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JP3030064B2 - シアル酸誘導体の新規な製造法 - Google Patents
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JP3030064B2 - シアル酸誘導体の新規な製造法 - Google Patents

シアル酸誘導体の新規な製造法

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JP3030064B2
JP3030064B2 JP2213405A JP21340590A JP3030064B2 JP 3030064 B2 JP3030064 B2 JP 3030064B2 JP 2213405 A JP2213405 A JP 2213405A JP 21340590 A JP21340590 A JP 21340590A JP 3030064 B2 JP3030064 B2 JP 3030064B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、例えばガングリオシドやその類縁体を始め
とする各種医薬品、生化学試薬等の原料、中間体として
有用な、シアル酸の2−α−O−グリコシド化合物の選
択的製造方法に関する。
[発明の背景] 細胞膜中に存在する糖蛋白質や糖脂質のような生物シ
ステムに於て重要な役割を担っている天然由来のシアル
酸誘導体は、周知の如くシチジン1リン酸−N−アセチ
ルノイラミン酸を除いて、全てシアル酸がα−O−グリ
コシド結合により糖鎖等に結合しているものである。従
って、シアル酸のα−O−グリコシド化合物を容易に且
つ選択的に製造することは、シアロ複合糖質を合成する
上で極めて重要なことである。
近時、N−アセチルノイラミン酸のα−グリコシド化
合物合成に向けての新しい試みがいくつか成されている
が、いずれも、収率の点、位置及び立体選択性の点、並
びに大量生産というで未だ改良の余地が少なからず残さ
れている。
本発明者らは、先に、グリコシル供与体としてシアル
酸のメチルα−2−チオグリコシドを用い、これをアセ
トニトリル等の極性溶媒中、ジメチル(メチルチオ)ス
ルホニウムトリフレート等の如きルイス酸の存在下、適
当な保護基を有する受容体と低温で反応させることによ
る位置及び立体選択性に優れたシアル酸のグリコシド化
方法を開発し、これにより種々のガングリオシド類及び
その類縁体を合成している(特開平2−49794号公報、
特開平2−49795号公報、Carbohydr.Res.,200,269−285
(1990)、J.Carbohydr.Chem.,,181−199(1990)
等)。しかしながら、この方法に於て用いられる重要な
グリコシル供与体であるシアル酸のメチルα−2−チオ
グリコシドはN−アシルノイラミン酸から6工程を経て
合成しなければならず、操作が煩雑なため、小スケール
での製造には良いが、大量生産には必ずしも適さない。
それ故、例えばガングリオシドやその類縁体を始めと
する各種医薬品、生化学試薬等の原料、中間体として極
めて有用な、シアル酸の2−α−O−グリコシド化合物
を容易に、選択的に、収率良く、且つ大量に製造し得る
製造方法の出現が待ち望まれている現状にある。
[発明の目的] 本発明は上記した如き状況に鑑みなされたもので、例
えば糖蛋白質や糖脂質等の天然のシアル酸誘導体の有す
る生理活性とその化学構造との関係を調べる上で、ま
た、例えば、ガングリオシドやその類縁体等を始めとす
る各種医薬品,生化学試薬等の原料、中間体として極め
て有用なシアル酸の2−α−O−グリコシド化合物を容
易に、選択的に、収率良く、且つ大量に製造する方法を
提供することを目的とする。
[発明の構成] 本発明は、一般式[I] (式中、R及びR′は夫々独立してアシル基を表わし、
R1は低級アルキル基を表わす。)で示されるシアル酸誘
導体のアノマー混合物を、パーフルオロアルカンスルホ
ン酸トリアルキルシリルエステルの存在下、(アルキル
チオ)トリアルキルシランと反応させて、一般式[II] (式中、R2は低級アルキル基を表わし、R及びR1は前記
と同じ。)で示されるアルキルチオシアル酸誘導体のア
ノマー混合物とした後、これを、水酸基を有さない極性
溶媒中、メチルトリフレート,トリメチルシリルトリフ
レート又はジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフ
レート(以下、DMTSTと略記する。)の存在下、室温以
下でアルコール性の水酸基を有する化合物と反応させる
