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JP3003303B2 - 耐火性に優れたボルトおよびナット用鋼 - Google Patents
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JP3003303B2 - 耐火性に優れたボルトおよびナット用鋼 - Google Patents

耐火性に優れたボルトおよびナット用鋼

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JP3003303B2
JP3003303B2 JP3204083A JP20408391A JP3003303B2 JP 3003303 B2 JP3003303 B2 JP 3003303B2 JP 3204083 A JP3204083 A JP 3204083A JP 20408391 A JP20408391 A JP 20408391A JP 3003303 B2 JP3003303 B2 JP 3003303B2
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輝隆 津村
康治 和泉
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築構造物に使用され
るボルトおよびナット用鋼であって、詳しくは、常温で
は高力六角ボルト(F10T)、六角ナット(F10) (JIS B 118
6)鋼や高力トルシア形ボルト(F10T) (JSS II 09)鋼と同
等の特性を示し、高温、特に 600℃で45kgf/mm2 以上の
耐力を有する耐火性に優れたボルトおよびナット用鋼に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、建築構造用鋼材の締結には、JIS
B 1186に定められる高力六角ボルト(F10T)、六角ナット
(F10) やJSS II 09 に定められるトルシア形ボルト(F10
T)などが使用されているが、この種の鋼材は 350℃以上
の高温にさらされると著しく耐力が低下するため、建築
物に火災が発生した場合でもこれらの鋼材の温度が350
℃を超えないように耐火被覆を施すことが法令によって
義務付けられている。
【0003】一方、昭和51年〜昭和61年に建設省で実施
された総合技術開発プロジェクト「建築物の防火設計法
の開発」の結果、「火災時の安定性」が数値シミュレー
ションおよび実験で確認されれば、耐火物の被覆厚さ
を薄くすること、鉄骨を無被覆で使用すること、が可
能となり、従来よりも鉄骨建築における耐火工法の選択
の自由度が大幅に改善された。即ち、この新耐火設計法
によれば、高温強度に優れた鋼材を使用することによ
り、法令で義務付けられる耐火被覆を削減或いは省略す
ることが可能となり、鉄骨建築の施工コスト、工数の削
減が期待される。
【0004】しかしながら、ステンレス鋼や熱間金型用
の合金工具鋼で代表される周知の耐熱鋼材は、高温強度
に優れるものの常温強度が高すぎて加工性に劣るほか、
価格も非常に高いため経済性の面からも建築構造物の耐
火ボルトおよびナット用鋼としては適用が難しい。ま
た、JIS G 4107に定められている高温用合金鋼ボルト材
は、従来の高力六角ボルト(F10T)、六角ナット(F10) 鋼
や高力トルシア形ボルト(F10T)鋼と同等の常温特性を示
すものの、新耐火設計法を満足できるような高温強度を
有しておらず、同じく建築構造物の耐火ボルトおよびナ
ット用鋼としては適用し難い。
【0005】このようなことから、特開平2−247355号
公報に、新耐火設計法に基づく締結部材として、高温特
性に優れたボルトおよびナットと、これらの経済的な製
造方法が提案されている。しかし、この発明のボルトお
よびナットでも 600℃での耐力は高々35.8kgf/mm2 程度
しかなく、建築構造物用耐火ボルトおよびナットとして
は高温耐力が十分にあるとは言い難い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高温
耐力をより高めたボルトおよびナット用鋼、具体的に
は、新耐火設計法に基づく建築用耐火鋼材の締結にあた
り、従来の高力六角ボルト(F10T)、六角ナット(F10)鋼
や高力トルシア形ボルト(F10T)鋼と同等の常温特性を示
し、火災時における高温特性がこれらのボルトおよびナ
ット鋼よりも遙かに高い、 600℃で45kgf/mm2 以上の耐
力を有するボルトおよびナット用鋼を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を達成するため鋼材の化学組成および組織について研究
を行った結果、下記の知見を得た。
【0008】(1) Mo、Vを適正量添加したうえでCの
添加量を調整することにより、高温における耐力の低下
が抑制される。
【0009】(2) NbをCr、MoおよびVとともに複
合添加することにより、鋼の細粒化が極めて促進され、
高温における耐力の低下が著しく抑制される。
【0010】(3) 含有成分を適正に調整したうえで鋼の
組織を焼入れ焼戻し組織にすることにより、常温強度お
よび高温強度が改善される。
【0011】(4) 上記の成分に加えてB、Zrの1種以
上および/またはNi、Cuの1種以上を適正量添加す
ると、高温での耐力の低下が一段と抑制される。
【0012】上記知見に基づく本発明は下記(I)〜
(IV)に示す化学組成および組織を有するボルトおよび
ナット用鋼を要旨とする。
【0013】(I)重量%で、C:0.30〜0.50%、S
i: 1.2%以下、Mn:0.40〜1.50%、Cr:0.45〜1.
