信号処理) (a)微分処理 信号処理を行なうにあたっては、最も正確に歩数を測定
することと、すり足歩行のように角度変化が小さい場合
でもその信号が増幅されて検知されることを主眼とし
て、まず微分処理を行なうことにした。
【0083】なお角度位置信号を微分回路処理すること
によるメリットは角度変化の増幅のみでなく、角度セン
サーがどんな角度を呈していても微分処理によりヨーク
の静止時0ボルトから前後への揺れの速度をプラス・マ
イナス方向への高速の信号に変換することができ、それ
によってパルス整形が可能になることである。また、プ
ラスマイナスの極性を持たせることで角度センサー内の
振り子の揺れの方向性の弁別も可能である。
【0084】(b)パルス変換 長時間連続記録するためには微分波形自体を記録装置に
記憶するのではなく、デジタル処理をする方がよい。そ
のため(a)で微分された信号を比較回路を経てパルス
変換を行なうことにした。この場合、パルス変換をする
ための判定レベル(すなわち閾値)をおき、微分処理さ
れた信号がそのレベルを越えたところで矩形波パルスを
生ずるようにした。対象者やセンサーの装着部位が変わ
るごとに、信号の増幅度とこの比較回路の判定レベルは
変化させることができるようにし、対象者を一定距離歩
行させたうえで最も適切な増幅度と判定レベルを決める
ことができるようにした。なお、この変更は4チャンネ
ル記録計で実際の波形をみながらできるが、「(d)検
知音」で述べるように一歩を検出したことを検知音の発
生で確認することによって、より容易に調節ができるよ
うにした。
【0085】(c)1/2分周回路 ヨークのゆれは図12に示すように一歩行周期毎に2回
生じる。第1フェーズは立脚期から遊脚期にうつる瞬間
で、ヨークは歩行の進行方向と逆方向に大きく振れる。
さらに遊脚期から立脚期にうつる瞬間は制動がかかるた
め、ヨークは一度進行方向に大きく振られる。その後の
ヨークの戻りが進行方向とは逆に振られる第2フェーズ
である。そこで、図12に示すように1/2分周回路で
第2フェーズをマイナス方向の信号とし、一歩の歩数パ
ルスとして表現することにした。この方法では、片側の
下肢にセンサーを装着して、一歩行周期内の一歩を検出
することになるので、両側下肢の歩数は、検出した歩数
を2倍した値になる。
【0086】(d)検知音 (b)で述べたように、記録装置がなくても最も適切な
増幅度と判定レベルを判定装置のみで簡便に決める方法
があることは、臨床上の使用には好ましいと考え、一歩
を検知する毎に200ミリ秒(3.6kHz,90d
B)の音を発生させモニタすることにした。
【0087】以上の処理過程を図12に、そのための装
置の回路構成を図13に示す。なお、この信号処理法を
用いた歩行測定装置を、以後歩行モニタと呼ぶことにす
る。 (歩行モニタを用いた歩数測定)まず最も良好な歩数測
定を行なうために、角度センサーの装着部位と基準角度
(0°)をどこに置くべきかを検討した。
【0088】基準角度(0°)とは、前記図3に示すよ
うに角度センサーからの出力が0Vとなるセンサー内の
ヨークの位置であり、言い換えればヨークの動く90°
の範囲の中央位置のことである。基準角度を変更するこ
とによって、角度センサーからの微分信号はその振幅が
変化し、歩数測定のための最も適切な判定レベルも変化
しうる。
【0089】また大腿と下腿とでは歩行時の角度変化、
速度とも異なるため、どちらが歩数測定に適するかを検
討した。 対象と方法:対象は、脳卒中片麻痺患者15名、同両側
麻痺患者1名、失調症患者1名の計17名(男14名、
女3名、平均年齢55.5±15.0歳) 歩行センサーの装着部位は左右大腿近位1/3、左右足
関節内果上方3cmの高さの計4ケ所で歩行時の進行方
向の正面とし、歩行時に下肢を振り出す方向を角度セン
サーの矢状面と極力一致させるようにした。
【0090】図14に示すように基準角度(0°)を大
腿では立位時、股関節屈曲40°〜伸展30°の位置ま
での間で10°毎に計8通り、一方下腿も椅子座位時膝
屈曲50°から屈曲120°の間で計8通りに設定し
た。屋内の平坦な直線12mを「いつも歩くように歩い
てください。」と指示して歩行させ前後各1mを除いた