ことを特徴とする、シアル酸の2−α−O−グリコシド
化合物の製造方法の発明である。
更に、本発明は一般式[II] (式中、R,R1及びR2は前記と同じ)で示されるアルキル
チオシアル酸誘導体のアノマー混合物を、水酸基を有さ
ない極性溶媒中、メチルトリフレート,トリメチルシリ
ルトリフレート又はDMTSTの存在下、室温以下でアルコ
ール性の水酸基を有する化合物と反応させることを特徴
とする、シアル酸の2−α−O−グリコシド化合物の製
造方法の発明である。
一般式[I]及び[II]に於けるR並びに一般式
[I]に於けるR′としては、例えばアセチル基,プロ
ピオニル基,ブタノイル基等のアシル基が挙げられ、一
般式[I]及び[II]に於けるR1及び一般式[II]に於
けるR2としては、例えばメチル基,エチル基,プロピル
基,ブチル基等の低級アルキル基が挙げられる。
本発明に係るシアル酸の2−α−O−グリコシド化合
物の製造法は、大略以下の如くして実施される。
即ち、先ず、Carbohydr.Res.,110,11−18(1982)等
に記載の方法に準じてシアル酸を例えばメタノール等の
低級アルコール中、例えばアンバーライトIR−120(オ
ルガノ社商品名、H+型)等の陽イオン交換樹脂で処理し
てエステル体とした後、これをアシル化すれば、一般式
[I]で示されるシアル酸誘導体のアノマー混合物(以
下、化合物[I]と略記する。)がほぼ定量的に得られ
る。
尚、この化合物のアノマー比(α:β)はNMRスペク
トルに於けるエステル基の強度比から3:8であることが
確認された。
次に、このようにして得られた化合物[I]を例え
ば、1,2−ジクロルエタン,四塩化炭素,アセトニトリ
ル等の溶媒(充分乾燥したものが好ましい)中、パーフ
ルオロアルカンスルホン酸トリアルキルシリルエステ
ル、例えばトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシ
リルエステル(以下、TMS−トリフレートと略記するこ
ともある。)の存在下、(アルキルチオ)トリアルキル
シラン例えば(メチルチオ)トリメチルシランと加熱反
応させれば一般式[II]で示されるアルキルチオシアル
酸誘導体のアノマー混合物(α:β=1:1、以下、化合
物[II]と略記する。)が高収率で得られる。
本発明に於て用いられるパーフルオロアルカンスルホ
ン酸トリアルキルシリルエステルとしては、TMS−トリ
フレートの他に、例えばトリフルオロメタンスルホン酸
トリエチルシリルエステル,トリフルオロメタンスルホ
ン酸トリイソプロピルシリルエステル,ペンタフルオロ
エタンスルホン酸トリメチルシリルエステル,ヘプタフ
ルオロプロパンスルホン酸トリメチルシリルエステル,
ペンタフルオロエタンスルホン酸トリエチルシリルエス
テル,トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルt−ブチ
ルシリルエステル,ペンタフルオロエタンスルホン酸ジ
メチルt−ブチルシリルエステル,ヘプタフルオロプロ
パンスルホン酸ジメチルt−ブチルシリルエステル等が
挙げられる。また、(アルキルチオ)トリアルキルシラ
ンとしては、(メチルチオ)トリメチルシランの他に、
例えば(メチルチオ)トリエチルシラン,(エチルチ
オ)トリメチルシラン,(エチルチオ)トリエチルシラ
ン,(メチルチオ)トリブチルシラン等が挙げられる。
本反応の反応温度は、使用する溶媒により若干異なる
が、通常40〜100℃好ましくは50〜60℃であり、また、
反応時間は使用する溶媒及び反応温度により若干異なる
が、通常1〜10時間程度である。
本発明に係るこのアシルオキシ基からアルキルチオ基
への交換反応は、驚くべきことに大スケールの製造に於
ても副反応が全く認められない。一方、本反応に於て、
TMS−トリフレート等の代わりにBF3−エーテル複合物を
用いた場合には目的物が殆ど得られない。
かくして得られたアルキルチオシアル酸誘導体のアノ
マー混合物(化合物[II])をグリコシド化の糖供与体
として用い、これを例えばアセトニトリル、プロピオニ
トリル、ブチロニトリル、ニトロメタン等の水酸基を有
さない極性溶媒(充分乾燥したものが望ましい。)中
で、メチルトリフレート(トリフルオロメタンスルホン
酸メチル)やトリメチルシリルトリフレート(トリフル
オロメタンスルホン酸トリメチルシリル)やDMTST等の
如きルイス酸の存在下、低温、例えば室温以下、好まし
くは−5℃以下、より好ましくは−10℃以下でアルコー
ル性の水酸基を有する化合物と0.5時間乃至数十時間
(受容体の種類により、また、その他の反応条件により
反応時間は自ら異なる。)反応させれば目的とするα−