50%、Mo:0.40〜1.00%、V:0.01〜0.25%、Nb:
0.005〜0.15%、Ti: 0.005〜0.10%、Al: 0.005
〜0.10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物から
なり、焼入れ焼戻し組織を有する耐火性に優れたボルト
およびナット用鋼。
【0014】(II)上記(I)に記載の成分に加えて更
に、重量%で、0.0003〜0.0050%のBおよび0.15%以下
のZrのうちの1種以上を含有し、焼入れ焼戻し組織を
有する耐火性に優れたボルトおよびナット用鋼。
【0015】(III)上記(I)に記載の成分に加えて更
に、重量%で、0.01〜0.60%のNiおよび0.05〜 0.60
%のCuのうちの1種以上を含有し、焼入れ焼戻し組織
を有する耐火性に優れたボルトおよびナット用鋼。
【0016】(IV)上記(I)に記載の成分に加えて更
に、重量%で、0.0003〜0.0050%のBおよび0.15%以下
のZrのうちの1種以上と、0.01〜0.60%のNiおよび
0.05〜0.60%のCuのうちの1種以上を含有し、焼入れ
焼戻し組織を有する耐火性に優れたボルトおよびナット
用鋼。
【0017】
【作用】以下に、本発明における鋼の化学組成および組
織を上記のように限定する理由を説明する。
【0018】A)鋼の化学組成 C:Cは所望の強度を確保するために添加するが、その
含有量が0.30%未満では添加効果に乏しく、一方、Mo
およびVとの共存下でC含有量が0.50%を超えるとかえ
って高温での耐力が低下することになり、また、焼入れ
時の割れ感受性が増大することになるので、その含有量
を0.30〜0.50%とした。
【0019】Si:Siは鋼の脱酸および強度増加のた
めに有効な元素である。しかし、 1.2%を超えて含有す
ると靱性および冷間加工性が劣化するのみならず、脱炭
を生じやすくなるので、その含有量を 1.2%以下とし
た。
【0020】Mn:Mnは脱酸のほか強度および靱性を
確保するのに有効な元素である。しかし、その含有量が
0.40%未満では所望の強度が得られず、1.50%を超える
と強度および靱性の向上効果が飽和し、コストのみが上
昇することになるので、その含有量を0.40〜1.50%とし
た。
【0021】Cr:Crは常温強度および高温強度を向
上させる作用がある。特に、Mo、NbおよびVとの複
合添加で著しく高温強度を向上させるが、その含有量が
0.45%未満では所望の効果が得られず、1.50%を超える
と冷間加工性が劣化するようになるので、その含有量を
0.45〜1.50%とした。
【0022】Mo:Moは高温強度の向上に極めて有効
な元素であり、特に、Cr、NbおよびVとの複合添加
でその効果が著しい。しかし、その含有量が0.40%未満
では所望の高温強度が得られず、1.00%を超えると前記
の効果が飽和し、経済的に不利を招くことになるので、
その含有量を0.40〜1.00%とした。
【0023】V:Vは鋼の常温強度および高温強度を向
上させる作用を有している。その作用は特に、Cr、M
oおよびNbとの複合添加で大きく発揮される。しか
し、その含有量が0.01%未満では所望の効果が得られ
ず、0.25%を超えるとその効果が飽和するばかりかかえ
って高温強度の低下をきたし、また、靱性の劣化を招く
ようになるので、その含有量を0.01〜0.25%とした。
【0024】Nb:Nbは本発明において重要な元素で
あり、微量の添加で高温強度が向上する。
【0025】特に、Cr、MoおよびVとの複合添加で
高温強度が著しく向上する。その効果を確保するために
は、 0.005%以上の含有量を必要とするが、0.15%を超
えて含有してもその効果が飽和するのみならず、熱間加
工性および冷間加工性が劣化するようになるので、その
含有量を 0.005〜 0.15%とした。
【0026】Ti:Tiは常温強度および高温強度を向
上させる作用がある。しかし、その含有量が 0.005%未
満では所望の効果が得られず、0.10%を超えると鋼の靱
性が劣化し、また、被削性の低下をも招くことになるの
で、その含有量を 0.005〜0.10%とした。
【0027】Al:Alは鋼の脱酸の安定化および均質
化を図るのに有効な元素である。しかし、その含有量が
0.005%未満では所望の効果を得ることができず、0.10
%を超えるとその効果は飽和してしまい、逆に介在物の
増大により疵が発生し、靱性を劣化させることになるの
で、その含有量を 0.005〜0.10%とした。
【0028】本発明のボルトおよびナット用鋼には、上
記の成分に加えて更にB、Zrの1種以上および/また
はNi、Cuの1種以上を含んでいてもよい。これらの
合金元素の作用効果と望ましい含有量は下記の通りであ
る。
【0029】BおよびZr:BおよびZrには鋼の焼入
れ性を一段と向上させる作用があるので、特に製品寸法
が大きい場合に高強度を確保する目的で1種以上を添加
してもよい。しかし、Bの場合には0.0003%未満の含有
量では所望の効果が得られず、0.0050%を超えて含有す
ると鋼の靱性および高温強度が劣化するようになる。一
方、Zrの場合には0.15%を超えて含有すると前記の作
用が飽和するばかりか、鋼の靱性および被削性が劣化す
るようになる。従って、これらの合金元素を1種以上添
加する場合は、B:0.0003〜0.0050%、Zr:0.15%以
下の含有量とするのがよい。