10mの歩行について記録を行なった。
【0091】角度センサーの装着部位が変わる毎に、4
チャンネル記録計にて、実際の角度波形およびその微分
波形を観察しながら、まず予備歩行として12m歩行さ
せ、最も適切な増幅度と判定レベルを決めた。すなわち
各基準角度で、二回ずつ歩行をさせ、その二回目の歩行
について、角度波形、微分波形、設定した判定レベル、
検出パルスの4つを同時記録し、検出パルスから測定し
た歩数と検者が直接観察により実測した10mの歩数と
を比較した。
【0092】結 果:全例で下腿に角度センサーを装着
した場合にもっとも再現性のある微分波形が得られ、正
確な歩数の測定が可能となった。なお、片麻酔の場合、
非麻酔側に装着するほうが、良好に測定できる場合が多
かったが、軽度の片麻酔や両側麻酔の場合は麻痺側ある
いは麻痺が重度である側が良好な場合もあった。
【0093】基準角度の違いによる歩数測定の精度(セ
ンサーでの測定値と実測値との比)は表3に示すように
下腿0°の場合が平均値がもっとも1に近く、標準偏差
が0.02ともっとも小さいためこれがもっとも優れて
いると考えられた。なお表4に大腿における歩数測定の
精度検討の結果を示した。大腿でもセンサーでの測定値
と実測値との比の平均値は、1.0に近い部位がある
が、標準偏差が0.16から0.3と大きく正確な歩数
測定は不可能である。
【0094】
【表3】
【0095】
【表4】
【0096】(「万歩計」との比較)今回開発した歩行
モニタの有用性を検討することを目的として、種々の運
動障害のために歩幅が小さく、歩行速度がおそい患者を
対象として、歩行モニタで測定した歩数と同時に装着し
た「万歩計」(山佐時計器製ET−500)の歩数を、
観察者の直接観察測定による実歩数と比較した。
【0097】対象と方法:対象患者は脳卒中片麻痺29
名、脳卒中両側麻痺4名、小脳性失調2名、パーキンソ
ン病1名、頚髄損傷不全四肢麻痺1名、慢性関節リウマ
チ、変形性関節症等の骨関節疾患6名の患者計43名
(男19名、女24名、平均年齢63.3±11.9
歳)で屋内10mを40歩以上で(26名)、あるいは
20秒以上(42名)でしか歩行できない、日常臨床上
「万歩計」では正確に歩数を測定することが困難な緩慢
な歩行を示す例とした。
【0098】「万歩計」は腰部のバンド上の左右、両側
大腿上部(鼡径部中央と膝蓋骨上縁間の上1/3)、両
側下腿下部(両側足関節内果上方3cm)計6ケ所に装
着した。角度センサーは左右下腿、足関節内果上方3c
mの高さで歩行時の進行方向正面とし、歩行時に下肢を
振り出す方向を角度センサーの矢状面と極力一致させる
ようにした。
【0099】角度センサーの基準角度(0°)の設定位
置は、立位時に垂直位を0°とした。屋内の平坦な直線
12mを「いつも歩くように歩いてください。」と指示
して歩行させ前後1mを除いた10mで、検者が実測し
た歩数と「万歩計」での測定値および、角度センサーで
の測定値を比較した。
【0100】角度センサーの装着部位が変わる毎に、4
チャンネル記録計にて、実際の角度波形およびその微分
波形を観察しながら、まず予備歩行として12m歩行さ
せ、最も適切な増幅度と判定レベルを決めた。予備歩行
の後の2回目の歩行での歩行モニタ、「万歩計」および
直接観察による測定値を比較した。実験時は、角度波
形、微分波形、設定した判定レベル、検出パルスの4つ
を同時記録した。「万歩計」は歩行開始時からカウント
を始めるため「万歩計」の歩数は前後2m分を引くこと
とし、即ち「万歩計」でカウントされた歩数に5/6
(10m/12m)を乗じた数値(小数点以下切り捨
て)を「万歩計」での歩数として、歩行モニタでカウン
トされた10m歩行時の歩数および実際の歩数と比較し
た。この際実測値からの誤差が10%以内であれば測定
可能と判定した。
【0101】結 果: (i)10m歩行時の歩数による比較 結果は表5に示すように10mを79歩以内で歩く例に
おいては、「万歩計」、歩行モニタともに測定可能な例
があったが、一方80歩/10m以上になると「万歩
計」で測定できた例は1例もなかった。
【0102】また40歩〜79歩の間でも、約4割は
「万歩計」と歩行モニタでも測定できたが、6割は歩行