O−グリコシドが選択的に得られる。糖供与体である化
合物[II]の使用量は受容体であるアルコール性水酸基
を有する化合物に対し2倍当量程度、また、DMTST等の
ルイス酸は糖供与体である化合物[II]に対し、3倍当
量程度用いるのが通常であるが、特にこれに限定される
ものではない。尚、DMTSTは公知文献J.Chem.Soc.,Perki
n Trans.II,1569(1982)に記載の方法に従い、二硫化
ジメチルとトリフルオロメタンスルホン酸メチルとから
用時調製し、使用に供する。反応後は、例えば不溶物を
瀘去して瀘液を濃縮する等の常法に従って後処理を行な
えばよく、必要に応じてカラムクロマトグラフィ等によ
り精製する等は任意である。この方法によればβ−グリ
コシド化合物は全く副生しない。本発明で用いられるア
ルコール性の水酸基を有する化合物としては、例えば下
記一般式[III],[IV],[V],又は[VI]で示さ
れる化合物等が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではなく、一級又は二級の水酸基を有する化合物であれ
ば何れにてもよい。
[式中、R3は−OH,−NH2,−OR0又は−NHR0(但し、R0
アシル基を表わす。)を表わし、R4は水酸基の保護基を
表わし、R5とR6は何れか一方が水酸基を表わし、他方は
水素原子を表わす。また、TASはトリアルキルシリル基
を表わす。]で示される化合物。
(式中、R7はアシル基を表わし、R3,R5,R6及びTASは前
記と同じ。)で示される化合物。
(式中、R8はアシル基を表わし、R9とR10は何れか一方
が水酸基を表わし、他方は水素原子を表わす。TASは前
記と同じ。)で示される化合物。
R11OH [VI] (式中、R11はアルキル基を表わす。)で示される脂肪
族アルコール。
一般式[III]及び[IV]に於けるR3としては、例え
ば−OH,−NH2,−OR0又は−NHR0が挙げられ、R0として
は、例えばアセチル基,プロピオニル基,ブタノイル
基,ベンゾイル基等のアシル基が挙げられる。一般式
[III]に於けるR4としては、例えばアセチル基,プロ
ピオニル基,ブタノイル基,ベンゾイル基,ベンジル基
等、この分野で一般によく用いられる水酸基の保護基が
挙げられる。また、一般式[III]に於けるR5,R6は何れ
か一方が水酸基を表わし、他方は水素原子を表わす。一
般式[IV]に於けるR7としては、例えばアセチル基,プ
ロピオニル基,ブタノイル基,ベンゾイル基等のアシル
基が挙げられる。一般式[III],[IV]及び[V]に
於けるTASは、例えばトリメチルシリル基,トリエチル
シリル基,トリイソプロピルシリル基,ジメチルt−ブ
チルシリル基等のトリアルキルシリル基を表わす。一般
式[V]に於けるR8としては、例えばアセチル基,プロ
ピオニル基,ブタノイル基,ベンゾノイル基等のアシル
基が挙げられ、一般式[V]に於けるR9,R10は何れか一
方が水酸基を表わし、他方は水素原子を表わす。一般式
[VI]に於けるR11としては、例えばメチル基,エチル
基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,
ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,デシル基,ドデシ
ル基,ペンタデシル基,ヘキサデシル基,オクタデシル
基等のアルキル基が挙げられ、直鎖状、分枝状何れにて
もよいが、一般式[VI]で示されるアルコールが第三級
アルコールとなるような分枝状のアルキル基はこれを除
く。尚、上記一般式[III],[IV]又は[V]で示さ
れるアルコール性の水酸基を有する化合物は、例えば特
開平2−49794号公報及びJ.Carbohydr,Chem.,265−28
3(1989)等にその合成法が開示されているので、その
方法に準じて適宜合成したものを用いればよい。
本発明の方法によればシアル酸の2−α−O−グリコ
シドが極めて高収率で得られ、且つ2−β−O−グリコ
シドの生成は殆ど認められない。また、本発明の方法に
よれば、受容体の水酸基は一級、二級の何れにてもよ
い。
特開平2−49794号公報及びJ.Carbohydr.Chem,,265
−283(1989)等の記載によりα−アルキルチオシアル
酸誘導体からα−O−グリコシドが高収率で得られるこ
とは既に知られていたが、本発明の如くアルキルチオシ
アル酸誘導体のアノマー混合物(α:β=1:1)を用い
た場合でも、同様にα−O−グリコシドのみが選択的に
且つ高収率で得られると言うことは極めて意外なことで
あった。
以下に実施例及び参考例を挙げるが本発明はこれら実