【0030】NiおよびCu:NiおよびCuには強度
と靱性を向上させる作用があるので、より以上の高強度
や靱性を求められる場合は、必要に応じて1種以上添加
してもよい。しかし、Niの場合には0.01%未満の含有
量では所望の効果が得られず、 0.60%を超えて含有す
ると冷間加工性の劣化をきたす。一方、Cuの場合には
0.05%未満の含有量では所望の効果が得られず、0.60
%を超えて含有すると熱間加工性の劣化をきたす。従っ
て、これらの合金元素を1種以上添加する場合は、N
i:0.01〜0.60%、Cu:0.05〜0.60%の含有量とする
のがよい。なお、NiおよびCuは必要に応じて1種以
上添加することができるが、NiにはCuによる熱間加
工性の劣化を防止する作用もあるので、Cuを添加する
場合にはNiも同時に添加するほうが望ましい。
【0031】B)鋼の組織 上記の化学組成を有する鋼であっても、その組織がフェ
ライト、パーライト、高温ベイナイトといったいわゆる
高温変態生成物からなるものでは目的とする常温強度お
よび高温強度が得られない。常温強度が従来のボルトお
よびナット用鋼と同等以上で、高温強度、特に 600℃で
の耐力が45kgf/mm2 以上のものとするためには、焼入れ
および焼戻し処理して、鋼の組織を焼入れ焼戻し組織と
する必要がある。鋼の組織を焼入れ焼戻し組織とする際
の焼入れ処理は、熱間加工後の高温の鋼を直ちに急冷し
て焼入れするいわゆる直接焼入れ法によって行ってもよ
く、熱間加工後の高温の鋼を一旦室温まで冷却した後、
再加熱して焼入れする方法によって行ってもよい。
【0032】
【実施例】表1に示す化学組成の鋼を通常の方法によっ
て溶製した。表1において、鋼A〜Kは本発明鋼、鋼L
〜Pは成分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲
から外れた比較鋼である。
【0033】次いで、これらの本発明鋼および比較鋼を
連続鋳造法或いは造塊−分塊法によって鋼片となした
後、1200〜1250℃の温度に加熱してから、25mm径の丸棒
に熱間圧延し、一部のものは熱間圧延後、 920〜1020℃
の温度から直ちに焼入れを行った。他のものは熱間圧延
後、一旦室温まで冷却し、880 〜 950℃の温度に再加熱
して焼入れを行った。しかるのち、全ての丸棒に 420〜
680℃の温度で焼戻しを施し、その組織が焼入れ焼戻し
組織になるように調整した。
【0034】こうして得られた焼入れ焼戻し後の丸棒か
ら試験片を切り出し、常温および600℃における引張特
性を調査した。その結果を焼入れおよび焼戻し温度とと
もに表2に示す。
【0035】表2から本発明鋼は常温強度および高温強
度ともに良好な特性値を有しており、新耐火設計法に基
づく締結部材(ボルト、ナット)用鋼として優れた鋼で
あることがわかる。これに対して比較鋼は常温強度は本
発明鋼とほぼ同等であるが、高温強度が著しく低い。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明鋼は高温特
性が著しく改善されている上に、常温強度も高いから、
新耐火設計法に基づく建築用耐火鋼材の締結のためのボ
ルトおよびナット用鋼として利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−51698(JP,A) 特開 平2−170943(JP,A) 特開 平2−163341(JP,A) 特開 平2−217437(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.30〜0.50%、Si: 1.2
    %以下、Mn:0.40〜1.50%、Cr:0.45〜1.50%、M
    o:0.40〜1.00%、V:0.01〜0.25%、Nb: 0.005〜
    0.15%、Ti: 0.005〜0.10%、Al: 0.005〜0.10%
    を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、焼
    入れ焼戻し組織を有する耐火性に優れたボルトおよびナ
    ット用鋼。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の成分に加えて更に、重量
    %で、0.0003〜0.0050%のBおよび0.15%以下のZrの
    うちの1種以上を含有し、焼入れ焼戻し組織を有する耐
    火性に優れたボルトおよびナット用鋼。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の成分に加えて更に、重量
    %で、0.01〜0.60%のNiおよび0.05〜0.60%のCuの
    うちの1種以上を含有し、焼入れ焼戻し組織を有する耐
    火性に優れたボルトおよびナット用鋼。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の成分に加えて更に、重量
    %で、0.0003〜0.0050%のBおよび0.15%以下のZrの
    うちの1種以上と、0.01〜0.60%のNiおよび0.05〜0.
    60%のCuのうちの1種以上を含有し、焼入れ焼戻し組
    織を有する耐火性に優れたボルトおよびナット用鋼。
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