モニタでのみ可能であり、歩数が多くなるほど、すなわ
ち小刻み歩行になるほど歩行モニタの方が優れているこ
とが明らかとなった。歩行モニタでのみ可能であった1
7例での「万歩計」の測定値は実測歩数の平均68.6
±19.5%の値と少なかった。
【0103】
【表5】
【0104】(ii)10m歩行に要した秒数による比較 表6に示すように42例中、17例では共に可能であっ
たが、25例、59.5%では歩行モニタでのみ可能で
あった。
【0105】
【表6】
【0106】10m歩行の所要時間が長くなるほど、
「万歩計」で歩数測定が可能なものが減少する傾向がみ
られ、特に60秒を越える例では、「万歩計」で測定で
きたものは一例もなかった。歩行モニタのみで可能であ
った25例での「万歩計」の測定値は実測歩数の平均6
3.7±28.8%と少なかった。以上より、角度セン
サーを用いて開発した歩行モニタは種々の運動障害のた
めに歩行速度がおそい、あるいは小刻み、すり足歩行な
どの、従来「万歩計」では歩数測定が困難であった患者
の歩数測定に有用であることが明らかになった。 (歩行モニタを用いた車椅子移動の足こぎ数測定)次
に、歩行モニタによる車椅子駆動時の足こぎ数測定が可
能かどうかについて検討を行なった。
【0107】なお、片麻酔患者のように一側上下肢で駆
動する場合、歩行時の歩数や両足こぎの足こぎ数を測定
するときとは違って、角度センサーによる一側下肢の歩
数の測定値を2倍せずに、そのまま足こぎ数とする。 対象と方法:対象は訓練レベルでは車椅子移動が可能で
ある脳卒中片麻痺8名、脳卒中両側麻痺(左右差あり)
3名、計11名(男7名、女4名、平均年齢56.6±
9.3歳)(うち、車椅子移動が日常生活で自立してい
るものは2名)で全例片足での足こぎを行なっている例
である。角度センサーの装着部位は足こぎを行なう方の
足関節内果上方3cmで足こぎ時の進行方向の正面と
し、足こぎ時に下肢を振り出す方向を角度センサーの矢
状面と極力一致させるようにした。角度センサーの基準
角度は椅子座位時の下腿の垂直方向に設定した。
【0108】4チャンネル記録計にて、実際の角度波形
およびその微分波形を観察しながら、まず予備として1
2mを車椅子駆動させ、最も適切な増幅度と判定レベル
を決めた。次に屋内の平坦な直線12mを「いつもの様
に車椅子をこいでください。」と指示して車椅子駆動を
させ、前後の各1mを除いた10m間での検者が実測し
た足こぎ数と角度センサーによる足こぎ数の測定値を比
較した。
【0109】結 果:表7に示すように10m間の足こ
ぎの実測数は平均26.9±14歩、測定値/実測数は
平均97.6±4.4%であり、そのうち実測数と測定
値とが一致したものが4例であった。以上の結果から歩
行モニタは車椅子駆動時の足こぎ数の測定にも極めて有
用であることが判明した。
【0110】
【表7】
【0111】(歩行連続モニタの信頼性)歩行連続モニ
タの信頼性を検討するために、患者に10数時間にわた
って連続装着させ、装着時からはずす時までリハ医が患
者の姿勢および生活の状態を直接観察して記録し、その
記録とモニタの結果を比較した。 対象と方法:対象は都内リハ専門病院入院中の患者4名
(男4名、平均年齢61.8歳、脳卒中右片麻痺2名、
多発性脳梗塞による両側麻痺1名、パーキンソン病1
名)で、全例足こぎによる車椅子駆動が可能で、歩行は
訓練時に監視下で可能である。歩行連続モニタを姿勢連
続モニタとともに、起床時から就寝時まで連続装着し活
動性を測定した。同時にリハ医が患者の歩行、車椅子駆
動、姿勢、日常生活動作を直接観察して1分ごとに記録
し、その記録とモニタの結果を比較対照した。歩数、車
椅子の足こぎ数の直接観察による測定も同時に行なっ
た。なお、患者になるべく自然な生活を過ごさせるため
に、できるかぎり観察者の姿が患者から視認できない場
所で観察、記録を行なった。
【0112】さらに、病棟内歩行が自立している多発性
脳梗塞による両側麻痺の患者(76歳、男)に、起床直
後から就寝時まで歩行連続モニタと姿勢連続モニタを装
着して測定し、上記の4例を加えた全5例の生活の活動
性を検討した。 結 果: (i)モニタ記録と観察との一致性:表8に直接観察と