施例、参考例により何ら限定されるものではない。
[実施例] 参考例 1. 1−[2−(トリメチルシリル)エチル]
−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシドの合成 1,2,3,4,6−ペンタ−O−アセチル−D−ガラクトピ
ラノシド10.08gを充分に脱水したジクロルメタン100ml
に溶解し、0℃にて臭化水素の30%酢酸溶液50gを加え
た後、室温で1.5時間攪拌下に反応させた。反応終了
後、減圧濃縮してシラップ状物を得、これをジクロルメ
タン50mlに溶解し、モレキュラーシーブス4Å10gを加
えて5時間攪拌下に反応させた(反応液−1)。一方、
Ag2CO3 14g、AgClO4 5.4g、トリメチルシリルエタノー
ル7.32ml及びモレキュラーシーブス4Å10gを充分に脱
水したジクロルメタン50mlに懸濁し、5時間攪拌下に反
応させた(反応液−2)。次いで反応液−1と反応液−
2を混合して、攪拌下に一夜反応させた。反応終了後、
反応液をセライト瀘過し、瀘液を減圧濃縮して、得られ
たシラップ状物をカラムクロマトグラフィ[充填剤:ワ
コーゲルC−200(和光純薬工業(株)社商品名)、溶
出液:CH2Cl2]により精製して、1−[2−(トリメチ
ルシリル)エチル]−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル
−β−D−ガラクトピラノシドのシラップ8.4gを得た。
収率72.5%。[α]=−9.49゜(C=1.01,CHCl3)。
参考例 2. 1−[2−(トリメチルシリル)エチル]
−β−D−ガラクトピラノシドの合成 参考例1で得られた1−[2−(トリメチルシリル)
エチル]−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−
ガラクトピラノシド8.06gを充分に脱水したメタノール3
0mlに溶解し、触媒量のナトリウムメチラートを加え1
時間攪拌した。反応終了後、アンバーライトIR−120
(オルガノ社商品名、H+型)にて反応液を中和し、瀘別
して得た瀘液を減圧濃縮して、1−[2−(トリメチル
シリル)エチル]−β−D−ガラクトピラノシドの結晶
を定量的に得た。
[α]=−22.06゜(C=1.012,CH3OH)。
参考例 3. 2−(トリメチルシリル)エチル3−O−
ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシド(一般式[II
I]に於て、R3=−OH,R4=ベンゾイル基,R5=−OH,R6
H,TAS=トリメチルシリル基の化合物。以下、化合物[I
II a]と略記する。)の合成 1−[2−(トリメチルシリル)エチル]−β−D−
ガラクトピラノシド1.5gをピリジン15mlに溶解し、−50
℃に冷却した。これに、塩化ベンゾイル905mgをジクロ
ルメタン15mlに溶解して−50℃に冷却した溶液を12分を
要して滴下した。3時間攪拌反応後、メタノールを加え
濃縮した。残渣にクロルメタンを加えて抽出し、ジクロ
ルメタン層を水洗、無水Na2SO4乾燥後、濃縮して得られ
たシラップをカラムクロマトグラフィ[充填剤:ワコー
ゲルC−200(和光純薬工業(株)社商品名),溶出液:
CH2Cl2/CH3OH=40/1]により精製して、目的の化合物
[III a]1.38gを得た。収率67%。
[α]=+30.50゜(C=1.20,CHCl3)。
IR及びNMRのデータは標品のそれと一致した。
参考例 4. 2−(トリメチルシリル)エチル3−O−
ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシド(一般式[II
I]に於て、R3=−OH,R4=ベンジル基,R5=−OH,R6=H,
TAS=トリメチルシリル基の化合物。以下、化合物[III
b]と略記する。)の合成 1−[2−(トリメチルシリル)エチル]−β−D−
ガラクトピラノシド4.56gをベンゼン100mlに懸濁させ、
(n−C4H92SnO6.10gを加えて80℃で5時間攪拌した
後、これに(n−C4H94HBr2.64gと臭化ベンジル28.8m
lを加えて更に3時間攪拌反応させた。反応終了後減圧
濃縮し、残渣にn−ヘキサンを加えて傾斜法で過剰の臭
化ベンジルを除去し、選られたシラップをカラムクロマ
トグラフィ[充填剤:ワコーゲルC−200(和光純薬工
業(株)社商品名),溶出液:CH2Cl2/CH3OH=125/1]に
供して化合物[III b]4.63gを得た。収率76.6%。
[α]=+5.6゜(C=0.50,CH2Cl2)。
IR及びNMRのデータは標品のそれと一致した。
参考例 5. 2−(トリメチルシリル)エチル6−O−
ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシド(一般式[I
V]に於て、R3=−OH,R5=−OH,R6=H,R7=ベンゾイル
基,TAS=トリメチルシリル基の化合物。以下、化合物
[IV a]と略記する。)の合成 (1)2−(トリメチルシリル)エチル6−O−ベンゾ
イル−3−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシド
(以下、化合物[IV b]と略記する。)の合成 化合物[III b]4.2gをピリジン12ml−ジクロルメタ
ン48mlの混合溶媒に溶解し、−50℃に冷却した後、塩化
ベンゾイル2.18gをジクロルメタン25mlに溶解した溶液
を滴下し、1時間攪拌反応させた。反応終了後、メタノ
ールを加えて更に30分間攪拌し、然る後、これを減圧濃
縮した。残渣にジクロルメタンを加えて抽出し、ジクロ
ルメタン層を水洗、無水Na2SO4乾燥後、減圧濃縮した。
得られたシラップをカラムクロマトグラフィ[充填剤:
ワコーゲルC−200(和光純薬工業(株)社商品名),
溶出液:CH2Cl2/CH3OH=150/1]に供し、化合物[IV b]
3.79gを得た。収率70.5%。
[α]=−1.55゜(C=0.900,CHCl3)。
IR及びNMRのデータは標品のそれと一致した。
(2)化合物[IV a]の合成 化合物[IV b]3.50gをメタノール150mlに溶解し、10
%パラジウム−炭素6gとギ酸2.5mlを加えて60℃で1時
間攪拌反応させた。反応後、反応液を瀘過して不溶物を
除き、瀘液を減圧濃縮して得られたシラップをカラムク
ロマトグラフィ[充填剤:ワコーゲルC−200(和光純
薬工業(株)社商品名),溶出液:CH2Cl2/CH3OH=40/
1]に供し、化合物[IV a]1.90gを得た。収率67%。
[α]=−3.69゜(C=0.92,CHCl3)。
IR及びNMRのデータは標品とそれと一致した。
参考例 6. 2−(トリメチルシリル)エチルO−(6
−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシル)−
(1→4)2,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコ
ピラノシド(一般式[V]に於て、R8=ベンゾイル基,R
9=−OH,R10=H,TAS=トリメチルシリル基の化合物。以
下、化合物[V a]と略記する。)の合成 (1)2−(トリメチルシリル)エチルO−(3−O−
ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)
−β−D−グルコピラノシド(以下、化合物[V b]と
略記する。)の合成 2−(トリメチルシリル)エチルβ−D−ラクトシド
6.59gをメタノール100mlに溶解し、これに(n−C4H9
2SnO4.92gを加えて加熱還流下、3時間攪拌反応させ
た。反応後、反応液を減圧濃縮し、充分乾燥させた後、
ベンゼン200mlを加えてこれを溶解し、(n−C4H94NB
r4.80gおよび臭化ベンジル14.2mlを加えて加熱還流下3
時間攪拌反応させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮
し、残渣にn−ヘキサンを加えて傾斜法で過剰の臭化ベ
ンジルを除去し、得られたシラップをカラムクロマトグ
ラフィ[充填剤:ワコーゲルC−200(和光純薬工業
(株)社商品名),溶出液:酢酸エチル/n−ヘキサン=
4/1]に供して化合物[V b]5.96gを得た。収率75.2
%。m.p.164〜167℃。
[α]=−0.14゜(C=1.48,CH2Cl2)。
IR及びNMRのデータは標品のそれと一致した。
(2)2−(トリメチルシリル)エチルO−(6−O−
ベンゾイル−3−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラ
ノシル)−(1→4)−2,6−ジ−O−ベンゾイル−β
−D−グルコピラノシド(以下、化合物[V c]と略記
する。)の合成 化合物[V b]3.96gをピリジン24mlとジクロルメタン
60mlの混合溶媒に溶解し、−50℃に冷却した後、これ
に、塩化ベンゾイル3.6mlをジクロルメタン45mlに溶解
した溶液を滴下し、30分間攪拌反応させた。反応終了
後、メタノールを加えて過剰の塩化ベンゾイルを分解
し、然る後、反応液を減圧濃縮した。残渣にジクロルメ
タンを加えて抽出し、ジクロルメタン層を塩酸及び水で