歩行連続モニタで表示された患者毎の歩行、車椅子駆動
の一日の合計時間と歩数を示した。case1から3の歩
数、歩行時間、車椅子駆動時間についてはモニタ記録と
直接観察はほぼ100%一致した。
【0113】case4の歩行連続モニタでの歩行時間、歩
数の合計は、直接観察の約6割と少なくなっている。こ
れは、case4がパーキンソン病の患者で、測定した日の
歩行では寡動が著しく、歩行連続モニタのデータ取り込
みプログラムの10秒間に3歩以上を歩行とするという
設定が不適切であったためである。しかし、車椅子駆動
時間と足こぎ数についてはほぼ100%一致した。
【0114】case2、3では車椅子駆動の足こぎ数の直
接測定は不可能であったため、モニタと直接観察の比較
ができなかった。これは両者とも車椅子駆動が自立して
おり、頻繁に移動、停止を繰り返しているため、ベッド
サイドやトイレ内での車椅子駆動時に、観察者が患者に
気づかれないように足こぎ数を測定することが不可能で
あったためである。
【0115】この2例については測定終了後に、車椅子
足こぎを20歩行なわせ検出精度を連続記録装置からの
検知音で確認したところ、正確に測定が可能であった。
【0116】
【表8】
【0117】(ii)表9に実用歩行をしているcase5を
含めて、一日の歩行、車椅子駆動と、姿勢連続モニタか
ら得られた姿勢時間を示す。この結果から、歩行、車椅
子駆動の量からみた対象患者の日常生活の活動性の問題
を以下に述べる。
【0118】
【表9】
【0119】(a)症例1は多発性脳梗塞の患者で、車
椅子駆動は自立しているが、歩行は監視下で行なうよう
に主治医から指示されている。食事時の食堂への歩行の
み看護婦が監視にて行なっており、これが合計30分で
ある。訓練場面での歩行は20分程度であり、上記の看
護婦による監視歩行を加えても50分と少ない。またこ
のように歩行の時間が訓練時と食事時に限られ日中頻回
に歩行する機会がないことが、経時的記録によって明ら
かになった。さらに、車椅子駆動の時間も自立している
にもかかわらず23分と極めて少ない。
【0120】この患者の活動性を高めるためには、病棟
の手すりやベッド棚につかまって歩行する方法を指導し
てつたい歩きを自立させ、看護婦の監視がなくてもこれ
を自己訓練として日中頻回に行なわせることが必要であ
る。また、つたい歩きが自立するまでの間は、一人でも
安全に行なえる車椅子駆動を自己訓練として行なわせ
て、その時間と足こぎ数をもっと増加させられるよう
に、指導すべきであると考えられた。
【0121】(b)症例2は発症後45日の脳卒中右片
麻痺である。訓練では短下肢装具、杖を使用して歩行可
能であり、訓練室での歩容は症例1よりもよい。病棟で
の歩行は自立していないが、左上下肢での車椅子駆動は
自立している。この患者も歩行時間が訓練時のわずか7
分、歩数で428歩と極めて少なく、訓練時のみに限ら
れている。症例1と同様に病棟内のつたい歩きによる自
己訓練を頻回に行なうことと、病棟での食堂やトイレへ
の移動等で看護婦や家族による監視歩行をもっと行なわ
せ、歩行の自立、歩行量の増加による活動性の向上を図
るべきと考えられる。
【0122】(c)症例3は発症後86日の脳出血の患
者で症例2と同様歩行は杖、装具を使用して訓練時、監
視下で可能な状態である。車椅子移動が自立し、車椅子
駆動時間は68分で、食堂、トイレへの移動も車椅子で
自立している。しかし、この患者も歩行しているのは訓
練時の24分間に集中しており、病棟ではまったく歩い
ていない。
【0123】また同時に記録した姿勢連続モニタでは、
313分もベッド上臥位をとっており、特に食後や訓練
後には必ず臥床していた。これは食事動作でさえも疲労
を招くほどに、体力の低下が著しいことを示すものとい
える。このような患者では、体力低下の大きな原因であ
る日中の臥床をさける指導も当然重要であるが、病棟生
活で監視歩行あるいはつたい歩きを少量・頻回に行なう
ようにし、訓練時のみに集中して歩行して体力を消耗し
てしまうことがないように病棟生活全体を考慮にいれた
リハ・プログラムを組むべきである。
【0124】(d)症例4はパーキンソン病の患者で車
椅子駆動もほとんど実用的には出来ず、病室内のわずか