洗浄後、無水Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。得られた
シラップをカラムクロマトグラフィ[充填剤:ワコーゲ
ルC−200(和光純薬工業(株)社商品名),溶出液:CH
2Cl2/CH3OH=200/1]に供し,化合物[V c]4.20gを得
た。収率67%。
[α]=+14.01゜(C=0.856,CHCl3)。
IR及びNMRのデータは標品のそれと一致した。
(3)化合物[V a]の合成 化合物[V c]3.36gをメタノール100mlに溶解し、10
%パラジウム−炭素2.4gとギ酸2.4mlを加えて60℃で2
時間攪拌反応させた。反応終了後、反応液を瀘過して不
溶物を除き、瀘液を減圧濃縮して得られたシラップをカ
ラムクロマトグラフィ[充填剤:ワコーゲルC−200
(和光純薬工業(株)社商品名),溶出液:CH2Cl2/CH3O
H=50/1]に供し,化合物[V a]2.11gを得た。収率70
%。
[α]=+11.03゜(C=0.58,CHCl3)。
IR及びNMRのデータは標品のそれと一致した。
実施例 1. メチル(メチル5−アセトアミド−4,7,8,
9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−2−チオ
−D−グリセロ−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシ
ド)オネート(一般式[II]に於て、R=アセチル基,R
1=メチル基,R2=メチル基の化合物。以下、化合物[II
a]と略記する。)の合成 公知文献[Carbohydr.Res.,110,11−18(1982)]に
記載の方法に準じてN−アセチル−テトラ−O−アセチ
ルノイラミン酸の2位のカルボン酸のメチルエステル化
と、2位の水酸基のアセチル化を行ない、メチル5−ア
セトアミド−2,4,7,8,9−ペンタ−O−アセチル−3,5−
ジデオキシ−D−グリセロ−D−ガラクト−2−ノヌロ
ピラソネート(以下、化合物[I a]と略記する。)を
ほぼ定量的に得た。次いで、この化合物[I a]40g(61
mmol)を乾燥1,2−ジクロルエタン600mlに溶解し、攪拌
下、この溶液に(メチルチオ)トリメチルシラン27g(2
25mmol)、TMS−トリフレート13.5g(61mmol)及びモレ
キュラーシーブス4Å10gを加え、50℃で6時間攪拌反
応させた。薄層クロマトグラフィーで反応の終了を確認
した後、攪拌、冷却し、これに1M炭酸ソーダ水溶液500m
lを加えて油層を分取した。油層を水洗し、無水Na2SO4
で乾燥した後、濃縮してシラップを得た。これをシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー[充填剤:ワコーゲルC
−200(和光純薬工業(株)商品名)、溶離液:CH2Cl2
CH2Cl2/CH3OH=200/1→CH2Cl2/CH3OH=50/1]に供し、C
H2Cl2/CH3OH=50/1の溶離液を濃縮して化合物[II a]3
7.7gを無定形晶として得た。収率96%。この化合物のア
ノマー比(α:β)はNMRスペクトルに於けるメチルエ
ステル基の強度比から1:1であることが確認された。
実施例 2. 2−(トリメチルシリル)エチルO−(メ
チル5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチ
ル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラク
ト−2−ノヌロピラノシルオネート)−(2→3)−6
−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシド(以
下、化合物[VII a]と略記する。)の合成 乾燥アセトニトリル20ml中に実施例1で得られた化合
物[II a]2.7g(5.2mmol)及び参考例5で得られた化
合物[IV a]1.0g(2.6mmol)を溶解し、これにモレキ
ュラーシーブス3Å(以下、MS−3Aと略記する。)3gを
加えて室温で5時間攪拌した後、混合物を−40℃に冷却
した。これに冷却、攪拌下、DMTST(化合物[II a]に
対して3倍当量使用)とMS−3Aの混合物(DMTSTを61.7
重量%含む。)6.53gを加え、−15℃で17時間攪拌反応
させた。反応後、反応液にメタノール1mlを加え、次い
でトリエチルアミンを加えて反応液を中和した。沈澱を
瀘取し、ジクロルメタンで洗浄した後、瀘液と洗浄液を
合わせ濃縮した。残渣をジクロルメタンに溶解し、これ
を1M炭酸ソーダ水溶液及び水で順次洗浄し、無水Na2SO4
で乾燥した後、濃縮してシラップを得た。このシラップ
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[充填剤:ワコ
ーゲルC−200(和光純薬工業(株)商品名)、溶離
液:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1]に付し、化合物[V
II a]1.16gを無定形晶として得た。
(Bz:ベンゾイル基、TMS:トリメチルシリル基) 収率52%。[α]=−6.0゜(C=2.0,CHCl3)。
IR及びNMRのデータは標品のそれと一致した。
尚、本実施例に於てはシアル酸のβ−グリコシド体は
全く得られなかった。
実施例 3. 2−(トリメチルシリル)エチルO−(メ
チル5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチ
ル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラク
ト−2−ノヌロピラノシロネート)−(2→6)−3−
O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシド(以下、
化合物[VIII a]と略記する。)の合成 乾燥アセトニトリル15ml中に実施例1で得られた化合
物[II a]2.7g(5.2mmol)及び参考例3で得られた化
合物[III a]1.0g(2.6mmol)を溶解し、これにMS−3A
3gを加えて室温で6時間攪拌した後、混合物を−40℃に
冷却した。これに冷却、攪拌下、DMTST(化合物[II
a]に対して3倍当量)とMS−3Aの混合物(DMTSTを61.7
重量%含む。)6.53gを加え、−15℃で17時間攪拌反応
させた。以下、実施例2と同様にして後処理を行ない、
カラムクロマトグラフィーにより精製して酢酸エチル/n
−ヘキサン=1/1の溶離液から化合物[VIII a]1.56gを
無定形晶として得た。
(Bz:ベンゾイル基、TMS:トリメチルシリル基) 収率70%。[α]=−6.4゜(C=0.4,CHCl3)。
IR及びNMRのデータは標品のそれと一致した。
尚、本実施例に於てもシアル酸のβ−グリコシド体は
全く得られなった。
実施例 4. 2−(トリメチルシリル)エチルO−(メ
チル5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチ
ル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラク
ト−2−ノヌロピラノシルオネート)−(2→3)−O
−(6−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシ
ル)−(1→4)−2,6−ジ−O−ベンゾイル−β−D
−グルコピラノシド(以下、化合物[IX a]と略記す
る。)の合成 実施例3に於て化合物[III a]1.0gの代りに参考例
6で得られた化合物[V a]1.9gを使用し、それ以外は
実施例3と全く同様にして反応及び後処理を行ない、カ
ラムクロマトグラフィーにより精製して酢酸エチル/n−
ヘキサン=4/1の溶離液から化合物[IX a]1.47gを無定
形晶として得た。
(Bz:ベンゾイル基、TMS:トリメチルシリル基) 収率48%。[α]=+10.8゜(C=1.74,CHCl3)。
IR及びNMRのデータは標品とそれと一致した。
尚、本実施例に於てもシアル酸のβ−グリコシド体は
全く得られなった。
[発明の効果] 本発明は、ガングリオシドやその類縁体を始めとする
各種医薬品,生化学試薬等の原料、中間体として有用
な、シアル酸の2−α−O−グリコシド化合物を容易
に、選択的に、収率良く且つ大量に得る方法を初めて提
供するものである点に顕著な効果を奏するものであり、
斯業に貢献するところ大なる発明である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−49794(JP,A) 特開 昭63−41494(JP,A) J.CARBOHYDRATE CH EMISTRY,Vol.9,No.4 (1990)p.393−414 J.CARBOHYDRATE CH EMISTRY,Vol.7,No.2 (1988)p.501−506 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 15/00 - 15/26 C07H 23/00 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式[I] (式中、R及びR′は夫々独立してアシル基を表わし、