な距離での車椅子駆動しか自立していない。歩行は訓練
で歩行器を使用して介助にて可能な状態で、つたい歩き
の自立も難しい。病棟ではできるだけ車椅子に坐らせる
こととし、椅子座位の時間は773分とかなりの時間に
のぼった。しかし車椅子の駆動時間は16分と極めて少
なく、むしろ訓練でも車椅子駆動を行ない、病棟でも自
己訓練として車椅子駆動を行なって活動性の増加を図っ
た方がよいと考えられる。
【0125】(e)症例5は多発性脳梗塞の症例であ
る。歩行は小刻みであるが、安定しており、病棟内の歩
行は自立している。しかし、訓練以外での歩行は23分
でトイレや食堂、訓練室などへの移動に限られており、
歩行自立患者としてはまだかなり少ない。同時に行なっ
た姿勢連続モニタの測定結果では、日中126分臥位を
とっており、床上座位すなわちベッド上での座位も12
4分であり、日中のかなりの時間をベッド周囲で過ごす
習慣になっていた。
【0126】歩行自立しているにもかかわらず、歩数、
歩行時間が少ないということは、姿勢連続モニタの結果
で示されるようにベッド周囲で生活するという習慣から
来るところが大きいといえる。従って、このような生活
習慣自体をやめて、訓練以外にもっと歩行するように指
導し、日常の歩行量の増加を図ることが重要である。考
察:以上のように今回開発した歩行連続モニタの信頼性
は高い。
【0127】また入院患者の生活の活動性を測定した結
果、リハ施行中の患者であるにもかかわらず、歩行を中
心とする活動性の高い時間は訓練時に集中しており、生
活全般の活発化は極めて不十分であった。今後は、歩行
と車椅子駆動を用いた自己訓練を細かく指導するように
リハ・プログラムを見直す必要があることがわかった。
このように歩行連続モニタは患者の活動性を細かく、経
時的に把握することを可能にし、リハビリテーション医
学の臨床に有益な情報を提供することができる。心拍測定 心拍測定については、最も一般的手段が採用される。こ
れは、たとえば、首下の胸骨上にワンシート電極として
簡単に貼りつけた心拍センサーが使用可能である。
【0128】以上の姿勢運動、歩行運動および心拍数に
ついてこの発明においてはトータルに検知データとして
扱い、データ処理を行う。このための記憶装置、演算処
理装置を適宜に構成する。その細部については、上記実
施例に沿って様々に構成される。
【0129】
【発明の効果】この発明により、以上詳しく説明した通
り、リハビリテーション患者等についてトータルな生活
活動性モニタが可能となる。簡便、小型装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】活動性からみた基本4姿勢を示した概要図であ
る。
【図2】角度センサー例を示した断面・正面図である。
【図3】角度センサーの出力特性と基準角度設定の関係
図である。
【図4】角度センサー装着用プラスチック容量の斜視図
である。
【図5】姿勢判定のための基準角度の設定を示した概要
図である。
【図6】測定値処理法を例示した概要図である。
【図7】姿勢判定プログラムの説明図である。
【図8】トレンドグラス図である。
【図9】トレンドグラフ図である。
【図10】歩行連続モニタのブロック図である。
【図11】歩行時の角度変化図である。
【図12】角度センサーの波形処理法の説明図である。
【図13】波形処理の回路図である。
【図14】角度基準の設定を示した概要図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体幹、大腿および下腿の各々に配置され
    傾斜角センサと、胸骨上に配置される心拍センサと
    備えられており、前記傾斜角センサでは姿勢検出され
    るとともに、下腿に配置される傾斜角センサでは歩数も
    検出され、心拍センサでは心拍数が検出されて、検出デ
    ータメモリに記憶され、データ演算装置によって処理
    されて、姿勢運動、歩行運動および心拍数の経時的な観
    察把握による生活活動分析が可能とされることを特徴と
    する生活活動性モニタ装置。
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