    R1は低級アルキル基を表わす。)で示されるシアル酸誘
    導体のアノマー混合物を、パーフルオロアルカンスルホ
    ン酸トリアルキルシリルエステルの存在下、(アルキル
    チオ)トリアルキルシランと反応させて、一般式[II] (式中、R2は低級アルキル基を表わし、R及びR1は前記
    と同じ。)で示されるアルキルチオシアル酸誘導体のア
    ノマー混合物とした後、これを、水酸基を有さない極性
    溶媒中、メチルトリフレート,トリメチルシリルトリフ
    レート又はジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフ
    レートの存在下、室温以外でアルコール性の水酸基を有
    する化合物と反応させることを特徴とする、シアル酸の
    2−α−O−グリコシド化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】アルコール性の水酸基を有する化合物が一
    般式[III] [式中、R3は−OH,−NH2,−OR0又は−NHR0(但し、R0
    アシル基を表わす。)を表わし、R4は水酸基の保護基を
    表わし、R5とR6は何れか一方が水酸基を表わし、他方は
    水素原子を表わす。また、TASはトリアルキルシリル基
    を表わす。]で示される化合物である請求項1に記載の
    製造方法。
  3. 【請求項3】アルコール性の水酸基を有する化合物が、
    一般式[IV] (式中、R7はアシル基を表わし、R3,R5,R6及びTASは前
    記と同じ。)で示される化合物である請求項1に記載の
    製造方法。
  4. 【請求項4】アルコール性の水酸基を有する化合物が、
    一般式[V] (式中、R8はアシル基を表わし、R9とR10は何れか一方
    が水酸基を表わし、他方は水素原子を表わす。TASは前
    記と同じ。)で示される化合物である請求項1に記載の
    製造方法。
  5. 【請求項5】アルコール性水酸基を有する化合物が、一
    般式[VI] R11OH [VI] (式中、R11はアルキル基を表わす。)で示される脂肪
    族アルコールである請求項1に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】一般式[II] (式中、R,R1及びR2は前記と同じ)で示されるアルキル
    チオシアル酸誘導体のアノマー混合物を、水酸基を有さ
    ない極性溶媒中、メチルトリフレート,トリメチルシリ
    ルトリフレート又はジメチル(メチルチオ)スルホニウ
    ムトリフレートの存在下、室温以下でアルコール性の水
    酸基を有する化合物と反応させることを特徴とする、シ
    アル酸の2−α−O−グリコシド化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】アルコール性の水酸基を有する化合物が、
    一般式[III] (式中、R3,R4,R5,R6及びTASは前記と同じ。)で示され
    る化合物である請求項6に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】アルコール性の水酸基を有する化合物が一
    般式[IV] (式中、R3,R5,R6,R7及びTASは前記と同じ。)で示され
    る化合物である請求項6に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】アルコール性の水酸基を有する化合物が、
    一般式[V] (式中、R8,R9,R10及びTASは前記と同じ。)で示される
    化合物である請求項6に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】アルコール性の水酸基を有する化合物
    が、一般式[VI) R11OH [VI] (式中、R11は前記と同じ。)で示される脂肪族アルコ
    ールである請求項6に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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J.CARBOHYDRATE CHEMISTRY,Vol.7,No.2(1988)p.501−506
J.CARBOHYDRATE CHEMISTRY,Vol.9,No.4(1990)p.393−414

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